【女子中学生・ミニスカストーリー】(2)

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セナは8月3日に4度目の生理が来た。生理も4度目になると完全にもう“日常”になってしまい、ごく普通に処理した。数日前から予兆があったのでナプキンをつけておいたらこの日来た。またいつものように生理用のショーツを着けておくと漏れる心配も無いので、安心である。
 
なお前回(7/6)の生理の時に「生理の邪魔にならないように」千里ちゃんが特別なタックをしてくれて、生理が終わったら戻してあげると言っていたのだが、千里ちゃんは忘れてしまったようで(千里は元々物忘れが酷い)、セナの特別タックは放置されていた。
 
それでセナのお股の形は7月4日以来、ずっとほぼ女の子の形そっくりの状態になっているのである。タックであるのにも関わらず疑似割れ目ちゃんを開くことができて、おしっこの出てくる所はかなり後ろにあるのに、ペニスの先端はかなり前にあって、まるでクリトリスのようである。ペニスの軸はうまく隠してあるようで、まるで無いように感じる。
 
それでまるでクリトリスみたいなペニスの先をいじると、男の子の形にしている時にはかつて感じたことのないような物凄い快感があり、ハマってしまいそうである。逝っても何も出ないが、それはやはり睾丸取っちゃったからだろうなと思う。実際には男の子みたいに鮮明に到達する感じではなく高い所に登って維持してる感じになり、気持ち良さが継続する。
 
セナとしてはこのタックで特に困ることもないので、そのことを特に千里には言わず、そのままにしていた。そしたらもう次の生理が来てしまった。
 
「別にちんちんとか、あっても特に使わないし、クリトリスみたいな感じにまとめられた先端が気持ちいいし、ずっとこのままでもいいかな」
 
とセナは思っていた。
 
また千里はセナの家に女性ホルモン剤が届くように手配すると言っていたのだが、結局それは実行されていない!どうもそれも忘れられているようだ。でも女性ホルモン剤など飲んでいないにもかかわらず、最近乳首が立つようになり心持ち胸が膨らんできている気がする。もしかしたら睾丸を取ったことで身体が女性化し始めたのかもと思い、様子を見ているところであある。
 

沙苗は6月7日にS医大の診察を受けた後は、7月15日に裁判所から性別訂正認可の報せが届いていたのだが、その後、旭川合宿・道大会と続いたので、S医大に報告を兼ねて診察を受けに行ったのは7月31日(土)になった。
 
主治医は幹部を診て悩むようにした。
 
「君、性器の形成手術とか受けてないよね?」
「何も受けてません」
「信じられない」
と主治医は声を挙げた。
 
実は2月に陰嚢の皮を“仮留め”して作っていた“疑似大陰唇”が本物の大陰唇状に変化してきているのである。また“先端固定”していた陰茎から尿道口が離れ始めており、陰茎の軸が左右に分離しかけていた。女性的形状に変化しようとしているかのようである。
 
「どうしたらこういうことが起きるのか僕の理解を超える」
などと先生は言っていた。
 
次の診察は8月下旬に受けることにした。
 
なお沙苗も8月3日に4度目の生理が来た。それで8/3-4日は朝のジョギングは免除してもらった。
 

8月14日朝、留萌のS中体育館に、千里Bがぶつぶつ文句を言いながら姿を現した。この日はバスケット部の合宿2日目である。昨日は千里Yが顔を出したものの1日だけで帰ってしまっていた。
 
「あれ?千里、今日も参加できるの?」
と数子が声を掛けると
 
「何か少し身体動かしてきなさいと誰かに言われた気がしたから出て来た」
などと千里は言っている。
 
実は千里Bがずっと冬眠しているので、千里GがA大神様に言ったのである。
「ずっと寝てたら筋肉が衰えてしまいますよ。たまには運動させましょうよ」
 
それで千里BはA大神に起こされ、ここに転送されたのである。
 
冬眠から覚めたのは7月上旬に札幌に祖父の古希の祝いに行った時以来である。
 
それで千里Bは女子バスケット部の練習に参加する。スリーは好調に決まるので数子が
「ほんとに調子いいね。これなら秋の大会はR中に勝って優勝できるかも」
などと言う。ところが千里は
「私は男子だから女子の大会には出られないし。雅代ちゃん頑張ってね」
などと言っているので、数子は首をひねる。
 
そしてこの日の千里は午前中の練習だけで疲れてしまったようで、ダウンしていた。
「やはり2日目となるときついよね」
と同じくダウンしている友子が言う。
「え?私は今日初めて出てきたんだけど」
と千里が言っているので、友子も首をひねる。
 
貴司は恐る恐る千里に近づいて来て
「調子はどう?」
などと言う。
 
「あ、貴司、最近なかなかデートできなくてごめんねー」
などと千里は言っているので、どうも今日は機嫌がいいようだと思う。昨日はなんであんなに怒ってたんだろうなと思うが心当たりが多すぎる!
 
それで千里が貴司と楽しくおしゃべりするので、貴司も、どうやら機嫌は直ったようだと思った。そして今日の千里は千里の方から貴司に手を伸ばして握手した。
 
千里は夕方練習が終わっても帰る様子は無いので、今夜は泊まるのかな?と思っていたら、夕食が終わった所で姿を見なくなる。
 
「あれ?やはり帰った?」
と思い、久子が自宅に電話を掛けたら千里が出るので、やはり帰宅したのかと納得した。
 
「千里、明日も出てこれる?」
「え?私は昨日も言ったように神社の方が忙しいから行けないよ」
「でも今日は出てきてくれたじゃん」
「行ってないけど。今日は1日神社に居たよ」
 
ということでさっぱり話が通じなかった!
 
むろん電話に出たのは神社から戻ってきた千里Yで、今日合宿に参加した(本物の)千里Bは1日稼働して疲れたので冬眠に戻っちゃった!
 

