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■夏の日の想い出・デイジーチェーン(7)

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「じゃ、しょうがないから紹介するか」
とリノンが言ってひとりひとりを紹介していく。
 
「リズムギターはマノン。私の大学の同級生で、丸の内のOLだ」
とリノンが言い、マノンがギターを弾き鳴らす。丸の内のOLという紹介に会場では「すごーい」という声が上がるが、マノンは自分のマイクで付け加える。
 
「まあ、実際には丸の内にあるお菓子屋さんに勤めてるんだけどね」
 
これに会場が沸く。
 
「ドラムスはキョウ、高校時代の友人で、東大の大学院生だ」
 
これにも会場はざわめくが、本人はタム回しを叩いた上で
「大学院卒の女子ってほんっと仕事が無いから。結局就職できずに来年も大学院生をするつもり」
と付け加える。会場からは同情するようなため息が漏れた。
 
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「フルートはタイモ、高校時代の友人で、別名醍醐春海。ゴールデンシックスの作曲担当。南藤由梨奈ちゃんが歌った『魔法のマーマレード』の作者だ」
 
と紹介すると会場がけっこう騒がしくなる。そして千里がフルートでビゼーのメヌエット冒頭を吹くと結構な拍手があった。私はこの観客の中には、苗場やKARIONのツアーなどで千里のパフォーマンスを見ている人がわりと居るのではと思った。
 
「では次の曲行こうか」
とリノンが言うと
 
「え〜〜〜!?」
と会場の声。後ろでは美空が自分を指さしている。
 
「あ、ごめーん。ひとり忘れてた」
とリノン。
 
「ゴールデンシックスなんだから6人でしょ?」
と美空。
 
「いや、あまりに光り輝いていたのでレベルの低い私には見えなかったのだよ」
とリノン。
 
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会場が沸くが、うまい言い方だと思った。美空を無視して、ひとつ間違えばKARIONファンの反発をくらう所である。
 
「私のような駆け出しのギター弾きには輝かしくて目に入らぬ、KARIONのアルト担当兼食事係、美空金剛Z様であらせられる」
とリノンが言うと、会場から物凄い拍手が送られた。美空も華麗にウォーキングベースを弾いて歓声に応える。
 
しかしカノンとリノンは、自分達の役目をよく分かっていると思って私は見ていた。前座の目的は観客を乗せて、本番のアーティストにつなぐことである。
 

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「これで全員かな?」
とリノンが言うと
 
「今日は特別なゲストボーカルがいるんだよ」
とカノンが言う。
 
会場内から「キャー!」という物凄い歓声がある。歓声を発しているのはみんな若い女子である。
 
「では今日のゲストボーカル、アクア!」
とカノンが紹介し、下手から王子様のような衣装を着けたアクアが登場すると会場は
「アクアちゃーん!!」
「可愛い!!!」
などの声で埋め尽くされる。
 
これを見るために早朝から頑張ってこの会場に入ってきた女の子たちである。
 
「おはようございます。アクアです。今日は一所懸命歌います」
とアクアが挨拶すると、更に凄い歓声。
 
カノンがドラムスのキョウを見て頷き、キョウがスティックを鳴らして音楽スタート!そしてアクアが歌い始める。
 
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4月から始まる『ときめき病院物語』の主題歌『白い情熱』である。
 
会場は8万人入るのだが、この時点で既に3万人ほど入っている。その大観衆を前に、アクアは堂々と歌っている。私は今ここに新しいスターが誕生しつつあるのをしっかりと感じていた。
 
しかし・・・・アクアってこれが初めての男装披露だ!!
 

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物凄いボリュームの手拍子が拍手に変わって曲が終了する。ゴールデンシックスの演奏は続く。2曲目はゴールデンシックスの曲『Golden Aqua Bridge』である。アクアという単語が入っているので選曲した。元々歌唱力のあるカノンのために書かれた曲であるが、アクアもけっこうな歌唱力を持っているので、頑張って歌う。彼は今日のステージのためにここ1ヶ月ほど、物凄い練習をしたようである。今は人気先行ではあるものの、その人気の辻褄を合わせるためによく努力する子のようである。
 
