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■続・赤と青(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2011-12-02
 
これは私とアレクサンドラが本人たちから聞いた話を整理してみたものである。
 
ヘンリエッタと私とアレクサンドラは2年生の前期以来ずっと同じクラスだった。最初ヘンリエッタが赤クラスに来たのは2年生の4月半ばだった。おちんちん検査に不合格になったので、彼女はちゃんとした男の子になりたいといって青クラスを希望したものの、青クラスの厳しい鍛錬に耐えられず、君はこのクラスは無理だと言われて、赤クラスに入れられてしまった。「僕女の子なんか嫌だ」といって最初の数日は泣いてばかりいたが、初めて着たという女の子の服がとても似合っている気がしたのを覚えている。
 
2年生の後期では私やアレクと一緒に男子クラスに行ったものの3年生の前期ではまた赤クラス。そして3年の後期ではまた男子クラスに行ったものの、4年生前期でまたまた赤クラスに来てしまった。この時期は私たち3人は男子クラスと赤クラスを半年単位で行き来した。しかし、4年生以降はずっと赤クラスだった。ヘンリエッタは6年生になった時、2年以上赤クラスにいたということで、女性ホルモンの強制投与が行われた。本人が嫌だ嫌だと言っていたので最初の頃は学校監視員から女性ホルモン剤を無理矢理飲まされていたが、クラスメイトが「無理矢理はやめて」という抗議を校長にして一時中断した後、結局は親に説得されたらしく、自分で飲みますと言ってもらった製剤を自主的に飲む姿が見られるようになった。
 
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そのためヘンリエッタは6年生の秋頃になると、おっぱいが膨らみ始め、おちんちんは全く立たなくなってしまっていた。そして6年生が終わり小学校を卒業した時点で「赤クラス連続3年」という条件を満たしてしまったので、性転換手術を受けることを勧告された。しかしヘンリエッタはそれを拒否した。しかしこの条件を満たしている場合、もう男子としての戸籍は失われる。そのためヘンリエッタの戸籍上の性別は空欄になってしまった。このままにしておくと年金や健康保険にも加入することができない。男の子ではないから兵役には行く必要はないが、就職で正社員にもなれない。戸籍の性別を戻すには性転換手術を受けて女の子になる以外無い。(元々半陰陽の子は性別欄保留のままでも年金や保険の加入は可能だし性別保留のまま正社員にもなれる)
 
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そこでヘンリエッタが中学1年の10月の木曜日、両親は学校から帰ってきた彼女にお茶を勧めたが、このお茶に眠り薬が混ぜられていた。眠ってしまった彼女を両親は車に乗せ、病院に連れて行った。病院にはもう話が付けてあり、そのまま入院して、翌日朝から性転換手術が行われることになっていた。両親としてはこのまま性別が無いのは不憫だと思って、有無を言わさず手術を受けさせてしまおうと考えたのであろう。
 
「どうなさったんですか?ずっと寝ておられますが」と医師は尋ねたが、
「手術は受けたいけど怖いと言って、寝たまま連れて行ってくれと娘から頼まれたんです」と両親は答えた。確かに時々そういう子はいる。
「手術前に本人の意志確認をする必要があるのですが」
「本人が書いた同意書を預かっています」と同意書を見せる。むろん偽造である。
 
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「うーん。まあご両親もそう言っておられるのなら、このまま手術しますかね」
と医師は言い、看護婦に陰部の剃毛を指示した。
 
翌朝、まだ眠っているヘンリエッタは服を脱がされ、手術着に着替えさせられた。ストレッチャーに乗せられ、手術控え室に入れられる。そこであらためて全身麻酔を打たれ、やがてひとつ前の手術が終わるのを待って、手術室に入れられ、ストレッチャーから手術台に移された。
 
呼吸などの補助具、脈拍や血圧の測定器などを取り付けられ、やがて麻酔がきちんと効いているのを確認の上、出血を押さえるため生理的食塩水の注射をされたあと、彼女の陰嚢にとうとうメスが入れられた。
 
中に指を入れて睾丸を取り出す。まずこれを切除する所から性転換手術は始まる。睾丸を身体につないでいる精索にハサミが入れられようとしたまさにその時、「ちょっと君、やめて」という他の医師の声とともに、手術室のドアが開けられひとりの少女が飛び込んで来た。
 
