【夏の日の想い出・ラブコール】(7)
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(C) Eriko Kawaguchi 2021-09-11
9月8日(水).
常滑真音の新しいシングル(事実上のマキシシングル)『赤巻きスカート、青巻きスカート、黄巻きスカート/西風の香り/風のオルガン/からくり弓ひき』および、新しいアルバム『くろ招き猫』(2枚組!)が同時に発売された。
『赤巻きスカート、青巻きスカート、黄巻きスカート』はファッション・ブランド“ノノ・パパイヤ”の新しいCM曲でこの日からテレビやネットにも流された。
『風のオルガン』は音楽教室のCMで9月頭から流れている。
『西風の香り』は昨日が第1回の放送だった『Girl from West』の主題歌で、舞音自身が主演している(今度はセリフのある主演!)が、今話題の舞音が主演するというので、視聴率が物凄かった。舞音は今最も注目されている人である。
『からくり弓引き』はアルバム側にも収録した(但しミクシングが異なる)がロボット掃除機のCM曲である。詳細は後述。
アルバム『くろ招き猫』は2枚組(DVDセットは4枚組でミニ写真集付き)で、下記の楽曲を収録していた。1枚目(お魚disc)は半数以上が何かのCM曲である。
『くろ猫のサンバ』(original)
『クロマネグラフ』(クロノグラフ)
『からくり弓引き』(ロボット掃除機)
『マネがフットンだ!』(寝具)
『そっ栗まねっこ』(和菓子屋さん)
『舞音のお勉強タイム』(学習参考書)
『舞音の頑張れニツポン!』(スポーツ用品)
『キスはスイッチを切ってから』(ウェブカメラ)
『キスは消毒をしてから』(格安スマホ)
『くろ猫秋便り』
2枚目(ちゅーるdisc)はこれまでのシングルの別バージョンを収録している、
『ちょっとだけ甘い時間』(招き猫バージョン)
『タイカジキ、カニエビ、イカタコ、サケマグロ』(お寿司mix)
『舞音の招きマネキン』(Multiplied)
『風のいざない』(招き猫mix)
『マイルドな夜明け』(招き猫mix)
『プレルージュ』(招き猫mix)
『ガラスのエンブレム』(招き猫mix)
『風読みシンドバッド』(招き猫mix)
実はここまでのシングルがリリースされたのは、舞音のバックバンド“招き猫”の発足前で、最初の『ちょっとだけ甘い時間』はMIDI伴奏、それ以降のものは手の空いているバンドに伴奏してもらったり、手の空いてるミュージシャンを集めて臨時編成のバンドで演奏してもらったものである。今回全ての楽曲を招き猫バンドで演奏しなおした。『ちょっとだけ甘い時間』だけは舞音の歌も録り直しているが、それ以外は、歌は再利用して伴奏だけを差し替えた。
ここで“歌が合うように演奏する”というのをドラムスの篠原君がなかなかうまくできなかった。ドラムスが合わないと全部合わない。
そこでこの2枚目の2曲目以降については、ドラムスを木下君が打った。篠原君は代わりにギターを弾いている。
MVは、CM曲に関しては、概ね、テレビで流れているCFの“ロングバージョン”になっている。
『からくり弓引き』では、弓曳き童子の動きが収録されている。これはかなり関心を集めていたので、急遽シングルにも収録することにした。このビデオ見たさにシングルのDVD付きを買った人がかなりあったようである。
本物の弓曳き童子は3本の矢の内、2本は当てるが1本は外す。舞音が弓曳き童子のコスプレをして弓を射るシーンも2本は当てるが1本は外している(実際には20本射て2本だけ当たった映像を使用している)。
シングルに収録したMVおよびアルバムのスタンダード版では童子・舞音ともに、矢を外す所が省略されている。
アルバムには実はシングルとほぼ同じ尺のスタンダード版と、演奏時間の長いエクステンディド版が収録されており、弓曳き童子および舞音が外すシーンまでビデオに収録したのはこのエクステンディド版のみである。
演奏時間→シングル=3:20 スタンダード版=3:24 エクステンディド版=4:43
(シングル版とスタンダード版では微妙に歌詞が異なっている。エクステンディド版はまた異なる!また舞音が矢を当てた後「当たった!」と声を出したのがスタンダード版には収録されている:それで4秒長い)
一緒に撮影してきた柳川の川下りの映像が『くろ猫秋便り』のMVの中で使用されている。ビーナとの共演なので、かなり話題を呼んだ。ついでにうなぎのセイロ蒸しを食べている所も映っている(悠木恵美の貴重な出演シーン)。
『クロマネグラフ』ては舞音が“ストップウォッチ”の針になり、女子100mの計時をしている所が映っている(舞音は回転盤に載せられ本当に1回転/分の速度で回されている)。ここで100mを実際に走ったのは↓のメンツである。
山本コリン・恋珠ルビー・花貝パール・夕波もえこ・甲斐絵代子・水谷雪花・美崎ジョナ・木下宏紀
足の速そうな立山きらめきにも声を掛けたが、おっぱい付けてと言ったら逃げた!でも木下君が参加してくれた。
3×3大作戦に出て日々身体を鍛えさせられているパールとエーヨも参加している。運動神経の良さそうな子を集めただけあって、全員20秒以内にゴールしたので「君たち凄いね」と指導してくれた舞通陸上部の選手さんが言っていた。
「男の娘が2人入っているのは愛嬌だよね」
とカメラマンさんが言っていたので
「誰と誰が男の娘と思われたと思う?」
と花貝パール(168cm)と夕波もえこ(172cm)が話していた!
(実際には元男の子はエーヨと木下君の2人だが、たぶん2人とも純女子と思われた)
『マネがフットンだ!』では、舞音が布団を干そうとベランダの手摺りに掛けようとしたら転落するも、そこに強い風が吹いてきて、舞音が布団に乗ったまま、空を飛んでいくという状況が映されている。
下ではサッカーとか野球の試合をしてたり、ホームランが飛んできてキャッチしちゃったり、新幹線が走っていたり、小さな雲に乗った若い雷さん(立山キラメキ)がびっくりして見上げたり、していたが、最後は女性が水浴びしているのを見たら落下した!(民家の屋根に着地)この水浴びしていた女性を演じたのは、ケイナである!なお、CFでは無事着地できた舞音が
「ふんわりの***のお布団でよかったぁ」
と商品名を言うセリフが入るが、アルバム収録バージョンでは
「ふんわりのお布団でよかったぁ」
と商品名が省略されている。
これは予算を掛けて制作しただけあって、ビデオのダウンロード数がアルバム中で3位だった。更に子供番組でも随分放映され、子供たちにも人気になったので、後日シングルカットすることになった。
『そっ栗まねっこ』は栗を使用した秋の和菓子の紹介CMで、(双子のように似ている)水谷姉妹がお揃いの可愛い浴衣を着て、和菓子を頂いている。水谷姉は右利き、水谷妹は左利きなので、舞音の左右に並んで3人で食べていると動きが対称的で面白かった。
『舞音のお勉強タイム』は5月に撮影した参考書のCMの長い尺のものが使用された。『舞音の頑張れニツポン!』では、オリンピックの色々な場面の映像が取り込まれている(権利料が高かった!)。
『キスはスイッチを切ってから』では友人たちと一緒にZoomでおしゃべりしていたカップルがウェブカメラのスイッチを切ってからキスする内容。カップルを演じているのは、桜木レイアと山下ルンバである。むろんレイアが男役である!
