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■萌えいづるお正月(1)

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(c)Eriko Kawaguchi 2012-01-07
 
和実は高校1年の夏休みから女装して盛岡市内のメイド喫茶でアルバイトをしていた。最初は割りのいいバイトだからという単純な理由でしていたもので女装はそのバイトのためだったのが、次第に女に目覚めてきて、女性ホルモンなどは飲んではいないものの、高2の春頃には、男性機能も低下させ、小さいながらもバストまで獲得してしまった。そしてその頃からふだん学校に行く時でも、女物の下着を着けていくようになってしまった。
 
お店で着換える時も入店以来、ひとりだけ店長室の衝立の陰で着替えていたのだが、この春からは他の女の子と一緒に女子更衣室で着換えることになった。そちらに移動された初日は、和実はおそるおそるという感じで女子更衣室のドアを開けて「こんにちは」と言った。
 
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「おお、来たね」
「ここは更衣室だけど控え室みたいなもんでもあるしね」
「和実もここに居た方が連絡事とか楽だから」
などと言われる。
 
初日に着換える時はみんなの視線がけっこう来るのを感じた。スカートを脱ぐ。
「パンティに膨らみとか無いね」
「あったらまずいよ。私たちって、時々不届きな客に触られることもあるしさ。触られても男とはバレない仕様なの」
 
上着を脱いでブラを見せる。
「Bカップくらい?」
「うん。中にヌーブラ付けてるから」
「ああ、ヌーブラの感触だったのか!」
「偽物でごめんねー」
「いや、上げ底派は結構いるよ」
「えへへ」
「でもウェスト細いね」
「というかくびれてるよね。ほんとに女の子みたいなボディライン」
「今64cmだよ。ここに入った時は69cmあったんだけど、かなりダイエットしたから」
「すごーい」
 
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元々和実の女装はメイド喫茶のためで、初期の頃は着替え場所に使わせてもらっているチーフメイドの悠子のアパートと職場の間を、女装で往復するだけだったのが、高2の春頃以降はかなりプライベートでも女装で歩き回るようになっていった。その年の春休みには女装でショッピングモールに行っていて女子トイレで小学生の頃からの友人である梓にバッタリ遭遇したが、梓からはあらためて呼び出されることとなり、翌日待ち合わせて町で会った。
 
「そうしてると、ごく普通の女子高生って感じだね」
と梓は感心するように言った。その日はピンクのセーターとジーンズのスカート、薄いピンクのダウンコートを着ていて、お店の中に入ってからダウンコードは脱いだ。
「最近、こういうファッションに目覚めちゃって」
と和実は答える。
 
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「ファッションに目覚めたというより、女の子に目覚めたのね」
「あ、それ適切な表現かも!」
「和実って、声変わりしてないよね。だから声は女の子だもんね」
「そうそう。授業中とかはわざと男っぽい声色使ってるけど、こういう声が私の本来の声」
 
「こういう声って女の子同士で話す時だけ使ってるよね。声は女の子だよなというのは前から思ってたし、2学期頃からかな・・・私でもドキっとするくらい、女っぽい仕草を見ることがあって、特に半月くらい前から、凄く女の子っぽい雰囲気になっちゃったよね」
 
「やっぱりバレンタインがきっかけかなあ・・・」
「バレンタインはチョコをあげたの?もらったの?」
「あげた。告白して玉砕した」
「相手は女の子?男の子?」
「もちろん男の子だよ」
「へー」
梓は楽しそうな顔をした。
 
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「和実って、元々そういう傾向あったんだっけ?小さい頃のことはあまりよく覚えてなくて」
「何でもお姉ちゃんのしてること真似したがってた時代もあるからね。小さい頃はお姉ちゃんがスカート穿いてるからって自分でも穿きたがったりしたことってあったけど、その頃は別に女の子になりたいとか思ってた訳じゃないと思うのよね」
「今は女の子になりたいの?」
「うーん。むしろ自分は女の子だと思ってる」
 
「なるほど・・・最近けっこう教室で女の子のおしゃべりの輪に入ってるよね」
「うんうん。女の子とあんなに話が合うとは思わなかった」
「でも、こういう女の子の服って、お小遣いで買ってるの?」
「お小遣いでは無理。バイトしてるから」
「へー。何のバイト?」
「メイド喫茶」
「えー!?」
「いや、女装し始めたのはそれが発端なのよ」
「そうだったのか」
 
