【女子中学生・ミニスカストーリー】(1)
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(C) Eriko Kawaguchi 2022-08-13
8月10日(火)、司は母に
「じゃ行ってくるね」
と言って、“お着替え”を持って出掛ける。
「まあ楽しんでらっしゃい」
と母も笑顔で送り出してくれた。
母には友だちに誘われて札幌へ泊まりがけで遊びに行ってくると言った。すると
「女装旅行ね」
と言われたので、
「えへへ」
と照れ笑いした。
費用はお小遣いの貯めたので行けると言ったのだが、母は「何かのために」と言って1万円もくれた。
雅海の家に行き、一緒にお着替えする。お互いに変な所が無いかチェックする。眉毛の整え方は2人とも自信が無いので、結局雅海のお母さんにやってもらった。
「うん。これでふたりとも可愛くなった」
と雅海の母は満足げである。
母の運転する車で留萌駅まで送ってもらい、予め確保していたチケットで改札を通った。2人は結局“取り敢えず往路は”JRを使うことにした。
留萌8/10 12:15-13:11深川13:18(スーパーホワイトアロー16号)14:20札幌
約束の時刻は18時であるが、万が一にも遅刻してはいけないので、早めに行くことにした。母が留萌駅の売店でお弁当を買ってくれたので、深川までの列車の中でそれを食べた。
札幌に着いてからは念のため現地を見て確認した上で、JRタワーで時間調整をした。司はここは初めてらしかった。なおトイレはもちろん女子トイレを使うが2人で一緒に行ったら、お互い心強かった。
17;30に集合場所に行ったら1番乗りだった。白浜さんが歓迎して握手してくれた。前回のライブの時にも居た部長さん?みたいな男の人(実は社長の斉藤!)も居た。
レギュラーのパトロールガールズの人もいる、この人はえっとオーリンさんだ。本名は確か横川鈴美さんだったかな。
「おはようございます。オーリンさん。まさみとつかさです」
「おはよう。マサミちゃん、ツカサちゃん」
とオーリンさんが笑顔で挨拶を返してくれるので、司は優しそうな人だなあと思った(実際オーリンは温和な性格である)。
「これ、つけて」
と言われて、白浜さんからヘアバンドをもらい、雅海は赤、司は青のヘアバンドを着けた。
その後、次々と参加者が到着する。前回雅海と一緒に踊った小樽のヨシミちゃん、千歳のトーコちゃんも来たので雅海はお互い手を振った。でも夕張の**ちゃんは来ていない。都合がつかなかったのかなと思った。
(実は前回動きの良かった子“のみ”にパトロールガールズの衣裳も送ったし参加も呼びかけた。**ちゃんは動きが微妙だったので落選)
18時になる。集まったのは20名である。どうも前回の参加者にお友達を連れてきてもらったのに加えて、一部一般募集したようであった。話を聞いてみるとダンスしている所のビデオを送ってもらって選考したらしい。それって上手い人ばかりなのではと雅海は思い、少し不安になった。
「明日踊ってもらうダンスの基本パターンを少し練習してもらいます」
とオーリンが言い、全員動ける服装で部屋の中央に出てと言われる。慌てて長いスカートをショートパンツなどに穿き換える子、靴を履き替える子、アクセサリーを外す子などが居た。
雅海と司は「練習があるかも知れないよね」と言って、裾の広がったストレッチ素材の膝丈スカートにスニーカーだったので、そのまま参加する。
動きは簡単なものだったし、雅海も司もあらかじめパーキングサービスのビデオを見て全ての曲のダンスを練習していたので、問題無く踊れた。ヨシミちゃんやトーコちゃんも、ちゃんと練習していたみたいでしっかり踊っていた。しかし、何人か、練習していなかったようで、苦労していた子もいた。
練習は30分くらいで終わり、
「お疲れ様でしたぁ。今日はこれで終わりです。各自適当に夕食を取って休んで下さい。宿泊はお隣の札幌流星ホテルです。お部屋の鍵を渡しますね」
と言われ、全員にカードキーが渡される。
しかし集合場所と宿泊場所が違うのか!
(むろん情報拡散を防ぐための処置)
お友達同士で来ている子はツインになっているようで、まとめて1つ渡されていた。雅海と司は705という番号の入ったカードキーと何やら封筒を渡された。
封筒は部屋を出てから開けてみると札幌流星ホテルの朝食券2枚、そして夕食代と書かれた小さな封筒があり、中身を見ると10000円も入っていたのでびっくりした!なんかディナーが食べられそう(実際ディナー代だと思う)。
でも雅海と司は
「ぼくたちはこういうのがいいよねー」
と言って、サイゼリヤに入り、ハンバーグセットと、ピザを食べた。
ドリンクバーをお代わりしながら1時間ほど過ごした。交替でトイレにも行く。むろん2人とも女子トイレに入るが、ファミレスやコンビニの女子トイレは、スーパーやデパートの女子トイレよりはハードルが低いので緊張せずに利用できた。
サイゼリヤで充分休んでからホテルに行き、指定された部屋に入る。
「わりと広いね」
「うん。もう少し安い宿を想像してた」
などと言う。
交替でお風呂に入る。
男の娘?同士なので全く気兼ねが無い。先に雅海が入り、その後で司が入った。
司がお風呂から上がると雅海が何か悩んでいるようである。
「どうかしたの?」
と司が訊くと、雅海は
「今、明日のスケジュール表がメールで届いたんだけどさ」
と言って、そのスケジュール表を示す。
「ライブの後、プールでツアービデオと写真集の撮影というのが入ってる」
「へ!?」
「プールということは水着?」
「だよね。きっと」
雅海は白浜にメールした。向こうから電話が掛かって来た。
「ごめーん。それ急に話が浮上して。さっきの説明会で言うの忘れてたのよ。今参加者から問合せの電話たくさん入ってて、ひとりずつ説明して納得してもらっているところ」
などと白浜さんは言っている。
(この事務所は白浜がいつもオーバーフローしているのが最大の問題)
「あまり水着姿に自信無いんですけど」