『キスは消毒をしてから』ではリモートでおしゃべりしていたカップルが相手が映っているスマホの画面に各々キスするのだが、キスの前にちゃんとアルコールウェットティッシュで画面のフィルムを拭いてからキスしている。カップルを演じているのは、品川ありさと高崎ひろかである。むろんありさが男役である!
『くろ猫のサンバ』では舞音がサンバの衣装を付けて踊っている。この撮影のため、舞音は1日サンバのレッスンを受けたが、他に日本在住のブラジル人女性ダンサー3人による踊りも収録されている。伴奏も実はブラジル人のミュージシャンに演奏してもらっている。また黒猫がサンバを踊るアニメーションに、更にサンシャイン映像でストックしていた、本物のリオのカーニバル(2019年の映像)の様子まで入れてある。
それで結構本格的なこともあり、今回のアルバムの中で「弓曳き童子」に次いでダウンロード数の多かったビデオである。この曲は後日『マネがフットンだ!』とカップリングしてシングルカットされた。
2枚目の方のMVも新たに撮ったものが多い。
『舞音の招きマネキン』ではテレビの歌番組で話題になった、多数のマネキンが並んでいて、その中の1人が歌い出すという演出をした。しかし途中で別のマネキンも動き出して舞音がどんどん増えて行く(multpy)。最後は8人の舞音が並んで歌うシーンで終わっていた。
クッキーのCM『ちょっとだけ甘い時間』は完全に撮り直した。七つの曜日を表す7つの色の衣裳を着て歌っている。
『タイカジキ、カニエビ、イカタコ、サケマグロ』では舞音が色々なお魚に扮して泳いでいるが、釣り人(秋風コスモス)に釣り上げられてしまう。そして、握り寿司の上に載せられて、客(川崎ゆりこ)に食べられちゃう!
「なるほど、舞音ちゃんは事務所に食い物にされてるんだな」
とファンの声(もちろんジョークだと思う)。
全体的なテイストは『およげ!たいやきくん』を意識した造りになっていて、桃色サンゴ(水谷姉妹)、難破船に鮫(山本コリン)なども登場している。
『風のいざない』はCFを撮った当時のビデオを再構成し、舞音が招き猫バンドをバックにステージで歌う所などもミックスしている。
『マイルドな夜明け』は舞音が“舞音バージョン”のスクーターに乗って練習している様子が映っている。ビーナと一緒に練習している映像も含まれている。
『プレルージュ』ではCFのメイキング映像が使用されており、寮を出てきたところから、美容院やエステに行く所、更に美容部員さんにメンテしてもらう所なども映っていた。最後にはビデオの試写を見た舞音が「嘘!?こんな所も撮ってたの?」と言った所まで入っている!
『ガラスのエンブレム』では“ガラスの靴”の製造過程の様子が映っている。そしてこのMVのラストでは、東雲はるこ・アクア・常滑舞音・恋珠パール・山鹿クロムの5人が全員シンデレラの衣裳を着け、ガラスの靴を履いて、ガラスの家の中で並ぶシーンが入っており、「これはお宝映像だ」と言われた。
(実はガラスの家での松芝電機さんのCM撮影が終了した時間に、東雲はるこ・恋珠パール・山鹿クロムにも来てもらい、30分ほどで撮影したものである。バールとはるこが多忙なのでヘリコプターで熊谷に空輸している)
『風読みシンドバッド』ではΛΛテレビさんの協力で、シンデレラに出て来たガレオン船の製造風景が、池の浚渫(しゅんせつ)作業も含めて映っている(結構貴重な映像である)。そしてこの船のヤードの上に、“シンドル”衣裳の舞音、船員の格好をしたセレンとクロムが並んで腰掛けている様子も映っている。
舞音のCDの売上だが、シングルは予約だけで30万枚入っており、初日に56万枚売れていきなりダブルプラチナである。9/13の統計では82万枚まで行き、恐らくミリオン到達は確実と思われた。舞音のファンはひじょうに広い年齢層に及んでいるため、年齢の高い人は、発売から(気がついて)購入するまでにタイムラグがある。それでじわっと売れていく傾向がある。
同時発売されたアルバムの方も好調で初日に20万枚、9/13の統計では43万枚で、こちらもダブルプラチナは確実と思われた。
今回は『弓曳き童子』が牽引した雰囲気もあった。
アクア・ラピスラズリはアーティストの魅力だけで売れているが、常滑舞音の場合はプロジェクトの魅力が牽引している、と花ちゃんは分析する。だから舞音の成功は半分は雨宮先生のおかげと彼女は言う。
「でも雨宮先生の要求に応じられる子は少ないよね」
とゆりこが言う。
「うん。相当の体力と能力と根性が必要。私にゃ無理」
と花ちゃんは言っていた。
「まああの子は根性あるし、雨宮先生の無茶苦茶な要求をしっかりこなすからね」
と私も言った。
「エーヨには無理だよね」
「うん。あの子は全く根性が無い。すぐ諦めて泣いちゃう。歌もまだまだだし」
「舞音はたぶん、アクア・東雲はるこ・薬王みなみの次くらいに上手い」
と花ちゃん。
「みなみちゃん、上手いよね?」
と私も言う。
「うん。既に美崎ジョナを追い抜いた。更に夕波もえこも猛追してきている。舞音も抜かれたのを意識してるから、忙しいのに頑張って毎日歌の練習してる。抜き返す可能性もある」
「その2人(薬王みなみ・夕波もえこ)は春までに上位2人(美崎ジョナと立山きらめき)を完全に抜く可能性がある」
「美崎ジョナはデビューまでに立山きらめきを追い抜くとオーディションの時は言っていたのに、下手すると新人の中で5位に落ちる」
(5位というのは、夕波もえこと並んで人気を集めている、鈴原さくら(*1)にも抜かれる可能性があることを意味する。第2回ビデオガールコンテストの上位入賞者の中でこの2人へのファンメールやプレゼントは群を抜いている。鈴原さくらは「ボク男の子ですよー」とあけぼのテレビの番組でも出演したラジオ番組でも明言しているが、かえって女子のファンも増えた感じである)
「更に鈴鹿あまめが最近凄い。あの子トークもうまいから、あけぼのテレビで重宝されて多用されてる。露出が多いから人気も上昇している」
「山本コリンと鹿野カリナも、既にいつデビューさせてもいい状態」
「まさに群雄割拠、戦国時代になっている」
「去年が春秋時代だね」
(中国では戦国七雄など多数の国家が乱立したBC403-BC221を戦国時代と言うが、その前段階になるBC771-BC403を春秋時代と呼ぶ)
(*1)“鈴原さくら”は、鈴木春南にコスモスが付けた芸名。“はるな”から“さくら”という名前を思いつき、最初は彼女の出身地・狛江市から、その象徴ともいうべき多摩川の名前を借りて、“多摩川さくら”というのを考えた。しかし、ゆりこが「5秒で忘れられそう」と言うので、“さくら”に合う苗字のリストを千里に作ってもらい、そのリストの中から“鈴原”を選んだ。偶然にも彼女の本名の苗字の1文字が入っている。
「本名の字を含む人は珍しいですね」
「安原祥子は本名・田中優子の“子”が入っている」
「気付かなかった!」
「まあ苗字は、女の子はお嫁さんに行けば変わっちゃうし、いいんじゃない?」
「それはそうですけどね」
やはり、春南はお嫁さんに行くのか!?
