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■夏の日の想い出・4年生の夏(7)

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せっかく明洞に来たので買い物とかもしようかとも思っていたのだが、白浜さんとの話が弾んでしまったので、結局焼肉屋さんから地下鉄の駅にそのまま舞い戻り、金浦空港へ行った。
 
「なんか慌ただしいね」
「うん。でも元々御飯食べに来ただけだから」
 
「でも、この業界、このノリの人、けっこう居るよね?」
「ああ。Eliseもいつだったか、突然長崎ちゃんぽんが食べたくなってLondaさん誘って長崎中華街までピンポイント往復してきたなんて言ってたね」
 
「あ、いいな。長崎ちゃんぽん」
「さすがに来月くらいにして。体力がもたないよ」
「そっかー。何か知らないけど、冬、全然休養してないみたいだし」
「うん。卒論は9月になってからが勝負」
「そんなこと言ってて大丈夫?」
 
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「和泉たちは誰かひとりでも万一卒業できなかったら、全員卒業できるまでKARION活動停止と言われたと言ってた」
「それは、いづみちゃんがいちばん危険だな」
「まあ、そうだろうね」
 
「冬はどうするのさ?」
「町添さんから、もし3月で卒業できなかったら、ローズクォーツから脱退してもらうからね、と言われた。要するに仕事の負荷を減らせということ」
 
「今のままだと、その事態、けっこうあり得る気がする」
「あはは」
 

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金浦を16:15発のANA-1164便 で羽田に戻る。帰りもB777-200ER機であった。政子は機内でなにやら詩を書いていた。
 
「ソウル・メイトね・・・・」
私は詩のタイトルを見て苦笑した。
 
「詩の内容は魂の恋人だけど、実はソウルでお友だちにあったから、これ書いたのね」
「まあ、詩なんてそんなものよ」
 
政子はプルコギが本当に美味しかったようで、その日帰りの飛行機の中で詩を4篇も書いた。『Amor Armor』なんてのもあった。プルコギの鍋の形から発想したなと思った(Armor:兜)。
 

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ローズ+リリーのホールツアーは、この韓国に行った翌日8月1日に静岡、その翌日2日が富山と続き、1日置いて4日に最終日・沖縄での公演を迎えた。
 
沖縄公演なので例によって麻美さんを招待した。麻美さんはかなり体調が良いようで、今回は普通の服を着て、車椅子も使わずに参加。一応念のため、お母さん、友人の陽奈さん、そして女性看護師さんが付き添っていたし、念のため民間の救急車を待機させておいた。
 
幕が開く。
 
大きな拍手が来る。三線(さんしん)を持ち、紅型の打ち掛けを着た女性が5人並んでいる。その前に私と政子がヴァイオリンを抱えて立っている。私たちの服は紅型のかりゆしウェアっぽいステージ衣装である。
 
三線の刻む音に載せて、私と政子のヴァイオリンが『花〜すべての人の心に花を〜』
を二重奏した。マリがメロディーを弾き、私はそれにハーモニーを付ける。
 
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間奏部分では私はヴァイオリンをいったん置き、フルートに持ち替えてアドリブっぽい演奏をする。その間、マリのヴァイオリンはハーモニーを弾く。
 
間奏が終わると今度はマリがヴァイオリンを離し、歌い出す。私のヴァイオリンがそれにハーモニーを付ける。
 
マリから「ヴァイオリンもフルートも弾いてね」と言われたので、こういうのをやってみた。
 

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オープニングに続いて演奏したのは『花園の君』である。他の会場では、松村さん・鷹野さん・七星さん・香月さん・宮本さん、でヴァイオリン五重奏(パート1と2は旧譜)をしたのだが、この公演だけは、偶然にも同じ日にアスカが那覇市内でリサイタルを開くことになっており、この曲だけ出てくれたのである。
 
それでアスカ・松村・鷹野・香月・宮本・七星というラインナップでCDと同じ譜面による六重奏をした。(七星さんがパート6に回ったのは、ヴァイオリンが必ずしも得意ではない香月・宮本にいつもと同じ譜面を弾かせるため)
 
間奏部分にあるアスカによる超絶技巧のソロには会場から思わずざわめきが起きて、物凄い拍手があった。
 
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歌い終わってから私は紹介する。
 
「第1ヴァイオリン、蘭若アスカ!」
 
拍手が落ち着いてから私は付け加える。
 
「蘭若さんは実は私の従姉ですが、今まで国内外のヴァイオリン・コンクールで何度も優勝しています。実は私のヴァイオリンとピアノの先生でもあります。今回のツアーの他の会場には出ていないのですが、今日だけうまくスケジュールが合ったので、友情出演してくださいました」
 
