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■春足(7)
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生理ネタは「やめましょうよぉ」とビーナ本人は言っていたが、
「小学6年生に生理が無いのはおかしい」
と言われ、羞恥心を殺して?台本通り演技した。
保健室に行って
「すみません。どこか怪我したみたいなんですけど」
と言って大笑いされる。ナプキンを持ってないと言うと1枚くれるが
「ナプキンくらい持ち歩いてなさい」
と言われる。
『しかし腹痛ぇよぉ。女って毎月この苦痛を味あわないといけないの?なんて大変なんだ』
演技が終わってから
「数ちゃん、ナプキンは何使ってんの?」
と石川ポルカから訊かれて
「センターインですけど」
と答え
「ああ、やはり数ちゃん、生理あるのね」
などと言われていた。
詩恩姉がニヤニヤしていた。
『不思議の国のアリス』は9/27-29日の3日間かけて収録された。
平日なので学校に行っている子たちが、放課後からしか稼働できなかったのと、もうひとつは、この朗読劇は§§ミュージックのオールスター出演となったため、まとめては日程が取れず3日間の分散収録となったのである。実際問題としてアクア・舞音・ビーナの3人については、各々の自宅・寮の自室までスタッフが行って、セリフ部分を収録している。
主な配役
アリス(Alice) 姫路スピカ
アリスの姉(Alice's sister LC?) 花咲ロンド
白うさぎ(White Rabbit) 白鳥リズム
ねずみ(Mouse) 恋珠ルビー
ドードー鳥(Dodo) 坂田由里
子鷲(Eaglet) 佐藤ゆか
インコ(Lory) 南田容子
アヒル(Duck) 山口暢香
羊(sheep) 高島瑞絵
蜥蜴のビル(Bill the Lizard) 中村昭恵
青いイモ虫(Caterpillar) 水森ビーナ
魚の従卒(Fish footman) 山下ルンバ
蛙の従卒(Frog Footman) 桜野レイア
公爵夫人(Duchess) 品川ありさ
料理人(Duchess's Cook) 七尾ロマン
豚声の赤ちゃん(baby) 山本コリン
チェシャ猫(Cheshire Cat) 常滑真音
三月うさぎ(March Hare) 石川ポルカ
帽子屋(Hatter) 原町カペラ
ヤマネ(Dormouse) アクア
スペードの2,5,7(庭師)三陸セレン・山鹿クロム・鈴原さくら
兵士(Soldier) 大崎志乃舞・今井葉月・鈴鹿あまめ
コーラス隊(Chorus) 甲斐姉妹・水谷姉妹
ハートの女王(Queen of Hearts) 高崎ひろか
ハートの王(King of Hearts) 西宮ネオン
ハートのジャック(Knave of Hearts) 花貝パール
首切り役人(Headsman) 川崎ゆりこ
海亀もどき(Mock Turtle) 町田朱美
グリフォン(Gryphon) 東雲はるこ
あらすじ。
アリスは姉に絵本を読んでもらっていたが、絵本のページは真っ白で絵も字も無い。何てつまらない絵本だろうと思う。そこに服を着た白うさぎ(White Rabbit) が走って来て穴の中に飛び込むので、アリスはそれに続いて自分も飛び込む。
うさぎを追いかけていく内、小さなドアのある部屋に入る。こんな所通れないと思ったが、飲み物を飲むと身体が小さくなった。ところがドアの鍵がテーブルの上に乗ったままで小さな身体では鍵が取れない。ケーキをかじると身体が大きくなったが、今度はドアを通れない。悲しくなってアリスは泣き出した。すると涙が池のようになった。
アリスは再び身体が小さくなるが、池の中に落ちてしまう。池の中でアリスはねずみたちに出会う。そして水からあがってから濡れた服を乾かすため、ドードー鳥、子鷲、インコ、羊、などと一緒にかけっこをする。
(ドードー鳥は1681年に目撃されたのが最後で物語の時点で既に絶滅している。“子鷲”と訳したのは eaglet, インコと訳したのは lory. Loryというのは系統的にはオウムに近いらしいが、写真を見るとオウムに特徴的な冠羽が無いようなので、ここではインコと訳した)
その後、蜥蜴のビル、犬などと出会うが大きくなったり小さくなったりして苦労する。やがて青い芋虫に出会う。彼はキノコの片方を食べれば大きくなり、もう片方を食べれば小さくなると教えてくれた。それで以降、アリスはそのキノコを持ち歩き自分の身体のサイズを調整できるようになる。
公爵夫人の家に行くと料理人が大量に胡椒(こしょう)を使っている。豚の声で泣く(人間の)赤ん坊を渡されるが、その赤ん坊は外に出ると本当のブタになって逃げて行ってしまう。チェシャ猫(Cheshire Cat)と出会い、彼と不思議な会話をする。
3月うさぎ(March Hare)と帽子屋、そして眠っているヤマネのティーパーティーに出席する。
(白うさぎは rabbit ラビットだが、三月うさぎは hare ヘアである)
庭に出ると、トランプカードの形をした庭師たち(スペードの2,5,7)が白い薔薇に赤いペンキを塗っていた。赤い薔薇を咲かせないといけなかったのに間違って白い薔薇を咲かせてしまったので、誤魔化すのに色を塗っているのだという。
