【夏の日の想い出・ラブコール】(3)
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(C) Eriko Kawaguchi 2021-08-28
ローズ+リリーのアルバムでは、次に昔話シリーズで『湖より・愛のテーマ』を制作した。『白鳥の湖』をベースにしたものである。ビデオガールコンテストの作業が入る前の7月16日に私のエレクトーン弾き語り音源を完成させたので、クラウドに上げて七星さんに連絡した。
この曲では金管はお休みでヴァイオリンの四重奏を入れている。これにはいつものメンツである、生方芳雄・荒井路代にも入ってもらった。この2人は今年の春に音楽大学を卒業したが、経済活動が停滞している折、どこの楽団にも入ることはできず、私の口利きで、取り敢えず“信濃町バンド”に籍を置いている。日常的に厳しい健康管理をされているので使いやすかった。
生方芳雄は(多分ノーマルな)男性だが、伊藤ソナタや荒井路代とは長い付き合いだし、気心も知れているので、鈴木真知子からもほぼ女性と同列に扱われていた!(「お嬢さんたち」とか言われるのには慣れている)
取り敢えず彼は目の前で女性が着替えているのを見るのは平気である。ソナタたちも彼の前で平気で着替えるし、ファスナーをあげるのを頼んだりもする(生方は単に「気にしない」ようにしているだけで、翼のように女性不感症ではないと思う)。
また木管セクションにオーボエの音が欲しかったので、忙しい所申し訳なかったのだが、オーボエが吹ける谷口翼(招き猫バンド)に1日だけ女子寮に来てもらい、風花・美津穂と一緒に演奏してもらった。
この楽曲が完成したところでマリおよびメンバーは2回目のワクチン接種をおこなった。それで制作は一週間お休みとなる。
この曲もやはり物語仕立てのPVを制作した。
オデット・オディール:三陸セレン
ジークフリート:山本コリン
ロットパルト:高島瑞絵
王太后:大崎志乃舞
四羽の白鳥:鈴鹿あまめ・水谷康恵・水谷雪花・栗原リア
バレエ経験者で構成しており、実際にバレエの振付で踊ってもらっている。曲のクライマックスにセレンの32回転グランフェッテが入っている。
彼も過去に2度しか成功していないと言っていたが、5回目のトライで成功したので、その映像を使用した。どうしても成功しなかったら編集で32回転に見せようかと思ったが、成功したのでノーカットで32回転を見せることができた。実はこのメンツの中で黒鳥を踊ったことがあるのが彼だけだったので、彼にお願いしたという経緯がある。彼は実際にバレエ教室の発表会で黒鳥を踊った時は28回しか回れなかったらしい。
しかしそれでヒロインを演じるのが男子で、王を演じるのが女子になったのは偶然である!(マリの指示ではない)
それに山本コリンは164cmの長身なので格好良いジークフリートになった。コリンは、ジークフリートは一度やってみたかったと言っていた。彼女はソフトボール部のピッチャーをしていただけあって、体格がいいし腕力もあるので、体重43kgのセレンを楽々とリフトしていた。彼女は男役はくるみ割り人形でスペインの男側を踊ったことはあるらしい。
なお、この映像(特にセレンの32回転)を見てアクアFがかなり闘志を燃やしたようである。
アクアは昨年あたりから若い子たちが台頭してきて“次世代のスター”とか言われているのをかなり意識している。6年間この事務所をひとりで支えてきたアクアも今や、完全に追われる立場である。
7月17日(土).
§§ミュージックは所有している、あるいは(一部曖昧に)借りている飛行機を総動員して、北は北海道の江差(枝幸ではない)から、南は与那国島までに分散しているビデオガールコンテストの本戦参加者を親権者と一緒に熊谷の郷愁飛行場に連れて来て、“郷愁マンション”に入ってもらった。
そして18日朝から午後まで掛けて第2回ビデオガールコンテスト本選をこのマンションを舞台に実施した。審査は全て各部屋に設置したカメラを通してのリモートであり、参加者を一同に集めたりはしない。
審査が終了したのは午後3時頃であり、優勝者・上位合格者との契約の話し合いが終わったのは、午後7時頃である。
今回は優勝者の広中礼音(富山県)が男の子だった!というのが判明し、失格。彼は西宮ネオン同様、特別賞を与えることにした。
彼のその後の行動を見ていると、彼は“男の娘”ではなく普通の“男の子”のようで、本当に西宮ネオン路線のようである。ただ女装は平気っぽいし、スカート穿いている所を見ると充分女の子に見えてしまう。
彼は声変わりもまだなので、ゆりこが「声変わりしてしまう前に去勢してあげたい」と言っていたが、「変なこと唆して親権者と揉めたりしないように」と釘をさしておいた。でも彼が入居した男子寮の部屋には、信濃町ガールズの女子制服とか、女子下着の通販カタログなどを置いて来たようである(むろん男子制服も置いている)。
彼はスカートが置いてあるのに首をひねったようだが、フロントのユキさんが
「それ、ゆりこ副社長のジョークだから。スカート穿きたければ穿いてもいいけど、男子メンバーはたいていショートパンツ穿いてるよ」
と説明すると安心していた。
「ゆりこ副社長は、去勢しちゃおうとかもよく言うけど、それもジョークだから」
「あはは。去勢は勘弁してください」
彼は男子寮に入居してから、女性用生理用品の自販機などが置いてあるのに首をひねっていたようである!