15日朝、「もう面倒くさいなあ」と文句を言いながら学校に出て来たのは、千里Bを装った千里Vである。なお、14-15日の2日間は、千里VがQ神社のほうに
 
「バスケット部の合宿に参加するので休ませてください」
と連絡して、細川さんから承認を得ている。しかし細川さんに“合宿に出る”と言っちゃったので、今日も“千里が”合宿に出る必要があり、千里Bが消えてしまったので、仕方なくVが自分で出て来たのである。
 
「あれ?千里結局今日も参加してくれるんだ?」
と数子は言いつつ、千里って、さっぱり訳が分からないと思う。
 
Vの方は「私、バスケットなんて自信無ーい」と思っていたが、結構身体は動く。また、この千里は毎日5kmのジョギングをしている(*5)ので結構な体力がある。それで今日の千里は途中でへばらずにずっと練習を続けていた。
 
(*5) 毎朝、Gと交替で走りに行く。交替で行くのは、司令室を留守にできないし、そもそも千里が2人並んで走っているのを人が見たらびっくりする!からである。
 
また今月いっぱい、Vはジョギングの後、滝行をしながら精神を研ぎ澄ませる祝詞を唱えている(なお北海道はお盆も過ぎたら完全な秋でありこの後は結構寒くなる)。
 

この日の昼食はフライドチキンを大皿に盛ったものが出てみんな奪い合うように取って食べていたが、千里は取らない。
 
「千里少し取ってあげようか」
と留実子が言ったが
 
「ごめーん。私、今月はお肉とお魚を断ってるから、るみちゃん食べて」
と千里は言い、持参の高野豆腐の煮付けを食べていた。
 
留実子は、昨日は千里、普通にトンカツ食べてたのにとは思ったものの、本当に千里の分まで加えて?4人分くらい食べていた。
 
「君は、お盆の間は精進料理とかいう家ではないよね?(*6)」
と久子さんが訊く。
「そんな家あるの〜?」
 
(*6)筆者もそういう風習は知らないが、筆者の高校時代の担任の家では、お祖父さんが亡くなるまではお盆期間中は精進料理だったらしい。祖父が亡くなってから子供たちの総意でその習慣をやめたと言っていた。恐らく昭和40年前後か?
 

夕方近く、女子の練習を何となく見ていた田代君が伊藤先生に言った。
 
「村山はほんとによく遠い所からシュート入れますよね」
「彼女はゴール下からのレイアップシュートは結構外すのに、遠くからのスリーは高確率で入れるよね」
 
「見てて思うんですけど、村山って撃つ時にほとんどフリーになってるでしょ?誰もチェックしてない所で伸び伸びと撃ってる。やはり女子のプレイヤーは男子ほどスピードが無いから、あそこまでフリーになれるんでしょうね」
 
すると伊藤先生は言った。
「そう思う?だったら試してみようか?」
 

そこで今回の合宿の最後に、男子vs女子の練習試合が行われることになったのである。男女の実力差が大きいので男子は3年生は出ない。2年生と1年生で構成する。女子は、久子・数子・千里・留実子・雪子という布陣である。(友子は例によってダウンしている)
 
それでも男女の差は大きいということで、男子は最初軽く流す感じで始めた。
 
雪子がドリブルで駆け上がる。左側にいる千里と右側にいる留実子を見比べて、千里にパスする。するとそこに猛然と田代君がチェックしに来る。千里は無理せず、いったんボールを雪子に返す。雪子が留実子の方にパスしようとする。田代君はゴール近くに戻り、留実子の近くに居た戸川君がそちらにダッシュする。ところが雪子は留実子へのパスはポーズだけで、突然誰も居ない所にボールを勢いよく投げた(と田代君は思った)。
 
え?
 
田代君は目を疑う。
 
そのボールの飛んで行った先には、さっきまで自分の右側に居たはずの千里が居て、ボールをキャッチする。そして、そのまま撃つ。
 
チェックしに行く時間が無かった。
 
場所はギリギリ3ポイントエリアである。きれいに決まって3点。
 

鞠古君のスローインから田代君が攻め上がる。数子に行く手を阻まれる。が、田代君は数子の手の下をかいくぐるように進む・・・ように見せかけて戸川君の方へ、そちらを見ずにパスする。
 
ところがその途中に千里が居て、ボールを叩き落としてしまう。(動体視力の弱いVでもバスケットのボールくらいは叩き落とす)
 
転がったボールをすかさず雪子が確保して速攻。追いついてきた留実子にパスして留実子がボールをゴールに叩き込む。2点。
 
田代君は「うそー!?」と思った。戸川君がその方向に居たのは認識していたのに、同じ方角に千里が居たことに全く気付かなかった。
 

試合は最後の方で本気を出した男子チームが41対30で女子チームを下した。しかし田代君は不満そうな顔をしていた。
 
「村山の本質が少し分かったろ?」
と伊藤先生が笑顔で田代君に声を掛ける。
 
「あいつ、まるで忍者です。いつの間にか思いも寄らぬ所に居るんですよ」
と田代君。
 
「それが村山君がフリーになれる秘密だよ」
と伊藤先生。
 
「私がどうかしました?」
と千里。
 
「村山。ほんっとにお前、気配が無い。マッチアップする時は物凄い気迫で、俺でも一瞬気後れしそうなのに、ボールを持たずに移動している時はまるで空気みたいだ」
 
「それが彼女の凄いところなんだよ」
 
「村山、実は男子チームでも戦力になりません?」
と田代君が言う。
 
「ごめーん。私は自分の意識としては女だから、男子の試合には出たくない。るみちゃんは出たいかも知れないけど」
と千里Vは千里Bなら言いそうなことを言う。(RやGなら多分平気で男子の試合にも出るだろう。Vも自身としてはあまり性別問題にはわだかまりがない)
 
「ぼくは男子チームでもいいけど」
と留実子が言うと、伊藤先生は苦笑していた。
 

「でも村山の気迫が以前よりグレードアップしてますよね?」
と鞠古君が言う。
 
「あ、思った思った」
と戸川君も言う。
 
「そうだね。毎日滝行してるからかな」
「お前、ホントに忍者修行してないか!?」
 
(Rがたくさん剣道の練習をしているからだと思う)
 
なおこの日貴司は千里にあれこれ話しかけたものの、千里はつれなかったので「何かまた怒らせることしたっけ?」と悩んでいた!
 