しかしコーラスとともに登場したハートの女王に見つかり死刑だ!と言われる。クラブのカードの兵士たちに追いかけられるので、アリスは庭師たちを隠してあげた。
女王はアリスをクロッケー(ゲートボールの元になったスポーツ)の試合に連れて行くが、この試合はマレット(木槌)の代わりに生きたフラミンゴ、玉の代わりに生きたハリネズミを使うので試合はめちゃめちゃになる。
チェシャ猫の首だけが空中に浮かび馬鹿にするので女王は、あいつの首をはねろと言うが、首切り役人は、あの猫には胴体が無くて首だけなので、首を切ることは不可能ですと言う。
女王から、海亀もどきとグリフォンを紹介される。海亀もどきは「私が本当の海亀だった頃・・・」と昔話を始める。
裁判が始まる。誰がパイを盗んだのか?という裁判で、ハートの王が裁判官、ハートのジャックが被告人である。証人が呼ばれるが、最初の証人はお茶のカップを持った帽子屋である。ティーパーティーの最中に呼び出されたのでと言っている。2番目の証人は公爵夫人の料理人で「パイは胡椒(こしょう)でできている」などと言う。3番目の証人がアリスだった。
アリスは裁判官から「規則第42条では、背丈が1マイル(1600m)以上のものは退廷しなければならない」と言われる。アリスは「私はそんなに背が高くないし、そんな規則聞いたことない」と言う。裁判官は「これは最も古い規則だ」と言うが、アリスは「最も古い規則がどうして第1条ではないのか」と突っ込む。
裁判は結審し「判決を、その後で陪審員の評決を」と女王が言うので、その順序はおかしいとアリスが言う。女王は怒って「こいつの首をはねろ」と言う。アリスが「あんたたち、ただのトランプじゃん」と言うと、トランプのカードたちは空中に舞い上がり、アリスに向けて落ちてくる。アリスはそれを手で払いのけた。
ふとアリスが気付くと、アリスは姉のそばで眠っていた。
「ずいぶん長いお昼寝だったね」
と姉は優しく言った。
(姉の名前は原作では出て来ない。しかしアリスのモデルとなったAlice Liddellの実の姉はLorina Charlotte Liddell (通称 LC) のみなので、この物語を元にしたドラマ・お芝居・映画では、ロリーナという役名になっていることもよくある)
この『不思議の国のアリス』は、実は10月に撮影を行う長時間ドラマ『八犬伝』に向けて演技感覚に慣れてもらうための練習も兼ねているので、敢えて全員参加にしたのである。
『不思議の国のアリス』の監督は『八犬伝』の助監督を予定している矢本かえでさんにお願いしている。つまり矢本さんにとっても『八犬伝』の主要な出演者の感じを掴む助けになるようにという配慮があった。
『不思議の国のアリス』は色々な意味で『八犬伝』のリハーサルになっていた。
その八犬伝の撮影は、熊谷・郷愁村のオープンセットを使い、10月1日(金)から始まった。10/01(金)の夕方、出演者を熊谷に集めてホテル昭和に入れ、台本を配布する。Zoomを使って監督(白原さん)・制作者(コスモス)から、全体的な説明があった。
・八犬伝のあらすじ
・曲亭馬琴について
・主な配役紹介
・八犬士および主な登場人物に関する簡単な説明
・撮影の進め方
・撮影中の注意(主として感染対策)
「曲亭馬琴(きょくていばきん)という名前は、曲(くるわ)で馬琴(まこと)というダジャレで、みんな遊びで恋愛している遊郭でマジになる野暮な男という意味」と監督が説明しても半分以上の子が首を傾げているので、監督は“遊郭”とは何かを説明するはめになった。
ソープみたいなものと言っても、女子中学生にはソープが分からない!“売春”というものの説明までするはめになるが、女子たちが怒っている!それで江戸は男が女の1.5倍もいる圧倒的に男が多い社会だったので、結婚できない男が多く、それで遊郭が必要悪だったという説明でなんとか納得!?してくれたようである。
「女が少ないから陰間(かげま)もはやったんだよ。“おかま”の語源ね」
と、うっかり川崎ゆりこが口をすべらせたら、陰間の説明までするはめになり苦労していた。
「でも女が足りなかったら、男同士の恋愛は大いにありですよね」
などと女子中学生たちはこちらには理解を示したようである。
(話が八犬伝からかなり逸れた)
主な出演者の紹介では、犬塚信乃(アクア)、八房・犬村大角(常滑舞音)、犬川荘助(町田朱美)、犬飼現八(白鳥リズム)、犬坂毛野(水森ビーナ)、犬山道節(恋珠ルビー)、犬江親兵衛(七尾ロマン)、犬田小文吾(西宮ネオン)、伏姫(東雲はるこ)、浜路(姫路スピカ)、玉梓・船虫(坂田由里)、丶大法師(高崎ひろか)、赤岩一角(品川ありさ)と紹介されたが、居並ぶ“凄い人たち”に混じって紹介された坂田由里は
「私まで紹介してもらうなんて」
と恐縮していた。
なお、舞音は八房のぬいぐるみを着ていて、大いに受けていた。
(紹介された13人の内男は何人か?とポルカが質問したら「1人」(ネオン)という意見が圧倒的だった。リズムを入れて2人、アクアを入れて3人という意見もあったが、ビーナを数えた人は誰もいなかった!)
