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■春足(13)

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(C) Eriko Kawaguchi 2021-10-24
 
それで雨宮先生はカエルの運転するGTC4 Lussoで、千葉の自宅に戻っていった。青葉と千里も矢鳴さんを呼んで帰宅しようかと思ったのだが、コスモスが言った。
 
「大宮先生、ちょっと霊関係でご相談があるのですが、お時間取れません?」
 
青葉は現在多忙すぎるので霊関係の相談は断っているのだが、コスモスは別である。
 
「いいですよ」
と言ったのだが、その時《姫様》が
『千里も連れて行け』
と言った。
 
それで青葉は
「ちー姉も付き合ってくれない?」
と言う。すると千里姉は
「1番の方が良さそうだから呼び出す」
と言った!
 
つまり土地絡みの案件かと青葉は思った。
 

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30分ほどで千里1がオーリスを運転してきたので、ここに居た千里は1番とタッチして、そのオーリスを運転して帰って行った。
 
「醍醐先生も大胆だなあ」
などとコスモスは言っている。
 
全く、全く。
 
それで結局、青葉と千里1はコスモスの専用車 BMW 225xe iPower Whiteに乗り、コスモスの運転で北方に向かう。
 

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やってきたのは、さいたま市内(旧岩槻市内)のマンションである。
 
コスモスはそのマンションの“敷地前”に車を駐めたが、降りるまでもなく用件は分かった。
 
「これはお知り合いのマンションか何かですか?」
と青葉は車から降りずに尋ねた。
 
「安く売りに出てたから、浄霊とかできそうなら買おうかと思って。以前から言っていた、主として独身者向けの社員寮に使えないかと」
とコスモス。
 
建設関係の話が続くなあと青葉は思った。筒石さんの新居に始まり、高岡の家の引越、そしてここの社員寮。
 
「ちー姉の見立ては?」
「マンションを建て替えるなら買ってもいい」
「同感」
 
「建て替えたら何とかなる?」
「このマンションの建て方が間違ってるんですよ。土地としてはそう悪い土地ではないです」
と青葉は言った。
 
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「そういうことなんだ!」
 
「気の流れを遮るように建物が建ってるから、建て直さない限り改善は不可能」
と千里が補足する。
 
「ポルターガイストとか起きてません?」
 
「不動産屋さんは口を濁すのですが、情報を集めたのでは、よく物音がしたそうです。誰もいないのにピンポンが鳴ったり。廊下を歩いていたら、いきなり足首を掴まれて転んだり。どうも自殺した人もあったみたいで。何度かお祓いとか祈祷とかしてもらったものの改善されなかったようです。それで住人が居つかなくて、もう1年ほど入居者ゼロの状態だったらしいです」
 
ああ、妖怪足つかみは、こんな所にも出没しているかと青葉は思う。
 

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「ここは土地は1000坪くらい?」
「1200坪。それが3500万円で売りに出てるのよ。でも現地を見た人はみんな帰っちゃうらしくて。ここ交通も不便だし」
 
「でも岩槻ICからあまり距離ないよね」
「そうなのよ。だから車前提ならかえって便利なのよ」
 
青葉は少し考えた。
 
「買うなら今日です。たぶん・・・」
と青葉が言って千里の顔を見ると
 
「来週には売れるね」
と千里が言う。
 
「じゃ買っちゃおうかな」
「3500万円というのは建物付きの値段?」
「そうそう。更地ならたぶんその倍は、すると思う」
「このマンション崩すのに7000-8000万かかるだろうね、普通の工務店なら」
「ちー姉のところなら1000万円で崩すよね」
「できる。何なら、このマンションをそのまま正しい位置と向きに移動させることもできるけど」
 
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「マジ?」
とコスモスが驚いている。
 
「ああ、播磨工務店ならやるかもね」
と青葉も少々投げ槍に言った。
 
「そしたらあっという間に使えるようになるよね」
「新しい場所の基礎工事の期間と配管工事の期間だけあればいい。でも建て直しても12階建ては1ヶ月半でできるけど」
「ユニット工法は3日で1フロアできるもんね」
 
「このマンション自体20年経ってるし、建て直した方がいいかなあ。昔の基準だと壁も薄いよね?」
「かなり薄いのもあるかもね」
「建て直す場合、12階建てマンションはお幾らくらい?」
とコスモスは千里に尋ねる。
 
「部屋の間取りは?」
「1フロアに2DK 4個と1K 8個。現在のとだいたい同じ感じで」
 
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と言い、コスモスがアバウトな絵を描いた。
 

 
これだと壁の厚さをどーんと0.2間(36cm)取っても青葉の計算では建坪191.36坪である。
 
(“普通の”マンションの壁は15-20cmと言われる。但し古い物には12cm程度しかないものもある)
 