「ツアーの記念だけだから。主として映るのはパーキングサービスになる。パトロール・ガールズはその後ろに並んで立つだけだから映るのはほぼ顔だけ。体型までは分からないと思うよ。実は今回は各公演箇所で様々なパトロール・ガールズたちが登場するから、その記念写真という意味もあるんだけどね。写真集とビデオへの出演ギャラは後日追加で払うから。どうしても嫌なら今回はキャンセルということでもいいけど」
雅海は
「分かりました。だったら顔だけでよろしくお願いします」
と言って電話を切った。
なお水着はパトロールガールズでお揃いのものを支給するらしい。
「映るのが顔だけというのはいいけどさ」
「うん」
「水着を着た時に胸が全く無いというのが大きな問題」
「だよねー」
「といって、今回のお仕事をキャンセルする気にはならない」
「うん。今回のバックダンサーやりたい」
「どうしよう?」
と2人は悩んでいたのだが、やがて司が言った。
「あまり気が進まないけど、あの人に頼ろうかな」
と言って、司はある人物に電話を掛けた。
きーちゃんはその夜は明後日12日からの千里たちの合宿の準備で道場の床の状態をチェックしたり、足りないものが無いかを確認したりしていたのが、そこに司からの電話を受ける。
「ハロー、司ちゃん。女の子になりたくなった?」
「貴子さん、ちょっとご相談があるんですけど」
「なんか面倒そうね。今どこに居るの?そちらに行こうか」
「札幌に来ているんですが」
「正確な場所を教えて」
「札幌市北区**−**−**札幌流星ホテル7階の705号室。友人と2人で泊まっています」
「了解了解。じゃ10分くらいでそちらに行くね」
それできーちゃんは、同じホテルに泊まっている客の中で電話に夢中になっている女性を“いけにえ”にすることにし、彼女と位置交換で札幌に来た。その部屋の鍵を持って部屋を出る。そして705号室に向かった。
部屋の前で電話を鳴らして中に入れてもらう。
「こちら、貴子さん。不思議な力を持っているんだよ」
と司は、彼女を紹介した。
(雅海の睾丸を取ったのはP大神で、雅海にはきーちゃんは関与していない)
貴子は2人の話を聞いて言った。
「じゃ2人を女の子に変えてしまえば問題解決?」
と貴子は言う。
「女の子に変えるんですか?」
と雅海が不安そうに言う。
「邪魔なちんちんもたまたまも無くなって可愛い割れ目ちゃん、ヴァギナ・子宮・卵巣ができて、素敵なおっぱいもできるよ。痛みとかは無いよ」
「きゃー」
と雅海は不安がっている(嫌がってはいない)。
「でも24時間後には男の子に戻してもらえますよね?」
「君たちがどうしても男の娘に戻りたいと言うなら、不本意だけど、男の娘に(←司が言ってるのと同音異義語)戻してあげてもいい」
「あ、男の子に戻れるんですか?」
と雅海。
「ただ最低24時間おかないといけないらしいんだよ」
と司。
「戻れるんなら、いったん女の子になってもいいかな」
と雅海。
「でしょ?」
と司。
「24時間限定の女の子ライフ。ひと夏の体験だね。じゃ2人とも女の子にしていい?」
と貴子は再確認する。
「はい」
と司と雅海は答えた。
「じゃ眠ってて。次に目が覚めた時は君たちは可愛い女の子だよ」
と貴子は言った。
白浜はパトロールガールズの参加者からのメール・電話の対応に追われていた。
雅海たちのように単に「恥ずかしいです」とか言っている子には穏やかに話すと納得してくれるのだが、中にはかなり強い抗議をする子もいる。
「女子中学生に何の事前説明もせずに、いきなり水着撮影すると通告するって詐欺だと思います。おたくはそんな事務所なんですか?」
向こうがかなり怒っているのを本当に純粋なミスであることを説明し謝罪して納得してもらうのにかなり苦労したし、かなりの時間を要した。
「あれ?なんか周囲の様子が変」
と、白浜は電話している内に周りの風景が変わっているのに気付く。
しかしすぐに次の着信がある。
「はい、白浜です。はい、ごめんなさい。それ事前に説明するのが漏れてて」
と言って、誠心誠意説明する。
白浜の電話対応は2時間ほどに及んだ。
「結局、合格者(*1)全員と話したぁ」
と、白浜は電話を終えるとぐったりした。
それであらためて周囲を見回すと、ちゃんと自分の部屋に居る。
「何か別の場所にいる気がしたのは気のせいかな」
と白浜は呟いた。
(*1) スケジュール表をメールしたのは“練習”の様子を見て斉藤社長が“合格”と判断した子だけである。ここで動きをチェックするために全員に色違いのヘアバンドを着けさせた。不合格の子には“オーディション”終了後、個別に連絡して今回は参加を見送らせて欲しいこと、ギャラと交通費はちゃんと払うことを説明した。
だから本当はいったん解散した後、合格者のみを電話で呼び戻した上で、水着撮影についても説明し、承認を得た上でスケジュール表を渡すべきだったが、白浜がいつもオーバーフローしているので、そこまで頭がまわらず、いきなりメールしてしまったので参加者たちを困惑あるいは怒らせた。
ホテルの一室である人物は半分戸惑いながら自分のバストを触っていた。
「このくらいあればいいだろ?」
と男は言った。
「ありがとう。いつかはするつもりだったから。それを今日しただけだから」
「チンコも取ってやろうか?寝てる内に終わるぞ」
「それはまだ気持ちの整理が」
「分かった。じゃ睾丸だけにしとく」
「え〜〜〜!?」
それで男は去って行ったが、自分の睾丸が無くなっているのを触って確認し、その子は叫んだ
「こーちんちんの馬鹿ぁ!」
翌朝、雅海は爽快に目が覚めた。
「なんかぐっすり寝たみたい」
と思うが、この段階では頭が働いていない。
いつもの習慣でベッドから起き上がり、トイレに行く。便器に座っておしっこをした段階でギョッとする。
何このおしっこの出方!?
と思って自分のお股を見ると、ちんちんが無くなっている。そしておしっこは身体の随分後ろの方から出ている。
あ、そうか。女の子にしてもらったんだ!
ふと気付いて胸を触るとそこには可愛い2つの膨らみができてる。
すごーい!