“丶大法師”(ちゅだいほうし)は、みんな「読めん!」と言っていた。
この説明はホテル赤城に入っているエキストラさんたちも聞いた(観覧オンリーで、質問などは専用SNSに書き込んでもらった)。
なお、アクア・葉月・舞音・水谷姉妹・ラピスラズリ・舞音・ビーナ・鈴鹿あまめといった多忙な子たちは、この日は熊谷には入らず、女子寮や大田区サテライトから接続して説明を聞いた。
実際の撮影作業は10/02(土)から始まる。
撮影は学校に行っている子たちが大量参加するので、基本的には土日と平日の夕方以降(17:00-22:00)を使って進める(今年は10月に祝日が無い!)。
今回の監督は大和映像の白原俊樹さんで、助監督は『白雪姫』で第2撮影者を務めた矢本かえでさん、それに撮影者として田崎潤也(主として合戦や立ち回り関係)、芳本みえこ(主としてラブシーンなど)の2名が入っている。
これは、実は“平行撮影”をするためである。
同日同時刻に、白原監督+田崎撮影者(S班)、矢本助監督+芳本みえこ撮影者(Y班)という2つのペアが別の場面を撮影する。これは八犬伝というのが、元々8人の犬士が主人公なので、出演者がダブらない場面が多いからできることである。
大塚村→芳流閣→古那屋→刑場破り→荒芽山、まではほぼ直線(神隠しが分岐するだけ)だが、その後、小文吾の対牛楼、現八の庚申山、信乃の甲斐物語が並行進行になる。
今回、熊谷に大規模なセットを建設したが、出演者の多くが東京の中学高校に通っているので、毎日熊谷に連れて行くことは困難である。
そのため、§§ミュージックでは、女子寮から30分!で移動できる春日部市郊外に900坪(60m×50m)の土地を3500万円!で5月に購入し、ここにサブスタジオを建設していた(町外れだから安いが、町外れだから撮影に使うのには便利)。なお、郷愁リゾートの八犬伝村は3000坪である。
春日部のスタジオはまずこの土地に45m×40m×14mの倉庫を建て、その倉庫内に多数のセットを造り込んだ(多くは一時的なセット:日中に組んで夕方から使う)。
こういう仕組みにしたのは、ひとつは天気と無関係に撮影ができること、もうひとつこちらが重要だが、平日は学校の関係で日没後からしか撮影ができないので、その時間帯に昼間の場面を撮影できるようにするには、こういう仕組みが必要だったことがある。
倉庫は雨音が響いてはならないので、二重屋根・二重壁にした上で内屋根・内壁の裏側(内側)に防音材を貼り付けている。外屋根・外壁はスレートの上にサウンドプルーフを貼り付けている。壁を森林に偽装するため壁の前には樹木を植えて小川も作っているが、これも防音に寄与した。
(樹木を維丁目3持するのに必要な光は光ファイバーで引き込み、撮影が行われない時間帯に光を当てている)
実際10月1日に関東地方に接近した台風16号による大雨でも倉庫内で雨音はほとんどしなかった。この日は撮影は無かったものの、セット作りの作業をしていた人たちが、あまりに静音なので、コンビニに行こうとして大雨に気づき驚いたりしたらしい。
陣中見舞いに来た美高鏡子さんも
「この仕様、川崎のセットにも欲しかった」
と羨ましそうに言っていた。『ピーターパン』の撮影では、大雨の間に撮影したものは、あとから声をアフレコで録り直したりしたらしい。
なお、川崎の“大広間”セットは30m×30m×10mで、この倉庫より狭い。
今回の撮影では、天気の関係で、熊谷で撮影する予定だったものを急遽春日部で撮影したものもあった。
基本的に平日は春日部のサブスタジオで、土日は熊谷の郷愁村で撮影する。
エキストラは日曜日に動員する(エキストラの人たちには水曜の夕方か木曜朝からホテル赤城に入ってもらう)ので、エキストラが必要な撮影は日曜日に行う計画である。
“人が揃う”ところで撮影するという方針なので、物語の順序と撮影の順序はかなり入り乱れる。それで監督からは各自、今全体のどのあたりを撮影しているかを把握してから撮影に入って欲しいという要望がなされた。
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