Vはむろん貴司のことを知っているが、親しくすると自分が貴司のことを好きになってしまいかねず、そうなると冷静な調整作業ができなくなるので、貴司を避けた。これがGなら貴司とキスくらいしても、たとえセックスしても?好きにならない自信があるがVはGほど強い心を持っていない−Vの心はYよりBに近いことにVは気付いていない。
 

ところで夏休み中、村山家で晩御飯を作っていたのは、下記であった。(必ずしもその夜村山家で寝た千里とは一致しない!)
 
7.16 終業式,祭り準備 カノ子が作る
(Rは旭川→稚内へ)
7.17-18 YはP神社,B(V)はQ神社,Rは旭川 カノ子が作る
(Yは三重へ これで千里全員不在)
7.19-25 VがBの振りをして御飯を作る
(Rが稚内から戻る)
7/26 誰も作らなかったのでレトルト食品で夕食
7/27 V(B) Rは勉強合宿
7/28-8/1 R
8/2-11 コリン
(Rが旭川→栃木へ/Yは三重から戻る)
8/12-23 Y
 
7/16-18はRは不在だしY,V(B)は祭りで忙しく稼働できる千里が居なかったのでカノ子が作ってくれたが、その後はRが戻るまでVが作った。
 
7/26は、Bが勉強合宿中、Yは三重に行っていて不在、Rは校長先生のお祝いの食事会に出ていたので、誰も村山家に行くことができず、村山家はレトルトの食事になった。千里たちが高校進学で留萌を出た後の村山家が心配である。
 
7/28-30,8/1はRが普通に御飯を作った。31日は熊肉パーティーの熊肉を持ち帰って、父・母・玲羅に渡している。
 
8/2-11は、練習自体は18時までに終了して早川ラボを出ているが、とても御飯を作る体力など残っていないので、千里のふりをしたコリンが御飯を作っている。コリンが千里の振りをしている間、千里Rは小春の家に寝せておき(結局武矢が使わなかったため“余ってる”布団をここに持って来た:なお小春自身は三重に行っていて不在)、食事ができた後、コリンがA大神様に頼んで、千里Rを寝たまま村山家の布団に転送している(実際にはA大神の指令で千里Gが移動した)。この期間は、清香や公世も帰宅すると、お風呂にも入らずそのまま眠ってしまっている。(公世は夜中に起き出して勉強してるから偉い)
 
8/12は、Rが留萌を出るのとYが留萌に戻るのが同日になり、きれいに入れ替わった。「うまくできすぎてる!」とカノ子は言った。その後は23日までYが食事を作っているが、買物に行き千里が町中で目撃されると面倒なので、買物は小春がしている。おかげで千里はP神社からまっすぐ帰宅してご飯を作ることができた。
 

旭川合宿中の公世は、丸一日練習して疲れて、お風呂に入った後、姉と同じ部屋の布団に入るとあっという間に眠りに落ちていく。最近よく眠れるよなあと思う。半分眠り掛けで手がお股のペニスに触った。そういえば最近、あまり“して”ない気がした。
 
いつ頃からしてないのだろうと考えてみると、先月の道大会前の旭川合宿以降、していない気がする。やはり連日激しい練習してるから、そんなことする前に眠ってしまうせいかな?と思った。
 
それに、練習場では、平気で裸で歩き回る子が1名居るし、そこいら辺に女の下着が干してあるし、転がっているし、乾いた洗濯物を取り入れるの手伝わされて、ブラジャーやパンティに日常的に触っているし、同室になっている姉も自分の前で平気で裸になって着替えてるし。
 
なんか自分は女の裸や下着姿を見ても何も感じなくなりつつある気もした。
 
オナニーしようとしても、できなかったりして!?
結婚してもセックス(今一分かってない)できなかったりして。
 
まあいいや。結婚のことは10年後に考えるとして、オナニーとか、別に必ずしなければならないものでも無いしねー、などと思いながら、もう公世は夢の中に落ちて行った。
 
夢の中で公世はセーラー服を着て、誰か男の子と楽しそうに話していた。
 

司はそろそろ夏休みも終わりなので、まだやってなかった夏休みの宿題を必死にやっていた。
 
「全然分からないよぉ!!!」
 
(でもやろうとするだけ偉い)
 
「オーストラリアの首都。あ、これは分かる。シドニーだ」
(正解はキャンベラ)
 
「アメリカの首都。もちろんニューヨーク」
(正解はワシントンD.C.)
 
「スイスの首都は・・・ジュネーブだよね?」
(正解はベルン)
 
「法隆寺を建てたのは・・・空海だっけ?」
 
(用明天皇が発願したが、途中で亡くなったので、その妻と子である推古天皇と厩戸皇子(通称:聖徳太子)が完成させた。実際には最初から聖徳太子が主導したのではと考える人も多い。空海=弘法大師が建てたのは東寺と高野山金剛峯寺)
 
「隋の煬帝(ようだい)に『日出る処の天子、日没する処の天子に書を致す。つつがなきや?』という親書を持って行った男性外交官は?(1)小野妹子 (2)額田王 (3)吉備真備。うーん。妹子(いもこ)ちゃんって女の子だよね?真備(まび)って性別がよく分からないなあ、ちょっと女の子っぽい?音が可愛いし。額田王は“おう”というくらいだから男だよね?だったらこの人かな」
 
(正解は小野妹子。小野妹子は男性。昔は中臣鎌子などのように子は男性の名前に使用された。額田王(ぬかたのおおきみ)は女性。古代には皇族の尊称は男性と女性で特に区別されなかった。吉備真備(きびのまきび:男性)は遣唐使として、隋が滅んだ後の唐に派遣されている)。
 
「大坂城を建てたのは・・・淀殿?」
 
(初代・大坂城は豊臣秀吉により建築されたが、大坂夏の陣で破壊された。その後、二代将軍・徳川秀忠が二代目大坂城を建築したが、度重なる火災と再建の末、明治維新で焼失した(現在遺構が残るのはこれ)。現在の大阪城は1931年(昭和6年)に大阪市の主導により多数の市民の寄付で再建されたものである)
 
(浅井茶々のことを“淀君”と呼ぶか“淀殿”と呼ぶかは世代判別テストに使える。淀君は坪内逍遥『桐一葉』由来の呼称だが、蔑称だとして作品発表当時から批判があり、近年彼女が再評価されてきたのもあって1990年代以降はほぼ使われなくなった)
 
という感じで、司はほとんどの問題に間違えながらも!とにかく解答していっていた。
 

80ページくらい残っていた宿題が残り60ページくらいになり、トイレに行ってきた後「終わらない」と呟いて、部屋のカーペットの上に大の字になって横になる。ちゃんとやってなかった自分が悪いんだけどねー。
 
ぼく、夏休みの間何してたんだろう?と思うがどうも分からない。野球部の練習に行ったのは3日だけだし、パーキングサービスのライブに参加するのに札幌に行ったのも2日だけだし・・・記憶が無い!!!
 