更にアクアは川崎ゆりこの『白い通学バス』を歌う。元々の歌詞は女性アイドルの歌なので「彼に私の純情を捧げたい」などとなっており、ここを男性のアクアが歌うことから「彼女に僕の気持ちを捧げたい」などと改変していた。
 
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更に女性アイドルグループFireFly20の『あの娘のバレッタ』を歌う。
 

「アクア、女の子の歌ばかり歌ってる」
と見ていた政子が指摘する。
 
「あの子、ソプラノだから女の子歌手の歌でないと歌えないのでは?」
と私が言うと
「なるほどー」
と答えてから政子は
「だったら女の子の服着ればいいのに」
などと楽しそうに言っている。
 
しかし後からネットを見てみたらこのアクアのステージにはこんな感想が多かった。
 
「アクアちゃん、やっぱり女の子の服が似合うね〜」
「何だかお姫様みたいな豪華な衣装だったよね〜」
「可愛い服の写真集とか出ないかなあ」
 
アクアは《王子様》風の衣装を着ていたのだが、装飾が多いので、特に遠目にはお姫様の衣装のようにも見えたようであった。
 
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アクアとゴールデンシックスのステージは、その後、ゴールデンシックスのインディーズ時代の曲『スカート』になる。足が太くて短いスカートを穿く勇気が無い女の子の悩みを歌った曲だが、
 
「アクアちゃんスカート似合うよ!」
などという声が掛かって、アクアが困ったような顔をしていた。
 
最後はアクアのデビューCD c/w曲『Nurses Run』を歌って終える。この曲でもゴールデンシックスの6人の軽やかで乗りの良い演奏にアクアの美しいソプラノボイスが乗るが、この曲で千里はアルトフルートを吹いて、ソプラノ故に軽くなりすぎるアクアの声の響きを補っていた。
 
演奏が終わる。
 
このステージが行われている間に観客は5万人くらいに増えている。その大観衆からの声援にアクアは笑顔で手を振り、ゴールデンシックスのメンバーと一緒に上手に退場した。
 
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代わって下手からはフラワー・フォーが登場する。この名前は会場のほとんどの人にとって初耳であった。しかしフラワー・フォーは男性のユニットと聞いたのに、出てきた人物は全員女性のようである。私は政子とふたりで首をひねっていた。
 
やがてその中の1人がマイクを持って挨拶した。
 
「おはようございます。Flower Fourです。私たちの演奏を聞いて下さい」
 
この挨拶に会場がざわめく。
 
それは挨拶の声は明らかに男の声だったからである。
 
マイナスワン音源がスタートするが、流れているのはWooden Fourの曲である。そして歌が始まるが、男声四重唱である!
 

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「ねぇ、ねぇ、これって」
と政子が楽しそうに私に訊く。
 
「マリちゃんの思い人さんたちじゃん」
「大林亮平は嫌いだよ。私にキスしようとしたんだから」
 
などと言っている。それ随分昔のことだけど。まだ根に持ってたんだ?
 
「取り敢えず、大林亮子ちゃんみたいだね。今日は」
「そのまま手術して女の子になるのなら許してやる」
 
などと政子は言っている。
 
しかしそんな文句を言っている割にはけっこう楽しそうに彼らの歌を聴いている。会場も彼らの正体が分かったので、手拍子と歓声になっている。
 
「亮子ちゃ〜〜ん!」
「マキちゃ〜ん!」
「准子ちゃ〜ん!」
「道子ちゃ〜ん!」
 
などという声も飛んでいる。
 
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こうして会場は彼らのパフォーマンスで盛り上がり、その興奮の中、朝7時から始まるアイドルたちのステージへとつながっていくのであった。
 

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場内はおにぎりやサンドイッチを売る人、暖かい飲み物を売る人、ゴミを回収する人など多数のスタッフ(実は過去に設営運用作業に参加したことがあることを条件に公募したボランティアであるが、タダでライブが聴けてお弁当は出るというので倍率が凄かった。交通費は自費)が回っている。それで演奏を聴きながら御飯を食べたり、水分を取ってくださいということにしていた。トイレに行くのに席を立つのも自由である(立ち上がったままでの鑑賞は禁止)。
 
私たちはまとめて用意してもらっていた朝ご飯の仕出しを食べてから少し仮眠室で休憩する。目が覚めるとお昼過ぎである。政子はまだ寝ていたが放置してトイレに行き顔を洗ってから控え室に行く。和泉たちが来ているので手を振って挨拶する。KARIONの衣装を着てメイクをする。
 
