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■夏の日の想い出・高2の春(2)

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「だって友だちとしては祝いたいよ。政子最近花見さんとの関係が微妙なような気がしてたから心配してたよ」
「そうか。私と冬って親友でいいんだよね」
「もちろん。そのつもりでいるけど」
「うん。じゃ、いっか」
 
「でも婚約したら、セックスくらいするんでしょ?」
「それをしないと約束させたんだ」
「えー!?」
「私が高校卒業するまではセックスしないと啓介は約束した」
「なんでー?」
「だってしたくないもん」
「あ・・・・・」
 
「ん?」
「政子もしかして女の子が好きだから、男の子とはあまりセックスしたくないの?」
「それはあるかもね」
「いつか言ってた、政子の可愛い思い人の女の子、あれからどうなったの?政子その話も全然しないから少し心配してたんだけど」
「ふふふ。彼女とはこないだキスしたよ」
「へー。ちゃんとそちらはそちらで進展してるんだね」
「まあね」
「しかし4月からいろいろ大変だね」
 
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「うちの近所というか隣町におばさん、お母ちゃんのお姉さんが住んでるからさ。そのおばさんが私の監視役。乱れた生活をしてないかという」
「それって食生活と性生活だよね」
「そうそう」と政子は笑う。
 
「啓介は一応婚約者だから、うちの鍵は渡すけど、門限を17時にした」
「へー」
「で、おばさんにも鍵渡して、昼でも夜でも予告無く訪問してもらう」
「おー」
「これだとうかつにHなんかできないでしょ」
「確かに。でも花見さん可哀想」
 
「でもこれって、私家の中を散らかしたりできないし、カップ麺とか、ホカ弁のからとかを積み上げてたりもできないのよね」
「あはは、頑張ろうね」
「でもさ、私自分で御飯作ったことないのよ」
「えー?」
 
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「少し本を買って勉強したいから、冬、買い物に付き合ってくれる?」
「いいよ。じゃ、今晩はボクがうちの夕食担当だし、料理の本を見たあとで、ボクの買物も見学するといいよ。夕飯の買物とかもしたことないでしょ?」
「全然」
「じゃ、放課後行こう」
「うん」
 
そんなところまで話して、芝生から立ち上がり、何となく手をつないで一緒に図書館の表側へ出て行った時、図書館の中から出て来た琴絵とバッタリ遭遇した。
 
「あ」「あ」
「あ、えっと、頑張ってね」と琴絵は笑顔で手を振って歩いて行った。
 
「うーん。こないだもたまたまキスした場面見られちゃったし、山城さんにはボクたちの関係をきっと誤解されてるよなあ」
「ふふふ、そうかもね」
と政子は何だか楽しそうな顔をした。
 
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4月になって新学期になる。ボクたちは2年生になった。
 
ボクは「進学先ランク落とし作戦」が功を奏して、無事男女共学クラスの7組になることができた。しかしボクが**大学と志望校を書いて出したら1年の担任から呼び出しをくらった。
 
「唐本、これまで名大だったろ?ランク落としすぎでは?」と先生。
「いえ、自分の今の成績から無理のない大学に変更するだけです」
「しかし目標は高く持ったほうがいいぞ」
 
などというやりとりはあったものの、無事、国立中堅狙いの6〜7組に入れてもらったのである。仁恵はお茶の水女子大の文学部志望で8組になった。ボクと同じ7組には、1年でも同じクラスだった紀美香、書道部で一緒の理桜、そして科学部なのでよく話している琴絵(当時は静岡大学理学部志望)が来て、これをきっかけにボクは琴絵と話す機会が増えていく。政子は6組になった。
 
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政子の方は2月まで都内のもっと易しい(というより特に勉強しなくても合格できそうな)大学を志望校にしていたのだが、3月中旬に両親が学校を訪れ親の海外転勤に伴いひとり暮らしをさせることと、志望校を△△△大学に変更することを告知したので、最初は4組に入れられていたのが急遽6組に組み替えられた。そのため1学期の間は政子の名前は4組の名簿では横線で消されていて、6組の名簿の最後に手書きで書き加えられていた。
 

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谷繁部長と花見さんが抜けた後、活動が停滞していた書道部では、1年生に新たに入ってきた翠が、毎日しっかり古典作品の臨書をやっていたので、それに刺激される形で、ボクと政子と理桜も作品を書き、この春からはこの4人で活動していることが多くなった。1年生には4人の入部者があったのだが、実際にはよく出て来ているのは翠だけであった。たまに圭子や1年の美也も来ていた。1年生の時はいつもペアだった理桜と圭子は、2年生では別のクラスになったこともあり、バラバラの参加になることが多くなったが、仲の良さは相変わらずであった。
 