ぼーっとして放電状態になっていた時、なにげなくお股の間に付いているものに触った。そういえば最近これ、トイレとお風呂以外では触ってないなあという気がした。いつ頃から触ってないんだっけ?と思って考えてみたら、6月頃から“してない”気がした。
 
うーん・・・。オナニーなんて、無理してしなきゃいけないものでもないし、別にしなくてもいいよね?と思うと、司は起き上がり、残り60枚の宿題に取り組んだ。
 
「水を作るには?・・・えっと、塩酸と水酸化ナトリウム??」
(それでは食塩(食塩水)ができる。正解は「ワニとシャンプー」!ではなく「酸素と水素」)
 

宿題に関して言うと、玖美子はもちろんしっかりやっている。沙苗やセナははなっからやる気が無い。千里の場合こういう事情だった。
 
Y:光辞に関する作業で精一杯て、とても宿題まで手が回らない
B:休眠中
R:丸一日剣道しかしてないので、宿題のことは何も考えてないし、しなきゃとも思ってない(沙苗に近い)
 
ということで、実際に宿題をやっているのはGとVである。国語・社会はGが、理科・数学はVがやって、英語は半分ずつやっている。読書感想文はVがエンデの『モモ』を読んで適当に感想を書いておいた。音楽はリコーダーあるいは何かの楽器をひとつ練習して曲を仕上げておくことということだった。しかし千里は誰ひとりとしてリコーダーが吹けない!(星子が呆れていた)ので、結局Gがヴァイオリン(*7)でメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(通称メンコン)を練習していた。
 
「そんな難しい曲を練習しなくたって、ユモレスクでも弾けばいいのに」
「だってそれだといかにも10分で覚えましたって感じじゃん」
(実際千里なら何も練習しなくても一発で弾けると思う)
 
「そうだ。君もヴァイオリン練習しよう」
「え〜〜〜!?」
「2人で練習すれば速く覚えられる」
 
ということでVにもヴァイオリン(*7)が渡されて結局Vもメンコンを練習することになった。
 
「何か音が出ないんだけど」
「君、それ松ヤニ塗ってないでしょ?」
「松ヤニ塗らないと音が出ないんだ!?」
 
(*7) ヴァイオリンはA大神に頼んで調達してもらった鈴木のNo.520である。(概略でお金を渡して品番の選定は大神に委ねた)GはVとRにも同じ物を買って来てもらった。
 
千里は小学3年生の段階で結構ヴァイオリンを弾いていたので、今更No.230とかから始める必要は無かった。200クラスでは千里の腕に楽器の能力が足りない。
 
なお、No.520は、1983-2020年の間に製造販売されている。
 

絵に関しては、Gは《りくちゃん》を呼び出した。
 
「私を栃木県小山市まで連れてって」
「いいですよ」
と言って、六合はほんの1時間ほどで千里を小山市まで連れて行ってくれた。
 
「何か絵になる風景は無いかなあ」
「赤城山はどうです?」
「どの山?」
「右手の先に見えるあの山ですよ」
「あ。いいね。あそこを描くのにいい場所に降ろして」
 
それで千里はそこで2時間ほど掛けて赤城山の絵を描いたのであった。
 
「ありかとう。いい絵が描けたよ」
「このくらいお安い御用ですから、いつでも呼んで下さい」
 
この子はいい子だなあ、勾陳と違って!とGは思った。
 

Gが社会、Vが理科をやっていた時のことである。
 
「あれ〜。ど忘れした。聖武天皇の、ひいおじいさんの名前なんだっけ?」
とGが突然言った。
 
「そんなの私が覚えてるわけない」
とV。
 
「ほら、あれだよ。額田王(ぬかたのおおきみ)を年下の兄貴と取り合った人。その争いが壬申の乱の原因という説まである」
「年下の兄???」
「思い出したぁ!天武天皇だぁ!兄貴は天智天皇」
 
「でも年下の兄って、腹違いの兄か何か?」
「父も母も同じだよ」
「それでなぜ年下の兄ができる?」
「歴史上の謎なんだよね〜(*8)」
「しかし女の取り合いで戦争しちゃうわけ?」
 
「まあ様々な恨み辛みの重なりだろうけどね。同母同父の兄弟だからこそいつも信じ合って一緒に闘ってきた。色々悪いことも一緒にやってきた。でもずっと一緒にやってきたからこそ、お互いへの不満も大きかった。女の取り合いはその恨みのひとつ。中臣鎌足が生きている間はなんとかお互い自制してたけど、彼が死ぬと、一触即発になってしまった。そして実際に勃発した。胸(むな)にグサリ壬申の乱672年」
 
「その語呂合わせだけ覚えとこ」
 
「でも天武天皇の後、しばらくあまりしっかりした男の天皇が出てない。天武亡き後は、奧さんの持統天皇、その妹の元明天皇、その娘の元正天皇といった優秀な女帝が出たけど、男はパッとしない。聖武天皇なんて職務放棄して逃げ出しちゃうし、結果的には奧さんの光明皇后こと藤原光明子が強い権力を持つに至る。光明子は男にしたいような、しっかりした女性だったらしい」
 
「頼りない男だから、しっかりした女性と結婚させたんだろうね」
「それもあるだろうね。結果的に光明子は皇族以外から初めて皇后の地位まで登り詰めた女性になった(*9)」
「へー」
「興福寺の阿修羅像のモデルは光明子だという説は根強い(*10)」
「ほほぉ。なんか意志の強そうな顔をしているよ」
 