なお男子寮でも、上田雅水(直江アキラ)・松元徳世(長浜夢夜)には6月から、女子寮生同様、生理用品は無料で渡すことにした(本人たちの好みのブランド・商品を聞き、それを用意してストックしている)。自販機を使っているのが誰かはよく分からないが結構補充が必要である。セレンとクロムは実は生理用品の自販機があるといいなと言った張本人だが、最近は自分でドラッグストアで堂々と買うと言っていた。
広中礼音の失格で2位の風谷リンゴ(北海道江差町)が繰り上げ優勝となった。彼女が間違い無く女子だったのでコスモスはホッとしていた。
彼女は“繰り上げ優勝”というのには不満だったようだが、それを受け入れ、第2代ビデオガールになった。彼女はデビューまでの間に礼音を追い抜いて、自分が真の1位になると誓っていた。
彼女との話し合いが終わった時点で12位以下の子の“親権者”に今回は上位入賞は果たせなかったが、希望すれば地方ガールズに無審査で入団できることを伝えた(優勝者が確定するまではこの作業ができない。上位が全員失格または辞退というのも論理的にはあり得るからである)。
全員が地方ガールズ入団を希望した。
その連絡をしている最中に14位の馬渡聖美さんは向こうから連絡してきたので、花ちゃんが彼女と直接話した。
・今回は残念ながら上位には入らなかったが、ボーダーラインに近かった。
・歌う時に、変な癖がある。“自分は歌がうまいと勘違いした人”にありがちな歌い方なので、そこを直さないと、信濃町ガールズの本部メンバーにも採用できないし、君の歌は上達しない。
・勝手なシンコペーションをせずに、正確なリズムで歌うようにしよう。指でビートを刻みながら歌ったりするとよい。
・音の出出しが一瞬遅れることが多い。正確なタイミングで発声を。
・当面ビブラートを封印して、正確な音程で歌うようにしよう。ビブラートは悪く言えば音程の不正確さを誤魔化す手段。ノンビブラート唱法では音程が少しでもずれていると(音感のいい人には)微妙に気持ち悪く聞こえる。正確な音程で歌うと声は楽器の音に溶け込んで自分ではあまり聞こえなくなる。それが音が合っている証拠である。
・息継ぎが多すぎる。もっと長く息をもたせられるように例えばロウソクの前で「あー」と長時間声を出し続けられるようにする練習とかを勧める。身体機能を高めるために早朝のウォーキング(走れるならジョギング)などをするのもよい。但しひとりでは危険なので、人通りの無い道は避けること。またできたらお母さんか誰かと一緒に2人以上でした方が良い。
・ダンスは充分上手いと思った。リズム感はいいと思うので歌も同じ要領で。
・身長に比べて体重が少なすぎる気がする。息がもたないのも体格の問題があるかも知れない。少なくともうちの事務所はダイエット禁止だし、10代で無理なダイエットをしていると、生理不順や貧血などを起こしてよくない。歌手は体力を問われる。特に売れっ子は朝から晩まで仕事があるので、体力が無いと務まらない。しっかり食べよう。
と言ったことを伝え、お手本とする歌手として何人か具体的な名前をあげた。
彼女は「分かりました。鍛え直してまた来年挑戦します」と言っていた。
花ちゃんは「この子きっと来年は優勝争いしますよ」と電話を終えてから言った。
その後、3位の池田芽衣(与那国町)、4位の四宮七菜(徳島県)、と11位までの子を順次呼びだして話し合い、この2人のほか、6位の鈴木春南(東京都)、10位の森田浩絵(福岡県)、11位の成瀬久美(愛知県)と契約した。そして6位の鈴木春南までは“即戦力”というのが大方の審査員の意見であった。ここまでは誰が優勝でも良いレベルだった。
「本当に今年はレベルが高い」
「やはりラピスラズリ効果だろうね」
「来年は常滑舞音効果で、もっとレベル高くなりますよ」
優勝した風谷リンゴを含め、7人と契約したので、男子寮に入れる広中礼音を除く6名を女子寮に入れることにする。この時点で、女子寮の2階には4人、3階には6人が住んでいた(1フロア8部屋)ので、ゆりこは、
・優勝者のリンゴちゃんは3Fに入れる
・2Fの住人で、地方昇格組であるため2Fに居るが高校生である酒井青花(大仙イリヤ)を3Fに移動させる。
・残りの5人を2Fに入居させる
という案を提示して了承された。
これで女子寮は2-3Fが満杯になる。
大仙イリヤの引越は、業者さんを呼ぼうかと言ったのだが、荷物少ないから何とかなると思います、と本人は言っていた。が、男子寮からセレンとクロムが手伝いに来てくれて、本棚などは彼らが持ってくれたので、スムーズに移動することができた。彼らがいないと結構大変だった。(業者を断ったのは“散らかりすぎてた”からかも)
イリヤが出た後の部屋のクリーニングは業者にさせた。
それで2Fに5人新入居できる状態になったのだが、5人の内の鈴木春南が実は男の子(この子は完全に“男の娘”)であることが分かり、彼女(彼?)の入居先は男子寮に変更された!
ゆりこは彼女に「女子制服で通学できる中学紹介しようか」とかなり唆していたようだが、本人は「まだ女子中学生をする自信がない」と言って男子寮を選択した。
でも転校手続きをしてから即女子制服を作ったようである!
彼女を男子寮の“女子エリア”である4Fに入れるべきか、ゆりこもかなり悩んだようであるが、電話でのやりとりだけでは彼女に睾丸があるかどうか判断できなかったし、本人は「18歳までは去勢したらダメと親から言われてる」と言っていたので、取り敢えず1Fに入れた。(春に入れた夢夜の場合は、本人が去勢していることを正直に申告したので最初から4Fに入れている)
しかしその後でも「やはり4Fでよかったかなあ」とゆりこは悩んでいた。
彼女は物理的にはまだ去勢していないかも知れないが、間違い無く女性ホルモンを飲んでいるようで、化学的には去勢済みなのは確実である。おっぱいもわりとあるし!
彼女は転入した中学ではすぐに更衣室を別途用意され、身体測定なども個別にすると言われたらしい。また髪の長さも女子の基準でいいと言われたようである。
(そもそも学生服着てても女の子にしか見えない)
彼女は男子寮内では登下校の時以外はいつも女子制服あるいはふつうの女の子の格好をしていて、セレン・クロムと3人で“女子中学生3人組”になっているようだ。
つまり男子寮1Fで、男の格好をしているのは礼音だけ!
ビデオガールコンテストが終わった後、優勝者および上位入賞者は、東京への引越準備などもあるので、その日のうちに各々の地元まで送り届けている。
12位以下の子たちは、その日は“ホテル昭和”に移動して宿泊してもらい、7月19日に各々の郷里に送り届けた。
上位入賞したものの契約は結ばなかった4人は、しばらく東京に留まって、他の事務所のオーディションも受けてみたいと言うので帰りの交通費だけ渡した。ただし各々のお父さんは仕事の都合ですぐ帰る必要があるということだったので、12位以下の子たち同様、4人とも19日中に地元に送り届けた。
結果的にホンダジェットに“1人で”乗ったお父さんもいたが、かなり恐縮していた!
