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■夏の日の想い出・生存競争の日々(3)

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青葉を通して空帆と連絡を取ったところ、3月15日のKARION金沢公演に合わせて会おうということになった。
 
(この金沢公演にはアクアがゲスト出演したが、私は彼女、もとい彼を3月14日の夜に青葉に会わせてセッションを受けさせている。結果彼は自分の第二次性徴の出現をもう数年停めておく選択をした。男性能力は放棄しないものの、あと数年は中性的な状態をキープすることになるし、彼のボーイソプラノも当面保持されることになる)
 
それで私はその日KARIONのライブが終わった後、高梁さん・加藤さんと青葉・空帆を引き合わせた(加藤さんはKARIONのライブに顔を出すのを兼ねてきてくれた)。
 
「これが私の最新の作品です」
と言って空帆は譜面を見せる。
 
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「おお、いいね、いいね。僕が持っていたイメージに近い。もっと古い作品はあります?」
「言われたので発掘してきました」
と言って、昨年、一昨年書いたもの、更には中学生時代に書いたものまで見せる。
 
「おお、これは素晴らしい!これこそ中高生の作品だよ。こんな歌詞は絶対に大人の作詞家には書けない」
 
と言って高梁さんは空帆が3年前に書いた作品の譜面を見て興奮している。
 
「私、これ褒められてるんだっけ?」
と空帆は怪訝な様子。
 
「需要にちょうどピッタリなんだからいいのでは?」
と青葉は言う。
 
「この時代の作品の譜面、もっとあります?」
「過去に書いた作品は全部取ってあります」
「ぜひ今回のアニメに使用させてください」
 
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「まあいいですけどね」
と空帆は不本意ながらも承諾する。
 
「アニメの中の、ゆきえ・ひすいたちの成長とともに、空帆の作品も成長していけばいいんだよ」
と青葉は笑顔で言っていた。
 
「彼女たち、やがてプロになるんでしょうかね?」
と空帆は訊くが
 
「私も作者さんたちに訊いてみたんですがね。そのあたり将来の展開はまだ決めてないらしいです。ただ、ゆきえとひすいが仲違いしてバンド分裂などということは絶対に無いし、また女子大生編はあまり書きたくないと言ってました。女子高生ゆえの様々な事象というのを描き込んでいきたいとおっしゃるんですよね」
 
「女子中生・女子高生をターゲットにした漫画なんだからそうでしょうね」
 
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「ただ出版社さんが彼女たちの卒業とともに終わらせるというのを許してくれるだろうかと不安がっていました」
「ドル箱漫画ですからね!」
 
「『ハイスクール・ロッカー』が終わる前に『週刊カトレア』が終わったりして」
「それは言わない約束よ」
「今の発言は聞かなかったことに」
 

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3月21日から23日までは京都市で全日本クラブバスケット選手権が行われた。私がオーナーを務める千葉ローキューツも出場するのだが、私は21日は大阪、22日は東京でKARIONのライブがある。もっともライブは昼過ぎからなので、私は取り敢えず21日の朝、京都の大会会場に顔を出した。
 
行ってみたら、千里(醍醐春海)と上島先生が立ち話している所に遭遇する。千里は東京40minutes、上島先生は東京江戸娘のオーナーになっており、どちらもこの大会に参加している。
 
「お疲れ様です〜」
と声を掛ける。
 
「昨夜醍醐君と電話で話しててさ、まるでケイちゃんが書いたような曲を見たよと言ったらさ、じゃまるで僕が書いたような曲を持ってきましょうか、なんて言うものだから、見てみたいと言ったら、出て来たのがこれなんだよ」
 
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と言って上島先生が譜面を見せてくれる。『渚のストーンステップ』と書かれている。
 
「さすが!これほんとに先生が書いたものみたい」
と私が言ったら
 
「それ、桜島法子さんの作品」
と千里が言う。
 
「おっと」
 
「いや、誰かの癖を真似して書くってのは、わりと楽しい知的なゲームなんだよ」
と千里は言っている。
 
「でも千里、桜島さんとのつながりあったんだっけ?」
「春風アルトさん(上島先生の奥さん)経由でつながってるのさ」
と千里。
「うむむ」
 
「醍醐さんはうちのと古い知り合いみたいだから」
と上島先生は言っている。
 
「いや、こないだ桜島さん、春風さんと3人でちょっと話していたんだけどね。こういうのをこっそり上島先生の机の上に置いておいたら、上島先生気づかずに自分の作品と思って出しちゃうかもと」
と千里。
 