(*8) 天武天皇の生年が諸説あるため、明確ではないが、“弟”の大海人(天武)の方が“兄”の中大兄(天智)より年上であったという説を取る人はわりと多い。
 
なお天武天皇と持統天皇の子が草壁皇子、その子が元正天皇と文武天皇、文武天皇の子が聖武天皇、ということで聖武天皇は天武天皇の曾孫になる。
 
(*9) 正確には仁徳天皇の皇后・磐之媛以来、約200年ぶりである。しかし仁徳天皇の時代に明確な皇后という制度があったのかは、かなり怪しい。
 
(*10) 他に光明子の娘である阿倍内親王:後の称徳天皇、という説もある。
 

雅海の家では、その日、ふだん旭川に出ている姉の竹夜がお盆で留萌に戻ってきていたので、一緒に羽幌町にあるお墓までお墓参りに行った。2台の車、スプリンターとシャレードに分乗し、父と母が各々を運転して移動した。
 
この時、雅海は母や姉たちに強制的に女の子の格好をさせられたが、その格好を見て竹夜が「おお、可愛い、可愛い。まさみは女の子になったほうがいいと思ってたよ」と言っていた。
 
「もう2学期からはセーラー服で学校行ったら?と言ってるんだけどね」
「賛成賛成」
「恥ずかしいよぉ」
「だってあんた学校では女子トイレ使ってるんでしょ?」
「だって男子トイレ使わせてくれないし」
「じゃ男子制服で女子トイレに入るの?」
「変だよね」
「それは女子制服を着るべきだ」
「ほら、お姉ちゃんも言ってるし」
 
お墓参りの後は、沿道のファミレスに入って食事をした。女の子の格好をしているし、普通に女子トイレを使用する、タックをしているので、そもそも個室でしかおしっこをすることができない。してから紙で拭いていて、ふと思う。
 
そういえば、ぼく、ずっとタックしてるから、おしっこもずっと女の子式だし、そもそもちんちんに触ってないなあ。オナニーもしたくならないけど、だいたいしようとしてもできないよね?
 
きっとしたくならないのは、睾丸を取ってもらったからなんだろうなあ。なんか昔は時々起きてたような“性的衝動”が起きることもないし。それと何か、人と争うことが少なくなったような気もする。みんなと仲良くしてしまう。闘争心ってやはり男性ホルミンなのかもしれない。
 
男を全員去勢したら戦争とか無くなったりして?(イギリスのサッチャー首相みたいに積極的に戦争した女もいるので怪しいと思う)
 

8月15日(日).
 
旭川での合宿3日目。
 
千里の竹刀が折れちゃった!
 
清香の強烈な面打ちを受け止めた所でバキッといってしまった。
 
「ごめん」
「いや。全然問題無い。いつかは折れるもの」
 
「毎日たくさん練習してるからなあ」
「でもこれ栃木に行ってから折れたんでなくて良かったよ」
「仕方ない。新しいの買いに行くか。きーちゃんちょっと送って」
と言っていたら、
 
「この際、私が全員に新しい竹刀をプレゼントしよう」
と越智さんが言うので歓声があがる。
 
「え?選手じゃない私たちもいいんですか?」
「もちろんもちろん。工藤さんのお姉さんもね」
「え?私までいいんですか?」
 
それで全員でセレナに乗って買いに行く。越智さんが運転して、次のように乗る。
 
助手席 沙苗
2列目 公世・弓枝・玖美子
3列目 千里・柔良・清香
 

剣道用具専門店の人は、越智さんを知っていて
「どうもどうも。越智さん、いつもお世話になっています」
と言っていた。
 
竹刀が折れたので買いに来たというと
「いっそ丈夫なカーボン製にしませんか?竹製の10倍もちますよ」
などとお店の人。
 
「でもお値段も10倍しますよね」
と玖美子。
 
「まあそうなんですけどね」
とお店の人も笑っていた。
 
「でも道大会ではカーボン製使ってる人居たね」
「たぶん全国行くともっと多いかも」
「かもねー」
 
「でも私はカーボン買っても竹製と同程度の期間で壊す自信がある」
「私はカーボンの、あの反動の無さが嫌いだ。本当に当たったか心配になる」
などという声(前者は千里、後者は清香)もあり、結局全員竹製である。
 
越智さんが見立ててくれて、わりとしっかりしたものを全員選ぶ。
 
全員女子中学生用の400g越え規格のものだが、公世が気がついて
「すみません。ぼくのは440g越えの男子の規格をクリアするものでお願いします」
と言うので、
「君、重いのが好み?」
などと言われていた。
 
「あれ?千里2本買うの?」
「うん。越智さんに買ってもらうの1本と自分で買うの1本。2本持って行けば万一途中で1本折れても大丈夫」
と千里。
 
「私は万一折れたら、柔良のを借りよう」
と清香は言っていた。
 
「それ、柔良ちゃんのも検査印をもらっておくの忘れないようにね」
と玖美子。
 
「うん。練習パートナーの分もちゃんと検査受けといた方がいいんだよ。私が出た昔の全国大会で、竹刀がパートナーのと入れ替わっているのに気付かなくて、検印の無い竹刀で試合に出てしまって失格になった選手がいたから」
と越智さんが言う。
 
「それはもったいない。せっかく全国まで行ったのに」
 

8月20日(金).
 
この日は龍虎の3歳の誕生日だった。
 
英世は仕事で帰宅できないようだったので、照絵はショートケーキを3個買ってきて、1個は英世のために冷蔵庫に入れ、あと2つを自分と龍虎の前に置いた。
 
「龍ちゃん、お誕生日おめでとう」
と言うと
「ありがと」
と龍虎は応えた。(きっと意味は分かっていない)
 
それでケーキを一緒に食べ、その後、鶏の唐揚げを運んで来ると、それも嬉しそうに食べていた。
 
ある意味、この頃から2006年の春頃までの2年間が照絵にとって最も幸せな時期だった。
 
なお音楽教室の方は正式に入会し、毎週1回レッスンを受けるようになったが、龍虎はピアノにもエレクトーンにも、ほんとに天才的な才能を示し
「もうすぐ3歳とは思えない腕だ」
と先生が驚いていた。
 
きっとお母さん(夕香さん)譲りの才能だろうなあと思う。夕香さんはキーボードも上手かった。ワンティスの曲の中には、実は夕香さんがキーボードを弾いている曲もある。
 
秋の発表会にも出ましょうと言われているが、龍虎に着せる衣装で照絵はやや悩んでいた。
 
ドレス?それともボーイズスーツ??
 

