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■夏の日の想い出・花の繋がり(8)

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「5周年だから特別だよね。でも12曲とか書ける?」
「品質落としたらいけないからね。実は美恩と私で過去に作っていた曲の中で比較的出来の良いのを手を加えて使うことも考えている」と光帆。
 
「ああ、それは良いね。作詞はたくさん書けても、作曲は品質を保って書けるペースに限界がある」
「冬、限度を超えてない?」
「超えてないけど、ギリギリの線だと思う。kazu-manaと槇原愛がしばらく休養に入るので、ちょっと助かった」
 
「正直さ、上島先生もペースを落とせば品質もう少し上がると思うよ」
と音羽は言う。
「まあ、あのペースは無茶すぎるよね」
「上島先生って断るのが下手なんじゃない?」
「優しすぎる面あるからね」
「1000曲書いてたら、結構似た曲もあるよね?」
「それは仕方無いだろうね。下川先生とこで違う編曲者が担当したり、編曲の雰囲気を変えて対応してるみたいだけど」
 
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「ローズ+リリーのアルバムの楽曲はかなり以前から準備してたんでしょ?」
「『君待つ朝』『花園の君』『あなたがいない部屋』みたいに随分昔作ったまま発表の機会のなかった名曲を使ったしね。使う楽曲は去年の春から選考・制作を始めて最終的に固まったのは今年の3月くらい」
 
「それに1年掛けたのか」
「確かに楽曲の用意がいちばん時間が掛かるのかも知れん」
 
「KARIONの場合はソングライトペアが2組だから各々3曲ずつ新たに書いて、何とかあの品質にしたんだよね。和泉は着想を得るために一週間休みを取って旅行とかにも行って来てる。アメノウズメは旅先で得られた歌だよ」
 
「あれ、詩も物凄いけど、曲が物凄い。水沢歌月って凄いね。あの曲を麻梨奈に聴かせたら燃えるだろうな」
 
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「和泉に言ってごらんよ。神崎さん・浜名さんたちには聴かせるのOKだと思うよ」
「そうだね。ちょっとメールしてみよう」
 
と言って音羽は和泉にメールしていた。CDに焼いて事務所の人に持たせるという返事があったようである。
「わあ、ここに持って来てくれるって」と光帆。
「凄い。じゃ、私たちももう1度聴ける」と政子。
 

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「でもそうすると、今回は美来の楽曲、初お披露目というのもいいんじゃない?」
「いや、麻梨奈の才能を普段から見てるから、恥ずかしくて出せんと思ってたんだけど、場合によっては麻梨奈が添削あるいは補作してもいいと言ってくれたから」
 
「ああ、それはいいね」
 

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「ところでさ、ここだけの話」
と光帆は言った。
 
「ん?」
「私昨夜ずっと考えてたんだよ。水沢歌月の正体」
「うん」
 
「まさか有り得ないとは思うんだけど、冬が水沢歌月ってことないよね?」
「私だよ」
 
「えーーーー!?」
 
「だから『歌う花たち』は6人のKARIONで歌ったものなんだよ」
「ちょっと待て。ということは6人目のKARIONって?」
「はい、私でーす」と政子。
「ついでに和泉は3人目のローズ+リリーね」
「むむむ!」
 
「でも何故有り得ないと思った?」
「だって、ケイの曲と水沢歌月の曲は、そもそも作りが全然違う。とても同じ人が書いてるとは思えない」
「それは、水沢歌月は森之和泉の詩の世界観、ケイはマリの詩の世界観で書いてるからだよ。別の世界で書くから、まったく違う傾向の曲になる」
 
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「でもジョイントで作った、森之和泉作詞・ケイ作曲の『共鳴』は確かにケイの世界観だと思ったけど」と音羽。
 
「あれはね。和泉の詩を『これ多分マリならこう書く』という感じで翻訳した詩を私自身で一度書いてみたんだよ。そしてそれに曲を付けた後で、音符を調整して元の歌詞に合うようにした」
と私は説明する。
 
「なるほど!」
「長年政子と一緒にやってる冬だからできることだ」
 
「でも私はあの曲でケイと水沢歌月が同じ人だと気付いた」と政子。
「うーん。それに気付けるのは政子だけだと思う」と音羽。
「えへへ」
 
「それからKARIONの曲を昨夜もあらためて何曲か聴いてみたけど、4人目のボーカルはケイの声には聞こえない」と光帆。
 
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「それ偶然なんだけどさ。KARIONで使った声をローズ+リリーでは一度も使ったことなかったんだよ。そのことには自分でも高3の頃に気付いた」
「冬は七色の声を持ってるから」
と政子も言う。
 
