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■夏の日の想い出・クリスマスの想い出高校編(3)

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大晦日の夜。自宅で年末の番組を見ていたボクは、突然ある衝動が込み上げてきた。
 
ボクはお姉ちゃんに「いつものサイン」を送りOKの返事をもらう。姉の部屋に入って、中学の時の女子制服を洋服ダンスから取り出して自分の部屋に持って来た。
 
服を全部脱ぎ、女の子パンティとブラを身につけ、キャミソールを着け、女子制服の上下を着た。政子が書いた詩のコピーを取り出す。今ならこの詩に曲が付けられる気がした。机の引き出しから五線紙を取り出した。
 
ポータトーンのスイッチを入れ、音量を絞る。この曲はG-Majorだよな、と思う。五線譜にト音記号と#1個を書き込む。そしてポータトーンを探り弾きしながら、音符を書き入れて行った。
 
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Aメロ、Bメロ、サビのだいたいのメロディーラインが定まった所で、コードネームを書き込んでいき、一部コード進行を優先してメロディーラインの修正をした。そしてあらためて詩に合わせ付けて譜面を構成していく。書き上げたところで居間のほうで、テレビの「カウントダウンです」という声が聞こえてきた。
 
ボクは制服の上下をさっと脱いでとりあえず畳んでその上に膝掛けをかぶせた。「明けましておめでとうございます!」という声が居間のテレビから聞こえる。ボクは下着はそのままにして、トレーナーとジーンズを着て居間に出て行き「明けましておめでとう」と言った。
 
そういう訳で、その年の新年をボクは、ブラとショーツにキャミソールなどという格好で迎えたのであった。
 
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1月2日、ボクは「友だちと初詣に行ってくる」と家族に言い、政子との待ち合わせ場所に行った。政子はきれいな小振袖を着ていた。ボクはその日はわりと暖かかったので、コートは着ずに、モヘアのピンクのセーターに黒いスリムジーンズを穿いて出て行った。
 
「おお、女装で来たか。もう今年は女の子で行くんだね」
と政子は言った。
 
「え?女装のつもり無いけど」
「でもそのセーターもジーンズも女物だよね」
「うん。お姉ちゃんのお下がり。でも女の子を装っているつもりは無いし。ちなみに今日は女の子下着は着けてないよ。お股は盛り上がらないように調整してるけど」
 
「そっか。でも確かに女の子がメンズの服を着ていても、それで男装という訳じゃないもんね」
「そのあたり考えていくとよく分からなくなる」
「でも、冬は雰囲気が女の子だからなあ・・・。スカートとか穿かないの?」
「スカート穿いたのは、あのキャンプの時だけだよ」
とボクは笑って言う。
 
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「あの後、あの服着てないの?前にも何度か聞いたけど、正直に自白しなよ」
「実は自分の部屋の中でたまに着てみる。でもあれで外は歩いてないよ」
 
あのあとボクは「下着だけは返すよ」と言って学校で政子に洗濯した下着を返したが、政子は翌週「じゃ代わりに新品をあげる」と言って、新品の可愛いショーツとブラをくれた。
 
「ふーん。でも逆に冬は、男物のジーンズとセーター着てても女の子に見えちゃうかもね」
「えーっと」
「来年のお正月は冬に振袖を着せてみたいなあ」
「えー!?でも、政子、振袖姿が可愛いね」
 
「冬、女の子の褒め方が分かってるね。『その振袖可愛いね』じゃなくて、『振袖姿が可愛いね』って」
「政子自身が可愛いからね。振袖も可愛いけど」
 
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「わりと可愛い柄だよね。判押しだけど、友禅っぽい古風な柄だし。それから、これ普通の振袖よりは袖丈が小さいでしょ。小振袖って言うんだよ。お母ちゃんが去年の春にヤフオクで2万円で落とした」
「わあ!そんなに安く買えるんだ!」
「冬もお年玉か何かで買っちゃう?」
「いや、別に振袖着るつもりはないけど」
「こういうの着るのは中高生くらいだから。たぶん着ていた本人が高校卒業して不要になったんじゃないかなあ」
 
お参りしたあと、境内を歩いていたら、記者みたいな人に声を掛けられた。
「すみませーん。雑誌の○○の記者なんですが、写真撮らせてもらえませんか?」
「はい、いいですよ」と政子。
ボクはてっきり政子の写真を撮りたいんだろうと思い、離れようとしたら「あ、妹さんの方も一緒に」などと言われる。
「あ、いや、姉妹じゃなくてお友達かな?」
「ええ。同級生です」と政子。
「あ、そうだったんですか!」
 