8月19日(木).
 
千里たちは第34回全国中学校剣道大会に参加するため。栃木県小山市に移動する。早朝軽く練習をしてから朝御飯を食べ、8時半頃、きーちゃんの家を出た。瑞江が運転するセレナに、千里・清香・公世・弓枝・沙苗・玖美子・柔良の7人が乗り、旭川空港に向かう。
 
空港で、S中の岩永先生、鶴野先生・広沢先生、R中の安藤先生と合流する。
 
ここにS中の校長と教頭、R中の校長と教頭、またS中・R中の剣道部員が合計30名ほどと両校の生徒会長まで来ていて“出発式”をしてくれた。(竹田君は結局まだ完治しておらず!三角巾で腕を吊っていた)
 
みんなに見送られてセキュリティを通り、出発ロビーに入った。ここから先まで行くのは下記10名である(弓枝はS中R中が共同でチャーターしたバスに同乗させてもらい留萌に戻った)。
 
S中:千里・公世・玖美子・沙苗/岩永・鶴野・広沢
R中:清香・柔良/安藤
 
玖美子は千里の練習パートナー、沙苗は公世の練習パートナー、柔良は清香の練習パートナーとして登録している。広沢先生は女子のコーチとして登録されており、10人ともちゃんとIDカードを発行してもらっている。
 
旭川空港10:30(JAL1102) 12:10羽田空港12:32(MonoRail) 12:54浜松町13:03-13:08東京14:44(なすの239) 15:27小山
 
公世の航空券が KIMIYO KUDOU 13(F) になっていたのは気にしない!(何度も書いているが公世は本当は“こうせい”と読む。また現時点では?まだ男子のはず)
 
東京駅の地下で13時半頃、一緒に昼食を取った。ピークをずらした形になり、スムースに食事をすることができた。それで一休みしてから新幹線に乗り、小山(おやま)に到着する。休憩時間も入れて5時間の旅であった。
 
それでホテルに入ったのだが・・・例によって(公世が)困惑する事態となっていた。
 
大会関係宿泊者は、審判・役員等以外では、先生と生徒から成り、先生たちはだいたいホテルのシングルまたはツインが取られている。先生と生徒が分離されているのは、先生たちだけに伝達したいことがあった時の便のためである。
 
それで、先生たちは4人ともAホテルに入った。鶴野・広沢がツインで、岩永・安藤は各々シングルである。
 
R中の生徒2人はBホテルが割り当てられており、そこのツインの部屋に入った。
 
S中の生徒4人はCホテルが割り当てられていた。フロントで学校名を呈示して鍵をもらった。
「え?1つだけですか?」
「はい。S中学4名様は、4名様用の和室になっております」
 
4人は顔を見合わせた。
「いいことにしようよ」
と玖美子が言い、他の3人も頷く。
 
それで4人で渡された鍵の部屋に行った。
 

「まあいいんじゃない?」
と千里。
「ぼくも開き直った」
と公世も言っている。
 
「こないだみたいに布団を並べれば問題無いよね」
と沙苗。
 
ということで4人は稚内の宿に泊まった時と同様の形に布団を敷いて寝ることにした。
┏━┓↑枕
┃千┃
┃里┃┏━┓┏━┓
┗━┛┃沙┃┃公┃
┏━┓┃苗┃┃世┃
┃玖┃┗━┛┗━┛
┃美┃
┗━┛

 
「女子の部にエントリーされてなかったら問題無いことにしよう」
と公世。
「女子の部にエントリーされてたりして」
と玖美子。
 
和室ではあるが、バス・トイレ付きである。お風呂は沙苗の提案で
 
玖美子→千里→沙苗→公世
 
の順に入ることにする。
 
「女子度数順だな」
などと玖美子は言っている。
 
「私が100%女、千里は120%女、沙苗は70%女、公世は20%女」
と玖美子は言っている。
 
「こないだも指摘したけど、不等号と数字が矛盾してる」
と沙苗。
「ぼくは100%男なんだけど」
と公世。
 

「でもこないだの部屋より広い気がする」
「バス・トイレが付いてるのもいいね」
「それもトイレとバスは別だから、誰かがお風呂に入っている時もトイレが使える」
「あれ一体化してるホテルは困るよね〜」
 
先日の稚内の宿では部屋にトイレはあったものの、風呂は無かったので、大浴場に行っている。千里・玖美子・沙苗は当然女湯に入っているが、公世がどちらに入ったのか千里たちは知らない!?
 
「部屋代高かったのでは」
「こないだのより安かったみたいよ」
「大会で大量に押さえてるからかもね」
 
こういう全国大会では主催者が地元の旅館ホテル業界と話し合い、一括で宿を押さえる。各学校の遠征費用負荷を抑えるとともに、連絡事項があった時に速やかに伝達できるようにするためである。
 
今回の大会の日程はこのようになっている。
 
19(木)女子団体戦練習
20(金)女子団体戦/男子団体戦練習
21(土)男子団体戦/男女個人戦練習
22(日)男女個人戦
 
それで女子団体戦の参加者だけは18日(水)に現地入りしている。他の多くの参加者は(千里たちも)19日に来て、個人戦まで見て、22日夕方か23日に帰る。練習会場は試合会場とは別の体育館が複数用意されている。
 

各々の日のスケジュールはこのようになっている。
 
男女団体戦(20/21)
8:00 開場/竹刀防具検査
9:00 開始式
9:30 試合開始
16:30 表彰式
 
個人戦(22)
8:00 開場/竹刀防具検査
9:00 開始式
9:30 試合開始
14:00 表彰式
 
練習時間について、北海道はメイン会場から2kmほど離れた小山第二中学体育館で8/21 14:00-16:00が割り当てられていた。
 
20日は早朝ジョギングをした後は「今日は試合を見学してイメージトレーニングしよう」と言って、メイン会場に入り、女子の団体戦を見学した。今日は見学なので、道着・袴ではなく、学校名の入った体操服上下である。
 
出場校は、各都道府県から1校ずつに加えて地元の栃木県から1校の合計48校である。これを3チームずつ16グループに分けて、各グループで総当たりによる予選リーグを行い、各グループの1位が決勝トーナメントに進出する。いきなり強豪校に当たって敗退する悲劇は避けられるが、グループ内に強豪校が入っていれば、決勝トーナメント進出は絶望的である!
 
