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■夏の日の想い出・高2の春(1)

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(c)Eriko Kawaguchi 2012-01-14  
高校1年の3月。卒業式が終わりボクたちは書道部の卒業生4人を見送った。部長は秋に2年の静香先輩が継承していたし、秋以降は本当にたまにしか3年生たちは顔を出していなかったが、特に谷繁部長にはこの1年けっこう字の書き方の指導を受けて、ボクもかなり上達して、日本教育書道連盟の三段に合格することができたので、部からの記念品として渡したマグカップの中に、個人的に手作りのクッキーを入れて渡した。
 
「あれ?谷繁のにはクッキーが入っているのに俺には無い」と花見さん。「それは中田さんに焼いてもらってください」とボクは笑って言う。
「谷繁先輩は村沢先輩からももらっているはず」
「うんまあ。昨日もらった。ガトーショコラだけど」
 
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「俺、政子にクッキーとか焼いてもらった記憶が無い」
「私お菓子作り苦手だもん」と政子は素っ気なく言う。
 
卒業式が終わった後で何となく部室に行っていたら、政子も部室に入ってきた。ボクたちは他の部員たちが来るまで少し遊んでようと言って、化学教室の引出しになぜか置かれている囲碁セットを持ってきて、打ち始めた。ボクは囲碁は二眼(2つ眼を作った石の集団は殺されることは無いという原理)が分かる程度だが政子はお父さんから習ったということで、結構囲碁は強い。ボクたちはいつもボクが5つ石を置いてから打っていた。
 
「・・・中田さん、何か悩み事?」
「あ、うん」
今日の政子はどうも上の空という感じで、イージーなミスを繰り返していた。
「花見さんとのこと?」
ボクは花見さんと政子が最近どうも微妙な関係を続けているっぽいことをいつも心配していた。
「それは割とどうでもいいんだけどね」
「どうでもいいの!?」
 
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「あのね、冬」
政子がボクを校内で名前で呼ぶのは珍しい。ボクたちは当時はどちらかの家を訪問した時や、町などに一緒に買い物に行ったような時は「政子」「冬」と呼び合うものの、他に人がいる時や校内では(この頃までは)たいてい「中田さん」
「唐本くん」と苗字で呼び合っていた。
 
「どうしたの、政子」
政子がボクを名前で呼んだということは、何か大事な話なんだと思った。
 
「お父ちゃんが4月から転勤になるのよ」
「え?」
 
ボクは手に持っていた石の動きを停めた。政子を見つめる。ボクたちはしばらく見つめ合っていたが、政子はやがて笑顔になり「冬の番だよ」と言う。ボクは政子の石の攻めに対して逃げる手を打とうとしていたのだが、思い直して受けて立つ1手を打った。
 
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「お、積極的。で、私も付いて来いと言われてるんだけど」
「転校しちゃうの?」
「でも行き先がタイなのよ」
「タイ?外国?」
「うん。バンコク」
「それはまた・・・遠いね」
 
この頃、政子はこの高校で作った友人の中でもいちぱん心を割って話せる相手だったので、彼女が外国に転校してしまうというのは正直ショックだった。
 
「私がタイに行っちゃったら寂しい?」
「寂しい。辛い」
「私を停めたい?」
「でも停められるの?」
「言い訳は何か思いつきそうなのよね。私にキスしてくれない?そしたら私、頑張って日本に留まる」
「キスは花見さんにしてもらってよ」
とボクは笑って言う。
 
「啓介とはいつもたくさんキスしてるもん。私、冬とは女の子の親友同士みたいな感覚なのよね」
「性別は置いといて、ボクも大事な親友のつもりだけど」
「女の子同士なら別にキスくらいしてもいいよね。親愛のキス」
「ボクが政子にキスすることで、政子が勇気を出せるなら、キスするよ」
「じゃ、唇にして」
「唇はさすがに花見さんに悪いよ」
「じゃ頬でもいいよ」
 
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ボクは政子の両肩に手を置いた。キスなんてするのは初めてだ。中3の秋に好きだった女の子にキスしようとしていた時直前で振られてしまった時のことを少し思い出す。あの時、キスってどうやるんだっけ?と思って、結構研究したっけ。政子が目を瞑った。ボクはそっと唇を寄せて、彼女の左頬に接触させた。政子もボクの左頬に唇を付けて吸っている。あれ?どのくらいの時間すればいいんだっけ?10秒くらい?30秒くらい?よく分からない。こういう時ってどのくらいするものなんだろう?
 