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「手術を中止してください!」と少女は叫んだ。走ってきたようで息が荒い。
「何だね?君は」
「彼女は性転換手術に同意していません。両親にはめられたんです」
「君は?」
 
「私は彼女の同級生のサマンサです。彼女いつも自分は女の子にはなりたくない、なりたくないと言っています」
「それは確かかね?」
「嘘だったら、私を生体解剖の実験台にしてもいいです」
 
「いや。そんなことはしないけどね」
と医師は言ったものの、この手術の妥当性に疑念をはさんだ。
 
そこで医師は今切り離そうとしていた睾丸をまた陰嚢の中に収めると、切開した陰嚢の中央線を縫合して、この手術をいったん中断。とりあえず延期することにした。そしてヘンリエッタが麻酔から覚めるのを待った。
 
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ヘンリエッタは意識を回復した時、そこが病院のようで、お股の付近に痛みがあるのを感じ、傍に心配そうに自分の手を握っているサマンサの姿があるのを見て、あ。自分はきっと強制的に性転換手術されてしまったんだと思い、涙があふれてきた。
 
しかしまだ手術はされていなかった。痛みもいったん陰嚢が切開されたことによるものだった。
 
サマンサが医師を呼ぶ。医師は病室に入ると、両親に部屋の外に出るよう言った。
 
「ヘンリエッタさんですね?」
「はい。そうです」
「性転換手術を希望しているということで、君はここに連れて来られたのですが、君は確かに性転換手術を受けたいと思っていますか?」
「いやです。僕、女の子になんかなりたくありません。男の子に戻りたいです。もう、おっぱいも膨らんで、おちんちんも立たなくなってるけど」
「分かりました」
 
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ヘンリエッタは医師の職権で両親から隔離された(裁判所の命令で親権が停止され、彼女が信頼できると言った家庭科のグレン先生の自宅にヘンリエッタは預けられた)。そして精密検査の結果、彼女の男性機能はまだ完全には死んでいないことが確認される。そして彼女は女性ホルモンをもう飲まないよう言われ、男性ホルモンを投与された。
 
このような治療ができるようになったのも、独裁政権が倒れ、戦争も終わり、「おちんちん検査」やそれに伴う様々な性別制御の制度が廃止されたからであった。赤クラス・青クラスは残ったが、何年か赤クラスにいたからといって女性ホルモンを強制投与されたり、性転換手術を受ける義務が出ることはなくなった。ホルモン摂取も手術もあくまで本人の希望に沿っておこなうものとされていた。ヘンリエッタ自身、新制度に移行した後は一切女性ホルモンは飲んでいなかった。
 
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それでも6年生の4月から中学1年の5月まで14ヶ月にわたって女性ホルモンを飲んでいたことで、彼女の身体はかなり女性化していた。しかし男性ホルモンを取り始め、また医師に言われて毎日たくさんおちんちんを揉んだり触ったりするようにしたことで、少しずつ彼女の体質は変わっていった。
 
おっぱいは大きいままであったが、男性ホルモン摂取2ヶ月目で、性的に興奮した時に、おちんちんが熱くなるようになり、3ヶ月目で少しだけ大きくなるようになり、半年後には弱いながらも勃起するようになった。そして中学2年生の6月、彼女は5年生の時以来、26ヶ月ぶりの射精を経験した。精液を調査されたところ、精子がふつうの男の子よりは随分少ないものの、確かに精子は精液に含まれていることが分かった。
 
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射精能力を回復したことで、医師はヘンリエッタは医学機能的に男の子であるという診断書を書いた。その診断書によって彼女の戸籍の性別欄には男という文字が復活した。そして、彼女は名前を既に法的にヘンリーからヘンリエッタに変更していた(ので、本来は改名は1度しか認められないのでふつうはもう変更できなかった)のだが、あらためて裁判所に再改名を申請して簡単な審判をおこなった結果、名前をヘンリーに戻すことが認められた。
 
