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■夏の日の想い出・勧誘の日々(6)

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その日はお寿司屋さんの後、結局電車の駅まで歩き町に出た。商店街を歩いた後、大きなスーパーに入り、のんびりと洋服屋さんなどのぞきながら(買物はしない)おしゃべりする。結局若葉のヴァイオリンは私がずっと持っている。
 
このスーパーのいちばん上のフロアは飲食店が集まっているが、中央に椅子に座って休めるスペースがあり、100インチくらいの巨大なテレビが置かれている。映像の感じがどうもプラズマではなくリアプロのようである。
 
私たちが行った時はワイルズ・オブ・ラブのライブ映像が流れていた。
 
「この人たち歌いながらしゃべってるよね」
などと奈緒が言い出す。
 
「まあ、こういうのをラップと言うんだけどね」
「私はあまり好きじゃ無いけど、結構根強いファンがいるよね。でも私にはさっきの曲と今の曲と、同じに聴こえる」と由維。
 
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「由維って、わりと曲を聴くタイプだから、特にこの傾向のは同じに聞こえやすいかもね」
 
「そうそう。人には、歌を聴く時に、主に歌詞を聞いてるタイプと曲を聴いてるタイプがいるんだよ。いわゆるニューミュージックのファンや演歌のファンには前者が圧倒的に多い」
 
「でもラップでなくても、全ての歌が同じに聞こえる歌手とか作曲家っているよね」
「まあそれはそれで需要があるんだろうけどね」
「水戸黄門的大いなるワンパターンって奴だな」
「あのヴィヴァルディだって同じ曲を300曲作ったとか言われるからね」
 
「でも当時はそういうものだったんだよ。ハイドンとかもだけど、貴族とかから『今宵の晩餐会のために何か新しい音楽を』とか、朝や昼に言われて、時間が無いから以前使った曲をちょっと手直しして演奏するなんてことをしている内に、たくさん曲が出来ちゃったという世界だから」
 
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「現代のフォークとかも実は似たノリという気がするね」
 
「冬も音を聴いてるタイプだよね?」と有咲が言う。
 
「そうだね。小さい頃から、流行ってる曲があったらそれをすぐピアノで弾いてみてたから、聞いた時に面白そうに聞こえた曲でもメロディーがつまらない曲はあれ?と思ってたんだよね。そういう曲には結果的にあまり興味が持続しなかった。だからボクはやはりワイルズ・オブ・ラブより、ワンティスやドリームボーイズだよ」
 
「明後日の関東ドームのドリームボーイズ・ライブにも出るの?」
と有咲から訊かれる。
 
「出るよ」
「何に出るの?」と由維。
 
「冬は、ドリームボーイズのバックダンサーなんだよ」
と若葉が説明する。
 
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「凄い、知らなかった!」
 

そんなことを言っている内に、ワイルズ・オブ・ラブのライブ映像が終わってドリームボーイズのライブ映像が流れる。
 
「おお、冬が映ってる」
「えー、ホントだ。全然知らなかった」
 
などと言ってみんなで映像を見ていた時、高校生くらいの男の子がふたり寄ってくる。
 
「済みません。もしかして、ドリームボーイズのダンスチームの柊洋子さんですか?」
「はい」
「わぁ! 良かったらサインもらえませんか?」
「いいですよ」
 
というので、相手の名前を訊き、渡された色紙2枚に日付と宛名を書いた上で、柊洋子のサインを書いて渡した。男の子たちが去ってから奈緒が言う。
 
「すごーい!サインなんてあるんだ」
「念のためといって練習させられた。転売目的や営業目的とは考えられない状況なら、日付と宛名を確実に書く条件でサインは自由に書いていいと言われている」
「へー」
「でもダンサーのサインを求めるというのは若干マニアックだな」
 
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実際には柊洋子名義のサインは、秋風コスモスや樟南など、ミュージシャン関係に渡したもの、源優子(KARIONの和泉)との交換サイン、などの他は多分30枚も書いていない。
 

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「でもさぁ、こうやってビキニ姿になってる冬を見ると、女の子の身体にしか見えないなあ」
と奈緒。
 
