【夏の日の想い出・日日是好日】(3)

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原野妃登美は夫の大林亮平に言った。
「亮たん、結構女物の服持ってるよね。訊く度に否定するけど本当は女の子になりたいんでしょ?正直に言いなよ。女装くらい認めてあげるし亮子たんとか呼んであげてもいいし。取り敢えずパンティは女物にしたら?」
 
「前にも言ったようにマリと付き合ってた時期にあの子が大量に買ってきたんだよ。あの時期はたくさん女装させられたし。捨てるのがもったいないから置いてるだけで前にも言ったけどトミーの好みに合うのがあればもらってよ」
 
「うーん。でも亮たんのスカート、私にはウェストが小さすぎるからなあ」
「まあ調整できるものもあるはずだから」
 

でもその日は
「入れてあげるよ」
と言われて入れられた!
 
「入れられて気持ち良さそうにしてる」
「気持ちいいことは気持ちいいけど、ぼくは入れる方が好きだ」
 
「無理しなくてもいいのに。でもマキちゃんもよく女装してるね」
「マキ(本騨真樹/ほんだ“まさき”)は女の子になりたかったと言ってた」
「へー」
「でも悩んだ末に男として生きることを選択したんだよ」
「ああ」
「でも結婚してすぐ冷凍精液を作った」
「それが無難だね」
 
「今、はるちゃん(本騨真樹の妻の山村星歌)妊娠中だけど冷凍精液の1本目を使ったと言ってた」
「つまり本人はもう精子が無いんだ!」
「可能性はある。でも誰にも言うなよ」
「もちろんもちろん」
「父親としての自覚持ってもらいたいから妊娠したのかもね」
 
「でも女装は認めてるんでしょ?」
「唆してるみたいだよ」
「ああ、気持ち分かる、面白いもん」
「家庭内ではほぼ女装みたいね」
「まあそうなるだろうね」
 

「他の2人はあまり女装しないね」
「ジュン(森原准太)は女装に無理がある。たとえ性転換手術受けても女湯拒否される」
「でも痴漢とは思われずに単純に間違ったのだろうと思われるだろうね」
「ちんちん無くても男湯に普通に入れるかもね」
「きっと何かの病気で取っただけと思われるよ」
「かもね。危ないのがミチだな」
「(木取)道雄さんが性転換手術受けて女湯に入ろうとしたら即痴漢で捕まるね」
「性転換とか女装というのから一番遠いのがミチだな」
 
「でもマキちゃんは去勢くらいしたのかなぁ」
「そこまでするとは思わないけど、してても驚かないなあ。あるいは女性ホルモン飲んでるか」
 
「亮たんはいつ性転換手術受ける?」
「受けないよ!」
「でも精液の冷凍は作って。念のため」
「あはは」
「女物のパンティ穿いてていいから」
「穿かないって」
 
でもこの後、亮平は1ヶ月掛けて冷凍精液を4本作った!
 
「これで子供作れるからもう去勢してもいいよ」
「しないって」
 

コスモスは中学3年生のタレントさんたちの進路を確認した、
 
葛飾区E学園:水谷妹・甲斐妹・豊科リエナ
 
ここは舞音・コリン・甲斐姉・水谷姉・ルビー&パールなどが在籍中である。水谷妹・甲斐妹の進学で、甲斐姉妹・水谷姉妹が揃い踏みする。リエナは悩んだ ようだが、山本コリンが居るのでここを選んだ。
 
葛飾区L高校:直江妹・鈴鹿あまめ・夕波もえこ・薬王みなみ・石条ぼたん・酒田レモン
 
ここは七尾ロマン・直江姉・松島ふうかなどが在籍中である。松島ふうかがいるのでATグループがみんなここに来た。酒田レモンは迷っていた所を七尾ロマンが声を掛け、ここに決めた。
 
世田谷区J高校:三国舜
 
ルキアやモナの母校である。聖子が山村の悪戯のせいで入れてもらえなかった学校である。また弘原如月がこの3月に卒業予定である。如月は
 
「うちに来るなら制服あげるよ」
と舜に言った。
 
「すみません。僕女子制服は着たくないんですけど」
「ぼく男子制服で通ってるけど」
「あれ〜?そうだったんですか?」
 
今年は北区C学園への進学希望者は居なかった(アクアの母校で、白鳥リズムが3月で卒業予定。そのほか羽鳥セシル、ビンゴアキ、栗原リア、松元蘭、ラピスラズリ、水森ビーナ、美崎ジョナなどが在籍中)
 

花ちゃんは三陸セレン・山鹿クロム・早幡そら・川泉パフェに言った。
 
「君たち来たかったら女子寮に来てもいいよ」
「あのぉ、それ性転換手術受けとくことが条件とか」
「ああ。ゆりこ副社長ならそう言うだろうけど、そんなことは要求しない。君たちはもう男性能力が無いから、女子寮生“から”逆レイプされることはないだろうからね」
「こっわぁー」
「寮生みんなストレス溜まってるからねー」
 
セレンとクロムは顔を見合わせてから言った。
「男子寮は満杯だし、入れてくれるなら女子寮に移ってもいいですよ」
 
早幡そらは正直に告白した。
「ぼく日中は立ったりしないように処置してますけど本当はまだ男性能力あるんです。だから女子寮への移動はまだ待ってください」
 
川泉パフェは悩んだ。
「ぼくどうしようかなぁ」
 
「薫ちゃんはお姉さんの部屋に入れば“他の子から”襲われる心配はない」
「あはは」
「お姉さん強いもんね。たぶんパールちゃん・たみよちゃんといい勝負」
「あははは」
 

ということで、セレン・クロム・パフェは女子寮に移動して、制服の無い(だから女子標準服を着てもよい)葛飾区L高校に行くことにした。ここは単位制で自分の好きな時間帯の授業で組み立てればよいし、帰りの会も無いので午後2時くらいまでに授業が終わるようにすれば、芸能活動がかなりしやすい。ATグループがここを選んだのも、ここなら、あけぼのテレビの放送開始時間(17:00) に間に合わせることが可能だからである。
 
セレンたち3人の女子寮への移動は中学卒業後となる。
 
花園裕紀が「L高校の女子標準服余ってるんだけど」と言ったのでこれはパフェがもらうことにした。
 
一方、早幡そらは男子寮に残留して、世田谷区のM高校に通うことになった(J高校に合格する頭が無い)。彼は中学の書類が女子になっているので、高校にも当然女子生徒として進学する。
 
ここには花園裕紀がほぼ女子生徒扱いで在籍中である。また木下君・篠原君の母校である。M高校には水森ビーナが一時在籍していた(女子寮に移動したので北区の女子高!に転入した)。
 