おしっこが終わり、トイレットペーパーを取って拭くが、かなり後ろの方まで手を伸ばさないと拭けないので、女の子って全然違うところからおしっこしてるんだなあと思った。雅海は通常タックしているので、普通の男の子よりかなり後ろの方で拭いている。しかし今拭いた場所はそこよりずっと後ろである。(元々雅海のちんちんが短いという問題もある)
手を洗ってからベッドに戻る。毛布の下でドキドキしながら自分の身体を触ると、完全に形が変わっているので、女の子ってこういう形なのか!と感動した。クリトリスとおしっこの出て来たところ、更にヴァギナの位置も確認したが、ヴァギナには恐くて指を入れたりすることはできなかった(自分の指にヴァージンを捧げる必要は無いと思う)。
ぼーっとしていたら、隣のベッドの司も起きたようで、トイレに行って来た。彼女が戻ってきてから
「おはよう。これ凄いね」
と言った。
「おはよう。凄いよね。このままずっと女の子のままで居たい気分にならない?」
「悩む〜」
「でも今夜、再度貴子さんが来たら、『男の子に戻りたい』としっかり言いなよ。曖昧な態度だったら『じゃ女の子として可愛く生きてね』とか言われてそのままにされちゃうから」
「あはは。ぼくまだ女子中学生する勇気無いや」
「沙苗ちゃんとか勇気あるよね〜」
(ふたりともセナのことは忘れている)
それで2人で一緒にホテルの朝食を食べに行く。和朝食と洋朝食を選べるので2人とも洋朝食を選んだ。焼きたてのロールパン(好きなだけ取れるので2人とも3個取った)、マーガリンかジャム(2人ともイチゴジャムを取った)、スープ、ハッシュドポテト、野菜サラダにウィンナーとスクランブルエッグ、といったものである。また紅茶・コーヒーがお代わり自由なので、2人ともコーヒーを選びミルクと砂糖をたっぷり入れた。
「割と美味しいね」
「うちの朝御飯より豪華だ」
などと言っていたら2人ともメールが着信する。見ると白浜さんからである。
《水着の件は本当にごめんなさい。社長とも話し合った結果、今回は全国的にパトロールガールズは水着ではなくてムームーで撮影することになりました》
とある。
「ムームーだって」
「ムームーなら、おっぱい無くても平気だよね」
「あはは。だったら女の子になる必要無かった?」
「まいっか。女の子体験は悪いこととではない」
「うん。ちょっと楽しみ」
(8/11 Wed)朝9時にホテルのロビーに集まる。
でも人数が少ない!?
昨日の説明と簡単な練習の時には20人いたのだが、今居るのは16名である。質問があったので斉藤社長が答えた。
「昨日の練習の時に、みんなと動きのタイミングが合っていなかった人には残念ですが、ご遠慮して頂くことになりました」
それでみんな昨日の“練習”は実はテストだったのか!ということに思い至った。
「こういうのではやはりダンス自体の上手下手より、みんなと合わせられるかが大事なんだろうね」
と隣に居た小樽のヨシミちゃんが言う。雅海も
「たぶん上手下手で言ったら私は落とされる」
と言う。
「私より上手いのに!」
とヨシミは言った。
結局前回参加していた6人とそのお友達4人は全員ここにいる。どうも一般応募の人10人の内の半数近くが落とされたようだ。かなり厳しい選考かも?きっとタイミングの問題だけでは無い気がした。
(実は個性の強すぎる子も外した:一般応募者はタレント志向の強い子が多く結果的に個性が強すぎた。ごく普通の女子中生・女子高生の方がバックダンサーには良いのである)
なお、前回・今回とも参加した6人(小樽のヨシミ、函館のヨーコ、帯広のサユリ、苫小牧のカンナ、千歳のトーコ、留萌のマサミ)は後に“伝説の北斗六星”と呼ばれることになる。
ここでヨーコというのは桜川陽子で、後のチェリーツインの“少女X”であり、トーコというのは内野透古で、後のタレント・内野音子(うちのねこ)である。また、サユリというのは、後の作曲家・樋口花圃である。
地方パトロールガールズの初期メンバーには他に北陸方面の“日本海5”(XANFUSの吉野美来を含む)、関東方面の“八州8”(ローズ+リリーのケイを含む)などもあるが、北斗六星は特に“出世した人の密度が高い”。またお互いの交友も長く続いた。
しかし、この6人の中に男の娘が2人も混じっていたことには(本人たちも含めて)誰も気付いていない。白浜が5月に大通公園で道行く女子中高生を呼び止めた時、比較的長身かつ、丈夫そうで2時間倒れずに踊ってくれそうな子を選んだ結果、男の娘率が上がった。
斉藤社長からあらためて水着の件の謝罪があり、全員お揃いのムームーを着ての撮影になったことが再度説明される。ただ折角プールに行くので、プール内で解散するが、その後は自由にプールで遊んでいいこと、そしてお詫び代も兼ねて水着代として全員に2万円を支給することが説明された。思わぬボーナスに歓声があがる。
「もちろん撮影のギャラとは別ね」
と社長は付け加えた。
この2万円は今ここで配られた。なおプールに行く前にスポーツ用品店に寄るので、水着はそこで好きなのを買えばいいですよということだった。
マイクロバスに乗って、会場の札幌文化ホールに入る、ゴールデンウィークの時は定員1300人の札幌きららホールだったが、今回の札幌文化ホールは定員が2000人である。パーキング・サービスも次第に人気が上昇してきているのだろう。
ここでまずは衣裳合わせをする。前回参加者はそれを身につけてもらい、新規参加者には事前提出されていたサイズに基づき「これかな」というので渡されるが、それでは合わない子もいて、交換する。前回参加していた千歳市のトーコちゃんはスカートのウェストが合わず交換になった!