2021年7月24日(土).
この日は南川彩佳の20歳の誕生日だった(2001.7.24 4:24 熊谷市)。一緒に暮らしている宏恵・桐絵がショートケーキを買ってきてくれて、コーラで乾杯し、誕生日を祝ってくれた。お料理も今日は宏恵と桐絵の2人だけで作ってくれた。そして夜21時頃、いつものように夕飯を持って、山村から借りているヤリスを運転し、代々木のマンションに行く。そして龍虎の帰りを待った。
龍虎が帰って来たのはもう0時すぎだった。彩佳は居間のソファでタオルケットを掛けて仮眠していたが、龍虎か入ってきた音で目を覚まし、抱きついてお帰りを言う。龍虎がうがいをするのを待ってキスする。
「疲れたでしょ?今御飯温めるから、座ってて」
「いつもありがとね」
「だって、龍は毎日凄い頑張ってお仕事してるもん。少しでも助けになればと思って」
「あ、そうだ。彩佳」
「うん?」
「0時過ぎちゃったけど、誕生日おめでとう」
「ありがとう。覚えてくれてたんだ?」
「去年は忘れててごめーん」
「いいんだよ。本当に忙しいもん」
「もう宏恵や桐絵たちと食べたかも知れないけど、一応ケーキ買って来た」
と言って、小さなケーキの箱を出す。
「忙しいのに!」
「実は寛菜ちゃんに買っておいてもらった。15時頃、いちばん人の少ない時間に。その後、事務所の冷蔵庫に入れておいて、持ち出す時は新たな冷却剤を入れた」
「なるほどー」
「ボクはお店とかで買物するの禁止されてるし」
「そりゃそうだよ。アクアが万一感染したら、損害は十億とか二十億になるもん」
「デルタがどうもかなり入ってきてるみたいだから、事務所の感染防止規程が随分厳しくなって、それに協力してもらえない番組からタレントを引き上げたものもある」
「それも大変そう」
2人でコーラで乾杯し、一緒にケーキを食べた。それで
「じゃごはん食べよう」
と彩佳が言った時
「誕生日プレゼントがあるんだけど」
と龍虎が言う。
「わあ、何かもらえるの?」
「これなんだけど」
と言って龍虎が小さな紙袋を出すので、その紙袋を見て彩佳はドキッとした。
「誤解される前に言っておくけど、これただのファッションリングだから」
「へー」
「彩佳の誕生石のルビー」
と言って、龍虎は、紙袋の中の水色の宝石ケースを開け、指輪を見せた。
ピジョンブラッドの大粒のルビーである。指輪自体はプラチナのようだ。
「サイズは桐絵に確認してもらった」
「それでこないだ指に糸を巻き付けられたのか」
「もらってくれる?」
「ただのファッションリングなんでしょ?もらう」
「うん」
「龍がはめてよ」
「OK」
それで龍虎は彩佳の指にルビーの指輪を填めてあげた。彩佳が龍虎にキスする。
「ただ、お願いがあるんだけど」
「うん?」
「あまり人前でこれつけてほしくないんだけど」
「いいよ、いいよ。私がこれつけてたら、龍からもらったんだろうなと思う人多いだろうからね」
「ごめんね」
「じゃ婚約する時は、1.5カラットくらいのダイヤの指輪で」
「分かった」
隔離中の原町カペラだが、4日後の検査でも8日後の検査でも陰性であった。また体温も平熱だし、特に体調がおかしいというのもない。ドライバーの橋本さんも陰性だった。念のためあと6日間は様子を見る。
またカペラは25日から制作中のアルバムの録音作業に入った。この1週間自分なりに一所懸命練習した(結局長編漫画を読む暇は無かった)。それをベースに1曲ずつ録音していく。
録音はこの隔離部屋(元々防音になっている)でおこなう。隣の202に録音用の機器が持ち込まれており、アクリル板の壁を設置して、カペラと技術者さんが接触しないようにする(203との間は壁をぶち抜いて!ドアを設置した)。また202→203の空気の流れを作った(203で換気扇を回す。この換気扇にはULPAフィルターが付けられている)
歌の仕上がりに関しては、花咲ロンドがリモートで見てくれることになった。
カペラが出演していた番組では、1人だけ、もうひとりの感染者Aさんの隣の席に座っていた人だけが、4日後にPCR陽性となり入院になった。それ以外には今の所感染者は出ていない。あの番組は出演者同士の絡みがあまり無く、スタジオの換気も良かったからかもとカペラは思った。
川井陽生は入院中で酸素吸入器は使っているものの、今の所、命に別状はないようである。
しかしAさんは容体が急変して死亡した。このことは陽生には話していないが、カペラはニュースを見てかなりビビッた。コスモスはその件は決して陽生ちゃんには言わないように、とカペラに釘を刺した。
「とても言えませんよー」
とカペラも言った。
カペラは川井陽生とかなり濃厚に接触していたようだが、無事なのはやはりワクチンのおかげだろうなと、コスモスは思った。
なお陽生は事務所から、WWW閲覧のできない携帯端末とニュースの無いチャンネルのみ見られるテレビモニターを病室に入れてもらっていて、ニュースとかSNSの類いは見られないようになっている。結構あけぼのテレビを見ていたようだし、CSで古い映画なども見ていたようである。オリンピック中継を見たいと言ったが、興奮しすぎると身体によくないということで禁止された!でも友人から結果だけ聞いていた。
陽生のお母さんが田舎から出て来ているが、面会禁止なので会えない。一応毎日朝晩電話している。お母さんは事務所が業者に依頼して徹底的に消毒した陽生のマンションに寝泊まりしている。食事や食材も配送するので外食や買物は控えてくれるように言ってある。お母さんまで倒れられては困るし、ピンポン感染も怖い。
さて、今回のビデオガールコンテストにはギリギリ間に合わなかったのだが、Honda-Jetの発注していた2機が7月27日(火)に納入され、熊谷の郷愁飛行場で受け取った。これでHonda-Jetは5機体制となった。
Red アクア優先機
Blue ラピスラズリ>羽鳥セシル優先機
Orange 常滑真音優先機
Silver 高崎ひろか三姉妹>姫路スピカ優先機
Yellow 白鳥リズム>甲斐姉妹>水谷姉妹の優先機
各々の内部優先度は営業成績や使用頻度で今後変更になる可能性もある。また競合状況次第では“トレード”が発生する可能性もある。
なお、N航空からレンタルしていたBlueに関しては、こちらで買い取ることで話がまとまり、1年間のレンタル期間が終了した4月末に4億円(新品価格は5.6億)で買い取っている。ちなみにこの1年間に払ったレンタル料はパイロット付きで2億円である。
ただし今後の運用に関しては、N航空でホンダジェットのラインセンスを持ったパイロットと、ムーランエアー(*2)のパイロットが共同で5機のホンダジェットを運航することで、N航空側と合意している。パイロットには外食禁止・公共交通機関の使用禁止、毎日の体温報告など、厳しい健康管理を継続してもらう。
私とコスモスは、コロナの収束時期がまだ見えない状況から、万一無駄になってもいいという前提で、ホンダジェットは後更に2機発注することにした。
結局、今はGulfstreamのビジネスジェットのような15人くらい乗る機体より個別移動に使いやすい7人乗り Honda-Jet の方が遙かに使い手がある。
燃費も無茶苦茶いいし!!