なお男子寮の寮母住居で暮らす大崎忍の弟(事実上の妹)門脇瀬那も来年高校である。彼女はあまり頭が良くないので、やはりM高校に通うことにした。
 
「お姉ちゃんが出た北区のC学園は?」
「あそこに行くと言ったら、川崎ゆりこさんが『通学に便利なように女子寮に入れてあげるよ』と言って、そのついでに性転換手術受けさせられる気がする」
 
「既に性転換済みのような気もするけど」
 
と姉。忍は瀬那のお股の形を見ている。男性器が既に消滅している。おしっこは女の子の位置から出る(陰茎尿道が閉塞したため緊急手術を受けた)。ただし女の子のような割れ目ちゃんなどは無い。
 
「女子というならすぐそばのS学園もあるけど」
「女子校こわい」
「まあ女子校は独特の世界だからなあ」
 
彼女も書類上女子生徒になっているので(四国からの転校のどさくさに誤魔化した)女子生徒として高校進学することになる、
 

冬休みに信濃町ガールズの姉妹が出て来てくれているのを良い機会として、古屋あらたの姉妹に「the天下」で使用する曲のコーラスを入れてもらった。これは彼女たちが出て来てくれた翌日、12月24日(土)の午前中に収録した。
 
常滑舞音with スイスイ『あずき研ぎ』feat古屋姉妹 (高知県民謡・未来居住補作曲・未来居住作詞)
 
そして29日放送の「the天下」ではこの古屋姉妹のコーラスが入ったバージョンを流した!
 
“あずき研ぎ”というのは妖怪の名前で全国的に伝承がある。目的のよく分からない妖怪である。夜中に小豆を研ぐ音がして『小豆研ごうか、人取って喰おか』というセリフが聞こえてくる。『まんが日本昔ばなし』では、ぼた餅をくれるという話になっていた。
 
舞音はここでは1980年代に明石家さんまが『オレたちひょうきん族』の中で歌ってはやらせた『あみだくじの歌』のメロディーに乗せて歌っている。
 
あずき研ぎ、あずき研ぎ、何ができるか、あずき研ぎ。
(シャカシャカシャカシャカ)
おしるこ、ぜんざい、あんころ、きんつば、
お団子、みつまめ、ぼたもち、おはぎ、
(シャカシャカシャカシャカ)
たい焼き、大判焼き、どら焼き、もなか、
大福、草餅、あんまん、練り切り。
(シャカシャカシャカシャカ)
あずき研ぎ、あずき研ぎ、全部食べたい、あずき研ぎ。
あずき研ぎ、あずき研ぎ、どれも美味しい、あずき研ぎ。
 
中間部のメロディは(福沢聖子ではなくて)舞音自身が書いた。舞音が歌ったのを自分で採譜し、その上で少し修正して仕上げた。
 

この歌の元歌は高知県民謡(お座敷歌)で『菊の花』という歌である。
 
菊の花、菊の花、開けてうれしい菊の花、誰が取るのか菊の花
 
これは一種のロシアンルーレットで、多数の杯の下に菊の花を1個だけ隠しておき、この歌を歌いながら1人ずつ杯を開けていく。菊の花を当ててしまった人は、それまでに開いた全ての杯の酒を飲まなければならないというお遊びである。
 
後になるほど確率が上がっていくのも普通のロシアンルーレットと同じである。しかもこの場合、最初の方で当たった人より飲む量が多くなる。
 
この手の罰杯ゲームは多いが、“菊の花”は特に多人数でやると、当たった人はなかなか辛いことになる。
 

ちなみに舞音がこの歌を発表した後で「あんころってあんころ餅のこと?」という質問があったが舞音のお返事。
 
「“あんころ”は金沢名物の“あんころ”というお菓子です。“古屋あんころ”ちゃんの“あんころ”。“あんころ餅”に似てますが、中身は餅ではなく求肥(ぎゅうひ)です。これに対して“あんころ餅”というのは、お餅を餡で包んだもので、おはぎの親戚です。両方出すと2度歌ってるように聞こえるし、ぼた餅・おはぎも歌ってるから“あんころ餅”を外しました」
 
「ちなみに餅の中にアンコが入っているのは“餡餅”(あんもち)らしいです。小さい頃、お餅つきをしたらその搗き立てのお餅の中に隣のお兄さんがアンコを入れてくれました。搗き立てのお餅で凄く美味しかったのを覚えています。またアンパンとあんまんは音が似てるので、あんまんを残しました」
 
「“あんころ”の所は最初赤福にしていたんですが、それだと特定企業の商品だから回避して、お伊勢から金沢にジャンプしました。金沢のあんころは多数のお菓子処で作られています。ほかにようかん、カス巻き、シベリヤ、月餅、破れ饅頭、かるかん饅頭、餡ドーナツなどの案もありました。でもカス巻きも商標らしいですね」
 
また“大判焼き”という名称を使っているが、これはこの名前が全国区だからである。日本全国の広い地域で認識されている。“今川焼き”は主として関東・東北・東海で使われる。“回転焼き”は九州や関西などで使われる。中国地方には“二重焼き”という名前も見られる。“御座候”(兵庫)“蜂楽饅頭”(熊本)などは特定企業の商品名である。
 

この曲は古屋姉妹と一緒に歌っている。
 
古屋あらた(中2)
古屋あんころ(高1)
古屋きんつば(高3)
古屋おだんご(大3)
 
(命名は古屋あんころ)
 
なお冬休みに来なかった一番上のお姉さんは“古屋おしるこ”、その結婚相手の女性?は“古屋みつまめ”らしい。
 
古屋姉妹はバックコーラスを入れMVでは歌詞に出てくるお菓子を食べている、
 
もちろん水谷姉妹も入っている(デフォルトである)。「シャカシャカシャカシャカ」を歌ったのが水谷姉妹である。MVでは小豆を研いでいる!
 

「だけどほんと5人姉妹って凄いね。5人続けて女の子が生まれる確率は3%」
と水谷姉が言う.
 
