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■夏の日の想い出・小6編(4)

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「ああ、そうかも。胸もこれ、少し膨らみかけてない?」
と言って有咲がボクの胸に触る。
そういう有咲はたぶんBカップかCカップサイズかなという感じの大きな胸を露出している。奈緒もAカップという感じの胸を見せている。
 
「確かに微かに膨らんでる気がするね」と奈緒。
「これって、おっぱい大きくなる前兆って気がするよ」
 
「うーん。大きくなったりはしないと思うけど。乳首は最近ずっと立ってるんだけどね」
「ジュニアブラジャーなら付けられるかもね」
「ん?というか、よく見たら、冬ってブラ跡が付いてる」
「あはは」
「つまり、跡が付くくらいブラジャー付けてるってことか」
と奈緒が笑いながら言った。
 
「うちのクラスの女子ではまだブラジャーつけてない子の方が多いのにね」
「うんうん。私だってまだカップ付きキャミソールだもんね」と有咲。「いや、有咲はそれだけサイズあったら、ちゃんとブラ付けるべき」と奈緒。
 
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「で、今日はどっちの下着持って来たの?」と奈緒がボクに訊く。
「朝着て来たのは男物だけど、今脱衣場に持って来たのは実は女の子下着。明日はちょっと女の子気分でいようかと思ったから」
「だったら、脱衣場で着る時には問題が少ないね」
 
「あ、分かった!」と有咲。
「何が?」
「冬、男の子の服なんか着てたから迷ったんだよ。女の子の服を着ている時の冬なら間違わずにちゃんと男湯に行けたね」と有咲。
「なるほど」
「でも女の子の服を着て男湯に行ったら『こちら違う』って追い出されてたよ」
と奈緒。
「そうか・・・・うーん」
 

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やがて上がろうということになる。ボクはあの付近を足の間に挟んだまま湯船から上がり、すぐにそばに置いていたタオルで隠す。有咲と奈緒がボクの前と後ろに立ってくれて、一緒に浴室を出て脱衣場に移動した。
 
奈緒が置いてあるバスタオルを3枚とってきてくれたので身体をしっかり拭く。
「隠し方がうまいね。全然私たちの目に触れないように拭いてる」
「えー?友だちだから尚更見られたくないよお」
「ふーん」
 
ボクはロッカーの中から着替え用のショーツを出して両足を通すが、まだお股はバスタオルで隠したままだ。そして腰の所までショーツを引き上げてから、バスタオルを外した。
 
「すごーい。結局全然アレの存在を確認できなかった」
「実はもう取ってて、女の子のお股になってるから、それを見せたくなかったとか」
「まさか〜」
「でもショーツ穿いた上から、アレの形が見えないね」
「そりゃ、形が見えるように穿いたら変態だよ」
「いや、女の子の下着付けてる時点でそもそも変態だと思う」
「あ、それは認識してるけど」
「ふーん、自分が変態だという認識はあるんだ?」
 
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ブラを付ける。
 
「へー。自分でホックを留められるんだ」
「かなり付けてるんだね」
 
「でも、いやに派手なブラだね。そういう趣味なの?」
「お姉ちゃんが買ってきて自分の趣味に合わなかったといって押しつけられたんだよ」
 
「冬のお姉ちゃんってブラジャーを冬に押しつけるの?」
「なんでも押しつけられる。ボクよくサブリナパンツとか穿いてるでしょ。ああいうのも押しつけられた奴だよ」
「面白いお姉ちゃんだ」
 
ボクの着替えを裸のまま鑑賞していた奈緒と有咲もそれぞれ自分の下着をつけた。ボクが白黒ボーダーのカットソーを着て、下にジーンズのズボンを穿こうとした時、奈緒が「待って」と言い、「これ穿いてみない?」と言って、自分のスカートを渡した。
 
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「えーっと」
「私着替え何着も持って来てるからさ、スカート1枚貸してあげるよ」
「それとも、冬もスカート持ってきてるんだっけ?」
「今日は持って来てない」
「じゃ、貸してあげるから」
「うーん。。。借りちゃおうかな。ありがとう」
「明日もそれ穿いておきなよ」
「うん」
 
それでボクは奈緒から借りたピンクの花柄の膝丈プリーツスカートを穿いた。「やっぱりスカート姿似合ってるなあ」と奈緒。
「ほんとに違和感全く無いね」と有咲。
 

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部屋に戻ると、もう食事の時間ということだったので、部屋に残っていた子たちと一緒に食堂へ行った。ボクはスカートを穿いていることを誰かに指摘されるかなと思ってドキドキしていたのだが、誰も何も言わないので少し拍子抜けする。
 
食事する場所は、庭に面した全面フランス窓の(昼間なら)景色の良さそうなレストランであった。テーブルに適当に座る。座るとスタッフの人たちが食事を運んで来る。この時間、うちの学校で貸し切っているようである。
 
安曇野らしいおしゃれな雰囲気のレストランだったが、食事もセンスが良く、都会育ちの小学生が食べやすい、洋風の料理だった。今日見てまわった所の感想や学校でのことなどを話す。近くに男の子たちがいるので、お部屋で話していた時のような、男子の見定めや恋バナなどはあまり出さない。
 