ローズ+リリーのアルバムは9月9日(木)から、アクアにもらった『イヤリングのラブレター』の制作に入った。この曲は、ワンティスに敬意を表し、電気楽器で演奏している。
この曲には木管・弦楽器は入れず、金管を入れる。それで比較的ワンティスに近いサウンドになる。月丘さんにはヴィヴラフォンではなくマリンバを入れてもらった(*2).
(*2)この系統の楽器の名称の整理
シロフォン(Xylophone) 木琴
英語では“ザイロフォン”という。“シロフォン”が何語かは不明(シロフォノならイタリア語)。
マリンバ(Marimba) 共鳴管付きの木琴
但しシロフォンでも一部の板の下に共鳴管が付いているものもある。
グロッケンシュピール(Glockenspiel) 鉄琴
この言葉はドイツ語で、フランス語ならカリヨン、英語ならオーケストラ・ベル。但し“カリヨン”といえば教会などにある多数の鐘を打つタイプのものを言うことが多い。ドイツのゾノア社はメタルフォンという名称で販売している。なお“鉄琴”とは言うが、実際には楽器により様々な金属が使用されており、アルミ製も多い。
雨宮先生は金(gold)製のグロッケンシュピール(2オクターブ)を所有しておられる。特注品で1億円したらしいが、多分7割くらいが材料費だろうと、おっしゃっていた。
ヴィブラフォン(Vibraphone) 回転羽根付き共鳴管がある鉄琴。
回転羽根の影響で音が揺れるのが特徴。略称Vibes(ヴァイブズ)。ポピュラー・ミュージックではジャズやロックを含めて、ひじょうに利用頻度が高い。
今年2月に亡くなったチック・コリアの演奏などは名人芸だった。
月丘はライブでこの4台(シロフォン・マリンバ・グロッケンシュピール・ヴィブラフォン)を並べ、移動しながら演奏したことがある。
リソフォン(Lithophone) 石琴
石を並べて、木琴や鉄琴と同様に演奏できるようにしたもの。国内で出回っているリソフォンの多くはドミソド程度のおもちゃに近いが、サマーガールズ出版は2オクターブ25鍵のサヌカイト製リソフォンを1点(純正律)所有している。他には蘭若アスカが勤めている大学にも同様に2オクターブのものが1点(平均律)あるし、実は雨宮先生も1点(平均律)所有している。3点とも香川県のある工房で作られたものである。恐らく国内にはこの3つを含めて数点しか無いものと思う。
ベルリラ (bell lyra) マーチングバンドで使用する、縦に持って片手で演奏する鉄琴
マーチングベル (Marching bells) 同じくマーチングバンドで使用するがネックストラップを使い、横に寝せて抱え、普通の鉄琴と同じように両手で演奏できる楽器。最近ベルリラの代わりによく使われるようになってきた。
鍵盤付きグロッケンシュピール (Keyboard glockenspiel) 鍵盤楽器の形をしているが中身は鉄琴。チェレスタと演奏法・音色が似ており、しばしばお互いに代用される。
『イヤリングのラブレター』のMVは若い子たちのバンドに登場してもらった。
忙しい所申し訳無かったのだが、ちょうどアルバム制作が終わり、ライブも終えたばかりの“招き猫”(常滑舞音のバックバンド)のメンツに登場してもらった(8月24日)。実は§§ミュージックの歌手の専属バンドで男子メンバーがいるのは、このバンドのみなのである。
このバンドは全員“戸籍上は”男子であるが、ベースの平田留美は女にしか見えないし、ギターの木下宏紀は、たぶん8割くらいの人が女の子だと思うと思う。実際男女2人ずつのパンドと思っている人も多いし、更には「ルーシーちゃんとツバサちゃんが恋人で、篠原君とヒロちゃんが恋人ですか?」などという質問がよく来て、木下君などは笑っている(*3).