「さすが道大会とはレベルが違う」
「みんな強いなあ」
などと言いながら見ていたが、
 
「あまりビビる必要も無いよね」
「まあ思いっきりやるだけだね」
と千里と清香は言葉を交わした。
 
でも公世は
「女子でもこのレベルか・・・」
と言って、やや飲まれている感じだった。
 
ちなみに公世は途中でトイレに行った時、男子トイレに入ろうとして追い出された!
 
柔良から
 
「きみよちゃん、何やってんのよ。さ、一緒に入ろう」
と言われて、手を繋いでもらって女子トイレに入る羽目になった(そろそろ諦めるべき?)。
 
でも公世も柔良と一緒だと女子トイレに居てもだいぶ心強かったようである。
 
(全国大会は全体的に長身の選手が多く、165cm?の公世は身長だけでも女子と思われがち)
 
見学席に戻る途中
「まだ女子トイレにあまり慣れてないのね」
と言われたが、ぼく女子トイレに慣れないといけないんだっけ?と疑問を感じた。
 
一方柔良は公世と手をつないで「わあ、女の子みたいな手だぁ。やはり、女性ホルモンとか摂ってるのかなあ」などと思っていた(完璧に誤解?理解?されてる)。
 
だいたい男の子みたいな体臭がしないし。
 
(弓枝や沙苗たちの“教育”で毎日服を交換するようになったからかも!?)お風呂も毎日2回くらい入っているし!
 

表彰式まで見たが、優勝校には、優勝旗・優勝カップ・優勝盾が授与され(旗とカップは持ち回り)、1〜3位の4校にトロフィー・メダル・賞状が授与。また5位の4校には敢闘賞。また8名の選手に優秀選手賞が授与された。
 
「せめて敢闘賞とか取りたいね」
と公世が言うが、千里も清香も
 
「何言ってんの?欲しいのは優勝旗だよ」
と言うので
 
「お前ら、ほんとに凄い」
と公世は言っていた。
 

21日も早朝ジョギングした後、午前中は男子の団体戦を見学した。
 
「やはり男子の試合はスピードとパワーが凄いね」
「でも女子でも優勝するにはこの程度のスピーととパワーが必要だよね」
「昨日は本当に凄い人たちの試合がほとんど見られなかったからなあ」
 
団体戦で強い人はたいてい大将になっているが、大将まで回る前に決着することが多く、その人たちの対戦はなかなか見られない。
 
お昼をみんなで食べた後、道具を持って、練習会場の小山第二中学に向かった。練習時刻は14:00からだが、その前に竹刀・防具の検査をしてもらい検印を受ける。検査は当日でもできるが、混雑するので、前日までに済ませておくのが推奨である。前日でも、練習時間になってから検査してもらっていたら、その分練習時間が少なくなるので、割当時間より前に行くのである。
 
出場する清香・千里・公世だけでなく、練習パートナーの柔良・玖美子・沙苗も検査してもらう。越智さんにも助言された通り、うっかり竹刀を取り違えたような場合でも問題無くするためである。
 
ここで少しトラブルがあった。
 
公世が検査してもらった後、赤い検印(女子の検印)を押されそうになったので
「あ、ちがいます。ぼくのは男子の検査印を下さい」
と申告する。
「なぜ女子が男子の検印が必要なの?」
「私男子です〜」
と言って、公世は剣道連盟の登録証を呈示する。
「女子なのに男子として登録してるの?この竹刀は男子の竹刀としても基準パスしてるから、じゃ男子の検印を押しておくよ。この検印でもちゃんと女子の試合に出られるから」
と言って、青い検印をもらった。でも係の人は首をひねっていた。
 
竹刀は男子の基準のほうが厳しいので、男子の道具としてパスしていれば、女子の試合でも使用できる。しかし女子の検印の道具では男子の試合には出られない。
 
「千里は2本とも検査してもらったんだね」
「うん。万一折れたりしたような場合に、予備の竹刀を再検査してもらわなくても済むようにね」
「でもどちらも新品の竹刀なのに」
「新品でも折れる場合は折れる」
「なんかそのあたりって千里はいつも用意周到だよね」
「突然雨が降ってきたような時に、千里って絶対ちゃんと傘持ってるんだもん」
「トラブルを未然に防ぐための用意だよ」
「といっていつも傘を持っている訳では無い」
「雨が降るかもと思った時だけ傘を持っていくだけだよ」
「そのあたりは勘が鋭いんだろうなあ」
 
なお、竹刀等の検査で不合格になったものは大会主催者が没収し、大会終了後に返却されることになっている。不合格の道具が万が一にも試合場に持ち込まれることがないようにするための処置である。
 
壊れかけの竹刀は、対戦相手に怪我をさせる危険もある。希にではあるが、竹刀の割れた竹が相手の顔面に突き刺さったりするような事故も発生している。
 

それで14時までは2階席から見学していて、14時になってからフロアに降り、練習を始める。登録している練習パートナーは、千里と玖美子、清香と柔良だが、実際には、千里と清香、玖美子と柔良で実戦練習をした。公世は登録通り、沙苗とである。
 
千里と清香の練習には、自分たちの練習の手を休めて熱い視線を送る人たちが結構あった。強敵だと思われてるかもね〜と思い、千里も清香もそういう視線を快感に感じていた。
 
同じ北海道代表の男子の西田君がこちらに来た。
「工藤君、少し手合わせしない?」
「はい」
と公世は答えたものの、この人には全くかなわなかったからなあと思う。西田君も実際には同じ北海道代表ということで。少しサービスしておこうと思ったのかも知れない。
 