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「びっくりするくらいお給料もらってるし。でももらったお給料は月1万円だけ内緒のお小遣いとして使って、残りは全部貯金してる。先輩から、そうしなさいって勧められんだよね。その先輩は実家の旅館が経営厳しくて、その足しにするのにせっせと仕送りしてるみたい」
「わあ、いろいろ大変だね」
「この携帯に付けてるキティちゃんのストラップ、その先輩からもらったんだ。思い出の品らしいけど、私がちょっと自信失ってた時に御守りにってくれたんだ」
 
「いい先輩みたいね。学校には携帯持って来ないから、気付かれないね」
「うんうん。そもそも私の女の子の服もその先輩のアパートに置かせてもらってるんだよね」
「なるほど。親にはカムアウトしてないの?」
「してない。姉ちゃんにはバレたけど、かえって協力してもらって、一部の服は姉ちゃんの部屋に置かせてもらってる」
「それは便利だね」
 
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「うちのメイド喫茶ってさ、ホールスタッフとキッチンスタッフの区別が無いのよね。メイド喫茶といえば、なんといってもオムレツなんだけど、基本的に注文を受けたメイドが自分でオムレツを焼いてテーブルに持って行く」
「面白い」
 
「だから逆に誰誰ちゃんにお願いできる?とか指名されることもあるよ。指名された場合は、その子がその後の対応するけど、別に指名料とかがあるわけではない。オムレツ以外でも、コーヒーや紅茶も自分で入れるから、そういうのの基本を徹底的に鍛えられてる。サンドイッチとかスパゲティも自分で作る。トンカツとかハンバーグは得意な子が作るけどね。だから、スタッフには、将来喫茶店を自分でやりたいと思っているような子が多いんだよね」
「わあ」
 
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「私も最初の一週間くらい、ひたすらオムレツを作らされて、かなり鍛えられた。コーヒーは家でもサイフォン・ペーパーフィルターともにやってたし、スパゲティも家で作ってたから最初からアルデンテにできてたから、その辺りでわりとすぐ実戦投入されたんだけどね。今ではハンバーグと焼肉・唐揚げ・フライドチキンにケーキ作りの担当もしてる」
 
「ケーキ、自家製?」
「そうそう。スポンジをスチームオーブンで焼いてるよ」
「すごーい」
「ケーキだけ買いに来るお客さんもいるんだよねー」
 
「ちょっと寄ってみたくなったな。和実のオムレツも食べてみたくなった」
「今度、梓の家にお邪魔して作ってあげようか?」
「嬉しいけど、その格好で来るの?」
「行きたい所だけど、うちの親に通報されそうだから、ニュートラルな格好で行くよ」
「ふふふ」
 
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「料理の腕を鍛えたいから、最近家でも夕飯をけっこう作らせてもらってるんだよね」
「おお、すごい」
「今は春休みでこちらにお姉ちゃん帰ってきてるから楽だけど、姉ちゃんが仙台に行っている間はお母ちゃんひとりで御飯作ってたから。去年の9月からお母ちゃんと1日交替で晩御飯作ることにした」
「あ、それは偉いかも。私、全然やってないよ。女の子なんだから料理くらい覚えろって言われるんだけど、カレーとかおでんくらいしか自信無い」
 
「やってればできるようになるよ。ハンバーグとかも最初は全然だめだったけどかなり自信持てるようになったから、お店でもテストしてもらってOKもらったんだよね。きれいに形にまとめるのも、上手にジューシーに焼き上げるのも、けっこう練習が必要だもんね、ハンパーグって」
 
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やがて新学期が始まったが、和実はまた梓と同じクラスになったので、教室でよく話をした。梓の他に、やはり1年でも同じクラスだった照葉、中学の時に同級生だった奈津、などともよく話をした。和実が彼女達の会話の輪に入ることもあれば、和実が梓や照葉などと話している時に他の子が寄ってきて会話の輪ができていくこともあった。
 
そういう訳でこの時期、教室では和実は女子の友人たちとおしゃべりしていることの方が多かったが、一方で男子のクラスメイトたちとも割と気軽に話していた。
 
「工藤、女の子たちと話してる時と俺たちと話してる時とで声が違うよな」
と比較的よく話す男子のひとり、近藤君。
 
「うんうん。声はすぐ切り替えられるから。でも雰囲気を切り替えるのは30分くらい掛かるから、最近は面倒くさがってずっと女子モード」
「そうそう。お前と話してると、声は男で口調も男でも、女の子と話してるような気がしてならない」
「ラブレターくれたらデートくらいしてもいいよ」
「いや、本気になりそうで怖いからやめとく」
 