「やはり冬が男の子の身体だってのは嘘だって気がしてきた」
「うん。さっきの診断シート自体が捏造なのでは?」
「ああ、それありそう!」
「冬にやはり、おちんちんなんて付いてる訳がないよ」
「えーっと・・・」
 
「なんか裸にして確認したい気分だよね」
と由維。
 
「よし、裸にしてみよう」
「ちょっとちょっと」
「どこで裸にするのよ?」
「そりゃお風呂でしょ」
「やはり」
 

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若葉がヴァイオリンを置いて来るというのでいったん別れ、15時に再度集まることにした。
 
で別れるとは言っても、私と奈緒と有咲は結局一緒に行動している。由維は本屋さんで立ち読みしてくる、などと言っていた。
 
商店街のイベントスペースで何か音楽が流れている・・・・・と思ったら生歌だった。
 
「あ、原野妃登美じゃん」と有咲。
「こんな商店街によく、このクラスを呼んできたね」と私。
「誰? これ?」
「去年の夏か秋くらいにデビューした子だよ。一応最初のCDは2万枚売れたから、まあ今の時代ではヒットした部類。今年の春のCDも同じくらい売れてる」
と私は説明する。
 
「へー」
「凄いね。伴奏が3人もいるし、ダンスチームまで連れてる」
「お金掛けてるね」
「将来有望と思われてるんだろうね」
 
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「このクラスの歌手の場合、伴奏者無しで録音された音源を使うか、伴奏が居てもキーボード1人だけということが多い。ダンスとかバックコーラスを動員するのは珍しい」
 
私はそのダンスチームの中のひとりの子に見覚えがあった。去年の12月に吹奏楽の演奏会の時に、私たちのひとつ前の中学でフルートを吹いていて、フルートを振って飛ばした子だった。
 
へー。あの子、こういう活動もしているのかと思ってみていた。フルートの演奏では他の子から微妙に遅れて吹いていたが、今日のダンスを見ていると、しっかり他の子と同じタイミングで踊っている。
 
やはりあの時はフルート自体が調子が悪くて、おかしな動きになったのだろうか、などと思いながら見ていた。
 
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そして見ながら思った。この子、踊り方自体はそううまくもない。でもダンスチームの中でいちばんに輝いている。とにかく目立つ子だ。とても強いオーラを持っている。
 

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トイレに行きたくなったので、近くの大型店に入り、2階に上ってトイレを借り、戻って来たら、ちょうどイベントが終わった所のようであった。タクシーに乗り込もうとしている原野妃登美と目が合ったので、会釈したら向こうも手を振ってきた。
 
奈緒たちの方に戻ろうとして歩いていたら、私も知っている○○社の社員、大宮さんが何か今踊ったダンスチームの子たちと話している。私は大宮さんと目が合わないように気をつけながら歩いた。
 
「え?じゃ君、事務所から言われて集まった子じゃないの?」
「たまたま通りかかったところを早く早くと言われて、連れてこられて、この衣装着てと言われて」
と答えているのは、例のフルートを飛ばした子である。
 
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「**君、人数は確認してなかったんだっけ?」
とダンスチームのリーダーっぽい子に訊いている。
「ダンスの人数は日によって変わりますし、全然知らない子が入ることは日常茶飯事なので」
 
どうも近くにいたのでダンスの人と思われて徴用されてしまっただけのようである。
 
「ごめんねー。でも君けっこう可愛いね。ダンスの動きも悪くなかったし、うちに登録だけでもしておかない?」
 
普通ならあの程度の踊りをする子を勧誘しない。でも大宮さんが勧誘したのは多分、この子にスター性を見たからだろうと私は思った。
 
「部活やってるので無理ですー」
「了解。でもどうせだから、今日はこの後3ヶ所あるのに付き合わない?夕方5時には終わるし。ギャラは現金で払うから」
「そのくらいは良いですよ」
 
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それでリーダーの人と握手していた。私は微笑ましい気持ちで奈緒たちの所に戻った。
 

15時にスーパー銭湯の最寄りバス停前に集合したのだが、由維は塾に行くのを忘れてたということで、欠席の連絡があった。若葉がバスで到着したので4人でおしゃべりしながら、その銭湯の前まで行ったら・・・
 