ところが対戦してみると、西田君が公世から1本取れない。西田君が明らかに焦っている。最初は軽く流す感じだったのが、どんどん本気度があがっていくのを千里たちは感じた。
 
結局5分ほど対戦しても、どちらも1本取れなかった。
「工藤君、物凄く強くなってる!」
と西田君は驚いたように言っていた。
 
公世は
『そうだっけ?いまだに木里さんからも村山さんからも1本取れないのに』
と半信半疑だった。
 
2時間たっぷり汗を流してからホテルに引き上げる。
 
「じゃ明日頑張ろう」
「うん。決勝戦で会おう」
と言って、千里と清香は別れた。同じ北海道代表なので、反対側の山に入れられている。清香と対戦するとしたら、決勝戦である。
 

この日は夕食の後
「明日に備えて早めに寝よう」
と言って、みんな20時頃には寝てしまった。
 
千里は熟睡した。夢の中で宿題をやっていた。あぁ宿題放置だ。先生ごめんなさい、などと思っている。音楽の宿題でヴァイオリンの練習をしていた。ヴァイオリンって小学3年の時に、勲男の一家が不法滞在で捕まった時の騒動で壊れちゃって以来触ってないなあと思う。でも自分が夢の中でなんか凄い難しい曲を弾いているので「私すごーい」と思っていた。
 
(中1の時に北海道グリーンランドでヴァイオリンを弾いたのはBで“この千里”は知らない)
 
玖美子は「来年は何とか千里を倒して、出場者として来たいなあ」などと思いながら、よく寝た。沙苗は「私はまた練習パートナーでもいいから、来年も来たいなあ」と思いながらぐっすり寝た。
 
公世は「何か凄い人たちばかりだ。ぼく1回戦で負けちゃうかも」などと思いながら、なかなか寝付けなかった。布団の中で何度も寝位置をずらしたり、横になったり仰向けになったりを繰り返し、結局22時すぎになって眠った。
 

公世は夢を見ていた。
 
竹刀の検査の列に並んでいる。あれ〜。昨日竹刀の検査は受けたはずなのにと思う。ここで、千里・玖美子・沙苗・公世の順に並んでいた。竹刀の検査は学校単位である。もっとも男子と女子は別々でもいいのだが。
 
千里はバストサイズを計られていた。何でそんなの測るんだろうと思っていたら
「トップバスト79cm アンダーバスト66cm 差が13cmでBカップですね。合格です」
と言われ、バストに赤い検印を押された。
 
何の検査してるの〜!?
 
玖美子が測定される。
「トップバスト78cm アンダーバスト63cm 差が15cmでCカップですね。合格です」
それで、バストに赤い検印を押された。
 
玖美子ちゃん、おっぱい大きいもんなぁ。
 
沙苗が測定される。
「トップバスト80cm アンダーバスト70cm 差が10cmでAカップですね。ぎりぎりですが合格です」
 
やはりバストに赤い検印を押された。
 
沙苗ちゃん、そんなに胸が大きくなってるんだ。やはり女性ホルモン飲んでるのかな?
 
公世の番になる。
「トップバスト88cm アンダーバスト85cm 差が3cmでAAAAカップですね。これでは女子のバストとして認められません。不合格です」
 
「すみません。私男子なんですが」
「そうなんですか?」
と言って係の人は首をひねっている。
 
「ではペニスサイズを計測します」
と言われて、ちんちんのサイズを測られた。
 
「長さ4cmですね、これは短すぎて男子のペニスとして認められません。男子のペニスは最低7cmという規定になっています。不合格です」
 
え〜〜〜!?
 
「不合格になった竹刀は没収します」
 
へ!?
 
それで係の人は、ちんちんをハサミで切っちゃった。
 
うっそ〜〜!?
 
公世はちんちんもタマタマも無くなったお股を呆然として見ていた。
 
ぼく、男の子じゃなくなっちゃった??
 
「没収した竹刀は大会終了後に返却します」
と言って番号が記載された紙を渡された。
「この紙を無くすと返却できませんので気をつけて下さい」
 
良かったぁ!これは絶対無くさないようにしなければ、と思い、控えの紙を生徒手帳のポケットに挟む。
 
「このままでは試合に出られません。代わりの竹刀はお持ちじゃないですか」
と言われるが、あいにく予備のペニスなど無い。
 
困ったなあと思っていたら、沙苗が
「私の予備の竹刀をあげますよ」
と言って、カバンの中から“おっぱい”を取り出し、公世の胸に貼り付けちゃった!
 
「では計測します」
と言われ、胸のサイズを計られる。
 
「トップバスト96cm アンダーバスト85cm 差が11cmでAカップちょっとですね。合格です」
 
良かったぁ。
 
それで沙苗に付けてもらったおっぱいに赤い検印をもらった。
 
「あなたの竹刀は女子の竹刀として合格していますので、女子の試合にのみ出場できます」
と言われた。え?そうなの?でもぼく男子としてエントリーされてないの?
 
と思ったが、実際に試合場に行くと、女子のトーナメント表に自分の名前があるので、わぁ、ぼく女子として出ないといけないのかと思った。
 

そこで目が覚めた!
 
変な夢だった!!
 
携帯の時刻表示を見ると5時である。6時になったら早朝ジョギングに行くし、そろそろ起きてもいいかなと思い、布団を出る。隣の布団の沙苗も向こうの布団の千里たちもまだ寝ているようだ(玖美子の方はできるだけ見ないようにする)。
 
それで取り敢えずトイレに行き、便座に座ってトイレをする。なお便座を上げて使用するのは禁止と玖美子から言われている。それを先月の旭川合宿以来続けているので、座ってするのがすっかり普通になってしまった。
 
などと思いながら、おしっこをしたら、なんかおしっこの出方が変!?
 
何この出方?と思って、お股を覗いてみて、公世は衝撃を受けた。
 
 
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【女子中学生・ミニスカストーリー】(2)