延べ床面積はそれを12倍して=2296.32坪。ここは容積率200%なので1200坪の土地に、ちょうどこの大きさの建物が建てられる。ここは高さ制限は無い。どうもコスモスはこのあたりまでは設計図を描いて計算していたようだ。
 
「管理人室とかは?」
「1階にフロント、管理人住居に警備員室、売店・医務室・カウンセラー室・調理室。あ、そうそう。自動配膳設備も」
「了解。男子寮に作ったような虹色の部屋は?」
「希望者は自主的にその手の治療をしてくれる病院で。休みはあげるから」
 
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虹色の部屋って何よ!?と思ったが、1階を管理系で使うなら、住居は2-12F. 12x11=132室になる。
 
ここで初めて全員車から降りる。青葉は雪娘をコスモスに付けた。青葉と千里は自分の身は自分で守れる。
 
敷地内に入り、ビルの周囲を歩いてみる。千里姉はレーザーメーターで建物のサイズを計っていた。
 
「このサイズから逆算すると、この建物の壁は8cmくらいしかない。それに容積率オーバーしてる」
「ああ。建て直し確定」
 
ちー姉の計算はあてにならないけど(*10)、古いマンションは実際防音性が悪いものも多いし、自殺者も出ているなら建て替えた方が良さそうだ。
 
しかし雑霊が多い。見に来た人がみんな帰る訳だ。
 
(*10)実際はこの数値は今《こうちゃん》が実測してきた数値。彼の計算では容積率が220%あった。
 
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「ああ。だいたい分かった」
と千里は言った。
 
「社員寮は、女子寮みたいに防音にする必要は無いよね?」
「隣の部屋の生活音、上の階の足音が聞こえない程度ならいい。*オ*レ*みたいな安普請は困るけど。設備は無線LANや有線テレビなど女子寮新館に準じて」
 
「ムーラン建設なら12億円、播磨工務店なら8億円かな」
「播磨工務店なら工事も早いよね?」
「播磨工務店なら20日で建てる」
「凄い。さっき言った1ヶ月半というのはムーラン建設?」
「そそ。基礎工事1週間と3日×12Fで合計41日」
「播磨工務店だと?」
「並行作業するから、基礎工事は同じ1週間かかるけど、その後は3日×12F÷3で21日」
 
(ちー姉、7+3×12 = 43 だし、7+ 3×12÷3 = 19 だよ〜、と青葉は思うがまあ誤差の範囲だろうと思い、何も言わなかった。3番以外の千里は計算が適当である)
 
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「その÷3って何?」
と青葉は尋ねてみた。
 
「3班に分かれて、1,2,3階を同時に組み立てて、1階の上に2階を置き、その上に3階を置く。以下繰り返し。1階から12階まで貫通する鉄骨は最初から立てておくから、ずれることは無い」
と千里は説明する。
 
「普通の工務店にはできそうもない」
と青葉が呆れて言うが
 
「播磨工務店以外にはできないだろうね」
と千里も笑って言っている。
 
「タレント用住宅でもないし、播磨工務店に頼んじゃおうかな。彼らの実力はこれまでたくさん見てるし」
「OKOK。だったら、前橋を行かせるから、都合のいい時間を連絡して」
「ああ、前橋さんとか青池さんは安心感がある」
「南田は適当だし、九重は抜けが多いからなあ。4階建ての家に階段もエレベーターも無かったり(姫路の家の話!)」
「上島先生の家も階段の付け忘れがあったね」
「そうそう。雨宮先生に言われて、入居前夜に一晩で作った」
「まあドアの付け忘れくらいは補修してもらえば問題無いし」
 
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ちー姉、その南田さんにうちの新しい家を頼んだけど大丈夫?九重さんには筒石さんの家を頼んでたけどそちらも大丈夫??
 

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それでコスモスは不動産屋さんを呼び、この土地を買いたいと告げた。すぐに事務所に行き、売買契約を結んだ。
 
「古いマンションは崩さなくてもいいですか」
「はい。こちらで懇意にしている工務店に崩させますので」
「分かりました」
 
ということて、コスモスはその場で消費税込み3850万円を振り込んで、ここに社員寮を建設することにした。
 
春日部のスタジオはたぶん今後も使うと思うから、岩槻なら、そこにも近いし、女子寮まで(東北道を通って)30分程度で行けるので、マネージャーさんたちの住居としても便利である。
 
ただ、電車の駅に遠いし、バス路線は無いし、コンビニは100mほど行った所に1軒ある(*11)ものの、スーパーまでは2kmくらいあるし、一般的な感覚では不便な場所である。基本的にここは車が無ければ暮らせない場所だ。
 