ここにコーラスの女子2名に入ってもらう。この曲では年齢が上の子を使うことにし、フラワーサンシャインの桜井真理子と安原祥子にコーラスを演じてもらった。
(*3)翼は「ボクできたら女の人と結婚したいです」と言っていたが、女性から異性として意識されないタイプなので、なかなか難しいかも。多くの女性が彼をゲイかMTFと思ってしまうよう(その区別のついてない人も多い)だが、本人は「僕はノーマルです」と言っている。もっとも彼は既に女性に対して不感症になっている。
木下君と篠原君は元々仲が良いので「ラブラブ関係ですか?」という質問は昔からよくあったが、篠原君は「僕はできたら男の子と結婚したいから」と答えている!(篠原君は木下君をMTFなのだろうと思っているようたが、実は木下君のセクシャリティは謎である)
このバンドの演奏シーンが色々なシチュエーションで流れるのだが、桜井真理子が着けているイヤリングが毎回違う。
街頭演奏(に見せて実は川崎市のオープンセット)では青いイルカのイヤリング、ライブハウスの演奏(実際はあけぼのテレビのスタジオ)では赤いサンタのイヤリング、ステージ演奏(深川アリーナ使用)では、黄色い犬のイヤリング、録音スタジオ内での演奏(実際に大田区サテライト内の録音スタジオ)では白黒パンダのイヤリング、放送局での演奏(本当にΛΛテレビの放送スタジオ)では銀色のキリンのイヤリング。そして最後に野外ステージでの演奏(実際は郷愁村に1日で作った野外ステージ:その跡地にガラスの家を建てた)では金色の猫のイヤリング。
そしてこの金色のイヤリングをした桜井真理子と篠原倉光が手をつないで歩いたり川縁に座って楽しそうに話したり、ドライブデート(免許を持っている真理子が運転している:車は千里所有のゴルフ・カブリオレ)している所などが映る。
そのデートしている真理子の耳に金色のイヤリングが光っているのを映して、MVは終了する。それで金色のイヤリングがデートOKのサインであったことが分かる仕組みである。
「ところでクラちゃんの手って触っても男の子の手の感触じゃないよね」
などと撮影が終わった後で、真理子は言っていた。
「そうだっけ?」
「例えば湯元君(♪♪ハウスの高校生タレント。湯元信康)の手とかとは全く違う。木下君の手ほどではないけど、凄く柔らかい。女の子でもこのくらいの手の子はいる」
「僕、わりと脂肪が多くて筋肉少ないし」
「そのせいかなあ。女性ホルモンとか飲んでるんだっけ?」
「僕は女の子になりたい気持ちはないから、そんなものは飲まない」
「そうだろうね。でもクラちゃんって、男役なの?女役なの?」
「ごめん。ノーコメントで」
「うんうん。変なこと訊いてごめんね」
(“男の娘”には関心が無い様子から、きっと女役だろうと、女子寮のメンツからは推測されている)
9月15日(水).
原町カペラのシングル『昨日はごめんね/湖の伝説(lake ver)』が発売された。
カペラは7月21日にシングルを出したばかりで、カペラのクラスで2ヶ月も経たない内に次のシングルを出すのは異例だが、今回は先月発売したアルバムが好評だったのを受けたものである。アルバムの中から特に評価の高かった『湖の伝説』に、花園光紀さんの新曲『昨日はごめんね』をカップリングしたものである(両A面)。
録音は、花咲ロンドの指導で再度録り直しているので "remix"ではなく、"lake version"と称した。伴奏は、高崎ひろかのバックバンド・ナイスエンジェルズ(たまたま空いてた)に演奏してもらっている。
(手順:“ロンドが”自分でキーボードの弾き語りで歌う→その録音を聴きながらナイスエンジェルズが伴奏を作る→更に信濃町バンドのヴァイオリン奏者にヴァイオリンの音を乗せてもらう→完成した伴奏に合わせてカペラが歌う)
カペラの歌唱についてロンドは特に表現面でかなりの注文を付けたので、この2曲の録音に4日掛けている。それだけ時間を掛けただけあって、とても完成度の高いシングルに仕上がっていた。
カペラは
「こんなにしっかり指導されたのはデビュー曲以来」
などと言っていた。
アルバムが好評だったのを背景に発売されたので、かなり評判になり、ラジオ番組でも掛けてもらい、テレビの歌番組にも呼ばれて(「歌番組なんて出るの2年ぶりです」と言って、司会者さんから「また来てね」と言われ泣いていた)更に売れて、10/11発表の売上統計で11万枚に到達。カペラにとって初めてのゴールドディスクとなった。
「ゴールドディスクなんて夢みたいです。ファンの皆様、ありがとうございます」
とカペラは涙を流して喜んでいた。
この曲でカペラに興味を持った人が、このシングルの前に出た7/21発売の『交差点/難破船』も買ってみて
「これは酷い。適当に作ったシングルと丁寧に作ったシングルの差が明白」
などとネットに書いていた。
コスモスはこの『交差点/難破船』を全回収した!(それ以前のシングルは既に委託販売期間が終わって全返品されている)
そして新たにやはりロンドの指導で再度歌わせ、新たに作ってもらった松本花子作品『協奏曲』とカップリングして『協奏曲/交差点/難破船』として再発売するとともに、旧版をお持ちの方は新版と無償交換します!などとやった。
すると、過去に購入されていた約1500枚の内、1000枚くらいが交換された!(多分残りの500枚は既に捨てられてるとロンドは推測した)
そしてこの改訂版が7万枚も売れたのである。
「私デビュー曲だって2万枚しか売れてないのに」
とカペラは戸惑うように、また泣いて喜んでいた。
なお『協奏曲』は信濃町アンサンブルの演奏にカペラの歌を乗せたもので、本当に協奏曲の形式で演奏されている(声楽協奏曲はたとえばグリエールなどが書いており、クラシックにも存在する)。
『交差点』と『難破船』を旧版・新版と聴き比べて、
「同じ人が歌ったもので、短期間でこんなに変わるとは」
とネットに書き込んでいた人も複数居た。だいたいみんな同じことを指摘している。
・旧版はほとんど歌い込みをせずに録音している。
・恐らくほとんど指導されていない。(実際カペラは誰の付き添いも無く、ひとりでスタジオに行き、渡されたMIDI音源を聴きながら歌って録音してもらっている。今回はロンドがかなり熱心に指導した)
・旧版の伴奏は恐らくオート。新版はちゃんと人間が伴奏譜を書いている。(不正解!新版の伴奏譜作成は松本花子!編曲料だけで20万円払っている。但し生バンドが演奏している。旧版は確かにCubaseのオートでMIDI音源)
しかしカペラやポルカはまだ曲をもらえるだけマシで、完全に忘れられている、リセエンヌ・ドオや大崎志乃舞などもいる!