(25=32 だからその逆数を取ればよい)
 
「ほんとうは最初1番上は男の子だったけど、すぐ死んじゃったんだって」
「そうだったんだ!」
「それでその後生まれた子は女の子にすることにして、生まれてすぐおちんちん切ってもらって女の子として出生届け出したんだって」
「まじ?」
「確率100%?」
「ついでにお父さんも子作り終わった所でもうおちんちん要らなくなったから除去してもらって家族全員女になった」
「子作り終わったらもう不要なのか」
「だって使い道無いし、あってもムダですよ」
「うーん」
 
「それで家族全員で女湯に入れる」
「便利かもしれない」
「更に一番上のお姉ちゃんの結婚相手も結婚記念に手術受けて女になったから完全女性家族」
「結婚記念に性転換手術?」
「精液は保存してるからちんちんはもう無くてもいいんだって」
「そうなのか?」
 
「おしるこお姉ちゃんは仕事が忙しいから妊娠とかしてられないというので、今みつまめさんが代理で妊娠中。8月に女の子が生まれる予定です」
「いまいち原理が分からないのだが。しかしもう性別分かってるんだ?」
「もちろん万一男の子が生まれたらすぐに女の子に変えますから」
「どこまでマジなのか分からなくなった」
 
この話を聞いていたコスモスは
「私も彼に代理妊娠してもらおうかな」
と言っていた。
 
ほんとにコスモスは妊娠なんかしてる暇が無さそうである。川崎ゆりこは今年赤ちゃんを産むから産休下さいと言っていたが。
 

§§ミュージックは新宿信濃町西部のビルの3〜4階合計600m2ほどを占めていたのだが、そのビルが建て替えになることになり、“西信濃町”内で引越をすることになった(*9)。色々探した結果、別のビルの3階と5階を借りることができた。それで10月、ちょうど長時間時代劇の撮影が行われていた時期に引っ越した。
 
「3階と5階に分かれるのは不便だなあ」
「まあ仕方無い」
 
ところが2階に入っている会社が2023年1月1日付けで他の会社に吸収されることになった。それでビルを所有している不動産会社から打診があったのである。
「§§ミュージックさん、2階を借りたりしません?」
「5階と交換で」
「いいですよ」
 
ということで前の会社が12/31付けで退去するので整備作業を経て2/1から5階の代わりに2階を借りて、2−3階に入居することになった。
 
(*9) 信濃町は町の中央を外苑東通りが南北に走っており、その東側には某宗教団体の本部があり、関連施設も多い。§§ミュージックは設立以来何度も引っ越してはいるが、最初の2ヶ所(1996-2009) を除いては外苑東通りより西側の町域に事務所を置いている。
 

こちらは前のビルより少しだけ広くなり、合計800m2ほどある。3階・5階になった時、3階に応接室・会議室の類い、ミニホール、社員食堂など、5階に執務室や仮眠室・資料室などを設定した。その5階が2階に移動したので、マネージャーの大部屋、出納係などが2階に移動する。この時、コスモスは2階のレイアウトを少し変えた。
 
5階の時は大部屋の隣にVIP応接室(名目上は社長室:実際にはコスモス自身は普段大部屋のワークデスクのところにいる)があり、その隣には30m2ほどの目的のよく分からない部屋があった。前のビルより広いため一時的に空きスペースができていたのである。コスモスはここを2DK風に改造してコスモス自身が個人で§§ミュージックから借りることにしたのである(賃料100万円/月)。
 
「なかなか帰宅できないから、泊まる時は仮眠室じゃなくてここで寝る」
とコスモスは言った。
 
「それは堂々と社長控室とかにして無料で使えばいいのに」
と私(ケイ)は言ったのだが
「そういうことにしたらパブリックな場所になってそこでセックスとかできないし」
「ごめん、私、休憩室でセックスした」
「示しがつかんなぁ」
「まあ家賃相場の高い地域にプライベートな場所を借りる以上、家賃は払う」
とコスモスは言った。むろん月100万はコスモスにとっては全く負担感は無い。
 

「ここで赤ちゃん産もうかな。そしたら妊娠の週数が進んでもここで仕事が出来る」
「ちゃんと産休取りなよ〜」
 
「種(たね)の提供者はどうするんですか」
とゆりこ。
 
「3月くらいからはここに住んでもらうか」
「ああ」
「料理人兼任で」
「いいんじゃないですか。妊娠頑張りましょう」
「木取さんがいつも居るのなら、色々用事が頼めるな」
 
ゆりこは大晦日に妊娠が判明。予定日が8月27日なので5月7日〜出産3ヶ月後を産休とする。どうしても幹部が不足するので、米本愛心に音楽部長代理になってもらった。
 
ちなみに彼女が参加しているColdFly5は現在事実上の活動休止状態にある。田倉友利恵と栗原リアがドラマのレギュラーを持っており、花咲鈴美は4月から高3だが大学進学を考えていて“メンバーが全然集まらない”のである。
 

2023年1月1日10:00.
 
§§ミュージック恒例の“年会”を始めた。今年もリモートでの開催。これで21,22,23 と3年連続である。ただし昨年までは各地方の研修所まで来てもらっていたのが今年は各自の自宅からのリモート参加になった。
 
参加するのは§§ミュージックのタレント、信濃町ガールズの本部生(信濃町エルフを含む)、♪♪ハウスの一部の子(松梨詩恩・羽鳥セシル・Flower Sunshine)、トラフィックのメンバー、そして§§ミュージック音楽教室の特待生(地方ガールズ)である。お年玉は今年も地方生にはQUOカードを郵送している。現金を振り込むと親に「ちょっと貸して」と言われるからである!
 
(今回初参加になったFlower Sunshineの子たちは「わぁいお年玉」と喜んでいた)
 
いつものようにコスモスの挨拶のあと、私が音頭を取ってお屠蘇代わりの三ツ矢サイダーで乾杯する。お料理は冷凍した状態で年内に各自の自宅に届くように配送している。
 
A契約タレントの挨拶は今年も各自の書いたものをネットに公開し、タレントを代表して最古参の品川ありさがリアルで挨拶し、他はまとめたものを読んでねということにした。
 

ここでゆりこから「もう食べていいよー」という声が掛かる。そしてこのあと、A契約のタレントの中で歌手契約の人の歌唱が1組3分ずつ披露される。基本は“出席番号順である”。
 
品川ありさ
高崎3姉妹
アクア
西宮ネオン
花咲ロンド
姫路スピカ
白鳥リズム
七尾ロマン&石川ポルカ
桜野レイア
川内みねか
原町カペラ
Lapis-Lazuli with 甲斐姉妹
Vent-d'or with 大崎忍
恋珠ルビー&花貝パール
常滑真音with スイスイ
(羽鳥セシル)
(Flower Sunshine)
美崎ジョナ
立山煌
薬王みなみ
広瀬みづほ
月城たみよ
川泉パフェ
 
但し諸事情により順番を入れ換えた人もあった。年会はお昼前に終わり、締めの挨拶は川崎ゆりこがした筈だが、私はアクアの歌唱を聴いたあと仮眠させてもらった。
 

そして私が年会をやっている間、マリの方は中村晃湖さんにきてもらい4時間にわたってヒーリングをしてもらっていた。マリは眠っていたらしいが
 
「この方が深い所まで治療できます」
 
ということだった。マリは目覚めた時涙をたくさん流していたらしい。
 

2021年1月1日13:00.
 