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ふたりで並んだ所の写真を撮られたので、花見さんが見て嫉妬しないかなと一瞬思ったが、ティーン女性向けのファッション雑誌だし、花見さんが見ることはあるまい。
 
「お名前と年齢、よかったら教えて下さい。誌上の名前でいいですから」
政子はチラッとボクの方を見ると
「私はマリカ、こちらは親友のフウカ。どちらも16歳です」
「ありがとう」
記者さんは名前と年齢をメモし、それもカメラに収めてから次の被写体を探すかのように立ち去った。
 
「マリカにフウカ?」
「とっさの思いつき。記者さんは冬のこと、女の子と思ってたみたいだしね。今度からフウカと呼んであげようか?」
「いや、冬子でいいよ」
「やはり、女の子名前で呼ばれたいんだ!」
 
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ボクは境内のお茶屋さんでお汁粉を頼んでふたりで食べながら、大晦日の夜に政子の詩に付けた曲を聴かせてあげた。あの後、譜面をMIDIに打ち込み、ボカロイドの歌を重ねて仕上げ、MP3に変換したものである。このボカロイドは24日にもらったお金の一部で買ったもので、初使用になった。(パーティーで歌ってもらった3万5千円に加え絵里花のお父さんから配達のバイト代で1万円もらった)
 
「わあ、なんか私のイメージ通りの曲に仕上がってるなあ。私たち、やはりいいコンビという気がする」
「そうだね。政子と会ってからだもんなあ。ボクがこんな感じで曲が書けるようになったの」
「へー。でもなんで初音ミクなの?冬、自分で歌えばいいのに。冬、わりと歌はうまいよね」
「いや、自分の声を録音するにはスタジオみたいな設備が必要だから。ボカロイドは騒音のある場所ででも使えるもん」
「ああ、そういう使い方は便利だね」
 
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「でもこのガチャピンのUSBメモリー可愛いね」
「それごとあげるよ」
「よし、もらった」
 

「えへへ。こんな服買っちゃった」
1月の中旬、絵里花の家に行ったボクはその服を披露した。
 
「スクールブレザーとチェックのスカートか」
「上下あわせて2万160円」
「どこかの制服みたいに見えるね」
「でしょ?」
ボクはその服でお姉さん座りをすると、絵里花がいれてくれた甘いキャラメルマキアートを飲んだ。
 
「どうして自分とこの制服にしなかったの?」
「うん。それ着て学校に出て行く気持ちになったら親に買ってもらう。これは女子高生の自分を開発するのに使う」
「それ着て町を出歩いたりするの?」
「あまり出歩かないかも。とりあえずひとりでこっそり着る。こことか深夜に自分の部屋でとか」
「ふーん」
「そして女子高生である自分に慣れたいんだ」
「もう充分慣れてると思うけどなあ」と絵里花は笑う。
 
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「ね・・・冬ちゃんってさ、自分の部屋では結構女の子の服を着ているんでしょ。女の子の服を着てひとりHしちゃったりすることあるの?」
 
「あ、女装趣味の人にはそういう人よくいるらしいけど、ボクは女の子の服着てやっちゃったことないよ。というか、女の子の服を着て大きくなっちゃったことって、小学生の頃とか中学生の始め頃に何度か経験しただけ。大きくなっても、それいじったりはしなかったし」
 
「そうか。やはり小学生の頃から女の子の服を着てたのか」
「あ、しまった」
「まあいいや。女の子の服を着ている時って男の子の服を着ている時と比べて気持ちが違う?」
 
「男の子の服を着ている時はそれ自体がストレスなんだよね。ずっと緊張している感じ。女の子の服を着るとホッとするの。だから夜中に勉強していて分からないことがあったりした時、下着から上着から女の子の服に着替えたりするんだよね。そしたらパッと分かったりする。それから、ボク、この夏から時々作曲するようになったんだけどね。作曲ができるのは女の子の服を着ている時だけ」
「へー」
 
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「最低でも下着は女の子のを着けてないと何にも浮かばない」
「面白いね。男の子の服を着てる時は冬ちゃんの才能がロックされちゃってるんだ」
 
「実はね・・・・高校受験する時も、同じ中学から受験した子がだれもいないのをいいことに、女の子っぽい服で出かけたんだよね。スカートは穿かなかったけど。下着はもちろん女の子用。パンティとブラとヒートテックのキャミソール。休憩時間のトイレも女子トイレ使った」
「わあ」
 