「だけど書道部って、男子部員が全然いないね。というかあんたたち4人以外に部員が来ているところもめったに見ないけど」
と科学部の実験の合間に雑談しにきていた琴絵が言った。
 
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「ほんとほんと。一応男子部員は3年生に1人、2年生に3人、1年生にも1人いるはずなんだけど、姿を見ないね」と政子。
「石川先輩も全然来ないよね」とボク。
 
そんな会話をしていたら1年生の翠がキョトンとした顔をした。
「え?男子部員がいないって・・・唐本先輩は?」
「あ」「え?」
「あ、そういえば冬ちゃんって男子部員だったっけ?」と理桜。
「あんまし自信無い」とボクは笑って答えた。
 
「でも男子だけじゃなくて女子も少ないよね」
「だいたい部長も来ないし」
 
書道部の部長は一応3年生の静香先輩なのだが、谷繁部長の卒業で静香先輩は書道部に出てくる意義が薄れてしまったようで、めったに顔を見せなかった。
 
この年は、書道部はいくつかの大会に参加したが、そういう時は政子が部長代行と称して様々な手続きをすることが多かった。政子は2学期に部長を継承するつもりだったようだが、実際には文化祭の少し前の時期から超多忙になりとても書道部まで手が回らなくなったので、結局、理桜が部長を務めることになった。2年生の2学期は理桜と翠の2人でひたすら書を書き、理桜は五段の免状、翠も四段の免状を取った。
 
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2年生最初の体育の時間、体操服に着替えて授業が始まるのを待っていた時、「あれ?君女の子?」と声を掛けてきた子がいた。
「一応男の子だけど」と答えると
「あ、そうだよね。女の子は向こうで集合してるし」と彼は言った。
 
「でも雰囲気が一瞬女の子かと思った。ごめん」
「ううん。ボクはこんな感じだから。あまり男として扱われるより曖昧な感じで扱われるほうが好き」
「あ、そういうのもいいんじゃない?あるがままでいればいいと思う。無理に男っぽく振る舞う必要もないだろうし。あ、俺、佐野ね」
「ボクは唐本」
 
彼とは何となく並んで準備体操をし、一緒に組んで柔軟体操もした。
「触った感触も何となく女の子っぽい」
「あ、わりとボク脂肪が付きやすい体質みたい。それでけっこう身体柔らかいほうだし」
 
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その日はサッカーをした。7組対8組でやっていたが、ひたすら校庭を走り回った。「なんかたくさん走るなあ。けっこうきついや」と佐野君。
「あ、ボク走り回るのは平気」とボク。
「へー。すごいね」
「中学時代に陸上部してたから。中2の秋でやめたけど、身体がなまるから、その後もずっと時々早朝ジョギングとかしてたし。持久力だけはあるよ」
「おお、それは偉い」
 
8組の子がひとりドリブルでこちらの守備陣を突破してきた。巧みなボールさばきだ。この子は最初からひじょうにいい動きをしていた。サッカー部の現役或いは経験者だろうか?
 
ちょうどボクはゴールの近くにいたので全力でその進路に向かって走り、彼の前に立ちはだかるようにした。彼は近くに誰もいないと思っていたようで、ボクが進路を遮ったの見て、え?という顔をして一瞬停まり、それから左手に向かって走り抜けようとするかのような振りを見せたかと思ったら、そのままボールをシュートした。ボクはとっさにジャンプして身体でそのボールを停めようとしたが、ボールのスピードがあまりにも凄かったので、思わず胸の所に両手を組むように持ってきてしまった。その手の甲にボールがぶつかって、ボールは横にそれた。それを味方の生徒がゴールラインにクリアした。
 
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「コーナーキック?」
「いや。今手でボールをそらした。ハンドでPKだよ」
「ちょっと待って」と体育の先生。
 
「今のはなぜ手を胸の所に持って来たの?」と先生がボクに訊く。
「すみません。ボールのスピードが凄かったので思わず胸を守りたくなって」
 
先生は少し迷うような表情をした。その時、1年でも同じクラスだった菊池君がこんなことを言った。
「先生、勘弁してやって。唐本、女だからおっぱい守りたかったんだよ」
すると先生は納得したような顔をして
「意図的に手で軌道を変えた訳ではなく、また手は身体にくっついていたので、ハンドにはならない。よってコーナーキック」
と判定をした。
 