「それから、仕事量の問題もある。水沢歌月は年間15曲くらい書いてる。これクォリティがかなり高い上に編曲までしてるから負荷は高い。ケイと鈴蘭杏梨の名義で合計年間120曲くらい書いてて、その上で更にあの品質の曲を書けるというのが信じられない」
 
「そうだね。編曲までするのはローズ+リリーの曲とKARIONの曲だけだからそれは30曲ちょっと。他のはメロディーライトのみだから、編曲までするのに比べたら5分の1か10分の1程度の負荷。だから、編曲までした曲数に換算すると、実際は年間せいぜい50曲程度なんだよ。一応ギリギリの負荷かな」
 
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「でもそこにローズクォーツの作曲・編曲まで入れば容量オーバーするよね?」
 
「する。だから、ローズクォーツの編曲は今後全部下川工房に投げることにした。主要曲はイリヤさんに書いてもらって、他の曲はフュージョン系の得意な人何人かで分担して書いてもらう」
 
「ああ、その方がローズ+リリーの路線との混乱も減るだろうね」
 

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「でも何故気付いたの?」
「昨日の小風と冬のやりとりから」
「ふーん」
 
「昨日、和泉が冬のサウンド技術者としてのスキルの話してて、それから水沢歌月もケイと似た経歴を持ってると言ったでしょ?」
「うん」
 
「その時、小風が『資格も持ってたよね?』と訊いた。私は資格を持ってるというのは水沢歌月のことかと思ったのに、それに冬が『3級だけどね』と答えた」
 
「ああ」
「私、一瞬、なぜ冬が水沢歌月の資格のことを答えたんだろうと思って、次の瞬間、あ、違う、水沢歌月の直前にケイのことも話してたから、それに答えたのかと思ったんだけど、よくよく考えると、ケイ=水沢歌月だとしたら、あの会話はものすごく自然だということに気付いた」
 
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「うん。私も小風もケイと水沢歌月が同じ人だという意識があるから、そのあたりは心理的に混乱したね。でもよく気付いたね」
 

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「やはり冬、仕事減らさないと死ぬよ、これ親友としての忠告」
と光帆はほんとうに心配するように言う。
 
「やはり取り敢えずローズクォーツからは離れるべきだと思うな」
と音羽も言う。
 
「そうだなあ・・・」
 
「冬が死んだら、あるいは死ななくても創作の泉が枯れちゃったら、その方がみんなに迷惑掛けるよ」
 
「うん。それは町添さんからも言われてる。ローズクォーツを7月からテレビ番組に出して、私抜きでも取り敢えず彼らが食うに困らないようにしたのは私の仕事量を減らすのが最大の目的だったみたいだしね」
 

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「でもさ、冬はKARIONに入るの断ったって言ってたでしょ。それが何故やはりKARIONのひとりとして活動してる訳?」
 
「それは偶然と突発事態の重なり合いなんだよ」
と言って私はその時の事情を説明する。
 
「2007年の11月にKARION結成の話があって、私も勧誘されたんだけど、これはいったん断ったんだよ。男とバレたら大変だからって。でも畠山さんはそれなら最初から実は男の子ですと断っていれば問題ないと言ったんだけど、それだとKARIONが色物と思われてしまう。実力のあるユニットだけに、純粋に女の子のグループであった方がイメージ戦略的に良いと私は主張して、それで畠山さんも折れてくれた」
 
「ふんふん」
 
「ところがそのKARIONが、私が断ったもので和泉・美空・小風の3人だけでCDを制作することになって、その制作にやってきたのが偶然にも私がバイトしてるスタジオだったんだよね」
 
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「なるほど」
「しかも初日手配ミスで伴奏をすべきスタジオミュージシャンが来てなかった」
「あらら」
「それで私が、ギター・ベース・ドラムス・キーボードと弾いて仮の伴奏音源を作ってあげたんだよ」
 
「そのあたりが冬の器用さだね」と政子。
 
「それで翌日やっと伴奏者が来たと思ったら、キーボード奏者がいない。調べてみると、そもそも手配されてなかったことが分かった」
「なんか酷いな」
 
「それで私が前日弾いた仮伴奏の中でキーボードだけはプロ級だったね、と言われて、結局なしくずし的に私は音源制作のキーボード担当になってしまった」
 
「冬はその手の話が多すぎる」
 

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「まあそれで、キーボード担当、更にはコーラスも頼むとか言われてKARIONの音源制作やっている間にも、畠山さんが本当に熱心に私を口説くんだよね」
 