なお、リセエンヌ・ドオと大崎志乃舞のマネージャーが事実上不在になっている問題で、コスモスは、信濃町ガールズ担当の広橋窓佳を暫定的に兼任で担当させることにした。それで村上麗子は、完全に常滑舞音の専任になる。
9月16日(木)からローズ+リリーのアルバム制作は『歯磨き味のイチゴ』に入った。
これは政子がイチゴに練乳を掛けるつもりが間違って歯磨き粉を掛けちゃったという話で、公開後「マリちゃんらしい」と言われたエピソードである。
この曲を作るに当たっては、色々な“間違い”を友人・知人から募集した。実に様々ななエピソードが集まってきた。
「卵を割って、うっかり中身の方を捨てちゃった」
「それ私もやっちゃったことある」
「主婦の家事ミス1位という説もある」
「みんなやってんのか」
「なんか喪失感が大きいよね」
「ごはんチンして納豆かけて食べるつもりが、納豆をチンしちゃった」
「納豆はチンしても問題無いと思うよ。御飯をあらためてチンすればいい」
「うん。それで何とか食べられた」
「納豆に醤油かけるつもりがソース掛けちゃったことある」
「醤油とソースは間違えないように違う形の容器に入れるの推奨」
「お菓子作ってて砂糖と塩を間違えた」
「砂糖と塩は間違えないように違う形の容器に入れるの推奨」
「調味料の容器を同じシリーズで揃えるとキッチンが美しいけど、間違いを誘発するよね」
「カップ焼きそばのソースを掛けてからお湯を入れた」
「それみんな1度はやってる」
「特に粉末ソースは間違えやすい」
「仕方ないからウスターソース掛けて食べた」
「私は中濃ソース掛けた」
「そちらがいいかも」
「タンブラーにコーヒーの粉入れてからお湯を注いだつもりが、カップに注いでみると、お湯だけ出て来た」
「疲れてるとやりがち」
「お湯は捨てて、もう一度作るしかない」
「タンブラーを洗ったんだと思うしかない」
「カレーはできたけど、御飯のスイッチ入ってなかった」
「ようかい体操第二だ!」
「それ多分主婦の家事ミス5位以内には入ってると思う」
「冷凍御飯かサトウのごはんがあれば、それをチンするか」
「私の友だちは髪にヘアスプレーと間違って、撥水スプレー掛けちゃったことがあるらしい」
「それは辛い」
「2ヶ月くらい、シャンプーができなかったらしい」
「でも汚れも付かなかったりして」
「2ヶ月って、つまり髪が伸びてきて、入れ替わってきたのでは?」
「白い靴に黒い靴クリーム縫っちゃったことがある」
「もうそれは黒い靴に改造するしかない」
「色落ちする服と白い服を一緒に洗濯機で洗っちゃった」
「それはそういう色の服と思うしかない」
「去勢手術受けに行ったら、患者の取り違えで性転換手術されちゃった」
「はあ?」
「マジ?」
「それはもう女として生きていくしかない」
「ある意味、親切すぎる医者かも知れない」
さすがにこの話は歌詞には取り込んでいない!
「仲介してくれる会社にFAXすべき見積書を間違って顧客に直接送ったことある」
「それやばくない?」
「仕方ないから、その値段で顧客に出して、こちらは本来の見積額より安い値段で引き受けるはめになった」
「減給ものという気がする」
「ボーナス半額にされた。実際の損失には遙かに及ばないけど」
「まあ半分で済んで良かった」
「間違っている書類を処分するつもりが修正済みで部長のハンコまでもらった方をシュレッダーしちゃった」
「ああ、何か疲れるよね。そういうの」
「部長には再度ハンコをもらうしか」
「保存先に追加コピーしなきゃいけないのを間違ってスマートコピー掛けちゃった」
「それ保存していたファイルが消えてしまうのでは?」
「復旧ソフトにかけてみたけど、復活できなかった。諦める以外なかった」
「ご愁傷様」
この歌に関しては、公開後ファンの方から「こんな失敗もした」という声がたくさん寄せられ、後に“増補版”を出すことになった曲である。
今回はこれらの失敗を演じてくれたのは。ローザ+リリンである!
私とマリでやりたかったのだが、どうしても時間が取れないので、打診してみたら「いいよ」と言って、体当たりの演技をしてくれた。全部撮影するのに3日かかったらしい。
むろん、撥水スプレーを掛けたのは、自毛ではなく、ウィッグである!
「性転換手術の取り違えというのも演技しようか?。ケイナが間違って手術されちゃうとか」
「それ本当に手術しないよね?」
とケイナが不安そうな顔で訊く。
念のため八雲真友子課長に照会してみたが「それはさすがにやめようよ」と言っていたので、やはりやめておくことにした。
性転換手術の取り違えというのは、実際にイタリアで起きたのが報道されたことがある。
豊胸手術を受けるはずだった女性が間違われて男に性転換された。胸が大きくなるどころか平らになっていて、股間におぞましいものがあるのにショックを受けたと報道では書かれていた。その後のことは聞いてないが、多分逆性転換手術して胸は豊胸し、男性器は除去して女性器を再形成したと思う。しかしいったん除去した卵巣は再度埋め込んでも生殖能力は回復しないと思う。女性ホルモンの分泌はできるかも知れないが卵子育成は絶望的。膣は膣口を閉じただけだったならそれを開ければ性交能力に関しては機能回復した可能性がある。
長岡ひろしの漫画「チューリップほしい」とか、デイヴィッド・トーマスの小説「彼が彼女になったわけ」はこの患者取り違えで性転換手術されちゃったというネタで書かれた作品である。
「チューリップほしい」は包茎手術のはずが性転換される。女として生きていこうとするが挫折。恋人(女性)に励まされて、ペニスが無いことは気にせず、自分は“心は男”なのだから、男として生きていこうと再決断。豊胸で埋め込んだシリコンは除去し、彼女と(男女の)夫婦になり、男性としての生活に復帰する。
「彼が彼女になったわけ」(原題:Girl)では抜歯手術のはずが性転換されてしまった。損害賠償を求める裁判を起こすが、病院側の弁護士は、女になったことは何も損害ではない。女になったのは、むしろ良いことなので、“損害”を賠償する必要は無いと言い出す。アメリカならありそうな話だと思ったのだが、David Thomasはイギリス人である。
1959年生まれで The Daily Mail (日本で言えば東スポのような新聞)などで働き、この作品(1995)が処女作である。だからこの小説は東スポ的なノリの作品なのだと思う。その後、Tom Cain(トム・ケーン)というペンネームで「黒衣の処刑人」 (The Accident Man)に始まる、Samuel Carver(サミュエル・カーバー)シリーズを書いて人気作家となった。
9月20日(月)に発表された売上統計で、舞音の『赤巻きスカート、青巻きスカート、黄巻きスカート』は110万枚に達して6枚目のミリオンとなった。
先日ラピスラズリが4枚目のミリオンを出して舞音に1枚差と迫った形になっていたが、このミリオンで2枚差となり、ラピスラズリを突き放した。
アルバム『くろ招き猫』も56万枚に到達して2枚目のダブルプラチナとなった。
ローズ+リリーは、9月23日から『Burning Snow(燃える雪)』に取りかかる。
この曲は以前『君に届け』のc/w曲として収録したものだが、雪が燃えるという不思議な現象(実際に“燃える雪”を千里所有の工場で撮影させてもらった。常温で凍結する化学物質を実験槽の上から雪のように降らせ、それに点火して燃やしてしまうのである。当時この映像自体、物凄く話題になった。真似する人が出ると危険なので、どういう化学物質を使ったかは非公開)に合わせて、電子音をバリバリ使ったアレンジにしている。
しかしこのアレンジがマリにはお気に召さなかったのである。マリのイメージとしては、この曲はもっと静かで淡々とした情景を描いたものであってほしいというのがあった。