あけぼのテレビでの生中継が始まる(あほぼのテレビ系ネットTV等同時放送)。
 
降りたままの緞帳の前に、加賀友禅の振袖を着た古屋あらたが登場して宣言する。
 
「これより2023年ローズ+リリー・ニューイヤーネットライブを越谷市の小鳩ホールからお届けします。このライブは定額会員の方が試聴できます」
 
それで緞帳があがるとそこに居るのは“マリ人形”とケイである。私は説明する。
 
「このライブを企画した時、マリの出産予定日との絡みが問題になりました。マリは2022年8月2日が予定日でしたので、常識的には2023年1月のライブは行けるはずです。でも万一の場合にキャンセルになっては申し訳無いのでチケットの発売は保留しておりました、そして実際マリは、以前の2度の出産では比較的短期間で回復したものの、今回はどうも調子がよくないようでした。それで私はいったんニューイヤーコンサートはしないことにしたのです」
 

「しかし無いのは寂しいというファンの声が多数ありました。マリは歌えることは歌えるのですが、2時間のライブをするだけの体力がまだ無いようでした。そこでマリの声は録音を使わせてもらい、私だけ生で歌うことにしたのです。それで私の横にはマリ人形を立てています。以前KARIONのライブやローズクォーツのライブで私の人形を立てておいたことがありますが、それ以来ですね。でもこれでは“ローズ+リリーのライブ”とは言えないので今回は定額視聴料だけで見られる設定にしました」
 
(回線のキャパが怖かった。フレームダウンすれすれだったと則竹さんから文句を言われた)
 
「なおマリはこの会場に来ており、きっとMCで茶々を入れてくれるでしょう。マリ〜,ご挨拶」
するとマリの声が響く。
「みんなごめんね〜。なんか調子悪くて、ほんとごめんなさい」
 
それで拍手が返ってきた。
 
ちなみにマリは楽屋に居て、とても楽な椅子に座り、おやつ・おせち・おもちを食べながらこのライブを観ている。そばにはベッドも置いてあり、横になって聞いていても良いことにした。そばには妃美貴が付いていてくれる。
 
今日の伴奏はマリがいないのではあまり大がかりにしても申し訳無いので、基本のスターキッズ
 
Gt.近藤嶺児 ASax.近藤七星 Bass.鷹野繁樹 Dr.酒向芳知 Mar/Vib.月丘晃靖 Pf.氷川詩津紅 Tb.宮本越雄 Tp.香月康宏
 
にマリーンコートの一部(北陸組)に入ってもらっている。
 
Fl.田中世梨奈 Cla.坂上透 TSax.日高久美子 Horn.吉田邦生
 
今回はストリング無しである。
 

今回マリの歌が録音なので私はそれに合わせて歌う。するとドラムスの酒向さんがその歌を聞いて前乗りでドラムス打ってくれる。他の楽器はそれに合わせるので結果的にそれで全体が合うことになる。つまりこのライブは酒向さんのすぐれたリズム感に頼っている。
 
前半は制作中のアルバムの曲も混ぜて、『雲と風の歌』『星のふるさと』、『ソランラソラ』『虹の隙間』『傘を忘れる法則』『Rain』『赤い服』、『夜12時の女の子』『Burning Snow』『白い雪・愛のテーマ』
 
マリは曲と曲の間でかなりおしゃべりして結果的に前半12曲の予定が10曲しか演奏できなかった。
 
幕間には今年§§ミュージックからCDデビュー予定の3人に来てもらい、歌唱してもらった。
 
広瀬みづほ(高1)『天神様で見付けた恋』
月城たみよ(中2)『網引きの子守歌』
川泉パフェ(中3)『はちみつパンケーキ』
 
伴奏は“くれは西”である。
 
Gt.入瀬ホルン、B.麻生ルミナ、Vn.入瀬コルネ、Fl.紺青セイラ、Dr.山本コリン
 
“くれは西”にドラムスを打てる人がいないので同じ富山県出身のスポーツ少女・山本コリンがヘルプしてくれた:彼女は富山市西部の出身で実は彼女も呉西の人。
 

幕間の間は、政子はずっと中村さんのヒーリングを受けていた。
 
そして後半は、いつものようにローズ+リリーの過去のヒット曲を辿るように歌っていく。
 
初期の頃ライブでだけ歌っていて長く音源化していなかった『言葉は要らない』に始まり、アマチュア時代の名作『虹の願い』『天使に逢えたら』、中期の名作『振袖』『寒椿』、マリの夢を楽曲化した『青い豚の伝説』、問題作『雪が白鳥に変わる』、最近の話題作『歯磨き味のイチゴ』そしておなじみの『ピンザンティン』 でいったんノーマルステージを終える。そしてサービス・ステージで『影たちの夜』、最後に私のピアノのみの伴奏で『あの夏の日』を演奏して時間通りに終了。
 
(13曲の予定が11曲しか演奏できなかった)
 
『雪が白鳥に変わる』では白鳥リズムが雪の中で踊りながら少年の姿から少女の姿に変身する様子をステージ上で演じてくれた。『振袖』『寒椿』で使用された和楽器に関しては、龍笛は千里のほか、風帆伯母(名古屋からわざわざ出て来た)・今田一家がやってくれた。
 
これで少し変則的な2時間のライブを終えた。最後の2曲だけはマリも
「自分で歌う」
と言って人形をどけてもらって生で歌った。
 
生のマリが登場した時、観客の興奮が凄かった。則竹さんがフレームダウンの指示をいつでもできるようにスタンバイしていた。
 

マリはライブが終わった後またずっと中村さんのヒーリングを受けていた。
 
結局マリは電話で会話する程度には楽しかったボーイフレンドを失った痛手以上に、多数の人を守るため、大輔とは関係ないしあの人が勝手に来て赤ちゃんを抱いてただけとか、冷たく突き放す必要があった。そのことで自分を責める気持ちがあり、その苛む気持ちと自分がしなければならないこととの葛藤で苦しんでいた(*11)
 
中村さんは『死人貧乏(*10) は仕方無い。君はよくやった』と励ましてくれたし、マリの行動を正しい行動だと評価してくれた。そこからマリは自分の立ち位置を確認し、立ち直っていく。(*12)
 

(*10) 死人貧乏とは、死んだ人が悪かったことにして生きてる人がやりやすくすること。死んだ人より生きている人の方が大事であり、生きている人のメリットを取るべきという合理主義にもとづく考え方。
 
また逆に亡くなった人の遺族が「全部あの人が悪いことにされてる」と嘆く意味でも使用される。
 
(*11) マリの言動に怒った大輔の母は夏絵をリンナに預かって欲しいとリンナに連絡したが、リンナがマリの言動の“意味”を説明し、それで母は納得した。
 
「マリちゃんも辛かったんだね。頑張ったね。でもそれじゃかえでは私の孫じゃ無いの〜?」
「私は顔を見てすぐ父親が誰か分かりましたよ。別の芸能人です。今名乗り出ないのは騒動に巻き込まれたくないからでしょう。でもマリちゃんちには行ってるようですよ。マリちゃんは大輔さんとは去年の夏に別れてたんですよ」
 

(*12) 12/25 早朝刑事さんが来て最初ケイが応対していた10分程の間に実は青葉からマリに電話があり(*13)、その短い対話でマリは全て関係無いと主張する方針を決めたのである。青葉はかえでの父親が誰か知っていた。
 
「だって赤ちゃんの顔を見たら誰の子供か分かりますよ」
 
と青葉は言っていた。
 
実はかえでの顔を見て
「この子、あやめちゃんの妹じゃん。すごく似てる」
と思った人は多数いた。いまだに気付かないケイが変。
 
(*13) 電話を掛けたのは千里(5番Grace)に頼まれたグラナダの青葉R。
 

1月3日(火).
 