「そりゃ口説くでしょ。冬ほどの素材を逃したくない」
「で、私もいったんKARION参加に傾いたんだよ。それでこれを作った」
 
と言って、私は自分の手帳に綴じ込んでいる《KARION四分割サイン》を見せた。
 
「おぉ!!!」
「これぞ水沢歌月の証だ!」
 
「でもKARIONとしてデビューするなら当然私の保護者の同意を得る必要がある。そのためには、そもそも私が女の子としての生活を持っていることを父親にカムアウトする必要がある。私、当時何度もお父ちゃんにカムアウトしようとしたんだけどさ。どうしてもタイミングが合わなくて。そもそも父親って子供とあまり話をしたがらないじゃん」
 
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「それは言えるね」
 
「で、どうしてもすぐには同意を得られそうにないので、申し訳ないけど、やはり辞めさせてください、ということで」
 
「ああ」
 
「それで畠山さんも私のことはいったん諦めて、翌年夏くらいに別のユニットでデビューさせるつもりだった、アメリカ人のラムって子を私の後釜として使うことを決めた」
 
「ああ、言ってたね」
「それで、ボーカル部分を録り直して、私の代わりにラムが入って歌う音源を作ったんだよ。それで発売しようということでマスタリングも終わって、もうプレスに回そうとしていた。その時にさ」
 
「うん」
 
「ラムのお父さんが突然インドに転勤になっちゃって、ラムも付いていくということで、活動不能になっちゃってね」
「それも言ってたよね」
 
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「その話が本人からあったのが、プレスに回す前日だったんだよ。で1日しかないじゃん。というか翌日朝10時に工場に持ち込まないといけないのに、その話を畠山さんが聞いたのが前日14時でさ」
「げっ」
「もう新たに3人だけの音源を作る時間的な余裕はない。でもTVスポットとかも枠を押さえているのに、デビューを延ばすことはできない」
 
「ああ」
 
「それで私が入ってた元の音源に差し戻したんだよ。ミクシングまでは終わっていたから、マスタリングだけしてプレスに回した。テレビスポットの映像はラムが映っている所をカットして。歌は私が入ってるバージョンに緊急差し替え」
 
「大変そう」
 
「でも急いでいたから、ラムの身体の一部とかが映っている所がそのまま流れてしまったし、背景と比較すれば、和泉と美空の間が異様に空いていることが分かる。だから注意してあのスポットを見た人には4人の歌唱者がいることが分かったハズ。そして声も4つあるし」
 
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「それでKARIONは4人いるのでは、という噂が発生する訳か」
「そうそう。後で公開したPVは改めて3人で撮り直したから問題無いんだけどね」
 
「でも物凄い1日だったんだろうね」
「凄かった。とにかくそうする以外、方法が無かったし。だいたい日曜日で小風と美空は遠くに行ってて、すぐには戻れない状況で。私と和泉は都内だったから、すぐ駆けつけたけど、とにかく私と和泉と畠山さんで私が入っているバージョンに戻すことを決めて小風と美空に電話して了承を得て。マスタリングの作業は私も助手として付いて徹夜で作業したけど、よく間に合ったという感じだった」
 
「それで冬の声がKARIONのデビューCDに残ることになった訳か」
 
「それでその後はデビュー記念の全国キャンペーンの伴奏に誘われて、まあ伴奏ならいいかと思って付き合って、それからいくつかのライブにも出て、なしくずし的に2枚目のCDの制作にも付き合ってと」
 
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「そういう訳でなしくずし的にKARIONを5年半やってると」
「そういう感じ。高3の時、ローズ+リリーは休んでたけど実はKARIONは受験直前の秋まで休んでない。だから私、高校時代にローズ+リリーとしては4ヶ月しか活動してないけどKARIONとしては2年間活動してるんだよ」
「ああ」
 
「冬って流されやすい性格だからね。自分でも気付かないうちに填まり込んでるよね」と政子。
 
「でもKARIONから水沢歌月は外せないよ、もう」と光帆も言う。
 
「うん。結局4人セットのKARIONになっちゃってるね。不可分になってる」
 
「まあそういう訳で今、冬はローズ+リリー、マリ&ケイ、KARION、水沢歌月、鈴蘭杏梨、ロリータ・スプラウト、ローズクォーツ、を掛け持ちしてるんだよね」
と政子。
 
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「ああ!ロリータ・スプラウトなんてのもあった!!」
「あははは」
 
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