「私ダイエットすべきかなあ」
「中学生の内は極度の肥満でない限りは大丈夫だと思うよー」
やはり前回参加者で、函館のヨーコちゃんはバストがきついのでブラウスが交換になる。
「羨ましい」
とヨシミちゃん。
「私も次はブラウス交換になりたい」
とトーコちゃん(後の内野音子)は言っていた。
司は初めてのミニスカート体験で、それだけでドキドキしていた。
「これって下半身に何も着けてない感じ」
と司が言うと、
「実際そうだと思うよ。下半身が下着だけだったら逮捕されるから、スカートちゃんと穿いていますというただの言い訳」
と苫小牧のカンナちゃんが言っていた。
「そうそう。パンツ見えててもミニスカ穿いてればお巡りさんには捕まらない」
とサユリまで言っている。
「私、初めてミニスカ穿いた時は思わず興奮してオナニーしちゃった」
などとカンナ。
女同士の気安さでオナニーとか言っているのだろうけど、ミニスカでオナニーと聞いて雅海や司はドキドキしていた(2人は女の子のオナニーのしかたを知らない)。
「そういう過激な発言は人前ではしない方がいいよー。誰が聞いてるか分からないから」
と心配そうにトーコが言っていた。
本番衣裳をいったん脱いで、練習用の衣裳を渡されるのでそれに着替える。そしてリハーサルをする。
それで10時から11時まで1時間掛けて、本番の倍速で、主としてステージへの出入りや立ち位置などについて練習をした。前回はぶっつけ本番だったから結構混乱したよなあと雅海は思った。
「お疲れ様でしたー。本番まで休んでてください」
と言われるので、全員練習用の衣裳を脱ぎ、汗を掻いた下着も脱いで汗拭きシートで身体を拭き。替えの下着を着けていったん普段着に着替える。
当然控室では女子たちがみんな裸になる。雅海は司に「平常心、平常心」と耳元で囁き、自分も裸になって汗拭きシートで汗を拭いては下着交換した。司もプールやお風呂に連れて行かれた時のことを思い出し、気合を入れて裸になり、汗を拭いてから下着交換した。
お弁当が配られるのでそれを食べてお昼御飯とする。雅海・司は何となく、小樽のヨシミ、千歳のトーコとその友人ミミカの5人でおしゃべりしながら食べることになった。
「トーコちゃんって、どんな字書くの?」
「透明の透に、古いの古」
「子供の子じゃないんだ!」
「そうそう。電話とかで伝えると説明してても高確率で子供の子にされちゃう」
「でも珍しい書き方だね」
「うちのお母ちゃんが『イティハーサ』という漫画が好きで、その主人公の名前“透祜”(とうこ)から取ったらしい。“祜”の文字が常用漢字に無いから“古”にしたんだって」
と彼女は紙に名前を書いて説明した(*2).
(*2) 彼女の名前は後にトーコ→トコ→おトコちゃん→音子(おとこ)→音子(ねこ)となって“内野音子(うちのねこ)”が芸名として定着する。彼女が猫好きというのもあった。
“うちのおとこ”時代は男性と誤解され、男性用の控室に放り込まれたが、開き直って堂々とそこで着替えていたので
「君、ニューハーフさん?」
などと言われていた。
“うちのねこ”にしてくれたのは、山田犬次郎(後のケンネル)で、彼があれこれ芸事の基本を教えてくれたので、音子はケンネルを“師匠”と呼び慕っている。
だいたいみんなお弁当を食べ終えた頃、
「ダンス自体に不安がある」
という声があり、何人か自主的に練習を始める。
さっきのリハーサルでは出入りやライティング(照明)などの確認がメインだったので、実はダンス自体は全く練習していない。
「私も不安だぁ」
という声が次々にあがり、結局全員での練習になる。
お世話係?も兼ねて同室していた、レギュラーのパトロールガールズ、オーリンとテルミが指導してくれて、結構本格的な練習になった。
「そうか。ここはこういう動きだった」
「ああ、ここ勘違いしてた」
などという声もあがるが、
「みんなしっかり覚えてるじゃん」
とオーリンは言っていた。
やはりみんなビデオとか見て練習してたんだろうなあと雅海は思った。
またオーリンは練習しながら、ガールズたちの“並び”を入れ替えていった。
「あんたはここに来て」
などとやっている。
どうも上手い子を適度に分散させて、やや不安のある子は隣かその隣に上手い子を見ながら踊れるように調整しているようだ。色々入れ替えられた結果、16人の“北海ガールズ”の中で、雅海は7番目(ほぼ中央)、司は10番目、ヨシミが4番目、ミミカが13番目に配置された。左右両端、つまりオーリンとテルミの隣はヨーコ(桜川陽子)とトーコ(内野音子)になった。この2人は、オーリンとテルミが前面に出てパフォーマンスする時はお手本無しで踊る必要があり、完璧に覚えていなければならない。つまりこの6人がいちばんしっかり踊っていると判断されたようである。
「これ以上やると疲れて本番がもたないから少し休もう」
ということになり、12:15頃に自主練習は終了する。
でも「汗掻いたぁ」と言ってまた着替えてる子が居る。雅海も汗を掻いたのでまた裸になり、汗拭きシートで身体を拭いて下着交換した。
「汗掻きってほんとみたいね」
とヨシミちゃんが言う。
「5月の時は『私汗掻きだから』と言って裸にならないのは、おっぱいが小さいからかなと思った」
などと言っている(正解!)。
「おっぱい小さいよぉ」
「大丈夫だよ。この程度あれば男の子と間違えられる心配は無いから」
と言って触られる!(きっと触って“本物”かどうか確認している!)
「あはは」
男の子ですみません!