そんなことを考えていた時に化学実験室のドアがガラっと開いた。
「ああ、疲れた」と言って入ってきたのは琴絵だった。
ボクたちはさっと離れた。
 
「あ、えっと・・・・お邪魔だったかな」
「うん。問題無いよ。琴絵もいっしょにおしゃべりしようよ」
と政子はふだんの顔に戻っている。
 
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「いいのかな・・・」などと言いながらも寄ってきて、ボクたちは卒業していった先輩たちの話などを始めた。その日は結局化学実験室に来たのはボクたち3人だけだった。囲碁の方はボクのやや無謀な攻めが咎められて劣勢になったものの、終盤で政子が信じがたい大チョンボをして、ボクが久々に勝った。そんなボクの顔を琴絵がなぜかしげしげと眺めていたので「どうしたの?」と訊くと琴絵は「別に」と言って微笑んでいた。
 
その晩、家に帰って晩御飯の準備をしていた時、姉が小声で言った。
「冬彦、付き合ってる女の子とかいたの?」
「え?そんな子いないよ」
「あ、付き合ってる男の子だっけ?」
「ボク男の子と付き合ったりしないよー」
「だって頬にキスマーク付いてるよ」
「え!?」
「鏡見てごらんよ」
ボクは自分の鞄から手鏡を出した。
 
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「わあ・・・・・」
琴絵がボクの顔を眺めていたのはこれか!
 
「2〜3日消えないかもね」
「お姉ちゃん、明日の朝消えてなかったらファンデ貸して」
「いいよ。かなり熱烈にやられたね」
「あいつ・・・絶対ワザとだ。今日はお風呂にゆっくり入らなくちゃ」
「あはは」
 

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政子がお父さんの転勤の話をした週の土曜日。ボクは絵里花の家に行き、久しぶりの人前での女装を楽しんでいた。その日は貞子も来ていて3人でのガールズトークが盛り上がった。
 
「でも冬はもうてっきり女子高生してるかと思ってたのに」と貞子。
「猫かぶってるから」とボク。
「だけど女子高生風の服は持ってるんだよね。まるでどこかの制服に見える奴」
と絵里花。
「あれで出歩いた?」
「まだやってないんだよねー。自分の部屋では着てるけど。というか、そもそもボク、女の子の格好で外を出歩いたことが、実際問題として、ほとんど無い」
 
「いまだにクローゼットやってるというのは、信じがたいなあ」
「強制性転換でもしなきゃダメかもね。これ」
「あはは」
 
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「春休みか、時間取れなかったらゴールデンウィークにでも、一緒にどこかに行かない?冬はフル女装で」
「そうだね・・・・・」
 
「ところで、うち引っ越すことになりそう」と絵里花。
「えー!?どこに?」
「うちのケーキ屋さんのある場所が区画整理に引っかかっちゃって」
「わあ・・・」
 
「それでちょうど◆◆駅前の商店街に空きができたのを買わないかって話が父の古い友人から来ていて」
「今の場所よりはかなり人通りが多いよね」
 
「そうなのよね。でもその分競争も厳しい。それに食べ物屋さんの移転って、なかなかうまく行かないから。とはいっても、今の場所にいられないなら、その話に乗るかと。一応◆◆商店街にある既存の洋菓子屋さん2軒には挨拶してどちらの店からも『もし来られるのならお互い切磋琢磨して頑張りましょう』
とは言ってもらったらしいけどね」
 
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「よかったね」
「で、そこが店舗兼住宅なのよね。だから、この家も売ってそこの購入資金にして、住まいもそこに引っ越そうかと」
「そうか」
 
「あっち行っちゃうと、気軽に冬ちゃんが着替えに来れないかも知れないけど」
「うん。それは何か考えるよ」
 
ボクは、ああなんかみんなどこかに行ってしまう、と少しせつない気持ちになってしまった。政子はどうなったろうか?
 