「臨時休業!?」
「どうしたんだろ?」
「脱衣場が爆発したとか?」
「なぜ脱衣場が!?」
 
「まあ休みなら仕方無い」
と私は少しホッとしながら言う。
 
「うーん。悔しいなあ。私、去年9月の長島スパーランドにも行けなかったし」
と奈緒。
「長島スパーランドで何かあったの?」
「冬の水着姿と裸体の鑑賞会したんだけどね」
「へー!」
「あはは」
 
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「それは私も知らなかった」と若葉。
 

そんなことを言いながら道路の方まで戻ってきた時、目の前に一台のエスティマが停まった。
 
「冬ちゃーん」
と声を掛けてきたのは名古屋に住む風帆伯母だ。
 
「こんにちは! こちらお仕事ですか?」
「そうそう。知見と一緒に演奏会したの。春ちゃん(私の母)の所にも寄ろうかと思ったんだけど、今日は仕事だからということで」
「ええ。7月から9月まではパート先が忙しいみたいです」
 
「それで友見の娘たちを連れて今から温泉に行く所」
「わぁ」
 
助手席で埼玉に住んでいる従姉の知見の娘、三千花(小4:後の槇原愛)が手を振っている。セカンドシートにはその妹の小都花(小2:後の篠崎マイ)と七美花(幼稚園の年長)が乗っている。
 
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「あれ?知見さんは?」
「演奏会の後で飲みたそうにしてる人たちの世話を押しつけてきた。私は子供たち連れてのんびり休もうという魂胆」と風帆。
「あらあら」
 
「おばさん、こんにちは。あのぉ、温泉に行くんですか?」
と奈緒が訊いた。
 
「あら、あなた去年八尾で会ったわね?奈緒ちゃんだったっけ?」
「はい、そうです。ご無沙汰しております」
 
伯母もよく覚えていたなと私は思った。
 
「これからF温泉まで行くんだけどね」
「泊まりですか?」
「泊まるのも楽しいけど、子供連れだし、私自身も明日名古屋でお仕事があるから、お風呂入って晩御飯食べたら、子供たちを浦和まで送ってから夜中高速をのんびりと走って帰還予定」
 
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「日帰りだったら、もしよかったら私たちも連れて行ってもらえませんか?ちょっと大きな子供ですけど、お酒は飲みませんし」
「まあ、あんたたちはお酒飲むのはちょっと早いね」
 
「私たち一緒にスーパー銭湯に行こうとしたらお休みだったんですよ。帰りは浦和駅放置でいいですし、ガソリン代と温泉代・食事代は冬子に出させますから」
 
「ちょっと、そんなの勝手に言わないでよ」
と私は笑って言う。
 
「いいでしょ?」と奈緒。
「いいけど」と私。
 
「あんたたち4人だね。この車、ちょうどあと4人乗れるし、いいよ」
「ありがとうございます!」
 

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ということで、私たちは風帆伯母の車に乗り込んだ。先にサードシートに奈緒・有咲・若葉を乗せ、私がセカンドシートに乗り込んで車はスタートする。
 
「冬彦おじちゃん、何だか女の子みたいな雰囲気」
と隣に乗っている小学2年の小都花に言われる。
 
すると後ろに乗っている奈緒が
「冬彦おじちゃんは、性転換して女の子になったんだよ。だから冬子おばちゃんなの」
などと言った。
 
「へー! じゃ、お風呂も私たちと一緒に女湯に入るの?」
と小都花。
「もちろん、そうだよ」
と奈緒。
 
「えー!? 冬彦おじちゃん、そういうことになってるんですか?」
と助手席の三千花(小4)。
「この子、おっぱいは結構あるよ」
と運転している風帆。
 
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「へー! おちんちんは?」
と三千花が訊く。
 
「既に取っているのでは?と私たちは疑っているんですけどねー」
と奈緒。
「取ってないって。だからさっき診断書見せたじゃん」
「あんなのワープロで簡単に捏造できるよね」
「同意同意」
 
「あ、分かった。あの長さと外周ってヴァギナの長さと外周なんだよ」
「ああ、容量は卵巣のサイズだったりして」
「なるほどー」
 
「え?卵巣もあるんですか!?」
「冬子は生理があるっぽいから、卵巣はあると思います」
「へー!」
 

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