12:30. 本番用の衣裳を着けて下さいという指示があり、全員着替える。前半は青いプラウスと黒いミニスカートである。着替えた人から順次ステージ用のメイクをしてもらう。派手派手のメイクに司が「きゃー」と言っていた。
12:45. 舞台袖に行き待機する。先ほど指示された順序に並ぶ。
客席のざわめきが凄い。
12:55. 1ベルが鳴る。ロビーに居た人が客席に戻るので、足音が結構する。
やがて2ベルが鳴り、客電が落ちて緞帳がアップする。バックバンドPandasの演奏が始まる。雅海たちパトロールガールズがテルミを先頭に走り込んで(最後尾=リーダーがオーリン)踊り出す。
観客(ほとんどが中高生男子)の歓声が凄い。
そしてパーキングサービスの6人が3人ずつ上手・下手から出て来て歌を歌い始めた。最初は『ひと夏の冒険』からだが、手拍子や掛け声が凄く、雅海も司も『これって物凄い快感だ』と思った。
1時間ほどのパフォーマンスをした所で、パーキングサービスはお色直しのため退場する。ステージではパトロールガールズの18人が前方に出て来て音楽に合わせて踊り続ける。左右両端のオーリンとテルミが他の子たちの前でチアリーディングみたいな動きをして、バク転などのワザもするので歓声があがる。しかしミニスカートてのバク転って“危険”だよなと司は思った。
パトロールガールズだけのパフォーマンスは10分ほど続き、最後はオーリンの空中ひねりの大技まで出るので凄い歓声と拍手があった。
そこにパーキングサービスが後半の衣裳で出て来て、後半最初の歌『あなたのキッスはスピード違反』を歌い出すので、また大きな拍手がある。
パトロールガールズはこの1曲だけ付き合ってから退場し、着替えと水分補給をする。ブラウスをオレンジ色のものに交換する。メイクを直してもらう。そしてまたステージに出て行く。
そしてアンコールまでひたすら踊る。最後の曲はデビュー曲の『あなたは私の心に駐車違反』であった。
「お疲れ様でした〜!」
「着替えたらプールに移動するよ」
「ひゃー」
司はメールが入っていたことに気付いた。貴子さんからで
《女の子状態はどう?ずっと女の子のままでいたいと思わない?》
という文面である。司は微笑むと返信した。
《結局苦情多数で、水着撮影はキャンセルになりムームーでの撮影になりました。プール内で解散になるから、その後は各自自由に自分の水着で遊んでねということ》
《水着は持って行ってた?》
《プールに行くとは思わなかったから持って来てないです》
《取って来てあげようか》
《取ってこれるんですか?》
《ちょっと待ってて》
すると1分ほどした所で突然別の場所に来るので「わっ」と思う。
あれ?ここ、ぼくのうちじゃん、と思ったらすぐまた元の控室になる。
そして雅海が
「司ちゃん、これ」
と言って、水着を渡してくれた。
司の兄・隼(はやと)は、自分の部屋で携帯に表示させたAVモデル“みほちゃん”のヌード写真を見ながら、ある行為に励んでいた。そしてとうとう目的を達成して、凄い開放感があり、急速に興奮度が下がっていく。生産物をきれいにティッシュで回収していたら、突然周囲の様子が変わる。
「え?何?何?」
と思ってよく見ると、どうも女性の部屋のようである。
内装がペールピンク基調だし、ベッドにもピンクの布団が掛かっている。大きな姿見があり、そこにはレースのカバーが掛けられている。そして何よりも良い香りがする。
「俺なんでこんな場所にいるの?」
と思ったが、それより万一こんなところでこんなことしてるの見付かったら、不法侵入・痴漢の現行犯で逮捕されるぞと青くなる。未成年だから実名は報道されないだろうけど、高校は退学処分、少年院に送られるかも?
などと次々と嫌な想像が頭をよぎる。
取り敢えず、危険物は服の中に収納したが、どうしよう?
と思っていたら、自分の部屋に居た。
隼は周囲を見回した。
「俺の部屋だ。良かったぁ!」
と安堵して、隼は取り敢えず、大の字に寝転がった。
そして5分後に気付いた。
「俺の携帯どこ??」
まさか今の女性の部屋に忘れてきたとか?
そういえばびっくりした時に、手から離したような記憶がある。
どうしよう?
女性の部屋で俺の携帯が見付かったら・・・
携帯の持ち主はすぐ分かる。それでやはり俺、不法侵入の疑いで逮捕されて、警察に厳しく取り調べられて、やはり高校は退学、少年院???
と隼はまたまた悪い想像をして不安な気持ちになった。
きーちゃんは司からの連絡を受けると、取り敢えず司の自宅で、隣の部屋で秘密の行為をしているお兄さんと位置交換で司の家に入った。そして司の部屋に入り、少し考えてから、衣裳ケースの中に入っている可愛い水着を取り出す。
司は女物の服が増えすぎてとうとう隠せなくなり、母から
「女の子の服はここに入れなさい」
と言われて、リラックマ(*3)の衣裳ケースを買ってもらったので、女物はそれに全部収納している。他にビニールの衣裳ロッカー(キキララ!)も買ってもらったので、セーラー服はそこに掛けている。
きーちゃんは水着と水泳帽・ゴーグルを持つと、司自身と位置交換で札幌に来た。そしてびっくりしている雅海に「これ司ちゃんに渡して」と言って水着を渡し、すぐに司の自宅に戻る。そして、司の兄の部屋に戻ってから兄との位置交換で自分の家に戻った。
(*3) リラックマは2003年に登場。それまで流行っていた、たれぱんだ(1995-)の地位に取って代わるような形で流行し始めた。たれぱんだのピークは1999頃と言われる。
キキララ(リトルツインスターズ。リトルツインシスターズではない!そもそもキキは男の子。ララは女の子)は1970年代には小さな子供向けのキャラとして流行したが、一時期の人気低迷後、1990年代に女子高生に愛される形で復活。ハイティーンに愛されるキャラになった。
ヨシミは「さすがに2時間のダンスは疲れたなあ。でも楽しかった」と思いながらお着替えをしていた。すぐ隣にマサミとツカサがいる。マサミはお着替えの最中だが、ツカサは携帯でどうもメールをしているようだった。
ところがその司の姿が一瞬30歳くらいの女性の姿に変わる。
え!?
と思ったら、すぐまた司の姿に戻った。
「今ここに30歳くらいの女の人居なかった?」
と雅海に訊く。
「知らないよ。もしかしたら司の守護霊が見えたのかもね」
と雅海は答えた。
「私、霊感あるよって友だちのレオちゃん(*4)って子に言われたことある」
とヨシミは言った。
(*4) 佐藤玲央美である。玲央美は姉の小登愛ほどではないが、わりと霊感がある。
15時半頃、パトロールガールズ全員でマイクロバスに乗り、会場を出発する。なお、パーキングサービスの6人はライブ終了直後にワゴン車で会場を脱出している。
ロードサイドのスポーツショップに寄る。めいめい好みの水着を買っている。高校生のサユリちゃんは、大胆にもビキニを選んでいる。
「私たちもビキニ着る?」
「ビキニを着るには胸が不自由だ」
などと中学生たちは言い合っていた。
「司ちゃんは選ばないの?」
「私はたまたま水着持って来てたんだよ」
「へー」
30分ほどで全員水着を買い、マイクロバスは出発。16時半頃、ガトーキングダムに到着した。受付は先に来たスタッフが済ませているので、更衣室のロッカーの赤い鍵(むろん女子更衣室の鍵である)が配られる。それで更衣室に行き、みんな水着に着替えた上で、その上に渡されたムームーを着た。
「ツカサちゃん、すっごい可愛い水着持って来てる」
「こないだお友達とプール行った時に乗せられて買っちゃったんだよ」
「ああ、誰かに乗せられないと、なかなかここまで可愛いのは買わないよね」
プールに出る。プールの一角を仕切って撮影用に確保している。パトロールガールズが並びスタンバイしたところで、パーキングサービスが入ってくると客の中から歓声があがった。パーキングサービスは全員ビキニである。同じデザインの色違いのを着用している。それで15分ほど掛けて撮影をしたが、パトロールガールズはムームーになったことで顔だけでなく、結構身体まで写された。これは特に苦情は出なかった。何と言ってもムームーは体型がよく分からない!