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「やめてよ〜。それ絶対僕気づかないから」
と上島先生は言っていた。
 
「それ、上島先生が気付いたとしても、きっとレコード会社の担当は『もうこれでいいです』と言って持ってっちゃうよね」
と私も言った。
 

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さて、私は朝一番に顔を出しただけで、大阪のライブ会場の方に移動したのだが、この全日本クラブバスケット選手権は男女とも全国から32のチームが参加していて、この日は1回戦の各16試合ずつが行われた。
 
そしてローキューツは鹿児島のチームに、40minutesは静岡のチームに、江戸娘は兵庫のチームに、各々勝って翌日の2回戦に進出した。
 
多忙な上島先生はこの日の江戸娘の試合を見ただけで東京にとんぼ返りした。ちょうど私がKARIONのライブが終わった後、京都の方に戻ると「ケイちゃん、後はよろしく」と言われて30万円の札束を渡され、新幹線に飛び乗ったようである。それで私はその日の晩御飯は、ローキューツの方は薫に現金を渡した上で私自身は江戸娘のメンバーのホテルの方に顔を出して、彼女たちと一緒に取ったが
 
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「京都までの往復旅費が浮いたので助かります」
「浮いたお金で浴衣でも買っちゃおうかな」
 
などといった声があがっていた。江戸娘はこれまであちこちで開かれる大会にずっと部員の自費で参加していたのである。設立された初期の頃は共同設立者のひとりが勤めていたお寿司屋さんが助成金を出してくれていた(それで初期の登録費用やチーム旗、ユニフォームの制作費をまかなった)ものの3年目以降はそういう支援者も無くなっていたらしい。
 
「でも皆さん背が高いから浴衣もふつうに売ってるのでは合わないでしょ?」
と私が言うと
 
「そうそう。私は無理矢理着てるけど、おはしょりが作れない」
「足が大きく出てしまう」
などという声があがる。
 
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「私なんて、背の高い人のはこちらだよとお店の人に案内されて行ったら、男物の浴衣のコーナーだった」
「それはひどい」
「いや、でも結構日常的に男物の服にはお世話になってるけどね」
「うん。普通の女性用Tシャツとか着るとヘソ出しTシャツになっちゃう」
 
「私は180cmまでの人向けの女性用浴衣作っているお店に頼んでるよ」
とひとりが言うと
 
「あ、そこ教えて」
と言われて、江戸娘の専用掲示板(非公開)に書き込んでいたようである。
 

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2日目は2回戦と準々決勝が行われた。私はこの日はKARIONライブのため1日東京であったが、ライブが終わった後、京都に駆け付けた。
 
午前中の2回戦ではローキューツは山口のチームに、江戸娘は福井のチームに、40minutesは奈良のチームに勝って3チームともBEST8になった。
 
そして午後の準々決勝で40minutesは北海道のチームに、江戸娘は三重県のチームに勝ったものの、ローキューツは愛知県のセントールというチームに70対56で敗れてしまった。
 
「みんなお疲れ様。残念だったね」
と私はローキューツのメンバーに声を掛けた。
 
「完敗だったね」
「うん。鍛え直さないとダメ」
 
試合が16時頃終わったので、残念会を兼ねて夕食を17時すぎから京都市内のしゃぶしゃぶ食べ放題のお店で取っていたのだが、私はその残念会の最後の方に顔を出す形になった。
 
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「私、準々決勝で負けた責任取って引退しようかなあ」
などと薫が言い出すが
 