「実は試験官に、君受験票の人物と違うよね、受験生のお姉さん?と訊かれて焦った。私ふだんはこういう格好してるんですとわざと男声で女口調で言ったら同一人物と認めてくれた」
「あはは」
「女声で言ったら、やはり君女の子じゃんと言われそうだったからわざと男声使ったけど、男声で女言葉使うのは、自分でも気持ち悪かった」
「あまり想像したくないな、それ」
 
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「でも男の子の服で受検したら合格できなかったと思う。ボク後から聞いたけど合格した時はホントにすれすれだったらしいから」
「今の成績はどのくらい?」
「学年400人中の100番目前後。実力テストの100番まで名前が張り出されるんだけど、そのリストに入ったり出たりしてるところ」
 
「凄い。この1年で頑張ったね」
「夏休みに受けた模試では校内で30番目で、先生からも褒められたんだけど、実はね・・・・わざと申込書を他の子と別に出して、受ける教室が他の子と違う所にして」
「女の子の服で行ったのか」
 
「えへへ。大学受験の時も完璧に女の子の服で出かけるつもり。この服になるかも」
「その前に、もう女子高生になっちゃってるんじゃない?」
「うん。その場合は学校の制服かな。どちらになるか確率半々かもって気もしている」
「去勢しちゃう?」
 
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「実はね・・・・夜寝る時は女の子のパンティ穿いてることが多いんだけど。朝男物のブリーフに穿きかえて学校に行くんだけど・・・その時、玉を体内に押し込んでパンティで押さえ込んでいるんだよね」
「・・・わざと機能低下させてるのね」
 
「うん。中3の11月に失恋したのを絵里花に慰めてもらって、女性ホルモンのプラセボをもらったでしょ。実はあの時からずっとそれをやってる。それで以前は月に2-3回くらいどうしてもしたいって衝動が起きることあったんだけど、最近はそういうの2ヶ月に1度くらいしか起きてない。この夏以降は実は一度も『おいた』してない」
 
「夏って、あの女装で私の家に飛び込んで来て、着替えさせてって言った時ね」
「そうそう。書道部の人たちの前で女装で丸1日過ごしたから、あの時は。余興で女装させられちゃったんだけど、いつ元の服に戻ったらいいの?と訊いたらそのままおうちに帰んなよと言われちゃって。でもさすがにそれはできなかったから」
「女の子の服で帰れば良かったのに。カムアウトにはいい機会だったかも」
「うーん。そのあたりがまだ・・・・」
 
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「もう大人の男の人になる気はないよね?」
「うん。背広着て会社勤めしてとかするのって自分でもう想像できない」
「スカート穿いて会社に行くのね」
「そこをまだ決断しきれないんだけどね」
「あれれ」
 
「まだ女として生きて行く覚悟はできてないけど、少なくとも男として生きるつもりは無くなっちゃったから、取り敢えず機能低下させちゃおうと。去勢はやっぱり高校卒業してからという気がする」
「そうか」
 
「ボク、親に黙ってこっそり去勢とかしたくないのよね。去勢する時は親にちゃんと認めてもらってからしたい。でも親は高校在学中は去勢までは認めてくれないと思う」
「ふーん。。。。ところでさ」
「うん」
 
「そこまで気持ちが固まってきてるんなら、冬、自分のこと『私』と言わない?『ボク』というのやめて」
「あはは・・・」
「冬、けっこう『私』という一人称も使ってるよね。知らない人がいる時」
「うん、まあ」
 
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「友だちの前でだけ『ボク』と言ってる。それも、ふつうの男の子が『僕』というのとイントネーションが違うんだよね。それ冬が中学1年で陸上部に来た時から感じてたけど。冬の『ボク』って女の子の1人称なんだ」
 
「・・・そのあたりはボクの密かなアイデンティティなの。『僕』じゃなくて『ボク』と言い出したのは小学4年生のある時から。ちょっとあってね。。。『男の子』というバスから降りることにしたの。でもすぐ『女の子』のバスに乗る勇気が無かったから、そういう言い方に変えた」
 
「今はもう半分くらい『女の子』のバスに乗ってない?」
「うーん。足は掛けてるのかも知れない。何かのきっかけがあったらもう『女の子』
のバスに座っちゃうかも」
 
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「今、冬って女の子の格好するの週に1〜2回くらい?」
「あ、たぶんそんなもの」
「1年後くらいにはもうたぶん毎日してるようになってるね」
「あ、そんな気はする」
 
「きっかけか・・・・・この夏くらいまでには何か起きそうな気がするなあ」
と絵里花は遠くを見つめるような目をして言った。
 
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