マリーンコートの北陸メンバーをエキュレイユ2を使って津幡町・火牛スポーツセンターへ送り届けた。吉田邦生・日高久美子・田中世梨奈の女性3人である。
 
え?3人とも女性だよね?
 

2023年1月4日(水).
 
ロマン&ポルカの2ndシングル『今夜の君の可否は?』が発売された。
これは石川ポルカと七尾ロマンが出演している『褐色火薬亭』の主題歌である。
 
元々この番組は前ドラマの撮影でCOVID-19のクラスターが発生し、主要人物が大量に感染して打ち切られた後を受けて、感染対策を見直した上で無事だったり軽く済んだ出演者を再編して、急遽立ち上げられたドラマである。
 
企画されてから半月程度で放送を開始した急ごしらえのドラマだったので7月から始めて約半年、12月で終了する予定であった。最終回?では褐色火薬亭のオーナーが実はヒロインの祖父(故人)の親友で恋人(ヒロインの祖母)を取り合った仲だったことが明かされた。
 
そしてオーナーが彼女に再度求愛し、彼女は即答はしなかったものの悪い顔はしなかったところで、今後の愛の復活に含みを持たせて終了という展開になっていた。
 
ところが!この番組の後番組として企画され、既に3回分の収録が終わっているドラマの主演俳優が、今回の事件で大麻をやっていたとして逮捕されてしまった。それで急遽、『褐色火薬亭』は取り敢えず3ヶ月延長されることになったのである。
 

橋沢プロデューサーは12月29日(大量逮捕日の3日後)、コスモスに電話してきた。
 
「1月9日から放送予定の新番組が主演の***さんの逮捕で使えなくなってしまったんです。『褐色火薬亭』の取り敢えずの3ヶ月延長が決まりました」
「ああ」
「それで今これまで出演してくださっていた俳優さんたちに継続出演のお願いをしている所なんですが、石川ポルカちゃんと七尾ロマンちゃんお願いできませんでしょうか?」
「今までと同じ火曜日夕方からの収録でしたらいいですよ。初回収録についてはできるだけご協力します」
「ありがとうございます!助かります。よろしくお願いします」
「でもこの番組、覚醒剤で捕まった****さんも出てましたね」
「最初から居なかったことにします。過去の放送分からは編集で消します」
 
大変だね〜。
 

「それで今の主題歌が“熱いの”“冷たいの”という言葉も使ってて、これが時節柄“熱いの”といえばコカイン、“冷たいの”といえば覚醒剤の隠語でもあるので、やばいのではということになりまして、できたら主題歌も新しいのにできないかと言ってるんですよ」
 
「ああそれは割とヤバいですね」
 
「今から新しい曲を発注してポルカちゃんとロマンちゃんに歌ってもらって1月9日の放送に間に合わせるとかできませんよね?」
 
プロデューサーは「そんなの無茶です」と言われると思っていたと思う。しかしこの手の事態は全く珍しくないのでコスモスは答えた。
 
「大丈夫ですよ。6日までにそのCDを発売することも可能だと思いますよ」
「ほんとですか?助かります。お願いします。多少割増金とかも払いますので」
「この手の緊急制作は時々ありますから割増金とかも要りませんよ」
「分かりました。お願いします!」
 

それでその日の内に、海浜ひまわりが詩を書いてくれて夜中に松本花子に登録する。すると朝には曲が出来ていたので30日朝から2人と適当な伴奏者を呼んで練習してもらい、夜までには2曲とも録音。夜中にミックスダウン・マスタリングして、31日朝には愛知県常滑市のMHメディアプレスにプレスを依頼した。
 
国内の主要CD工場の中でここだけが年中無休・24時間営業なのである。それで依頼した12万枚は31日夕方にはできあがり、1月3日国内の多くのCDショップに荷物が到着したのである。
 
それでロマン&ポルカの新しい曲のタイトルは『今夜の君の可否は?』である。何か意味深なタイトルに見えるが“可否”とはカフェの古い表記のひとつで実はコーヒーのことである!普通に喫茶店を舞台にしたドラマの主題歌である。
 

1月4日(水)には、白鳥リズムのCDも発売された。
 
『人間(じんかん)50年』(作詞者不明・ケイ補作詞・ケイ作曲)
『銀のエクスプレス・青のエクスプレス』(霧島鮎子作詞・桜島法子作曲)
『君の笑顔・僕の笑顔』(霧島鮎子作詞・花園光紀作曲)
 
『人間(じんかん)50年』というのは織田信長が桶狭間の戦いに出陣する前に舞ったという幸若舞(こうわかまい)の演目『敦盛』に出てくる言葉である。今回はその歌詞を現代的なメロディーに載せたもの。
 
『銀のエクスプレス・青のエクスプレス』はリズムがずっと出ている関東の鉄道会社のCM曲。コロナが始まって以来、§§ミュージックは旅行関連のCMを回避しているのだが、以前からやっている所は例外的に受けている。これはリズムが鉄道マニアであることからデビュー間もない頃よりずっとしているCMである。霧島鮎子(日野ソナタ)・桜島法子(夏風ロビン)はリズムのメインライター・ペア。
 
今回の“銀のエクスプレス”・“青のエクスプレス”というのはこの鉄道会社が「そろそろコロナも終わるだろう」と見込んで1月中旬から導入予定のS特急・A特急の外装が銀色・ブルーであることから付けた愛称。この曲は車内でも流される予定。
 
『君の笑顔・僕の笑顔』はリズムが出演している電話会社のCM曲である。花園光紀というのは台湾の向日葵音楽工房 (SFMS:Sunflower Music Studio) の5人の作曲家の共同ペンネームである。(*14)
 

(*14) 2018年春、上島問題が起きて国内の楽曲制作能力が大幅にダウンし楽曲が足りない!ということになった時、コスモス自身が(山村・鱒渕と一緒に)台湾に飛び、以前日本のJ-POP界で活躍していた楊健民(ヤン・チェンミン)氏と話しあった。そして彼の工房で年間72曲のJ-POPを制作して§§ミュージックに売ってくれる契約を結び楽曲不足問題を乗り切った。
 