シュートをした子も仕方ねえな、という顔をしている。菊池君が手を挙げてこちらにサインを送る。ボクは彼に会釈を返してから頭を掻いた。
 
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ちょうど近くまで来ていた佐野君が言う。
「『唐本は女だから』ということばで、みんなが納得しちゃうんだ!」
「うーん。。。。」
 

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翌週、身体測定があった。ボクはちょっと困ったなと思った。1年生の時の身体測定では、みんなパンツだけになって並んで、身長・体重・座高を測られた。ちょっとパンツだけになるのは問題あるよな・・・・いくつかの点で。
 
そこでボクは身体測定の日を仮病で休んでしまった。それで翌週あらためて呼び出されて保健室で測定をされた。
 
「もう風邪は大丈夫なの?」と保健室の先生。
「はい。すみません。ご心配お掛けしまして」
「あの・・・・Tシャツ脱がなくてもいいですか?」
「あら?まだ少し調子悪い?」
「いえ、そういう訳ではないのですが」
「うん。いいわよ。Tシャツの分、これ厚手だから300gくらいかな。引いておけばいいし」
「はい、済みません」
 
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「身長166.8cm, 体重46.9kg, 座高85.1cm。痩せすぎ。この身長なら60kg欲しい」
「ええ。でも以前体重が50kgあった時は、身体が重くて辛かったです。どちらかというと、もう少し落としてもいいかな、という感じで」
「そう?まあ、それぞれベスト体重には個人差あるだろうけどねー。あれ?」
「はい?」
「あなた、足の毛が無いのね」
「あ・・・剃ってるので」
「へー。確かに最近男の子でも剃る子ときどきいるみたいね」
「はい」
 
「ね・・・・そのトランクス・・・・もしかしてトランクスじゃなくて・・・」
「フレアパンティです、すみません」
「ううん。別に構わないけど・・・・ね?もしかしてブラ付けてないよね?」
「あ・・・えっと。今日は付けてません」
「今日はか・・・ま、いっか。いや。引き算する下着の重さがほんとに300gで良かったのかな?と思っただけだから」
「あはは・・・500gくらい引いておいてもらえますか?」
「うん。いいよ。じゃ46.7kg BMIが16.7だな。BMIが18未満だとヨーロッパではファッションモデルになれないんだよ」
「じゃ、ボクは無理ですね」
とボクは笑った。
 
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「唐本さん。ひょっとして自分の性別で悩んでいるんだったら気軽に相談してね」
「あ、はい。ボクの場合『悩んで』はいないと思います。でも何かの時は相談させてください」
「うん」
 

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ゴールデンウィーク前半の日曜日。ボクは絵里花と貞子・美枝に呼び出されて遊園地に出かけた。ボクがなかなか「カムアウト」しようとしないので、度胸付けなさいよということで、ボクに女装させて一緒に遊園地でたっぷり遊ぼうという趣旨であった。ボクが着る服は絵里花が選んで持って来てくれていて、ボクは女物の下着だけ着けて、ふつうの服装で出かけていき、途中落ち合ったマクドナルドのトイレで着換えた。
 
トイレが男女別なので一瞬迷ったが、
「冬だったら、そのままの格好で女子トイレに入っても問題無い」
などと煽られて、ボクも「まあいいかな」と思い、女子トイレで服を着替えた。
 
ライトブルーのパーカーに膝丈スカート、ニーソ、というスタイルである。
「可愛いなあ」
とみんなおだててくれる。
「さ、今日は女4人でたっぷり遊ぼうね」
 
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ゴールデンウィークなので混むだろうということで、朝1番に遊園地に入ると、まずは人気のアトラクションを攻めまくる。当然コースター系が多い。
 
「ちょっと平衡感覚が・・・・」
「あ、男の子の方がこういうの弱いんだって」
「でも冬は男の子じゃないと思うけどなあ」
「でも一応付いてるし」
「取っちゃえばいいのにね」
「あはは。。。。今すごく取っちゃいたいかも」
 
しかしさすがに11時くらいになると、どうしても待ち行列に並ぶ時間が増えて行った。
 
「休日に遊園地に来ると、待ってる時間の方が遊んでる時間の数倍あるよね」
「これに乗った後は、早めに御飯食べて、2時くらいで上がっちゃおうか」
「それもいいかもね」
 
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夏の日の想い出・高2の春(2)

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