そして17時半に撮影は終了し、解散となった。更衣室で白浜さんが全員にギャラを手渡しした。ギャラは結局本番の分が3万円とプールでの撮影の分が1万の合計4万である。それに各々申請した交通費の精算分も追加されていたようである。マサミたちは自宅から駅までは親に送ってもらったからバス代も不要と言ったのだが、一応最寄りバス停を確認されて往復バス代相当額を追加でもらった。
白浜さんは「年末に源泉徴収票を送ります」と言っていたが「ゲーセンチョーヒョーってなんだろう?」などとほとんどの子は思っていた。
プールで1時間半ほど遊んで、19時になるので、雅海・司、良美、透古と美々花の5人は
「そろそろ上がろうか」
と言ってプールを出る。
「結構身体が冷えたからお風呂で暖めてから帰ろうよ」
という話になる。
「お風呂?」
と雅海が思わず言うが
「3階にあるんだよ」
というお答え。
「へー」
と言ってから司は雅海に
『大丈夫だよ』
と耳元に囁いた。雅海も頷く。
それで5人でお風呂に向かった。
「こちらは女湯だよ〜。万一ちんちん付いてる人は向こうの男湯に行ってね」
などと言いながら女湯の暖簾をくぐる。
それで全員脱衣場で裸になるが、雅海も司も開き直って裸になった。
「どうやらちんちん付いてる子は居なかったようだ」
と良美。
「ね、ね、5月の時も思ったけど、***ちゃんって少し怪しいと思わない?」
と透古が言っている。
「でもおっぱいあったよ」
「女性ホルモン飲んでれば大きくなるよ」
「へー」
などと言いながら、雅海はぼく女性ホルモン飲んだ方がいいのかなあ、などと思っていた。(自分も“怪しい”と言われていたとは思いもよらない)
「まあそのあたりは個人情報ということで」
と良美が言って、この話は終了する。
「取り敢えずここには怪しい子は居ないようだ」
ということで、浴室に行く。
一応身体を洗った後、様々な浴槽があるので、みんなであちこち冒険していく。高温風呂は手を付けただけで「パス」と良美が言ったが
「ジャンケンで負けた人が入るのは?」
と美々花が言い、ジャンケンするとその美々花本人が負けた。
「うっそー!?」
「言い出しっぺ、頑張れ」
ということで美々花は高温風呂に入ったが
「あちー!!」
と言ってすぐ飛び出して来た。
その後近くの水風呂に飛び込んでいた。
「心臓麻痺起こさなきゃいいが」
最後は陶器風呂で結構長時間おしゃべりしていた。
お風呂に1時間ほど居て、20時過ぎにあがり、この5人で食事をした。食事の間も会話が弾む。
(パーキングサービス及びレギュラーのパトロールガールズは4人以上での飲食が禁止されているが、地方ガールズはそこまで制限されていない)
そして21時頃、シャトルパスで札幌駅まで移動してホテルに帰着。部屋の前の廊下で手を振って別れた。
司が貴子さんに電話すると、貴子さんは5分ほどで来てくれた。
「司ちゃんこれ」
と言って貴子さんが携帯電話を渡す。
「これは?」
「お兄さんに渡しておいて」
「はい」
確かにこれは兄の携帯電話だけど、なんで貴子さんが持ってるのだろうと思ったが気にしないことにした。
「女の子体験どうだった?」
「楽しかったです」
「じゃ女の子のままにする?」
「すみません。男の子に戻してください」
「まさみちゃんも?」
「はい、男の子に戻して下さい。ただぼく睾丸は取っていたので、男の子に戻した上で睾丸だけ取ることできます?」
「うん。それは全然問題ない。睾丸のついでにペニスも取ろうか?」
「睾丸だけでお願いします」
「ペニス無くたってバレないのに。他人に見せることないもん」
「立っておしっこできないから不審がられます」
「個室ですれば何も問題無い」
「でもまだちんちん取る勇気無いから」
「じゃちんちんある状態に戻すけど、女の子になりたくなったら、いつでも私を呼んでね」
「はい」
それで貴子は2人に言った。
「ふたりともベッドに入って目を瞑って。次起きた時は残念だけど男の娘だよ」
なお貴子は今回近くの部屋に居た帯広のサユリと位置交換で札幌に来たのだが、サユリは携帯で友だちとの会話に夢中になっていたので、自分が一時的に移動していたことには全く気付かなかった!
翌日(8/12 thu).