(飛行機とは思えないほど使用燃料が少なくて済む(*1)。さすがホンダである!)
(*1) ホンダジェットの燃費は3.3km/kg なので、熊谷市西部の郷愁飛行場から小浜市のミューズ飛行場までの330kmを飛ぶのに必要な燃料は100kgである。1kgを130円で計算した場合で1万3000円である!
但しジェット気流の関係で“上流に向かう”熊谷→小浜は燃料を多く消費し(飛行時間もかかり)、“ジェット気流と同じ向きに飛ぶ”小浜→熊谷は燃料消費も少ない(飛行時間も短い)。
なおGulfstream機の場合は熊谷−小浜で燃料を480kgほど使用するので、燃料代は6万円ほどになる。Gulfstreamだって充分省エネな機体なのに、それと比較にならないほど燃費が良い。
(*2)ムーランエアーは、若葉が中心になり、私・千里・コスモス・丸山アイ・雨宮先生の合計6人が出資して2020年春に設立した会社。郷愁飛行場とミューズ飛行場の運営、および航空機の運航を業務とする。管制官が10人(全員経験者)、グランドホステス(若葉が作った制服が凄く可愛い!)が郷愁とミューズに5人ずつ(経験者2名を含む。男の娘2名も含む!)居るほか、30人ほどのパイロット(ヘリコプター操縦士を含む)、整備技師などの技術者を多数雇用している。旅客機会社ではないのでフライトアテンダントは居ない!
社長は大手航空会社の部長をしていた赤竹さん。航空自衛隊あがりの青島さんが専務である。特に赤竹さんの人脈で各地の空港や他の航空会社とも話が通りやすい(餅は餅屋)。彼の腹心の元部下3人も一緒にこちらに転職した。他にも航空会社・空港などに勤務経験のある人・航空自衛隊出身の人をかなり多数雇っている。今年の春は山梨の日本航空高校からも若い人財が入ってくれた。コロナ不況のおかげで良い人材が確保できている。なお、出資者は6人とも取締役に名を連ねている(若葉が会長で千里が副社長)。
現在運行している機体は下記である。
・ホンダジェット5機(§§ミュージック所有)
・HAL Do228 (§§ミュージック所有)
・ヘリコプター (Ecureuil-2)1機(§§ミュージック所有)
・ヘリコプター (Ecureuil-2)5機(ムーラン所有)
・Bombardier CRJ900(ムーラン所有)
・Gulfstream G450 (千里所有)
・Airbus A318 (千里所有)
・Beechjet 400(丸山アイ所有)
この他にN航空所有の機体の多く(空撮用や農薬散布用のドローンを含む)がここに駐機している。
離着陸回数はどうかした田舎空港よりよほど多い。主な顧客はムーラングループと§§ミュージックで、§§ミュージックは毎月高額の使用料を払っているが、実はコロナ以前に払っていた遠距離交通費(航空券代・新幹線代)と大差無い金額だったりする。実はムーランも同様の事情である。元々採算など全く考えずに始めたのだが、この2社が払う使用料でムーランエアーの運営は現在黒字である(無借金で空港作っちゃったので返済金の類いが発生しないのが大きいと思う)。
それ以外に地元の警察・消防・自衛隊!が払ってくれている使用料、若狭湾遊覧飛行の売上、各種空撮や農薬散布などでの使用料も収入になっている(これも意外にある)。
例によって若葉が「お金が減らなくて困る!」と叫んでいた。
航空会社としても定期便を持たない航空会社の中では既に充分大手になってしまっている。エアバスを運航しているのは国内の大手航空会社以外ではここだけかも。
エアバスはヨーロッパの航空会社から“余っていた”のを借りていたらしいのだが、そこが経営危機で、資産売却をしたいということだったので、結局千里が買い取ったらしい(値段は聞いていないが「意外に安かった」と言っていた)。登録番号は若葉の人脈で日本のものに登録し直した。
Bombardier CRJ900 は面白い飛行機で定員は90人という結構大きな飛行機なのにとても背が低く、乗り込むのに使用する階段はわずか6段である。三菱MRJのライバルとも言われたのだが、三菱MRJは完全に頓挫してしまった(会社トップが航空機開発をあまりにも甘く見ていたせいだと思う。不手際がすぎた。ホンダは物凄い努力をしている)。結果的にリージョナルジェット市場では、このボンバルディアCRJシリーズと、エンブラエルのERJシリーズが代表格となった。
アイベックスがこの姉妹機の CRJ700 を運行している。実はムーランエアーでこれを運行しているパイロットは元アイベックスにいた人である。ボンバルディアというと、極めて多数の事故を起こしたDHC-8があまりにも(悪い意味で)有名だが、DHCシリーズはボンバルディアに吸収されたデ・ハビランドが開発したもの、CRJシリーズは同じくボンバルディアに吸収されたカナディアが開発したもので、両者は全く系統が違う。
なお、ボンバルディアは最近、三菱が吸収した。ひょっとしたら今後三菱は頓挫したMRJの代わりにCRJの後継機を出すのかも知れない。
ムーランでは、このCRJ900を食材の運搬と、ムーラン建設の技術者・作業員の移動に使用している。稼働率はかなり高い(週3〜4回運行)。ムーラン建設の社員は約半数が福井県在住なので、この機体はミューズ飛行場をベースにしていることが多い。なお定員は90人だが政府の指導により現在max45人で運行している。(多分建設作業員を飛行機で空輸してるのは日本ではきっとムーラン建設くらい。社員の士気は物凄く高い)