そしてこの工房で製作された楽曲にその時は花園光紀及びケイ!のペンネームをクレジットしたのである。私が本調子を回復した2019年夏以降は、ケイ名義で出していた曲は新たに“佐藤和子”“渡辺定子”などの名義に切り替えている。
 
現在ここでJ-POPを書いてくださる作曲家さんは5組(メロディーライターとアレンジャーのペア)に増えており、年間制作数は120曲に増えている(1組が半月に1曲書いてくれている計算になる)。§§ミュージックはそれを全て1曲5000アメリカドル(2018年4月当時53万円・2022年12月現在66万円)で買い取っている。ただし3万枚以上売れた場合は買い取りではなく印税方式として6%を支払う(円建て)3万枚の6%印税は日本円で80-90万円になる。白鳥リズムの楽曲は絶対3万枚以上になるので、向こうも出来の良い作品を回してくれているようだ。
 
SFMS作品は§§ミュージック内部で使うほか、友好プロダクションの♪♪ハウス、ΘΘプロなどでも使用されている(三つ葉のc/w曲などに使用されている)。またWindFly20もSFMS作品を結構歌っている。
 

2023年1月4日(水).
 
この日はアクアのミニアルバム『6星座2』も発売された。前半のみの『6星座』が2020.05.13に出てから実に2年半ぶりに続きを出すことができた。
 
『気配りリブラ』大宮万葉作詞作曲
『我慢のスコーピオ』加藤珈琲作詞、醍醐春海作曲
『こだわらないサジテリアス』大宮万葉作詞作曲
『慎重すぎるよキャプリコーン』未来居住作詞、福沢聖子作曲
『マイウェイなアクエリアス』大宮万葉作詞作曲
『優しさパイシス』蜂矢仁美作詞、鹿賀カノン作曲
 
出演者は下記である。
 
天秤:広瀬みづほ (2006.09.29)
蠍:大崎忍 (2003.11.15)
射手:白鳥リズム (2004.12.03)
山羊:月城たみよ (2008.12.22)
水瓶:花畑バニラ (2009.02.04)
魚:川泉パフェ (2008.02.19)
 
天秤座の広瀬みづほは、早幡そら(この子も天秤座)が失敗したのを笑った後で本人に電話して「あまり気にしないでね。みんな失敗するんだから」などとフォローを入れる様子などが出ていた。そのそら本人はテレビのお笑い番組をみて気分転換をしている所だった。わりと打たれ強いのも天秤座さん。
 
山羊座の月城たみよ、の場合実際に石橋を木槌で叩いて、それでも渡らず結局川を舟で渡っている様子が映っている。
 
「舟のほうが危なくないか?」
というのはお約束のツッコミである。
 

2023年1月5日(木).
 
夜遅くコスモスはSCCのドライバーさんの車で北千住のマンションに一時帰宅した(信濃町の事務所の中に実質住むのは3月くらいから)。ここは五反野の女子寮から(道のりで)4.5kmほどの場所にある。牛田駅の近くである。
 
「お疲れ様ー」
と木取道雄が迎える。
「シチューか何か暖めるよ」
「ありがとう。お風呂入ってくる」
「うん」
 
それで道雄が冷凍しているシチューを湯煎で暖め、冷凍の御飯をチンする。
 
コスモスはお風呂から出てこない。
 
「ひろちゃんごめん」
と声を掛けてお風呂のドアを開けると、コスモスは湯船の中で眠っていた。
 
「ひろちゃん、起きて。風邪引いちゃう」
と言って道雄はコスモスの肩を揺する。
 
「あ。ありがとう」
 
それでコスモスは湯船からあがり身体に熱いシャワーを掛けてからお風呂を出た。
 

コスモスは裸の上にガウンだけ掛けて、お風呂から出て来た。そして食卓に座ると道雄が暖めてくれたシチューと御飯を食べる。コスモスはボーっとしている。道雄は暖かい紅茶を入れてあげた。コスモスはそれに砂糖とミルクをたっぷり入れて飲んだ。
 
そして言った。
 
「セックスしたい」
 
「OKOK」
と言って道雄はコスモスと一緒に寝室に行く、それで優しくしてあげた。コスモスは途中で眠ってしまったが,道雄は取り敢えずフィニッシュまでした。そしてキスしてから隣で目をつぶる。
 
30分ほどでコスモスは目を覚ました。
 
「みっちゃん」
「うん?」
「あたし赤ちゃん欲しい」
 
道雄はドキッとする。
 
「生でする?」
と尋ねる。
 
実はコスモスが多忙で妊娠などしている暇が無いので、結婚した後もふたりはずっと避妊を続けている。
 
「ううん。そうじゃなくてね。私妊娠してる時間無いから、みっちゃん代わりに産んでくれないかなあ」
「あまり産める自信無いんだけど」
「何とかなるよ。とりあえず女の身体になってもらって」
「僕性転換するの〜?」
「取り敢えず簡単な手術を受けてもらって」
「あはは」
「ちんちん無くなっちゃうけど、別に無くてもいいよね」
「少し考えさせてください」
 

2023年1月7日(土)18:30.
 
ΛΛテレビで羽田小牧主演、昔話シリーズ第19弾『オズの不思議な国』が放送された。
 
この番組に関しては事前に告知されていたのは“羽田小牧主演”と“2時間半スペシャル”いうことだけであって、タイトルその他の告知が一切無かった。またインターネットへの情報流出も無く、何をやるのか全く分からなかった。しかし多くの視聴者が
「羽田小牧ちゃんの主演なら見たい」
と思って見てくれたのである。たからこの作品には彼のような高いネームバリューのある人の主演が必要だった。これは羽田小牧あっての企画だったのである。
 

語り手(立山みるく)「これは『オズの魔法使い』のお話でドロシーがカンザスに帰って少し経った頃のお話です。あの後、オズの都はカカシが治めており、ライオンは森の王様に、木こりは西の国の王様になっていました」(*15)
 

(*15) 視聴者の中にはこのナレーションで「ああこれは『オズの虹の国』か」と気付いた人もいたが、テロップで「良い子はネットでこの話のネタバレをしないでね」というのが流れたので、それを守ってくれて、ネットへの書き込みは特に目立ったものは無かった。そもそもオズ・シリーズの2巻以降を読んでいる人が少ない。
 
しかし原作を読んでいた人にはなぜこの物語が羽田小牧主演なのか“分かっちゃって”多くの人が「うん彼以外にこの役をできる人は居ない」と思った。7年前ならアクアが(やはり欺されて)やらされている役である。
 