雅海と司は不快な気分で目が覚めた。各々自分の身体に触ってみて、男の身体に戻っているのを確認すると、溜息をついた。雅海は睾丸を確認するがちゃんと無くなっていたのでホッとした。司は乳首を確認したが、ちゃんと小さくなっているのでがっかりした。
ふたりは
「また女の子になりたいなあ」
「でもあまりやってると、もう男の子に戻りたくなくなる気がする」
などと言い合った。
司は『せっかくまた女の子になれたのに“女の子の構造”をじっくり観察する時間無かったなあ』などと思っていた。昨夜ではなく今朝男の子(男の娘?)に戻してもらったら“観察”する時間が取れたのだが、あまり下心が無いこともあり、それは思いつかなかった。
一緒に朝食を食べに行く。昨日が洋朝食だったので、今朝は和朝食にした。ご飯と味噌汁、焼き鮭・生卵・味付け海苔、ひじきの炒め物、切り干し大根、という構成である。
「野球部の合宿した時にさあ。朝食に、生卵・海苔・納豆が出たことあって。悩んでる子が居た」
「何で?」
「生卵を掛けてしまうと御飯が無くなる。海苔で御飯が無くなる。納豆を掛けると御飯が無くなる」
「司ちゃんはどうしたの?」
「納豆を掛けて、生卵も掛けて、海苔で挟みながら食べた」
「それしかないよね〜」
「何時ので帰る?」
「帰りはさ、JR使うと寝過ごして旭川まで行っちゃいそうだからバスにしない?」
「あ、それぼくも思った。昨日けっこう疲れたもんね」
ということで2人は高速バスで帰ることにしたのである。
札幌駅11:20-14:06留萌駅
朝食を終えるとチェックアウトする。
せっかく札幌に来たのでふたりで“勇気を出して”レディス・ファッションのお店に入り、可愛いワンピースを買っちゃった!そしてフィッティングルームを借りてそれに着替える。
「なんか凄い可愛いね」
「こういう可愛いの着れるのは女の子の特権だよね〜」
などと言った。
お土産に白い恋人など買い、バス乗り場に行く。そして留萌行き高速バス“るもい号”に乗り込むが2人とも疲れが出て、ぐっすり眠ってしまった。
目が覚めたのはもう13:40頃である。
「お母ちゃんに電話しなきゃ」
と思って、雅海は母の携帯に電話する。
「14:06に留萌駅前に着く予定なんだけど」
「あら、あんたたちバスにしたの?てっきり14:21のJRかと思ってた」
(この列車に乗っていたら、千里Yと一緒になり、特急は指定席だからお互い気付かなかったとしても、深川から1時間千里とおしゃべりしながら帰ることになっていた:結局どっちみち千里と遭遇したのである!)
「ごめーん。JRだと深川で起きれなくて旭川まで行っちゃいそうで。実際札幌出てすぐ眠っちゃって、さっき目が覚めたんだよ」
「私今ジャスコに来てるのよ。東橋(あずまばし)で降りない?それでジャスコの中で待ち合わせようよ」
「それでもいいよ」
それで雅海と司は車内でトイレに行ってから、13:56に東橋でバスを降りた。ここがジャスコの最寄りバス停である。
ジャスコの敷地内に入り、駐車場を横断して建物内に入る。
そして待ち合わせ場所の方に行こうとしていたら、バッタリと、千里や沙苗たちと遭遇した。
司は『なんかぼく女装する度に千里ちゃんと遭遇しない?』などと思っている。
(過去に女装中の司が遭遇したのはほとんどが千里G。今日遭遇したのは千里R)
向こうは女の子5人の集団である。千里、沙苗、誰か背の高い女の子(清香である)、見た記憶はあるけど名前が思い出せない女の子(工藤公世!)と高校生くらいの女の子(弓枝)。
千里は言った。
「買物来たの?今日は暑いね。もう服着たままプールに飛び込みたいくらいだよ」
「私たち、昨日プール入ったけど、今日も入りたいくらい」
と雅海が答えた。
「ふたりで深川のプールにでも行ってきたの?」
と沙苗が訊いた。
「ううん。ガトーキングダムに」
「あそこいいよね。私も先月行った」
と千里が言った。
それで何となく無難な話をして雅海と司は千里たちと別れた。
14:10に待ち合わせの予定だったのだが、雅海の母は14:15頃に来た。
「遅くなってごめーん」
と言っていたが2人を見ると
「すっごい可愛くなってる。もう男の子ですと言うのに無理がある。あんたたち2学期からはセーラー服で通学しなよ」
と母は言った。
母の車で雅海の自宅に戻り、ここで“司は”男装に戻った。
「男の子の服を着ても女の子にしか見えない」
「うーん。なんでだろう」
と本人は悩んでいたが、そのまま雅海の母が司を自宅まで車で送ってあげた。
「すみませーん。私が迎えに行けば良かったですね」
と司の母は恐縮していた。
「でもあんた女の子らしさが増してる」
「そうかなあ」
(きっと24時間女の子として過ごして、顔の表情が女の子っぽくなったため、とここでは思っておこう!)
それでともかくも帰宅した司は居間にいた兄に
「はやと兄ちゃん、これ」
と言って貴子から預かった携帯を渡した。
「なんでこれをお前が持ってるの!?」
「よく分からないけど、ぼくの荷物の中に入ってた」
「お前の荷物の中に!?なんでだろ?」
「さあ。何かで紛れ込んだのだと思うけど」
隼(はやと)は訳が分からなかったものの、女性の部屋の中とかで発見されたのでなくて良かったぁと思った。
そして何気なく折り畳みを開けると、いきなり“みほちゃん”のヌードが表示されるので、ぎゃっと思って慌てて閉じた。
母がしかめっ面をしていた。
8月13日(金).
