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第2節・また保健室の放課後
木咲雅海が来た翌日、その日は朝から天気が良かった。こんな日は何となく保健室に来る子も少ないような気がする。少し暇だなと思っていた放課後、その子は入ってくるなり、こういった。
「先生、おっぱいどうしたら大きくなるか教えてください」
私はため息を付いた。「さあ、帰った、帰った」
「えー?ちゃんと教えてよー」
「じゃね。毎日腕立て伏せして、お風呂の中でバストをよく揉んで」
「腕立て伏せ毎日50回してまーす」
「頑張ってるじゃん」
「でも全然大きくならないんだもん」
私は再度ため息を付く。
「今は成長期だからね。個人差はあるけど、そのうち自然にある程度大きくなるよ」
「でも、私の絶望的にぺったんこなんですよー。9月には修学旅行もあるし、お風呂に入ったとき、恥ずかしいもん」
私はこの子、ほんとに発達度が悪いのかもと思った。
「じゃ、そのカーテンのかげでちょっと見せてくれる」
「はい」
「名前は?」
「2年8組、杉中昌美です」
「君もマサミか・・・・・」
「何か?」
「いや、なんでもない」
彼女をカーテンのかげに連れていく。制服の上を脱ぎ、ブラウスを脱いだ。これは・・・・・
「ブラも外した方が良いですか?」
「うん。念のため」
彼女はブラを外した。これはほんとに何も無い胸だ。高2でこの胸というのは明らかに異常だ。これは保健室の取り扱い範囲ではない。
「ねえ、君、これ病院に行った方が良い」
「病院って内科ですか?」
「婦人科だね」
「えー?婦人科って赤ちゃん産む時に行くのかと思ってた」
「女の人の身体全般を見てくれるんだよ」
「そうだったのか」
「ね、昌美ちゃん、生理はあるよね?」
「まだ来てないです」
生理が来てない・・・・いくらなんでも高2で来てないというのはおかしい。ということはそもそも女性器が未発達なのだろう。あるいは半陰陽ということも考えられる。
「昌美ちゃんのお母さんとも一緒にいちど話してみたいな」
「うーん。来てくれるかなあ。。。。お前のことなんか知らんって言われてるし」
「ネグレクトされてるの!?」
「私が勝手に縁切ってるだけだから大丈夫」
「うーん。。。喧嘩中か」
「うん。そんな感じ」
「でもこれ、病院で診察受けて、場合によってはホルモン補充療法とか受けたほうがいいかも」
「やっぱりホルモン飲まなきゃいけないかなあ・・・・」
「飲んだ方がいいかもね」
「先生、オナニーとかしたら、女性ホルモン分泌されるかなあ」
「ああ、それは効果あると思うよ。いっぱいしていいと思う」
「どんな感じでオナニーするのがいいですか?」
「えっと、女の子のオナニーはいろいろ方法があるけどね。ヴァギナに何か入れたりするのは避けようね」
「はい」
「やっぱりクリちゃんを揉むとか、直接クリちゃんに触らなくてもお股に何か当てて動かすとか」
「私、クリちゃんが大きいんですよねー。だからどうもふつうの女の子みたいにできなくて」
「大きい?」
「ええ。ふだんでも3cmくらいあるんです」
「ちょっと見せてくれる?」
私はこれは半陰陽なのではないかと思い、思わずそう言った。
「はい、いいですよ」
と言って、彼女はベッドに横になると、スカートをめくり、パンティを下げた。
私はふっと息をついた。
「ね、君」
「はい」
「君ってもしかして男の子?」
「はい。でも睾丸は先月抜いちゃったから、もう男の子じゃないかも」
「そりゃ・・・生理来るわけないし、女性ホルモン飲まなきゃ、おっぱいは大きくならないね」
「やっぱりそうか・・・・」
「睾丸取るのって、どうやったの?」
「年齢誤魔化して、去勢してくれる病院に行ってきました」
「それ、お母さんは」
「まだ言ってない」
「そういうの、親に言ってからしようよ」
「だって許してくれるわけないもん」
「高校生じゃね・・・・」
「でもこれ以上、自分の身体が男性化するの、許せなかったから」
「まあ、気持ちは分かるなあ・・・・でも、去勢の手術代とかどうしたの?」
「マクドのバイトして貯めました」
「偉いね。でもバイトはもしかして女の子の格好で?」
「はい。私、女の子の服着たら、女の子にしか見えないから」
「確かに。今の今まで、私あなたが男の子だなんて思いもよらなかった。声も女の子だしね」
「ええ。私、声変わりしなかったんだよね」
そういえば木咲雅海も声変わりがまだだった。
「その制服は?いつもそれで通学してきてるの?」
「放課後になったら、これに着換えてます。でも、もうこれで通学しちゃおうかなと思ってるんですけど」
「もしその気があるなら、私も一緒に担任の先生とかと話してあげる」
「ありがとうございます。ね、先生、今から女性ホルモン飲み始めて、9月の修学旅行までにおっばいどのくらい大きくなると思います?」
「3ヶ月じゃね。あまり期待しないほうがいいけど、少し膨らみ始めるくらいにはなるかもね」
「よーし。じゃ、飲んじゃおう」
「待って。飲む分量は分かるの?」
「分かります」
「念のため、飲みたいと思ってる薬、私に見せてくれる?」
「じゃ、今度持ってきます」
「あるいは、私の家に来てもいいけど」
「あ、行きます!保健室より落ち着いて話せる気がするし」
「じゃ、いらっしゃい」
「あ、そうそう。女性ホルモンを活性化させるようなオナニーの仕方ってないでしょうか?クリちゃんいじると、男の子の気分になっちゃうから」
「うーん。。。。たしかにそれいじると、男性ホルモンを活性化させそうだよね。乳首を揉むとかは?」
「あ、そうか!それ頑張ってみます」
「うん」
「じゃ、今度の土曜日、お邪魔しますね」
「うん」
と答えてから、待てよ、その日は木咲雅海が来るぞと思ったが、杉中昌美が木咲雅海にアドバイスできることもあるような気がした。