それで今回アコスティック楽器で録り直すことにしたのである。テンポは以前のものより少しアップテンポにする。
また、この曲にはアマビエに登場して欲しいという希望があり、忙しい所申し訳なかったのだが、常滑舞音ちゃんに1時間だけ時間を取ってもらい、アマビエのコスプレをしてもらって、MVの先頭とラストに入れている(彼女のコスプレ衣装はほぼ全て保管されている:実は女子寮8Fの空き部屋2つに入れられている)。今回のローズ+リリーのアルバムで舞音ちゃん唯一の登場シーンとなった。
MVとしては、前回も使用した工場で撮影した“燃えあがる雪”の映像はそのまま使うし、雲が尾流している映像も使用している。これは意味が分からなかった人もあったようだが、尾流(びりゅう)というのは、雲を構成している氷の粒が、落下してくる途中で蒸発してしまったものである(蒸発せずに地上に到達したら雪になる)。尾流はまさに「燃える雪」なのである。
また札幌の街並みの、同じ場所で冬に撮った映像と春に撮った映像を使用している。強い雪が消えてしまった様子を表している。
楽器構成としては、近藤さん・鷹野さんともにアコスティック・キターを弾くが鷹野さんは低音を担当している。酒向さんのドラムスはお休みである。月丘さんはマリンバ、詩津紅と美野里が各々別のグランドピアノを弾いている。
ピアノはどちらもスタインウェイだが、美野里がコンサートグランド、詩津紅がパーラーグランドなので、耳のいい人には2種類のビアノが使われていることが分かると思う(私には分からないが!)。ピアノは両方の楽器が揃っているあけぼのテレビのスタジオ(バレエ公演などもする12スタジオ)で別録りしている。
七星さんと詩津紅には女子寮に来て木管収録にも参加してもらった。七星と風花がフルートの二重奏、詩津紅と美津穂がクラリネット二重奏である。
なお女子寮の木管やコーラスを録音しているスタジオは、8畳くらいのフロアの背景に1畳サイズの個室が並んでおり、各演奏者はその個室で演奏するようにして、演奏中、お互いの吐息が混じらないようにしている。各個室は各々その部屋のみで換気がなされている(床が木製グレーチングで吸気され、天井から新鮮な空気が入ってくる)。2020年5月に数百万掛けて改造した施設である。
“ガラスの家”の個室は、女子寮やあけぼのテレビに設置したこの手の施設をモデルにしている。
七星さんは
「私、女子寮の敷地に入っていいのかな」
などと言っていたが、
「大丈夫です。ちゃんと女に見えます」
と言っておいた。
ゆまは8割くらい男と思われる(ラッキープロッサムでもレッドブロッサムでも、いつも軍服風の衣裳を着ているし短髪なので、マジ男性と思っている人も多いと思う)が、七星さんはたぶん7割の人が女性と思うと思う。でもたまに近藤さんとは同性婚だと思っている人もいる!(本人は「赤ちゃんまだなの?と言われなくて楽チン」などと言っている)
なお、フルートは七星さんも風花もムラマツの総銀フルート (DS Ag925)を使用している。七星さんはライブでは純金フルート(サマーガールズ出版から貸与しているもの)を吹いているが、今回は風花とのデュエットなのでパワーを揃えるためにサブ楽器のDS(自己所有)を持って来た。
クラリネットは、詩津紅はセルマー(Selmer Privilege)、美津穂はヤマハ (Yamaha YCL-SEVmaster) である。
この曲には金管は入れず、ヴァイオリンの四重奏を入れたので、また真知子の家に、生方芳雄・荒井路代の2人に来てもらい、録音している。
以上の音に、あまめ・夢夜のコーラスを入れている。
『Burning Snow』は9月末までに完成したが、ここまでで、まだ10曲しか完成していない。今回のアルバムには14曲入れる予定であった。私たちは制作日程を10月まで延長することにした。
スターキッズは問題無い。金管の宮本・香月も
「10月までかかる気がしたから、予定は入れてない」
という事だったので、そのままお願いした。
ヴァイオリンの2人は予定は入っているが、限られた日数なら対応できるということだったので、空いた時間を使って作業してもらうことにした。
コーラスの2人は「予定を入れてるからダメ」とコスモスに言われたので(実際10月は八犬伝の撮影をするのでみんな忙しい)、新人の、薬王みなみ・鈴原さくらに交替することになった(制作のある日はさくらがシャトルバスで女子寮に来る)。それで残り2曲はコーラスだけが変わることになったのである。
女子寮にやってきたさくらに、ゆりこは
「土日はこちらに泊まってもいいよ。そもそも君のために女子寮の部屋は用意していたし」
いったが、さくらも
「それもいいかなあ」
と言って、本当に女子寮2階のひとつだけ空いている部屋に泊まっていた。寝具や最低必要な日用品は、寮母の天羽さんが、あかり・ひかり姉妹に頼んで、部屋に入れていた。
「ちんちん、もう無いんでしょ?女子寮にそのまま住めば?」
と薬王みなみから言われるが
「まだついてるよー」
とさくらは言っていた。
「でもこないだ女子水着になってた時はお股には何も無いように見えたよ」
さくらは、あけぼのテレビの水泳教室の番組にも出て、女子水着で畳の上の水練をしていた。彼女はマジで泳げないらしい。小学校時代、男子水着になるのが嫌で、水泳の授業を全部見学で通したからという。男の娘にはこういう子が結構居る。
「ちっちゃいから、アンダーショーツ穿けば目立たないんだよ。セレンさんやクロムさんだって、目立たないでしょ?」
「睾丸は取ってるよね?」
「それも18歳になるまではダメってお父ちゃんから言われてる」
「それでこっそり取ったんだ?」
「取ってないって」
でも胸が結構あるのはあらためて確認されていた。彼女も胸は本物であることを認めていた。男性能力が既に消失していることも認めていた。
「男性機能が無いのなら女子寮に住んでいいと思うなあ」
「まだ女子中学生する自信ないから」
「既に女子中学生になっている気がする」
(セクハラっぽいけど、本人はこういうこと言われて喜んでいる。女の子らしいと言われるのが嬉しいのである)
それで9月30日から『12 monthes of I Love you』の制作を始めた。
実はアルバム『十二月(じゅうにづき)』のタイトル曲として用意していた曲なのだが、
「十二月(じゅうにづき)はきっちり十二曲で完結したほうがいいと思う」
というマリの意見で収録を見送った曲である。
スティービー・ワンダーの大ヒット曲『I just called to say I love you(僕は君に「好きだ」というためだけに電話したんだ)』(*4)を少し意識している。あの曲では季節のイベントを多数あげて、そういうイベントはあるけど、僕はイベントのためではなく、君に好きだと言うためだけに電話したんだと歌っている。
1月:新年
2月:ヴァレンタイン
3月:春の初め
4月:4月の雨
5月:花が咲く
6月:ジューンブライド
7月:暖かい7月
8月:名月
9月:秋の風・太陽が天秤座に入る
10月:落ち葉・ハロウィン
11月:鳥が南へ帰る・感謝祭
12月:クリスマス
(*4)日本では全く意味不明の『心の愛』という邦題で発売された。洋楽の邦題には本当に、なぜだぁ?と思うものが多い。
メリー・ホプキン「懐かしき日々」→「悲しき天使」
(元々はロシア歌謡「長い道」。フランスでは「花の季節」というタイトルがつけられ、日本ではこのタイトルでも知られている)
ガゼボ「私はショパンが好き」→「雨だれはショパンの調べ」
バグルス「ビデオがラジオのスターを殺した」→「ラジオスターの悲劇」
(まあ意訳として許せる範囲?)