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コスモスは女子寮その他との間にシャトルバスを運行するつもりだと言った。疲れているマネージャーが寝起きに自分で運転したらとても危険である。また買い出しは頼んでおけばまとめて買っておくことにする。
 
(*11) コスモスは市の許可を取ってマンションとコンビニの間の歩道にガードレールと30mおきに青い街灯を設置してしまった。青は犯罪抑止力があると言われている。設置費用や街灯の電気代は§§ミュージックの負担である。但し太陽光パネルを付けたので電力の大半はそれで供給される。更に青葉が津幡で導入した“警備ロボット”を導入し、女子の住人はコンビニに行く時はロボットを同伴するように言った。このロボットは各個体が女子社員たちにより勝手に命名され、彼女たちに可愛がられた。
 
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またこのコンビニはこの社員寮のおかげで売上が5割増えて(特に夜間の売上が凄く)夜間バイトを増やすことになる。
 

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「あ、そうだ。全部屋を防音構造にしない代わりに、地下にバンドの練習室とか作れないかな?」
「大まかなのでいいから図面書いて前橋さんに渡して」
「OKOK」
 

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青葉が東京に出ている間の10月17日(日曜“建つ”)、筒石の自宅が竣工して、引き渡された。本当は建設は一週間前の10月10日には検査まで完了していた。
 
しかし“吉日”を待ったのである。
 
10.11 十二直が“やぶる”
10.12 十二直が“あやぶ”
10.13 三隣亡
10.14 不成就日
10.15 神嘗祭の日なので遠慮する
10.16 十二直が“とず”
 
それで10月17日(たつ)に窓ガラスの保護シートを剥がして竣工とした。
 
ジャネが九重と一緒に家の中を見て回ったが、特に問題は無いようだった。九重は
 
「万一何か変な所あったら連絡下さい。すぐ補修に伺いますので」
と言っていた。
 
青葉は心配していたが、実際にはユニット工法の家で不具合が出ることはめったにない。
 
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その日の内に、予め頼んでいた運送屋さんの手でマンションからこの家に荷物を移動した。数日以内には播磨工務店のメンバーがマンションに来て、改修!?工事をする予定だった。その後で鍵を不動産屋さんに返却することにしていた。
 
ところがである。
 
これは地元のテレビのニュースでも流れ、ジャネも朋子もびっくりした。
 
元のマンションに大型ダンプが突っ込み、マンションが部分的に崩壊し、また少し傾いてしまったのである!
 
そんな大事故なのに、死者はいなかった。
 
実はこのマンションがあまりに安普請なので、住人は少なく、全部で12戸あるのに、筒石たちの他には3家族しか住んでいなかった。その内1家族は実家に不幸があり、そちらに行っていた。1家族はみんなでファミレスに食事に行っていた。1家族は在宅だったが、ダンプが突っ込んだのの反対側2階の部屋だったので、地震か!?と驚いたものの怪我は無かった。
 
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ダンプの運転手は重傷だが、命に別状は無いということだった。
 
そういう訳で・・・マンションはどっちみち崩すことになった。早めに壊さないと全体が崩壊する恐れもあるということだった。それで筒石たちはマンションを改修する必要が無くなった!それどころか御見舞い金までもらってしまった。
 

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その日、吉田が銀行が終わった後、放送局に来たら、真珠が声を掛けた。
 
「あのさ、ちんちんで全体重支えるの難しかったらさ、こういうのはどう?」
「まだその話かよ?」
 
「吉田のちんちんをクレーンで掴んでもらって、そのまま持ち上げてもらうとか」
「そんなことして、ちぎれたらどうするんだよ!?」
「その時はボクが責任取って吉田と結婚してあげるから」
 
「・・・結婚してあげるとかあまり安易に言わない方がいいぞ」
「でも吉田のウェディングドレス姿、可愛くなりそうだけど」
「俺がウェディングドレスなのかよ!?」
 
「だってちんちんなくなったら、もう女の子みたいなものだし」
と明恵まで言っている。
「ちぎれた時点で潔く女の子になる手術を受けてもらえばいいよね」
「やだよ」
「マコと2人ウェディングドレス同士で」
 
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「何ならちぎれる前にボクが記念のセックスしてあげようか」
と真珠(まこと)。
 
「・・・・しない」
「ボク女の子に入れた経験はあるんだけど、男の子に入れるのも多分同じ要領で行けるんじゃないかなあと思うんだけど」
 
「まさか俺が女役なのか!?」
 
「え!?だって吉田って受けだよね?」
「受け???」
 
吉田が意味が分からないようなので、明恵と真珠は顔を見合わせた。
 

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