Beechjet 400は丸山アイの専用機だが、アイミューズの社員やアイの親族が使用する場合もある(§§ミュージックは使用しない)。元々アイが、彼の基盤にしている九州と頻繁に往復するのに使用していた機体。昨年の郷愁飛行場オープン以降はだいたいここに駐めている。Beechjet 400は元々日本の三菱がMU-300として開発したビジネスジェットだが、日本国内ではあまり売れなかった。読売新聞と政府機関(気象庁だったかも?)が1機ずつ買ったほか、多分あと1機どこかが買った気がする。丸山アイが所有しているのはその後権利を買い取ったビーチクラフト製造のものである(最新製品は会社買収の結果、Hawker 400の名前で出荷されている)。
なおGulfstream G650は、江藤愛来さん所有の機体で運行も専任パイロット森村雪歌に任されている。一般に江藤さんの会社の上顧客を運ぶのに使用する。原則として女性専用で、どうしても男性が乗る時は最低でもスカートを穿いてもらうルールである!この機にスカートを穿かずに乗せてもらった男性は多分アクアくらい。
羽田に駐機していることが多かったが、郷愁飛行場がオープンしてからは、千里が「駐機代節約でこちら使いません?」と誘い、こちらに駐機していることが多くなった(駐機料は1ヶ月1000円!)。この機体は基本的には森村雪歌が飛ばすが、体調などによっては、妹の森村月世(ムーランエアー所属)が操縦する場合もある。
この会社の株主に名前を連ねている雨宮先生は“飛行機があれば逃亡しやすい”というのがあって、一口乗ったようである。先生もコロナ以降、公共交通機関の使用を控えている。先生はG450のパイロット山村と仲よくなり(女たらしで女装者ということで性格が似ている気がする)、北海道から沖縄まで飛び回って(逃げ回って)いるようだ。舞音の制作を嗅ぎつけて顔を出すのも、きっと山村から教えてもらっている可能性がある。
2021年7月28日(水).
アクアの実に6年ぶりのフルアルバム『ダブルボイス』が発売された。
アクアは地声は女声だが、ドラマで男役を演じている時には男声の声色を使っており。こちらでも結構な歌を歌うことができる。そこで同じ歌のラインナップを男声・女声の両方で歌ってみたというアルバムなのである。
男声は声域が狭いので、元々狭い声域で作られているCM曲を中心に構成した。これは音源化してほしいという要望が高かった曲ばかりである。諸般の事情でレア音源だったものも含まれている。一応2019年以降のCM曲で構成しているが、それ以前の曲については、反響などを見て検討することにしている。
今回、同じ曲を女声で歌った“赤ディスク”と男声で歌った“青ディスク”の2枚セット(DVD/BD付きは4枚セット)としたが、この“青”が意外に好評で、和泉はかなり“男アクア”の売り出しに自信を深めたようである。
7月24日から31日まで行われたオリンピックの水泳競技で、青葉は800m, 1500m で金メダル、400m個人メドレーで銅メダルという素晴らしい成績を収めた。
私は大会中は連絡を控えていたのだが、31日の競技が終わった後、電話しておめでとうを言った。
「メダル3つって凄いね!」
「ありがとうございます。選手の移動とかでもかなり便宜を図ってもらったおかけです。こちらは選手・スタッフともに感染者ゼロですし」
「物凄く気を遣うよね。こちらは可能な範囲で環境を整えてあげるだけだけどね。世界水泳(*3)まであまり日数がないけど、また頑張ってね」
と私は言った。
(*3)世界水泳は来年2022年5月に福岡市で行われる。福岡での世界水泳は2001年以来21年ぶりで、会場も前回と同じマリンメッセである。大会中のみ臨時プールが設置されるものと思われる。本来は2021年7月に開催される予定だったが、オリンピックの延期に伴い、2022年5月に順延された。
2022年夏に実施すると2022年9月のアジア大会と近すぎるというのもあり、5月になったようである。
しかし、まだ暑くない5月に行われることで、水温調節のために13億円経費が増えるらしい!
ところが青葉は言った・
「あ、私、このオリンピックをもって引退しますから」
「嘘!?」
「そもそも私、大学卒業とともに引退するつもりだったんですけど(本当は大学1年の4月だけでやめるつもりだった)、なんかわざわざ私のためにスイミングクラブまで作ってもらって、辞めるに辞められない状況になって。仕方ないから、夏のオリンビックまではやりますと言ったら、オリンピックが延期されちゃうし。でもさすがに辞めさせてもらいます。アナウンサー部にも復帰したいし」
「それは世間が許さないと思うなあ」
「え〜〜!?」
「だって金メダル2個と銅メダル1個と取って。まだ24歳だし。まだまだ27歳のパリ五輪までは現役できるでしょ」
「でもアナウンサー部も5ヶ月間も休職してるし」
「アナウンサーの代わりはいるけど、金メダリストの代わりは居ないよ」
「でも今回、金堂多江も金メダル2個と銀メダル1個取りましたよ」
「彼女が取ったのは400mと200mの個人メドレーだからね。長距離では青葉が圧倒的に強い。幡山さんだって、せめて世界水泳までやっていいのにと思ったよ。幡山さんが引退表明しちゃったし、青葉まで辞めたら、日本の長距離陣がガタガタになっちゃうよ」
「そんなこと言われても」
などと青葉は言っていたが、本人もまだ引退に迷いがある気がした。それでその件を私は後で、〒〒スイミングクラブの皆山幸花社長にも電話して話した。
「みんな何とか説得しようとしてるんですけどね。でもケイさんの見立てでは、翻意の可能性ありますか?」
「あると思うよ。それにもったいないじゃん。まだまだできるのに」
「ですよねー」
ローズ+リリーのアルバム収録曲『Across the crowded room』は、ワクチン接種から一週間おいた7/31から制作作業を開始した。
しかし2回目の接種では結構副反応が出た人も多く、詩津紅は接種当日は平気だったものの、翌日は丸一日寝ていたと言っていた。
さてこの曲は、実は消滅したアルバム企画『Across』に入れるつもりで準備していた曲のひとつである!