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この時期、和実はいつも女性用の下着を着けていたが、体育の時間がある日は少しカムフラージュをしていた。ショーツの上におとなしめのフレアパンティ、ブラジャーの上にグレイのTシャツを着て、女物の下着を隠してはいるが、男子更衣室で着換える時に、他の男子からかなりの視線を感じていた。
 
休日にはよく梓たちと待ち合わせて町で遊んだりもしていた。休日はだいたい12時頃から20時頃までメイド喫茶の勤務を入れていることが多かったので、梓たちとはだいたい午前中に遊ぶことが多かったが、映画などに行くような場合、時間を調整してその時間帯を空けていた。
 
和実は一応学校には学生服を着て出て行っていたのだが、高2の夏に自分の高校の女子制服を購入し、時々それで町を歩いたりすることもあったし、夏休み中はけっこうそれで学校の図書館などに行って本を読んでいたりすることもあった。
 
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初めてその制服で学校の図書館にいた時、ちょうど梓がやってきたので和実は手を振った。
 
「誰かと思った!制服買っちゃったの?」
「うん。夏休み中はこれで来ちゃおうかなと思って」
「2学期からはこれで来るの?」
「ううん。学生服で来るよ」
「なんでー?」
「姉ちゃんと約束したんだよね。高校は一応最後まで男子の制服で通学するって。でも今日は通学じゃないからね」
「なんか屁理屈だぁ」
「2学期になってからも、休日とかにはこれで出てこようかなって思ってる」
「まあ、頑張ってね。あ、図書館済んだら、一緒に町に行かない?」
「うん、行こう」
 
そんな感じで、女子制服のまま、梓たち何人かの友人と町を歩いたりすることもけっこうあった。この日のように、学校から町へ流れる場合もあったし、最初から町で待ち合わせるのに、制服で出て行くこともあった。彼女たちとはよくお互いの携帯で写真を撮ったりもしたし、プリクラなどを一緒に撮ることもあったので、和実の女子制服の写真は増殖していった。一方で学生服で写っている写真を和実は意図的にどんどん処分してしまったので、和実が高校時代に学生服で写っている写真は、ひじょうに少ない。
 
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その年、和実たちの学校の野球部は頑張って、岩手県大会の準々決勝まで進出したので、その準々決勝を学校全体で応援しに行こうということになった。別に強制でもないし、特に学級単位での行動でもないので、和実は梓たちと誘い合って会場に向かった。
 
「やはり女子制服で来たね」
「当然。学校に来る訳じゃないから」
「和実、声はもともと女の子だもんね。黄色い声援が送れるね」
「うん。頑張って応援しよう」
 
何となくクラスの女子10人くらいで固まって応援していた。途中で担任の先生が回ってきたが、見慣れない女生徒がいても、もともとクラス入り乱れて応援しているので、特に気にされなかったようであった。
 
試合は延長までもつれたが、12回の裏相手選手がホームランを打ち、サヨナラで負けてしまった。「あーあ」と落胆する一同。
 
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まとまって応援していた女子10人でそのまま流れで町に出てロッテリアでお茶を飲んだ。和実の女子制服姿を初めて見たという子もいて、「似合ってる〜」とか「違和感が全然無い」とか「2学期からそれで出ておいでよ」などと言われた。
 
「下着も女の子?」
「もちろん。1学期もずっと女の子下着を着けてたよ」
「えー?体育の時間とかどうしてたの?」
「女物の下着の上にTシャツとフレアパンティ付けて誤魔化してた」
「身体はどうなってるの?」
「それは秘密〜」
「解剖してみたいね」
「あはは」
「体育の時に女子更衣室の方においでよ〜。そしたら女の子下着見られてもいいでしょ」
「でも学生服じゃ女子更衣室に入れないよぉ」
「だから女子制服着てればいいじゃん」
「あははははは」
 
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2学期になると、和実は実際問題として女子制服を学校に持って行き、しばしば放課後にそちらに着換えていたりもしていた。何人かの先生に見とがめられたが「あ、ジョーク、ジョークです」などと言っておいた。
 

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