ミレイユ・マチュー「さよならを言わずに人は生きて行かない」→「悲しみのソレアード」
(ソレアードって“晴れ”(soleado)のこと??)
ニコレッタ「あなたを決して忘れることはできなかった」→「再会」
(まあ再会した時のセリフかも?)
ミッシェル・ポルナレフ「おばあちゃんを殺したのは誰?」→「愛のコレクション」
(全く意味不明)
ビートルズ「君の手を取りたい」→「抱きしめたい」
(まあ、手を取ったら次は抱きしめてキスして***したいかも)
ビートルズ「ノルウェーの木材」→「ノルウェーの森」
(これは純粋な誤訳だろうと言われている。Norwegian Wood で単数形の wood には“森”という意味は無い。だいたい歌詞を読めば森なんてどこにも出て来てないことが分かる。彼女の家に行ったら壁とかが当時流行のノルウェー産松材でできていたという話である。でも結局彼女はさせてくれなくて主人公はバスルームで寝るハメになる(だから副題は「鳥は逃げた」)。この歌はレノンの浮気を皮肉ってポールが書いた歌で "Norwegian Wood" は実は "knowing she would" (彼女はやらせてくれるだろうと思って)の隠し言葉と言われている。“スケベ”を"Skip Beat" と表記したようなもの)
フランク・ミルズ「オルゴール・ダンサー」→「愛のオルゴール」
(まだマシな部類?)
リチャード・クレイダーマン「アデリーヌのバラード」→「渚のアデリーヌ」
(なぜ渚?)
リチャード・クレイダーマン「子供の頃の想い出」→「愛しのクリスティーヌ」
(どこからクリスティーヌちゃんが・・・)
ビンボ・ジェット「エル・ビンボ」→「オリーブの首飾り」
(ビンボということばの意味は不明。メキシコにビンボという食品会社があるので、そこから取った??この食品会社の名前の由来も不明らしい:そういう単語は存在しないが「男の子」という意味かも?という説もある。それならEl Bimbo は The Boyという意味なのかも。どっちみちオリーブとも首飾りとも無関係)
ポール・モーリア「アンナの歌」→「天使のセレナーデ」
(アンナとは「アンネの日記」で知られるアンネ・アランクのこと)
ポール・モーリア「ペネロペ」→「エーゲ海の真珠」
(ベネロペは単に女性名と思われる。モーリアには「フェリシダ」という作品もある。そちらの邦題は「海辺のフェリシダ」。なぜ“海辺”を付けたのかは不明)
ローズ+リリーの今回の楽曲ては、メロディーを12個の楽器がリレーで演奏して行くという趣向をとっている。
1月:Trumpet
2月:Trombone
3月:Flute
4月:Clarinet
5月:Pipe Organ
6月:Ac.Guitar
7月:El.Guitar
8月:胡弓
9月:Violin
10月:Marimba
11月:18金鉄琴
12月:Piano
18金鉄琴(金琴?)は雨宮先生所有の楽器をお借りした。高価な楽器で、移動させるのが恐いので、先生の御自宅で録音している。弾いたのは月丘さんであるが、初めて見る楽器だし、高価なものという意識があるので緊張していた。
パイプオルガンは、北海道きららホールのオルガンの音色を録ったが、これは山森さん(今回唯一の参加)にHonda-Jetで丘珠空港に飛んでもらい、入れてきてもらった。ホールは6時間借りて、録音自体は1時間で終わったのだが、残りの時間、ひたすら弾きまくっていたらしい(高額の借り賃の元は取れたと思う)。
胡弓は風帆伯母である(今回唯一の参加:出番はまだかと5回くらい電話してきた)。
愛知県内の知り合いの音響技術者に頼み、若山民謡教室(≒§§ミュージック東海研修所)内のスタジオで収録してもらった。
MVでは、各々の季節の中で撮ったカップルの映像を12個並べている。これは実は『十二月』で使うつもりで、2018年の夏頃から2019年夏に掛けて全国で撮影している。出演しているのは全国各地で、そのご当地のモデルクラブなどに所属していた人たちである。今回、その各々のモデルクラブに連絡し、遅くなったが、あの映像を使っていいかと確認して、再利用することにした。ただ7月の映像を撮ったカップルの女性側がその後、歌手デビューしていたことが判明し、(先方は使っていいとは言っていたものの)その映像だけ今回、撮り直すことにした。
出演してくれたのは、西宮ネオンと奥さんで、奥さんはこういう映像には初登場になる(美人さんである)。撮影は、前回のビデオを撮ったのと同じ、八景島シーパラダイスで撮影している。
「マーサは退院後、大輔さんと会った?」
と私は訊いてみた。政子はたまに出かけても、S3丁目駅近くにある自分のお店(マリベーカリー)でパンを買って、ついでにサワークリーム食パンで専務さんや滝沢小鞠ちゃんなどとおしゃべりしてくる程度である。
政子は1人で出かけさせるのは危ない。「気付いたら壁にぶつかってた。車が動かないんだけど、どうしよう?」とか「今釈迦堂パーキングエリアという所に居るんだけど、どうやって帰ればいいんだっけ」なんて電話が掛かってくる。それで、たいてい竜木マネージャーやハルちゃんなどに運転をお願いしている。彼女たちにはマリがデートするようだったら、そのまま連れて行ってあげてと頼んでいるが、実際には2〜3時間で戻ってくるので、デートまではしてないようである。
「大輔とは会ってない。2度電話しただけ」
と政子は答える。
2度しか電話してないのは、男性に対して淡泊な政子らしい。政子は基本的に男性から言い寄られると受け入れるが、自分から男性に対してアクティブになることはない。結婚秒読みだったはずの松山君を横取りされたのも、そういう消極さがあったと思う(でも松山君とはいまだに時々会ってる気がするけど!?彼の子供の写真持ってるし)。
「会いに行かなくていいの?」
「会わない。もう別れたから」
「嘘!?」
「でも夏絵はもうしばらく預かる」
「そうなの?」
「良輔さんが退院したらたぶんしばらく実家で療養するだろうからさ。大輔の数倍、あの人危ないじゃん。だから年内くらい頼むとお母さんから言われた」
「そういうことなら分かる。預かってあげた方がいい」
と私も言った。
なお大輔自身はもう自分のマンションに戻ったらしい。
「私と別れたから後はご自由にと言って、テンガ10箱とマールボロ10カートン贈ってあげた」
「それは割といい親切かも知れない」
と私は言った。
彼が感激して政子に再アタックしてきたりして!?