千里Yは朝から学校に出て行く。
「わあ、千里久しぶり〜」
と数子が歓迎する中、女子バスケット部の練習に参加する。
ずっと運動とかしてないのに、自分の体力がちゃんと持つので何でだろうと思った。実際今日の合宿では雪子と友子は早々にダウン。最後までやっていたのは数子・千里・留実子の3人だけだった。
(VがYに、GがRに1年4ヶ月にわたってロックオンしているので、YとV、RとGの身体は現在完全連動している。それでVが毎日運動しているのでYも運動に慣れた身体になっている)
なお、この日の千里は貴司から話しかけられてもほぼ無視していたので
「細川、あまり浮気するから嫌われたんじゃないの?」
と佐々木君から言われていた。
(8/13 Fri) 夕方練習終了が宣言されるが千里は帰り支度である。
「帰るの?」
「だって私が帰らないと、家族が御飯食べられないし」
「明日は?」
「神社のお客さんが多いから来られない。ごめんね」
お盆はお寺だけでなく神社も結構混む。
「まあいいや。秋の大会は参加してよ」
「そうだなあ。考えとく」
と言って、千里は町に出てAコープに寄ると、タマネギ・ニンジン・ジャガイモ、ブナシメジ、豚肉、ハウスバーモンドカレー甘口(父はこの味が好き;先日カノ子はうっかり中辛を使ってしまい「味が違う」と父に言われた)、明治ブルガリアヨーグルトを買い、バスで帰宅する。
そして御飯をセットしてからカレーを作る。タマネギ・ニンジン・ジャガイモを切ってマーガリンで炒め、お肉も入れて炒める。ストックしているS&Bのカレーパウダーを小さじ1杯ほど振り掛ける。明治ブルガリアヨーグルトを入れて最初は野菜の水分とヨーグルトのみで煮る。(明治ブルガリアヨーグルトが一番良く、雪印ナチュレがギリギリ許容範囲。他のどうかしたヨーグルトを使うと香料が強くてカレーの味を台無しにする)
バラしたブナシメジを入れ、お水を追加して15分煮る。そしてカレールーを入れて3分ほど掻き混ぜたらできあがりである。
カレールーには甘口を使っているがカレーパウダーを入れているので、結果的には中辛程度の辛さになる。でも父はバーモンドカレー甘口のフルーティーな深みが好きなのである。
ちょうどカレールーを投入したところで、帰港した父を迎えに行っていた母の車が到着する。
「おおいい匂いだ」
「お父ちゃん、お母ちゃん、お帰り。お疲れ様。もうすぐごはん出来るからね」
と千里は声を掛けた。
8月13日、旭川では、朝から越智さんが来て、千里・清香・公世に稽古を付けてくれた。
「工藤君はだいぶ足腰がしっかりしてきたね」
と褒められた。
「ここ半月くらい毎日20km走ってたもんね」
「それは偉い。今週も毎日20km走ろう」
ということで、朝晩に10kmずつ走ることにし、弓枝が自転車で伴走することになった。
でも公世のジョギング・シューズはこの日の夕方のジョギング中に穴があいてしまった!ジョギングは中止して、きーちゃんが車で迎えに行き、そのままスポーツ用品店に連れて行って新しいジョギング・シューズを買ってあげた。
「1ヶ月で穴が空いたんですか!」
とお店の人が驚いていたが、毎日20-30km走っていたというと
「それなら穴も空くかもしれませんね」
と納得していた。この手のシューズの寿命はだいたい500-600km程度である。つまり寿命の倍くらい使っている。
この日は、昼から、学習塾の合宿に行っていた柔良と玖美子も合流して、千里・清香・公世・沙苗・弓枝・柔良・玖美子という7人での合宿になった。これに越智さんが加わって同時に4組の対戦が発生する。道場の3つの試合場は代表組に譲り、柔良と玖美子は主として本棟のLDKで竹刀を合わせていたが、弓枝がこちらに来て、組み合わせを交替したりもした。
公世もこの2人からは1本取れる(でも1本取られる)ので、自分は、前田・沢田よりは多分少し上だけど、姉や沙苗より少し下で、木里・村山には遠く及ばないようだ、と自分の位置付けを認識した(完璧に女子の中の位置づけになっている)。
柔良が来たので、清香の裸での素振りのおっぱいの動きを見る役は柔良に交替した!それで沙苗もホッとした。柔良は「またかい」と思っている。
なお13日以降はこのように寝た。
No.2 公世・弓枝
No.3 沙苗・千里
No.4 清香・柔良
PfRoom 玖美子・コリン
玖美子とコリンはピアノ室に布団を持ち込んで寝ている。
8月13日(金).
この日は、夏休み中ではあるが、野球部は特に許可を取って練習日にしていたので、司は朝からユニフォームを着て出て行こうとした。
が!
ズボンが入らない!?
あ・・・・・
また女の子になって男の子に戻ったから、体型がまた少し変化したんだ!
そけでその日、司は学校の体操服のズボンを穿いて出て行き
「すみません。ズボンが入らないので替えて下さい」
と申し入れた。
「何cmの穿いてたんだっけ?」
と女子マネの生駒さんから訊かれる。
「76cm」
「嘘!?福川君、スリムなのに」
「お尻が入らないんだよ。ウェストは物凄く余るんだけど」
「うーん・・・」
生駒さんは司のウェストとヒップをメジャーで測って言った。
「福川君、提案だけど、女子ソフト部のユニフォームのズボン穿かない?」
「え〜〜!?」
「だってこれ完全に女子の体型だもん。男子の79cmのズボンとか穿いたら、ウェストを15cmくらい絞らないといけない。動きにくいよ。うちの野球部とソフト部ってユニフォームのデザインが同じだからさ」
それで生駒さんはソフト部マネージャー栗林さんに電話して承認を得ると、ソフト部から練習用・ホーム用・ビジター用の3本のW66のズボンを調達してきた。女子用ということで少しドキドキしながら穿いてみる。
「うん。ピッタシ。これでOKだね」
と生駒さんは満足げであった。
司も確かにぼく普通のズボンはW66の女子用穿いてるから、この方がいいのかもと思うことにした。
しかし1時間後、司は「このズボンでは立ってトイレができない!」ということに気付くに至った!
でもさすがに学校の備品のユニフォームは改造できないので、以降、司は練習用を含めて、ユニフォームを着けている時は個室を使うことになった。
なお学生スボンは後で穿いて確認して問題無いことを確認した。
その日の練習が終わってから、司は雅海に電話した。
「え?ズボンが入らないことないかって?」
それで持っている学生ズボンを穿こうとしたのだが、ヒップがつかえて入らない!
これどうしよう?
母に相談してみた。母はメジャーで雅海のウェスト・ヒップ・もも回りと測ってくれた。
「この体型なら男子用のズボンが入る訳ない」
と母は言った。
「あんたもうズボンはやめてスカート穿いて学校行きなさいよ」
「恥ずかしいよぉ」
母は腕を組んで考えていたが、やがて言った。
「じゃ、女子用のスラックスを買おうか」
「そうか。その手があったか」
それで母は雅海にスカートを穿いて一緒にジャスコに行こうと言ったが、雅海が恥ずかしいというので、結局体操服のズボンを穿いて出掛けることにした。
「たくさんスカート姿で出歩いているのに今更だと思うけどなあ」
と母は言っていた、
それでジャスコの学生服売場で
「この子の体型に合う通学用スラックスを下さい」
と言って、買い求めた。
「涼しくなるとスラックスを穿かれる女子さんが増えますよね」
などと売場のお姉さんは言ってサイズを確認して女子用スラックスを売ってくれた。
雅海が男の子とは夢にも思わなかったようである。
冬用なので今の時期に穿くのは少し暑いが気にしない。取り敢えずこれで雅海のズボン問題は解決した。
なお雅海は学校では(学校以外でも)女子トイレを使っているので、司のように「立っておしっこできない」という問題は発生しないし、そんな問題が起きていること自体に気付かなかった!(どっちみちタックしているから小便器は使用不能)
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【女子中学生・ミニスカストーリー】(1)