【私の高校生活】(16)
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(C)Eriko Kawaguchi 2000.03.13
お正月。
鈴木家の食卓に絵里とお母さんがついていました。
「明けましておめでとうございます」
「直美ちゃんは出てこれるかな?」
「私、起こしてくる」
絵里は直美の泊まっている部屋に行きました。ここは絵里の部屋でもあります。つまり二人は同じ部屋で過ごしていました。
「直美〜、お正月なんだけど、起きれる?」
絵里がドアを明けると、直美がドレッサーの前に座って、お化粧をしていました。
「うん、起きるよ。ありがとう。もう平気だから」
「大丈夫そうだね」
「うん。スッキリ、ハッキリ。ついでにあそこもスッキリ」
私は元気に答えました。
私は絵里と一緒に食卓に行くと、「明けましておめでとうございます」と挨拶し、お屠蘇をもらって頂きました。
「直美ちゃん、そのワンピースも可愛いね」
「あ、これ割と気に入ってるんですよ。寮で同室の川口先輩にもらったんです」
私は黄色いAラインのワンピースを着ていました。胸元に白いリボンをあしらっています。
「ところで傷口は痛まない?」
「全然。もう大丈夫ですよ。昨日お風呂できれいに洗ったんですが、触っても全然痛くありませんでした」
「自分で見た感想は?」
「ちょっとびっくりしましたけど、もう大丈夫です」
「直美、あとで初詣と初売りに一緒に行こうよ」
「うん。行く行く」
「直美がほとんど女の子になった記念に、服とか少し買ってあげるよ」
「えー、出してくれるの?ラッキー」
私はご飯のあと、絵里と一緒に電車で近くの大きな神社に行き、初詣をしたあと、近くのスーパーに回りました。初売りは人が大勢来ています。
その人の波にもまれながら、私たちはシャツとかスカートを少々、下着を少々買ってから、スポーツ用品売り場にまわり、スキーウェアを選びました。
「あ、これは自分で出すよ」
「ううん。私が出すよ。実はママから軍資金をたくさんせしめてるんだ」
「でも悪いなぁ」
「勝手なことしたことで、ママをとっちめたからね。そのせめてものお詫び」
「お詫びなんて。別に後に戻れないようなことした訳でもないし。余計便利になったかなと思ってるから」
「うーん。確かに機能は問題なかったね」
私はその点を言われると、ちょっと赤くなってしまいました。
「私たちのことまだママには内緒にしとこうね」
「うん」
私たちは買い物が一段落したところで、ファーストフードで一休みしました。
「この際だから、正直に告白しちゃうけど」
「うん?なに?絵里」。
「あのさ、直美に秋頃から注射打ってたでしょう」
「ああ、あのホルモン注射?」
「それなんだけど。あれ実はホルモンじゃないんだな」
「え?じゃ何?」
「ただのビタミンEだったりして」
「うっそー。じゃどうして胸大きくなったの?」
「きっと、アッ*ルCのおかげでしょう」
「あんなの効くの?」
「現に効いてるじゃん」
「うそー。信じられない」
「ひょっとしたら、直美がホルモンと思いこんだことで、体が反応してしまったのかもね。まぁビタミンEはエストロゲンと組成が似てるし、結果的にホルモン的な効果が出たのかも」
「プラシーボですかぁ」
私は呆れ果てて、おもわずひじを付いてしまいました。
「あぁ、これで私もすっきりとした気持ちで蔵王に行けるなぁ」
絵里はほんとにすっきりした表情です。
「で、私これからどうすればいいの?」
「私は直美がFでもMでも構わないよ。どちらかというとFの直美が好きだけどね。ビタミンEは打った方がよければいつでも打ってあげる」
「うーん。。。」
思わず考え込んでしまう私でした。
つまり、私の体は結局、現在でも、性腺的にも、ホルモン的にも、機能的にも、完全に男性のままということのようです。しかし胸はもうBカップのブラではきつく、先ほどCカップのブラをとりあえず3枚買ってきた所です。そして絵里のお母さんの「勝手な」手術で、睾丸は腹腔内に納められ、余った陰嚢の皮を利用して、お母さんは、私に可愛い女性の外性器と「それでも少し余ったから」といって、小さな膣まで作っていました。
絵里が他人事と思って面白がって、棒を割れ目の中に押し込んでみたところ、きれいに収まり、それを見ただけでは、どうみても女性の陰部にしか見えない感じでした。しかしこの棒はちゃんと機能することを、絵里が「実験」して確かめたのです。実験はこのところ毎晩行われていました。そして顕微鏡で検査した結果、精子の数が全く減少していないことがわかり、腹腔内に納められた睾丸が、非常識にもちゃんと活動していることが分かりました。
この結果には絵里も首をひねりましたが、絵里のママによると「穴を掘って風通しを良くしたから、睾丸も外にあるのと同じような状況になって活動できているのかも」という話でした。
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