「ついでに丸山アイちゃんからもらった無痛去勢機(*5)も同封した。煩悩とおさらばしたかったら、これ使ってねと書いといた」
「危ないものを贈るなあ」
(*5)昨年アイが自己所有のマンションを退去売却して城崎綾香のマンションに同居することにした時、“ガラクタ整理”といって怪しげな発明品を知人に配ったもののひとつ。千里は
「冬、去勢したくなったら、アイちゃん製のはやめといた方がいい。無痛って大嘘で切断した後で麻酔が打たれる不思議仕様だから。代わりに私の友人が作った奴をあげるよ。こちらは本当に無痛だから」
と言っていたが、私は睾丸は持ってないので不要と言って遠慮した。しかし切断した後で麻酔打つってなぜ??SMの人向けの仕様???
私が大輔とのこと絡みで、松山君(政子の元彼)のことを考えていたら、その当の松山君から連絡があったので、私は驚いた。
人目につくのはまずいが、コロナの折、密閉された所では会いたくないので、結局私は彼と深夜の双葉SA(中央道)で密かに会ったのである。各々自分の車でここにアクセスする。ここはスマートICも併設されているし、上下線のSAの間を歩いて行き来することができる。
「本当は政子に頼もうかとも思ったんだけど、妻を裏切ることになる気がして」
と彼は前置きをした。
「実はお金を貸して欲しい」
私は驚いた。彼はお金に関しては堅実な人だ。そもそもこういうことを言ってくるような人ではない。
私は基本的には友人にはお金を貸さないポリシーである。お金の貸し借りは絶対に人間関係を破壊する。これまで貸したのは、事務所からの独立問題で困っていたXANFUSに貸したのと、友人の中絶費用が無くて困っているという桃香に貸したのくらいである。
「理由を教えて欲しい」
「実は、妻が癌で」
「うっ」
「治療費に物凄いお金が掛かる。もう貯金も使い果たしてしまって。銀行やクレジット会社からも借りられるだけ借りたし。自分の親からも彼女の親からも200万くらいずつ借りてて」
「いつからそういうことになってるの?」
「去年の春頃から、何か調子悪いみたいではあったから、病院行ったら?と言ってたんだけど、病院行くのはコロナに感染するのが恐いと言って」
「うーん・・・」
「実際、いつも行っている近くの総合病院で院内感染のクラスターが発生して入院患者が30人も死んだんだよ」
「わぁ」
「コロナとは関係無い病気や怪我で入院していた人が大半だった。それでよけい病院に行くのを怖がったみたいで」
「それ、他の病院にでも行くべきだった」
「今になってみればそう思う。今年の1月、仕事先で倒れて。それで職場の近くの大きな病院に運び込まれて。それで癌が分かった。かなり進行しててあちこち転移してて、余命半年と言われた。本人には言ってないけど」
「嘘!?」
「保険外の治療をしてもらってる。1回100万掛かる治療を毎月1回している。それでまだ何とか持ちこたえているのだと思う。それ以外にもかなり高価な薬を使っている。それでお金が無くなってしまって、子供たちの世話をベビーシッターさんに頼んでるし、それもお金が掛かって」
「子供は・・・4歳と2歳だったっけ?」
「よく覚えてるね!」
「その年齢ではお世話する人がいないと、どうにもならないね」
「そうなんだよ。放置して会社に行く訳にもいかないし」
ということはかなり長時間、お世話を頼んでいることになる。保育料もかなり掛かっているだろう。保育所では送り迎えができないし。松山君の両親は東京だし、奥さんの実家は鹿児島県の離島・甑島(こしきしま)である。妹さんがいたはずだが、確か結婚して子供もいたはずだ(佐野君が言ってた)。動くことはできない。お母さんとかは長年島で暮らしている人だから、多分都会の生活は無理だ。しかもコロナリスクが高い。となるとベビーシッターさんというのが最も現実的だ。
「保険とか入ってなかったの?」
「保険の給付も使い切った。実は妻には保険があるから大丈夫と言っているんだけど。もうこの先、どうしようと思って」
私は言った。
「明日にも取り敢えず1000万振り込む。それでクレカとかのローンをまず返済しなよ。それ返せないよ」
「うん。もう返せない気がしてた」
「足りなかったら、いくらでも貸すから。私にいつでも言って。それで奥さんに最高の治療をしてあげて。私への返済のことは考えないで。とにかく奥さんのことだけ、今は考えて」
「済まない。本当に済まない」
「あと、子供たちには充分食べさせて、本とかDVDとかおもちゃも買ってあげて。お母さんが入院してたら、凄く不安だろうし、おもちゃとかビデオがあればだいぶ気が紛れるよ」
「助かる。そしたら・・・もし可能だったら2000万貸してもらえたら。実はクレカの借金だけで1000万円超えてて」
それ毎月の返済額が給料を上回ってないか?多分完全な自転車操業状態だ。
「じゃ明日2000万振り込むよ」
「ありがとう。本当に申し訳ない」
彼は泣いて感謝していた。このことは政子には言わないで欲しいと言うので、それも言わないことを約束した。
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【夏の日の想い出・ラブコール】(7)