混雑する舞踏会の中で2人の視線と視線が偶然にも合ってしまうという状況を描いた曲である。この曲のPVでは大和映像さんの許可をもらい、アクア主演『ロミオとジュリエット』のワンシーンを使わせてもらっている。実は映画では最終的に使用されなかったカットである。
ここで、アクア演じるジュリエットと、今井葉月演じるロミオが30m近い距離から視線を合わせているのである。今回のローズ+リリーのアルバムのPVの中で唯一のアクア登場シーンとなった。
この曲のタイトル自体はミュージカル『南太平洋』の主題歌ともいうべき『Some Enchanted Evening』の歌詞中の1フレーズで、この状況は映画『慕情』 (Love Is a Many-Splendored Thing)でウィリアム・ホールデンとジェニファー・ジョーンズがかなりの遠距離で視線を交わすシーンなども下敷きにしている。
この曲では金管も弦楽器も使用していない。スターキッズの基本構成に木管(フルートとクラリネット)を乗せただけのシンプルな伴奏になっている。
PVではこの曲用に新たに撮影してもらったビデオも使用している。
品川ありさと水森ビーナにロミオとジュリエット風の衣装を着せて、映画で“窓”のシーンを撮影した橘ハイツの“ヴィラ”で2人が見詰め合うシーン、語り合うシーンなどを撮影した。これは7月前半に撮影したものである。
むろん2人の配役は、品川ありさがロミオで水森ビーナがジュリエットである!
ビーナは奇跡的にスケジュールが空いていたのでお願いした。
品川ありさは
「私、舞音ちゃんの歌でもシンデレラの王子演じたー」
と言っていた。
長身なので、ありさはどうしても男役を演じることが多い。
ビーナは彼の手帳を見せてもらったが、マジで8月末までびっしりと予定が埋まっていた。
「ボク、舞音ちゃんじゃないけど、自分が何のCMに出たか分からなくなってきました。松芝さんのヘアドライヤーとか、エアコンとか、K製作所のソーラーパネルとか、ロッテのお菓子のとか、ホンダさんのバイクとかは分かるんですけど、ちょっと呼ばれて出たのとか、そもそも何のCMだったかもよく分からないものもあって」
と言っていた。
「マネージャーが管理しているから大丈夫だと思うよ。ライバル社のCMはできないからね」
「ですよねー」
もっとも各々のCMの主演級で出ていない、その他大勢のような役のものはあまり問題となることはない。ロッテのお菓子のCMに出ていたのは私も見たが、主演でもないし(主演はエーヨ)多数の女子高生の中の1人として一瞬映っているだけなのて、他メーカーのお菓子のCMに出ても問題ないと思われる。
一応、アクアのCMを管理している緑川、舞音のCMを管理している村上、そしてビーナのCMを管理している月原の3人で情報を共有しているという話ではあった。3人で共有していれば、ミスにも気付きやすい。企業は意外なところで競合していることもあるから難しい。
7月31日、原町カペラとドライバーの橋本さんはPCR検査を受けて陰性であったので、隔離生活から解放されることになった。
橋本さんは奥さんと息子さんが迎えにきてくれた。息子さんは“女子寮”の敷地内に入るのにドキドキしていたようである。
カペラはアルバムの完成にあと数日かかるということで、それが完成してから隔離部屋を出ることにした。
アルバムは8月3日に完成した。これは8月下旬か9月上旬の発売となる見込みである。
荷物を自分の部屋に戻すのに、石川ポルカ、桜井真理子、安原祥子、山口暢香、高島瑞絵と5人に手伝ってもらった。
「どうして半月でこんなに荷物が増える?」
などと桜井真理子から言われる。
「いや〜謎だね」
「この荷物、元の部屋に入るよね?」
「何とか入ると思うけどなあ」
川井陽生は症状が軽くなってきたので、ホテル療養に移行した。
基本的には部屋からは出られないし、家族との面会もできない。陽生は病院よりかえって不自由になった気がした。観世社長は主治医と話し合い、彼女にテレビ・スマホの使用を許可した。
ここで初めて彼女はAさんが亡くなったことを知り、
「うっそー!?」
と声を挙げた。かなりショックを受けたようで、原町カペラと電話で話しながら彼女は泣いていた。
「別にモモちゃんが感染させた訳じゃないしさ。運命だったんだと思うよ。今はとにかく自分の病気を治すことだけを考えなよ」
「うん。私、頑張る」
入院している百道大輔の方は、症状の悪化は無いものの一進一退で、退院のメドは全く見えていないということであった。私はおそらく長年の“***”の使用で、身体がボロボロになっていて、免疫力も低下していたのではと思った。
また、全く報道されていなかったので、彼のお母さん(時々電話している)の口から聞いて初めて知ったのだが、彼の兄・百道良輔もコロナでやはり入院しているということであった。入院したのは大輔より4日ほど後らしい。
つまり・・・大輔から移った可能性がある。つまり大輔と良輔は会っていたのではと私は思い、腕を組んだ。兄とは全く会っていないという大輔の言葉を信じていたのに。やはり大輔は、お金に困っている良輔に(一切金は渡してないと公言はしているものの)本当は経済的支援をしていたのではという気もした。またそもそも大輔は良輔から“***”を入手していたのかもと思った。
8月3日から7日に掛けて、私は青葉・ラピスラズリとともに『作曲家アルバム』の取材をした。
この間、私は青葉に現役継続問題のことは話さなかった。皆山社長がどうも何か仕掛けるらしいので、そちらにしばらくは任せることにした。
今回取材したのは↓5組である。括弧内は(活動開始年度/生年度)である。このシリーズは基本的には活動開始年度順に取材しているのだが、時々生年度を考慮して順序を入れ替えているケースもある。また、関連の深い人は続けて取材していたりする。
上野美由紀さんは、歌手・秋風メロディーとしては2006-2007年度に活動しているが、作曲家・上野美由紀としては2008年度からなので、この位置に入れた。
8/3 (2006/1980)スカイヤーズ
8/4 (2007/1980)サウザンズ
8/5 (2008/1988)スリーピーマイス
8/6 (2008/1988)上野美由貴
8/7 (2008/1991)マリ&ケイ
ということで、今回とうとう私が取材される立場に立った!