オズ・シリーズ14冊の全訳を収録したハヤカワ文庫が「オズの虹の国」という邦題を付けており、他の出版社でもこれを踏襲しているものがある。原題は "The Marvelous Land of Oz" なので素直に訳せば“オズの不思議な国” または“オズの素敵な国”である。
 

語り手:オズの国の北方ギリキンの国(Gillikin Country)にティップ(Tip)という少年(羽田小牧)が住んでいました。彼は自分の両親や小さい頃の記憶がありません。でもずっと長いこと、魔女のモンビ(Mombi)(沢村キック(*17))と一緒に暮らしていました」
 
「ティップは畑仕事をしたり木を切ったり、また料理を作ったりして働いていました。モンビは悪い魔女で色々よくないこともしていましたが、ティップはそのことはあまり深く考えないことにし、またできるだけ悪事には関わらないようにしていました」
 
「モンビはティップに読み書き・算数から物理学や化学、地理や歴史まで教えてくれました。更には絵を描かせたり、歌を歌わせたり、横笛を吹かせたりピアノを教えたりもしていました」
 
羽田小牧演じるティップが、斧で木を切るところ、鍬を持って畑を耕しているところ、トウモロコシを収穫しているところ、収穫したトウモロコシを鍋で茹でているところ、などが映る。また数学の問題に頭を悩ませている所、銀のフルートを吹いている所(*16)、ピアノを弾きながら歌っている所なども映る。
 
「ある日、モンビは友人の魔術師のところに出掛けました。留守番をしていたティップは悪戯心を起こします。畑から大きな南瓜(かぼちゃ)を取ってくると、目と鼻と口を開けジャック・オ・ランタン(Jack-o'-Lantern) を作りました。そしてこれに木で胴体・手足を付け、服を着せて南瓜男(かぼちゃおとこ Jack Pumpkinhead)のできあがりです」
 
ティップがかぼちゃをくりぬいたり、木を切ったり釘でつないだりして南瓜男を作っていく様が映る(*18)
 

(*16) 小牧はあまり上手くはないが一応フルートが吹ける。それで実際に本人に吹いてもらった。指使いや息を吹き込むところがちゃんと映っている。実際に放送で使用した音は安原祥子が同型のフルートを使って吹き替えしたもの。なお、小牧はピアノは弾けるので実際の演奏を放送でも流した。
 
(*17) モンビ役には最初意地悪な魔女などの役をよくしている峰沢義紀(46)さんを想定していた。しかしモンビは結構コミカルな要素が必要であり、峰沢さんのキャラとは違うということになる。それで中堅コメディアン・カウントールの沢村キック(43)の起用となった。
 
モンビというキャラは存在そのものがお笑いでなければならないのである。モンビとティップの絡みは基本的にジョークとジョークのぶつけ合いである。でないとモンビとティップの関係は陰惨になり、物語の最後でティップが「モンビの面倒は私がずっと見る」と言うセリフに繋がらない。
 
(*18) 小牧はとても非力でこれらの工作をする自信が無いと言ったので実際の作業をしたのは、信濃町ガールズの夢島きらら(167cm)である。小牧は164cm。三国舜などの方が得意だが、彼には女装は無理である。
 
ん??羽田小牧が演じてるのは女の子では無かったんだっけ??
 

ティップはこの南瓜男を家の前の道に置いておき、木の陰に隠れて様子を見ています。やがて夕方薄暗くなった頃モンビが帰宅しますが、道に立っている人物?を見て
 
「こんばんは」
と挨拶します。しかし相手の顔をよく見て
 
「ぎゃー!」
と腰を抜かしました。ティップは声を立てないまま大笑いします。
 
「こんなことをするのはティップの奴か?しかしこれはちょうどいい。ニキディクからもらった薬を試してみよう」
と言うと、荷物の中から“命の粉”(いのちのこな Powder of Life)と書かれた胡椒入れのような瓶を取り出します。そして振り掛けると呪文を唱えます。
 
左手を上げて小指を立て「ウォー (Weaugh)」
右手を上げて親指を立て「トー (Teaugh)」
両手を挙げて全ての指を広げるように伸ばし「ポー (Peaugh)」
 
すると南瓜男(揚浜フラフラ(*19))は一歩後ろに下がり
「そんなに近くで大きな声出さないでよ」
と言いました。
 
ティップは南瓜男が動いてしゃべったのでびっくりです。
 
(*19) 揚浜フラフラは前作『オズの魔法使い』ではライオンを演じたが今回の物語ではライオンは出てこない。そして南瓜男の俳優は素顔が映らない!
 

ティップがあまりにも驚いて、つい声をあげてしまうと
 
「そこに居たのか!悪戯小僧め」
と言ってモンビはティップを捕まえます。
 
「私がびっくりするのを見て笑ってたな」
「違うよぉ。昔のことを思い出し笑いしただけだよ」
「まあよい。取り敢えず帰ろう。ティップこの南瓜男を助けてやれ」
「大丈夫だよ。僕はひとりで歩けるよ。僕のお父さんは関節も作ってくれたし」
と言って南瓜男はひとりで歩いてモンビ・ティップと一緒に家に行きます。
 
モンビは南瓜男を牛小屋に入れ、カンヌキを掛けました。それからティップと一緒に家の中に入ります。モンビはティップに、暖炉に火を点け、お湯を沸かすように言いました。
 
モンビはテーブルに座ってパンとチーズを食べています。
 

「ぼくにもちょうだい」
とティップが言うと
「やらん」
と言いました。
 
「お腹空いたよぉ」
とティップが言うと
「もうお腹が空くことも無いようになる」
とモンビは言います。そして暖炉に掛かった夜間に何やら薬を入れました。
 
ティップはぞーっとしました。
「ぼくに何するの?」
「今日もらってきた薬を試してみる。これがもし効くならお前は大理石になる」
「大理石になったら動けないじゃん」
「だからもう悪戯することもなくなるな」
 
「ねえ、モンビちょっと考え直さない?僕が大理石になっちゃったら畑を耕したり、料理を作ったりもできなくなるよ」
「そうだなあ、畑の真ん中にお前を置いておくか。かかし代わりにはなるかもしれん」
 
ティップはモンビの言葉が冗談なのかマジなのか分かりませんでしたが、マジだったらやばいぞと思いました。
 

人間を大理石にする薬は一定時間煮た後、冷まさなければならないのだそうです。モンビはある程度煮てから暖炉の火を消し
「さて明日の朝にはお前を大理石に出来る.楽しみだ」
などと言い、自分のベッドで眠ってしまいました。
 
ティップはしばらく考えていましたが、やがて
「逃げよう!」
と思いました。モンビの言ってたのが冗談ならいいのですが、ほんとに大理石にされちゃうのは嫌です。
 
それで逃げるなら食べ物を持ってかなきゃと思い、戸棚を探ります。パンの耳がありました、またチーズの塊を見付けました、更に胡椒入れのようなものを見付けます。
「あ、これ命の粉だ。これも持ってこう」
 