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そんなことをしていた時、近くを通った担任の先生が
「あれ?唐本さん、今日はスカートなんだ」
と言う。
「あ、さっきお風呂行ってからこれに穿き換えました。でもボクがスカート穿いてても、誰も何も言わないんです」
などとボクが答えると
「あ、そういえばスカート穿いてるなとは思ったけど、冬ちゃんがスカート穿いてても別に何の問題も無いよね」
と隣のテーブルの協佳。
 
「私がスカート穿いてても話題にならないのと同じだよね」と夢乃。
「いや、あんたなら話題になる」とそばから突っ込みが入る。
 
夢乃は完璧なパンツ派で、彼女がスカートを穿いているのは見たことが無い。
 
「だいたい夢ちゃん、スカート持ってないのでは?」
「えー?2年生頃に穿いてたのあるけどなあ」
「それ絶対もう穿けないって」
 
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「冬ちゃん、昔のスカートとか取ってる?」
「サイズが入らなくなったのは適当に処分してるよ。ボクも2年生の時のあったけど、こないだ穿いてみようとしたら穿けなかったから、ボランティア団体の古着回収に出したよ」
 
「なるほど〜。少なくともその頃にはスカート穿いてたんだね」
「うーん。。。無理矢理穿かされたというか」
「ああ、冬ちゃんって、無理矢理スカート穿かせたくなる子だよね」
 
「そうだ!冬ちゃんスタイルいいしさ。来月の運動会でチアガールやらない?」
「あ、冬ちゃんって運動神経は悪いけど、リズム感はいいよね」
「そういえばミニモニ。とか歌いながら踊ってたね」
「冬は振りを一発で覚えちゃうんだよ」と有咲。
「それは頼もしい」
 
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「そうだなあ、やってみようかなあ」
ということでボクは翌月の運動会のチアのメンバーに組み込まれることになった。
 

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食事が終わった後も、仲良しグループで一緒の部屋に入っておしゃべりを続ける。協佳がトランプを持ってきていたので、ボクたちのグループと合同でナポレオンをやった。ルールを知らない子もいたので、協佳が最初自分がナポレオンになり、説明しながら1度やってみる。それでだいたいみんな要領が分かったので、後は立候補・競り方式でナポレオンを決めて、ゲームをしていく。
 
「有咲って顔に出る〜」
「夢ちゃんのハッタリはすぐバレルね」
「初美、意外にポーカーフェイス」
「冬ちゃんがナポレオンやると、勝率高い」
「あ、それは今日スカート穿いてるからだよ」
「何それ?」
「冬は女の子の服を着ると、頭もよくなり運動神経もよくなる」
「へー」
「4年生の時に鍾乳洞の中で迷子になった時に、女の子の服に着替えたら突然帰る道が分かって、出てこれたんだって」と奈緒。
「すごっ」
「冬は女子の服を着せると、足が速くなる」と若葉。
「なに〜?」
 
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「それって、冬は絶対男子選手にはなれないってことだよね?」
「そうそう。冬はそのうち性転換して女子選手になるんだと思うね」
「あ、でもピアノうまいしピアニストなんかもいいんじゃない?」
「ああ、冬は女の子の服を着せるとピアノ演奏もグレードアップするよ」
「おお、すごい」
 

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ナポレオンで2時間遊んだ後、ダウトや七並べなどもしていたら、やがて就寝時間になる。担任の先生がやってきて「はーい。自分の部屋に戻って寝よう」
と言った。ボクは奈緒・有咲とハグしてから、自分の部屋に戻った。
 
「ただいま〜」と言って部屋に入るが、来島君がギョッとした顔をする。
「どうしたの?」
「あ、唐本か。びっくりした−」
 
来島君は今ちょうど着換えている最中だった。
「ごめーん。着替え中だったね。後ろ向いておくよ」
と言ってボクは後ろを向く。
 
「いや、唐本が着替える時に俺たちが後ろを向いてないといけないよな」
と上田君が言っている。
 
「そうかなぁ」
「いや、そもそも今女の子の服着てるし」
「でも中身は男の子だから気にすることないよ」
「ほんとに男の子なの?」と秋元君。
 
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「なんで〜?」
「だって、唐本って体育の時間の着替えの時に、しばしば女の子パンティ穿いてるよな?」
「チラっと見ると、チンコ付いてないようにも見えるんだけど」
「え〜? おちんちんは付いてるけど」
 
「唐本、トイレもいつも個室だよな」
「うん。立ってしてるの見たことない」
「何人かに聞いてみたけど、唐本のチンコを見たことのある奴は誰もいない」
「そんな、人に見せるようなもん?」
とぼくは笑って言う。
 
「男同士はチンコを握り合って友情を確認するんだよ」と秋元君。
「やだ〜、そんなの」
「女同士だと何するんだろ?」
「やっぱりおっぱいの触りっこ?」
「ああ、有咲や奈緒とはおっぱい触りっこしてるけど」
とボクが言うと
「何〜!?」
「触ってるだと〜!?」
と凄い顔で言われた。ボクは一瞬タジタジとなった。
 
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結局3人が後ろを向いていてくれた間にボクはカットソーとスカートを脱ぎ、体操服に着替えた。
 
「着替え終わったよ〜」
「じゃ、おやすみ〜」
「おやすみ」
 
ということで、その日はぐっすり眠った。ボクはまだその頃は自分の中に「自分は女の子」という意識があまり育っていなかったので、男の子たちと同じ部屋で寝るのも全然平気だった。
 
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