スカイヤーズはPow-eruさんの御自宅にお伺いして集団取材をした。これは(翌日に比べれば)平和な取材だった。
サウザンズは、樟南さんのマンションにメンバーに集まってもらって取材するつもりだったのだが、前日テレビ局のクルーが事前訪問すると、あまりにも凄まじい惨状だった!(私は知らなかったが奥さんがこの3月に実家に帰ってしまったらしい。原因は何だろう?と思う。浮気する人には見えないが)
「これ業者に依頼して片付けさせても3日かかりますよ」
というクルーからの報告で困っていたら、樟南さんが横から
「洋子、お前のマンション使わせてくれん?」
などと言う。
「このシリーズは原則、ご本人の自宅で取材することにしているんですが」
「洋子はサウザンズの永久名誉チューニング係だから、お前もサウザンズのメンバーだ」
「何です!?その“永久名誉チューニング係”って?」
私は「ちゃんと片付けておくよ」という樟南さんの言葉を信じずに一週間前に確認に行くべきだったなと思ったのだが、業者を入れても3日はかかりそうというのでは仕方ない。私の恵比寿のマンションにメンバーを呼ぶことにした。
政子はお母さんに“回収”に来てもらって実家に退避させる(政子も時には自分が母親であることを思い出すべき)。むろん、妃美貴もこの日はお休みにする。高そうな茶碗などは片付けておく!!そしてアルコール類も全て撤去。
これらの作業を明け方近くまで掛けてやって、サウザンズのメンバーと取材陣を受け入れたのである。
私はサウザンズのメンバー1人1人に前日電話して、禁酒をお願いしたのだが、1人として守っていなかった!完璧にヨッパライ集団だったので、ラピスラズリが痴漢行為に遭わないように、私と、メンバーの中でいちばんシラフに近かった獄楽さんの2人でラピスの2人をガードしながら取材した。現チューニング係のミチヨちゃん(男の娘らしいけど、女の子にしか見えない!)は部屋の隅に逃げていたが賢明だと思う。
そのガードをかいくぐって東雲はるこの胸に触ろうとした樟南は町田朱美に思いっきり“蹴り上げられて”15分近くうごめいていた。潰れてなきゃいいけどと私は思ったが、在杢さんが
「もうこいつ去勢しちゃおうぜ。洋子、道具ないか?」
などと言っていた。
私は本当に彼にペンチかナイフでも渡してやろうかと思った!
取材は町田朱美が、お尻や胸に触られたりキスされたりするのにもめげず、何とか質問すべき内容を訊き、主として在杢と極楽から情報を引き出したので最終的に編集したものは番組成立に必要なだけの尺があった。(放送できないものが数倍ある)
なお、東雲はるこの悲鳴は編集で消した!
私は樟南さんがシラフに戻っただろう頃合いに彼に電話を掛けて、§§ミュージック会長として、厳重に抗議した。樟南さんも「すまんかった」と少しは反省したようであった。
「でもなんで美沙都さん、里帰りしちゃったんです?」
「いや、禁酒するという約束やぶっちゃったから」
「それ本当に禁酒した方がいいと思いますよ。肝臓がもたないですよ」
「医者からも叱られた」
「だったら尚更ですよ」
「それと俺の荷物から女物のパンティが出て来て浮気を疑われた」
「浮気したんですか?」
「俺がそんなのしないのは、洋子知ってるよな」
「女の子にもてませんしね」
「それはよけいだ」
「だったら女装でも始めたとか」
「俺が女装とかするわけがない」
「だったら下着泥でもしたとか」
「実は女房にもそちら疑われた。でも俺は女の子の胸や尻には触るけど、変態じゃないから女の子の着けてたパンティとかブラジャーには興味無いぞ」
前半も充分問題あると思うけど。
「身に覚えが無いなら、奥さんに本当に心当たりがないんだと説明するしかないです。それとやはり禁酒ですよ」
「そうだなあ」
「美沙都さん、いい人だもん。禁酒さえ守れば戻って来てくれますよ。これできるだけ早い方がいいです。時間たつと修復困難になるから」
「少し頑張るかな」
「頑張りましょう」
結局、美沙都さんは10月には戻って来てくれたと聞いた。樟南さんも完全禁酒とまではいかないものの、かなりアルコール量が減ったらしい。
そして年末には奥さんが妊娠したらしい。樟南さんは
「俺、種無しだと思ってたから嬉しい」
と本当に喜んでいた。結婚8年目にして初のベイビーである。
「きっと禁酒したおかげですよ」
(睾丸は潰れてなかったんだなと思った)
8月5日のスリーピーマイスの取材は、メンバー間にある壁のようなものの扱いに苦労しながらも何とかなった。8月6日の上野美由貴(秋風メロディー)さんの取材は、この日は運良く本人が“安定”していた上に、夫の田船智史さんが付いててフォローしてくれたので、結果的には今回の一連の取材の中では最も楽な取材となった。
そして8月7日は“マリ&ケイ”の取材であった。
この日は、子供たちのお世話係として、マリのお母さんにこちらのマンションに来てもらったが、2人とも寝ていたので助かった。でも町田朱美が特に昨年10月に生まれてまだ1歳にもなっていない大輝を見て「可愛い!」と言って喜んでいた。起きてたら抱っこさせてもよかったのだが、寝ているのでやめておいた。
しかしこの日は町田朱美が“わざと”私が答えに窮する質問をしてくるので参った(きっとコスモスが入れ知恵してる)。
2008年11月15日の名古屋から金沢に1時間で移動した件も訊かれたが、自衛隊のF-15 Eagle に同乗させてもらったなどとは口が裂けても言えないのでひたすら逃げた。
朱美はこの件だけではなく、2011年7月29日に名古屋の栄から苗場に30分で移動した件まで追及した。このことを知っているのは物凄く限られる。この移動に関しては私も分からない(恐らく丸山アイの超常的な能力によるものだと思う)ので、とにかく逃げるしかなかった。
最後に「ケイさん何人いるんですか?」と訊かれるが、私は自分が認識している範囲では1人しかいない。但し丸山アイの知り合いに私によく似た歌のうまい人がいて、私は過去に何度かその人に代役を頼んだことがある。
しかしその話もバラす訳にはいかないので、ひたすら逃げた!