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これは記者会見でも使用した《四・十二・二十・四》の衣装である。
 
「でもフラワーフォーのステージ面白かったね」
と美空が言う。
 
「その話聞いて、しまった、朝から来るんだったと思ったよ」
と小風が言っている。
 
「彼らは女性ユニットだけど控室は男性控室を使っていたね」
と私はコメントしておく。
 
「まあ中の人がそうだからね」
などと話をしていた時、Rainbow Flute Bandsのフェイと目が合い、お互い会釈しあう。
 
「そういえばフェイちゃんは、こちら女性控室にいるんだね?」
と美空も気づいて声を掛ける。
 
「私とアリスとポールはまとめて別室用意しようかとも言われたんですが、部屋のやりくり大変みたいだからいいですということにしました」
とフェイは言っている。
 
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隣にアリスも居るし、他にジュン・モニカもいるが、ポールは居ないので男性控室の方にいるのだろう。マイク・キャロルも男声控室だろう。
 
「結局フェイちゃんって、やはり女の子なの?」
と美空が訊くが
 
「すみませーん。それ非公開ということで」
などと本人は言っている。
 
「温泉とかはどちらに入るの?」
「家族風呂以外には絶対入りません」
「うーん・・・。女湯には入れない身体?」
「そのあたりも秘密ということで」
 
「フェイの性別は私たちも知らないんですよ」
 
などと隣でアリスが言っている。彼女は《女装者》、隣のモニカは《性転換者》でふたりともアルトの担当である。変声期を経ているとさすがにその音域が限界だ。
 
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Rainbow Flute Bandsでソプラノを担当するのがジュンとフェイで、ジュンは天然女性のレスビアン。しかしフェイは結局性別不詳なのである。彼女は仲間にも裸体を見せていないらしい。また彼女の中学や高校の同級生に訊いても
 
「フェイ君は男の子だよ」
という人と
「フェイちゃんは女の子だよ」
という人がいて、結局よく分からない。彼女は学校にも女子制服で行ったり、男子制服で行ったりしていたらしい。トイレも女子制服の時は女子トイレ、男子制服の時は男子トイレを使っていた。更衣室は学校側の「高次の考慮」により個室をあてがわれていたらしい。
 

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13:50にKARIONとTravelling Bellsは下手袖でスタンバイする。Rainbow Flute Bandsの演奏が終わる。大きな歓声・拍手の中、上手に退場する。Travelling Bells が出て行き、新たな歓声。コードをつなぎ音の出方を確認する。
 
強烈なリズムとともにRC大賞の金賞受賞曲『アメノウズメ』を演奏する。ひじょうに多数の楽器が必要な曲なので、夢美・美野里・穂津美と3人のキーボード奏者に入ってもらい演奏している。夢美はこの曲以外ではヴァイオリンを弾いてくれる。更に箏奏者2人・鼓奏者・琵琶奏者にまで入ってもらったし、この会場に来ているついでにと千里に篠笛を吹いてもらった(千里はこの曲以外ではフルートを吹いてもらう)。
 
ひじょうにダイナミックな曲で、CD音源より遙かに迫力があるので会場ではかなり受けたような感じであった。物凄い拍手が来た。
 
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その後「元々は津軽海峡のフェリーの上で書いた曲」と紹介した上で人気曲『海を渡りて君の元へ』を演奏、南藤由梨奈のカバーで広く知られた『魔法のマーマレード』、KARIONが初めてミリオンを達成した『雪うさぎたち』と演奏していく。こういう楽曲のクオリティの高さがKARIONの持ち味だ。
 
更にステージでは最新アルバムから『もう寝ろよ赤ちゃん』『皿飛ぶ夕暮れ時』を演奏した上で、過去の人気曲から『白猫のマンボ』『Shipはすぐ来る』『星の海』と歌う。
 
最後に新譜から『Around the Wards in 60 minutes』を演奏した後で最後は『黄金の琵琶』で締めた。この曲では『アメノウズメ』にも入ってもらった琵琶奏者さんに再度参加したもらったが、ひじょうに格好良い曲なのでこれもかなり会場は受けていたようである。
 
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