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卒業式の日の一週間後、政子が昼休みにボクを図書館の裏手の芝生に呼び出した。
「私、日本に残ることになったよ」
「おお、頑張ったんだ!」
ボクは喜びのあまり思わず政子をハグしてしまった。
 
「あ、ごめん」と言って離すが
「仲良しだもん。ハグ問題無い」と言って向こうからあらためてハグされた。ふたりで芝生に座って話した。
 
「私、△△△大学に行くって言ったの」
「今の政子の成績からはけっこうきついね。かなり頑張らなきゃ」
「うん。だから、たくさん勉強したいから日本に留まるって主張したんだ」
「わあ」
 
「冬は志望校どこだったっけ?」
「名大の経済学部って出してたんだけどね、ちょっと訳あって**大学に変更予定」
 
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ボクが1年生の間、志望校を名古屋大学にしていたのは、母の実家が岐阜なのでそこと近いというので親を説得しやすかったこと、大学に入ったら一人暮らしをしてたっぷり女装したいと思っていたので、東京から離れた方がいいかと思っていたこともあった。しかし政子と仲良くなっていったことから、ボクは東京の近くの大学にして、大学に入ってからも政子と時々でも会えるようにしたい気持ちが出て来ていた。それだけに政子が海外に行ってしまうという話はショックだったのだが。
 
「**?どうせなら、私と一緒の所にしない?レベル大差無いよね」
「ごめん。うちお金が無いから私立は無理。バイトだけで学費払える自信無いし」
「そっかー。でも**か・・・。都内の国立大学には経済学部無かったっけ?」
「東大と一橋にあるけど、ボクの頭じゃ無理」
「頑張ればいいじゃん」
 
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「・・・えっとさ。2年生は志望校のランクと成績でクラス分けがされるじゃん」
「うん」
「東大とか名大とか一橋とか、そんなところを志望校に書いてたら、ボク今の成績なら間違いなく、9組に入れられちゃう」
「男子クラスか!」
 
1年生は芸術と男子の格闘技の科目選択をベースにクラス分けがされていたのだが、2年生は進路別・成績別のクラス分けだった。1〜3組が専門学校進学コースで4〜10組が大学進学コースなのだが、専門学校進学コースは女子が圧倒的なので1〜2組は女子クラスになっている。そのバランスを取るのに大学進学コースの中で9〜10組は男子クラスになっていた。ボクは当時成績が全体で80位だったので、当時志望校ということにしていた、名古屋大学の経済学部のままでは男子クラスに放り込まれる危険が高いと思った。そこで敢えて大学のランクをぐっと落とす作戦に出るつもりだった。
 
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「男子クラスじゃ誰とも話せないから。孤独な高校生活は嫌だもん」
「なるほど・・・男女クラスに行くための偽装工作なんだ?」
「うん」
「で、実際に狙うのは?」
「内心考えてるのは、東京外大。将来の仕事として、まだ漠然とだけど、翻訳の仕事とかできないかなと思ってて。ボク、背広着てサラリーマンとか、できそうもないから、服装規定の無い仕事がいいなと思ってて」
 
「府中か・・・・私も冬が背広着て毎朝『行ってきます』と出かける姿とか想像できない。会社勤めするなら、冬はOLだよね。スカート穿いて通勤」
「あはは」
「それか、冬は出かける彼氏を『行ってらっしゃい』と見送る側」
「うーん。。。。」
 
「ね、いっそ大学に入ったら、私と共同生活しない?」
「へ?」
「なんなら私の家に同居してもらってもいいし。私の家からは府中(東京外大)や国立(くにたち:一橋大学)に通うの、比較的楽だよ」
「それは便利だろうけど、花見さんに殺されるよ、そんなことしたら」
「やはり性転換だな。冬が女の子になったら、同居してても啓介には嫉妬されなくて済む」
 
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「あはは。でも、政子は来月から取り敢えず一人暮らし?」
「そうそう。私あまり料理得意じゃないけど頑張る」
「必要に迫られたら覚えるよ」
「そうだね。カップ麺とかばかり食べてるようだったらタイに召喚するからって毎日何を食べたかのレポート提出を義務づけられた。毎日メールで報告」
「頑張ってね」
 
「それと啓介のことなんだけどね」
「うん」
「親がいないのをいいことに、Hしまくるんじゃないかとお父ちゃんが心配して」
「親は心配するだろうけど避妊ちゃんとしてれば問題ないでしょ」
「とお母ちゃんは言ってくれたんだけどね。でも私自身、少なくとも高校生の内はセックスするつもりない。できたら結婚するまでしたくない」
「前から言ってたね」
 
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「みんなから時代遅れだとか言われるけどね。それで啓介と、啓介のご両親とも会って話したんだ」
「うん」
「それでね・・・・冬、ショックじゃないかなあ・・・・私、婚約しちゃった」
「おお。おめでとう!」
「ふーん。。。おめでとうなんだ」
と政子は何か考えているような顔で言った。
 
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