しにかく今日はひたすら逃げる取材になった!
取材が終わった後でも、町田朱美はアクアは絶対3人はいるとか、言うので私は冷や汗を掻いた。更に青葉まで
「私もケイさんは最低3人はいる気がしているんですけど」
と言うので、本当に困った!
8月8日(日).
東京オリンピックの女子バスケットボールはこの日決勝戦が行われ、アメリカが90-75で日本に勝った。
しかし日本はこれで1975年の世界選手権以来46年ぶりの世界大会銀メダルに輝いた。オリンピックでは初メダルでもあった。
私は(どの千里にするか一瞬迷った上で)1番の千里に電話して
「銀メダルおめでとう!」
と言った。
「ありがとう。私はさすがに決勝や準決勝のコートには立てなかったけど、よくやったと2番・3番をねぎらってあげたいよ」
「でもこの千里もかなり回復してたじゃん。忙しいから録画になったけど、ナイジェリア戦見たよ」
「恥ずかしい。日本代表になる資格は私には無かったと思うんだけどね。でも凄くいい経験できた」
「この経験をベースにパリでも頑張ろう」
「さすがにこの年齢では、もう招集されないよ!」
「スリーポイント女王を取って、ベスト5に選ばれた人が何を言ってる?」
今回のベスト5に、日本チームからは千里と高梁王子(たかはし・きみこ)が選ばれている。
「ベルギー戦のお陰だけどね」
「それにアメリカ代表には40歳の選手(*4)がいたじゃん」
「あれ、びっくりした!」
(*4) Sue Bird (Suzanne Brigit Bird). 1980/10/16生の40歳。ポイントガード。2004年のアテネ五輪以来、オリンピック5回連続出場(金メダル5個)の鉄人である。
『Across the crowded room』の制作は、私がこの『作曲家ファイル』に関する作業で時間が取られたので、少し遅れ、8月9日まで掛かった。
この9日には、白鳥リズムのネットライブが仙台の織姫で行われたので、私は楽曲の最終的なまとめあげを七星さんに頼んで、午前中Honda-Jet
Blueに乗って仙台に入った。コスモスは前日に来ている。
今回の夏の一連のライブては、西日本方面の信濃町ガールズを主として使うことにしているのだが、リズムのライブは振替休日で、これ1日だけの公演である。来週からは土日の2日連続になるが、1日だけ出て帰るのは申し訳無いということから、今日の白鳥リズムのバックダンスは本部メンバーの中学生メンバーを起用している。実際には下記のメンツを連れてきた。
鹿野カリナ★(中3)箱崎マイコ(中3)花園裕紀(中3)豊科リエナ(中2)直江アキラ(中2)鈴鹿あまめ(中2)
鹿野カリナがリーダーである。これに水谷姉妹の音源制作でこちらに来ていた夕波もえこもこのチームに入れてバックダンスに参加させた。カリナの隣に入れたので、このダンスチームは両脇4人がしっかり踊ってまとまりのある踊りになった。もえこはこの後、アクアのライブでもバックダンサーを務める。
また同じく水谷姉妹の音源制作で来ていた、長浜夢夜に幕間ゲスト・花貝パールの歌の伴奏(キーボード)を頼んだ。夢夜は堂々とステージを務め、ライブ初出演になるパールをしっかりサポートした。パールは『3×3大作戦』に出演しているので声援が凄かった。
なお、今回水谷姉妹の音源制作およびこのライブで、水谷姉妹や白鳥リズムを運ぶのに、先日納入された Honda-Jet
Yellowを初使用した。
(私やコスモスは今回 Blue を使用している)
8/4 Yellow 熊谷→仙台 水谷姉妹・夕波もえ・横浜M
___ Yellow 仙台→熊谷 (ferry)
8/6 (自動車) 東京→仙台 長浜夢夜
8/8 Yellow 熊谷→仙台 リズム・コスモス・山本コリン・花貝パール・本田M
___ G450 熊谷→仙台 信濃町ガールズ(6) 白雪1200km(5) 広橋M
8/9 Blue 熊谷→仙台 ケイ
8/9 Blue 仙台→熊谷 ケイ・コスモス・横浜M・本田M
___ Yellow 仙台→熊谷 白鳥リズム・花貝パール・水谷姉妹・夕波もえこ・長浜夢夜・山本コリン
___ G450 仙台→熊谷 信濃町ガールズ(6) 白雪1200km(5) 広橋M
2021年8月10日(火).
私の友人、佐野麻央(旧姓小山内)が赤ちゃんを出産した。女の子で“桂”と名付けられた。佐野敏春・麻央夫妻にとって2人目の子供である。
私はコロナの折、抵抗力の弱い赤ちゃんの元を他人が訪問するのはよくないので直接会いに行くのは避け、電話でおめでとうを言い、彼女に好きなものを贈るよと言った。そしたらチャイルドシートが欲しいと言うので、アプリカのISO-FIX型チャイルドシートを贈っておいた。
麻央は私の小学校の時の親友であり、私たちが創作に使っているボールペン“赤い旋風”の元々の“半分”所有者である。
麻央のお兄さんの小山内和義は私の姉・萌依の夫である。また麻央の夫である佐野敏春は私の高校の時の親友である。
ということで、麻央と私はとても深い関わりがあるのである。
川井陽生は症状も治まり、PCR検査も2回続けて陰性だったので、8月14日になってやっとホテル療養終了の許可が出てホテルを退出した。ただ、事務所との話し合いで一週間は自宅で様子を見て、8月21日(土)から仕事に復帰すると発表した。
なお、このあと一週間は、自宅から出ずに、食材なども事務所スタッフにデリバリーしてもらう。田舎から出て来ているお母さんが同居してサポートする。
原町カペラは彼女に退院祝いでお花を贈っておいた。(念のため療養明けまではお互い接触しない)
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【夏の日の想い出・ラブコール】(3)