と言って簡単にアスカを紹介する。あらためて拍手がある。
 
「なお、蘭若さんは、本日夕方から那覇市**ホールでリサイタルの予定があります。このローズ+リリーのコンサートが終わってからそちらに移動しても間に合うと思います。チケットはまだ少し余っておりますので、よろしかったら、どうぞ」
 
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今回はアスカの出演料を友情出演ということで無料にする代わりにこの紹介をし、リサイタルのポスターもこちらのホールに貼っておくということで、UTP・★★レコード側と、アスカ側とで話が付いていた。実際、この時点で余っていたチケット約300枚が、このライブから移動した人たちで売り切れ、(念のため用意していた)立見席まで発行することになった。
 

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アスカが拍手に送られて退場した後、例によって前半はスターキッズのアコスティックバージョンを使い、私たちもマイクを使わずに肉声で歌う。
 
『100時間』『あなたがいない部屋』『桜のときめき』『君待つ朝』『遙かな夢』
『天使に逢えたら』『ネオン〜駆け巡る恋』『私にもいつか』『あの夏の日』
『A Young Maiden』
 
このあたりは各公演とも、ほぼ同じ順序である。『あの夏の日』と『A Young Maiden』
はスターキッズも退場して、私のピアノのみの伴奏で歌った。
 
そしてゲストコーナーとなって、坂井真紅が登場する。
 
「坂井真紅(まこ)ちゃんでーす」
と私が紹介し、歓声に迎えられて真紅が舞台袖から出てくる。
 
「真紅ちゃんの名前は《真紅》と書いて《まこ》と読むんですが、デビューして4年ほどたつのに、いまだに《しんく》と読み間違えられるそうです」
「慣れてますから『しんくちゃん』と呼ばれても笑顔で『はい』とお返事します」
 
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「結構テレビとかでも読み間違えられていますね」
「はい。昨年RC大賞の金賞を頂いた時もしっかり『さかいしんく』さんと呼ばれました」
 
「アナウンサーさん、7〜8回くらい『しんく』と呼んでましたね」
「ええ。でもいつものことですから。でも**さん、後で指摘されて始末書を書いたらしいです。私の事務所から上司の方に電話して、いつものことなので処分とかはしないでください、とお願いしました」
 
「まあ昔歌手の名前を呼び間違って飛ばされたアナウンサーもいましたからね〜」
 
「それでは真紅ちゃんに歌ってもらいますが、今日はマイナスワン音源ではなく、素敵な伴奏者がいます。木ノ下大吉先生です!」
 
と紹介すると会場から「えー!?」という声があがる。
 
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木ノ下大吉先生は25年ほど前から流行作曲家として華々しく活動していたが、7-8年前から調子を落として何度もスランプに陥り、提供する曲にもしばしば酷いものが混ざるようになってきた。そして3年前突然の失踪事件を起こし、そのまま引退してしまった。
 
その後東京を離れ、一時生まれ故郷の熊本で暮らしていたものの、実は1年前から沖縄に住んでいたのである。今回、木ノ下先生と長い付き合いである★★レコードの松前社長が声を掛けて、木ノ下先生の曲でデビューした歌手である坂井真紅の伴奏を請け負ってくれたのであった。木ノ下先生が公の場に出てきたのは実に3年ぶりであった。
 
木ノ下先生が出てきて私とマリと握手し、私たちは下がる。
 
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せっかく木ノ下先生が出てきたので、坂井真紅のデビュー曲で木ノ下作曲『雨の日の出会い』を歌った。その後、彼女の最大のヒット曲・桜島法子作曲『純情』を歌い、最新曲でやはり桜島作品の『赤い焦熱』を演奏して、それで演奏も終わりということで木ノ下先生もピアノから立ち上がり、お辞儀をして下がろうとしたのだが・・・・
 
そこに着替えと束の間の休憩を終えた私と政子がヴァイオリンを持って出て行き、いきなり木ノ下大吉作曲で松原珠妃が歌って10年前にRC大賞を受賞した作品『黒潮』を演奏し始める。そして坂井真紅もその歌を歌い始める。
 
木ノ下先生はびっくりしていたが、やがて微笑み、ピアノの所に戻って、この曲の伴奏を始めた。観客席から暖かい拍手が送られる。
 
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真紅はこのコーラスをしっかり2コーラス目まで歌って演奏を終えた。
 
「坂井真紅ちゃん、そして木ノ下大吉先生でした!」
と私は再度紹介して、幕間のゲストタイムを終えた。
 

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スターキッズが電気楽器を持って入ってくる。近藤さんのエレキギター、鷹野さんのエレキベース、七星さんのウィンドシンセ。月丘さんもピアノではなく電子キーボードの前にスタンバイする。
 