それでティップは静かに家を出ます。そして少し家を離れましたが、ふと思い付いて戻ります。そして牛小屋のカンヌキを開けて南瓜男(かぼちゃおとこ)に声を掛けました。
 
「ジャック、ぼくここを逃げ出すけど、君も来る?」
「はい、連れてってください、お父さん」
 
それでティップは南瓜男のジャックと一種にモンビの家から逃げ出したのです。
 

モンビは窓を開けて、月明かりの中ティップとジャックが逃げて行く後姿を見送りました。
 
「何だつまらん。これを飲んだら大理石になるぞーと脅かして、泣いて謝るのを見たかったのに。まああの子には強力な守護を付けてるから、危険なことはあるまい。さ、寝直すか」
 
と言ってモンビは大きくアクビをするとベッドに戻りました。
 

ふたりはずっと夜中の道を歩いていましたが、さすがに疲れます。太陽が昇った頃、2人は休みました。ティップは誰かが作ったまま放置しているっぽい馬の形をしたベンチに座りました。南瓜男(かぼちゃおとこ)の方は、どうも座るというのが難しいようなので立ったままです。
 
ティップは御飯をたべることにし、パンの耳を少しジャックに分けてあげました。しかしジャックは
「要りません」
と言いました。
 
「どうして?お腹空くよ」
「ぼくは物を食べる機構が無いようです」
「そっかー。ごめんね」
 
「この後どこに行きます?」
「ずっと南へ行こうと思う。そしたらオズの国の首都・エメラルドシティがあるはずなんだ。偉大なる魔法使いオズが作った町。そこは全ての物が緑色なんだよ。ギリキンの国では何でも紫色だけどさ」
 
「ここは紫なんですか」
「うん。木も草も家も土も紫」
「私は色が分からないかも」
「ああ。ごめんね。この北のギリキンでは全てが紫。東のマンチキンの国では全てが青、南のクアドリングスでは全てが赤、錫(すず)の木こりが統治する西の国ウィンキーズでは全てが黄色」(*20)
 

(*20) この色の組合せであれば北の国は紫ではなくヴァイオレットになるべきだが、ここは原文に従う。たぶん作者は理科が苦手。第一巻でも錆びない筈の錫の木こりが錆び付いていたことにしたり、後に出てくる17問題など、どうも作者は理系の感覚が無さすぎるもよう。
 

「錫の木こりが西の国を支配してるの?」
「うん。彼はドロシーを助けてウィンキーズを支配していた西の悪い魔女を倒した。それでウィンキーズの人々は感謝して彼に統治者になってもらった。同様にエメラルドシティでは、かかしに統治者になってもらった」
 
「かかしって?」
「彼もドロシーと一緒に行動していた」
「そのドロシーって誰?」
「カンザスという所から竜巻に飛ばされてオズの国にやってきた女の子だよ。その子が東の悪い魔女と西の悪い魔女を倒した」
「その子はどこに?」
「今はカンザスに戻っている」
 
「ごめん。分からなくなって来た」
 
「カンザスから飛ばれてきたドロシーは成り行きで東の魔女を倒すことになった。その後、カンザスに帰る方法が分からなかったので、エメラルドシティに行ってオズの魔法使いに頼んだ。その途中でかかしと木こりに会って同行した。オズは西の悪い魔女を倒してきたらカンザスに帰してやると行った。それでドロシーはかかし・木こりと一緒に西の魔女を倒した」
 

「東の魔女・西の魔女を倒すとは、ドロシーというのは相当凄い魔女だな」
 
「僕もそう思う。ところがオズはドロシーをカンザスに帰すことができないと言う。それでドロシーたちは怒った。そしてオズは大きな風船を作り、その風船に乗ってどこかに行ってしまった。それ以来彼を見た者は居ない」
 
「結局南の魔女グリンダかドロシーをカンザスに帰してあげた。そしてオズが居なくなったエメラルドの都は住民の要請でかかしが治めることになり、西の国は錫の木こりに委ねられた」
 
「だったらエメラルドの都に行って、かかしの王と会うの?」
「会ってみたい気がする。大魔女ドロシーの助手だった人だから」
「ああそれは良いかも知れないですね。私も付いていきますから」
 

「しかしずっと歩いて行くのもきついね」
「私は関節が摩耗してしまいそうです」
 
ティップは南瓜男の足をもっとしっかり作ってあげるべきだったなと後悔しました。
 
その時ティップは突然思いつきました。
 
「今ぼくが座ってる木馬ってなんかすごくよく出来てる。これに“命の粉”を振り掛けてみる。これがもし本物の馬になってくれたらそれに僕たち乗って行ける」
 
それでティップは“命の粉”を木馬に掛けると
 
左手を上げて小指を立て「ウォー (Weaugh)」
右手を上げて親指を立て「トー (Teaugh)」
両手を挙げて全ての指を広げるように伸ばし「ポー (Peaugh)」
 
と叫びました。すると木馬は動き出しました。馬に耳が無いことに気づき、ティップは森で木を切ってきて作ってあげました。それでジャックとティップはその馬に乗り、エメラルドの都への道を歩んでいきました。
 

「エメラルド・シティまで9マイル(14km)」
という標識を見たところで休み1晩明かします。
 
「このままだとお昼くらいにはエメラルドシティに着けるかも」
 
それで2人が馬に乗って進んでいくと、木や草の色が変化していきます。紫色が薄れ、鈍いラベンダー色に変わり、やがて緑がかった色合いに。そして徐々に明るくなっていきます。
 
「エメラルドシティまで2マイル(3km)」の標識を見て少し行ったところで彼らが通っている煉瓦の道が途切れてて目の前に広く流れの速い川がありました。どうやって渡ろうと悩んでいたら渡し船が向こう岸から寄ってきます。
 
「お兄さん、ぼくたちを向こう岸に連れてってくれる?」
とティップは訊きます。
 
「もちろん。渡し賃を払ってくれたら」
と渡し守(仁川浩光 41)は言います。
 
「どうしよう?ぼくお金持ってない」
「少しも持ってないの?」
「うん。全く」
「じゃ君たちを渡してあげることはできないね」
 
ティップは悩んだ。
 
「ぼくたちどうしてもエメラルド・シティに行かないといけないんだ。ね、どこかに橋とか架かってる所とかは無いかな」
「この川に橋は架かってないと思うなあ。それより君が連れてる木馬は水に浮くと思うね」
「あ」
「それと南瓜男君は浮くかどうか微妙だけど泳げば何とかなるかもね」
「やってみる!」
 
 
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【夏の日の想い出・日日是好日】(3)