「いや、あと3年は頑張ってもらわなきゃ」
などとみんなの声。
 
「じゃ、あと3年頑張るから、その後、揚羽がキャプテンやってよ」
と薫が言う。
 
「うーん。まだお嫁に行ってなかったらね」
と揚羽が言うが。
 
「それは大丈夫じゃない?」
と妹の紫に突っ込まれて
 
「反論できん」
などと言っていた。
 
「薫、私をお嫁さんにはしてくれないよね?」
などと揚羽が言うが
 
「私、もう戸籍を女に直しちゃったから無理」
と薫は言う。
 
「お姉ちゃんが性転換して男になるのは?」
と紫が言うと。
「うーん。それも悪くないなあ」
と本人は言っていた。
 
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明日が平日なので、お勤めしている人はこの日の最終新幹線で帰り、学生や「不良OL」は明日まで居残りして決勝まで見ることになった。私は京都市内で泊まったが、ホテルに今日帰った子たちの分のキャンセル料を支払った。この手の支払いも今までの江戸娘のように個人負担で参加しているとなかなか辛い所だろう。
 
翌日午前中の準決勝では40minutesと江戸娘が激突した。東京都大会決勝、関東大会決勝の再現である。東京都大会では江戸娘、関東大会では40minutesが勝っており、実力は伯仲している。特に関東大会の決勝では江戸娘は準決勝で力を使い果たして決勝で負けてしまったのだが、今日は午前中の試合なので充分なパワーがある。試合はシーソーゲームとなったものの、最後は千里のスリーで40minutesが激戦を制した。
 
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もうひとつの準決勝は昨日ローキューツを破った愛知のセントールと京都のサガンレディスとが争い、セントールが勝った。
 
男子の試合をはさんで3位決定戦と決勝が同時進行で行われる。
 
3位決定戦では40minutesとの準決勝で激しく疲労している江戸娘がサガン・レディスに前半大きくリードされたものの、その後、青山さんや六原さんなどの中心選手が必死になって反撃し、最後はブザービーターでギリギリ逆転勝利を納めた。
 
そして決勝の40minutesとセントールとの試合は、事実上の企業チームでよくトレーニングを積んでいるセントールが序盤リードを奪うものの、素質の高い選手の多い40minutesもじわじわと追い上げていく。第3ピリオドの3分で追いつき、その後は激しいシーソーゲームを演じた。しかし最後は疲れを知らない千里がスリーを連発して突き放し、全日本クラブバスケット選手権で初優勝を納めた。
 
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クラブの正式登録初年度での優勝は素晴らしい成果である。千里や麻依子など、元ローキューツのメンバーにとっては2012年の優勝から3年ぶりの全国制覇になった。
 
(2012年3月の全国クラブ選手権を制覇したローキューツはキャプテンの浩子が就活のため、麻依子が結婚のため、千里もどさくさまぎれに引退し、中核選手が大量に抜けたものの、その後キャプテンを引き継いだ薫がチーム選手登録期限の5月末までに頑張ってメンバーを集め、秋の全日本クラブ選抜で再び優勝したのであった)
 
なお、この大会で3位までが10月31日〜11月1日に徳島県で行われる全日本社会人バスケットボール選手権に出場するので、40minutes, セントール、江戸娘の3チームが行くことになる。その前に9月には40minutesと江戸娘は全日本クラブバスケット選抜大会にも出場する。
 
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「みんなお疲れさま〜」
と言って私は40minutesと江戸娘のメンバーを迎えた。
 
千里が選手として出ているし、上島先生は初日で帰っているしで、私が両チームのオーナー代理のような感じである。両チームの旗を並べてそのそばに座っていたら事務局からも両方のチームの連絡事項が伝えられるし、幾つかの書類で私は40minutes, 江戸娘双方のチーム代表代理として署名をしたりもした。
 
表彰式の後、両チーム合同の祝勝会を、昨日ローキューツのメンバーを連れて行ったしゃぶしゃぶ屋さんでしたが、私の顔を見てお店のフロントの人が一瞬ピクッとしたようであった。
 
「どちらもメダルが取れて良かった良かった」
と私は言うが
 
「金色のが欲しかったなあ」
と江戸娘のメンバーたちは言っている。
 
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「まあ時の運で」
と疲れ切った表情の千里が言う。
 
「だけど千里のスタミナは凄まじい」
と40minutesのチームメイトの小杉来夢などは言っている。彼女は実業団やWリーグを渡り歩いているが、ローキューツにも一時的に在籍していた時期があるらしい。
 
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