そしてそれに続けてプロレスラーが付けるような覆面をした女性2人が入ってきて、後ろの方のマイクの所にスタンバイするので、観客席からざわめきが起きる。
 
「今日のこの沖縄公演はなんだかスペシャルゲストが多いんです。沖縄には実は覆面の二人組歌手の伝説がありまして、2009年11月12日のXANFUS沖縄公演にも、覆面をした二人組の歌手がゲストとして出演したらしいんですよね」
 
と私が言うと、観客席のあちこちで笑いが生じるが、何なんだろう?という顔をしている人の方がずっと多い。その件は新聞やTVなどでは報道されなかったので、知る人ぞ知る出来事である。
 
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「今日の私たちのライブ後半でコーラスを入れてくれるのは、《覆面の魔女》という二人組です。拍手〜」
 
と私が言うので、観客は半ば戸惑いながらも拍手を送ってくれた。
 
後半はスターキッズのエレクトリック・バージョンで演奏する。PAを入れて、私たちもマイクを持って歌う。
 
『Spell on You』『ファレノプシス・ドリーム』『間欠泉』『影たちの夜』
『キュピパラ・ペポリカ』『夜間飛行』『恋座流星群』『ヘイ・ガールズ!』
『疾走』『ピンザンティン』
 
と歌っていった。《覆面の魔女》はこれらの曲にしっかりしたコーラスとダンスを入れてくれて、間奏部分で結構アクロバティックな踊りなども見せたので、会場は盛り上がった。
 
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《覆面の魔女》の正体については、一部途中で気付いた人も出たようで、「穂花ちゃーん」「優香ちゃーん」などという声も飛び、ふたりもその声援に応えて手を振ったりしていたが、結局大半の観客は正体が分からないまま終わったようであった。
 
『疾走』を歌い終えた所で、私はふたりをあらためて紹介した上で
「実は《覆面の魔女》のおふたりは今月から来年3月まで、私とマリがローズ・クォーツをお休みする間、通常のライブ活動で私たちの代役を務めてくださることになっています」
 
と言うと、会場から「へー!」という声があがる。
 
「ただし来週のサマー・ロック・フェスティバルはこのふたりではなく鈴鹿美里が代役ですね」
 
政子が手を挙げて質問する。
「あのぉ、おふたりはその覆面を付けたままお仕事なさるんでしょうか?」
「はい、そういう契約になってます」
「暑そう〜!」
 
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穂花が
「シッカロールを携帯して頑張ります」
と発言し、会場の笑いを取っていた。
 
更に私が
「今発言した緑のマスクの子は、マリとタメを張れるほどの食欲の持ち主です」
と言うと
 
「おぉぉ!」
という半ば驚きの声があがっていた。
 

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そして公演は最後の曲『ピンザンティン』となる。悠子が私と政子、穂花と優香にお玉を渡す。私たちはお玉を振り振り歌ったが、穂花と優香はお玉で剣舞の真似のようなことをしていた。
 
そして拍手とともに私たちはお辞儀をして幕が降りた。
 
すぐにアンコールの拍手になる。
 
幕が上がり、私たちは出て行ってアンコールの御礼を言った。
 
月丘さん、松村さん、鷹野さんの3人が出てくる。私はグランドピアノの前に座り、政子は私の左に立つ。
 
『夜宴』を演奏する。月丘さんがグロッケンを打ち、松村さんと鷹野さんがヴァイオリンを弾く。CDと同じアレンジである。
 
3200人満員のホールに美しいグロッケンの金属音が響きわたる。元々は政子が唐突にグロッケン弾きたいと言ったのでフィーチャーしたものだが、この音を入れたのは正解だという気がする。
 
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歌い終わってお辞儀をしていったん全員退場する。
 
そして再びアンコールの拍手。
 
今度は私と政子だけで出て行く。
 
「アンコール本当にありがとうございます。それではこれが本当に最後の曲です。真夏の沖縄にとっても似合う曲。『雪の恋人たち』」
 
と言うと爆笑が起きた。
 
私はまたピアノの前に座り、政子もまた左側に立つ。
 
私は5年半前、東北のスキー場に行った時のことを思い出しながらこの歌を歌った。思えばあの時、丸花さんに会ったし、エルシーに会ったし、色々な物事の起点になっている気もする。でも・・・あの時、私が女湯に入ったことは多分まだ政子にはバレてない・・・よな? と思ってちょっと微笑みが出た。政子は「ん?」という顔をしている。
 
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■夏の日の想い出・4年生の夏(7)

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