そうしてヘンリーは男の子に戻ったのであった。
 
ヘンリーが男の子に戻った直後、ヘンリー(の男性器)を救ったサマンサは自分の意志で性転換手術を受け、女の子の身体になった。そのサマンサにずっとヘンリーは付き添っていた。いつしかふたりは恋人になっていた。多分ヘンリーが男性機能を回復できたのは、サマンサへの恋愛感情があったこともあるのだろう。サマンサは手術直後に戸籍を女性に変更されたので、ふたりは将来結婚しようと約束していると聞いた。ふたりは双方とも、男の子の生活・女の子の生活の両方を体験しているので、相互の理解が深いように見えた。
 
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「ヘンリーは性転換手術受けてたとしても、男の子に戻ったんだろうか?」
とエミリーが訊いたが、「戻った気がするよ」と私は答えた。
「身体が女の子になってしまっても、きっと男装して高校大学に通って、男性会社員として就職する道を選んでいたと思う。ヘンリー、女の子としてすごく可愛いから、もったいないけど」
「今の時代なら、女の子から男の子に性転換する人と同じ手術受けて、おちんちんを新たに作っちゃう手もあるもんね」
 
私とエミリーは放課後、自転車で近くの丘まで来て、景色を見ながら話していた。
 
「でも激動の2年だったよね」
「ほんとに」
 

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戦争が終わった後、政権はコロコロと変わった。最初に就任した新首相も総選挙に敗れて退陣し、一時は毎月首相が変わるなんていうとんでもない状況だった。長きにわたって幽閉されていた国王は最初政治的な発言は控えると言っていたものの、あまりの混乱ぶりに何度か介入して連立の仲介などもした。しかし再度の総選挙を経て、女性党首が率いる民主平和党が政権を握ってからは、何とか政府も安定した。そして安定政権ができたのを見て国王は戦争責任を取るといい退位した。戦時中、国王を人質にとられていたため政府寄りの発言をしていた皇太子もあわせて責任をとって退位したので、国王の孫の20歳の女王が即位した。
 
女王の国に女性首相というので、国民の雰囲気はかなり変わった。
 
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戦時中に施行されていた多数の軍国主義的な政策、男尊女卑的な政策は軒並み廃止された。軍隊も10分の1の規模に縮小され、陸海軍の全ての将官が解任された。陸軍の半分は災害救助隊に、海軍の半分は沿岸警備隊に再編された。徴兵制も廃止され、軍は志願制となった。男子高校生に課されていた軍事教練や18歳から22歳までの男子に課されていた兵役も無くなった。
 
「おちんちん検査」は廃止され「発射訓練」も無くなった。学校で軍事的な訓練に携っていた教官は全員解雇された。また生徒の動向を見張っていた学校監視員、一般民衆の監視をしていた国民監視員は全員逮捕されて戦争犯罪者として裁かれた。
 
赤クラス・青クラスについては、おちんちんのサイズで振り分けられるのではなく、毎年2回行われる問診票提出と随時生徒の希望で行われる面談で、本人の行きたいクラスに行けるようになった。女の子でも男の子になりたい子が青クラスに入ったし、より女らしくなりたい女子が赤クラスに入ったりするようになった。赤クラスの雰囲気は以前とあまり変わらなかったが、青クラスは戦時中のように厳しいものではなくなり、医学心理学的に男性能力の強化が行われるようになった。
 
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小学中学では男子クラスと女子クラスの区分けが廃止され、合同クラスになり、名簿も男女混合名簿になった。またこれまで禁止されていた20歳未満の男女間の会話も自由にできるようになった。これで小中学生で恋愛をする子がとても増えたので、小学中学の保健室に避妊具が常備されることとなった。
 
なお、女の子たちの祝いの舞の授業もなくなったが、女の子たちは休日や放課後に自主的に練習をして公園で舞を披露する形で文化は継承された。
 

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「ヘンリーは大きくなったおっぱいは当面そのままにしておくんだって」
「へー。大きいおっぱいが癖になっちゃった?」
「ブラジャー付けるのは癖になっちゃったかも知れないけど、サマンサがそのままでいいよと言ってるからだって。サマンサにいっぱい胸揉まれてるらしいよ。ヘンリー、男子制服は着てるけど、下着は女の子下着みたいだし。水着はおっぱいあるから女の子水着を着てたね」
 
「あ、可愛いの着てたよね。そもそも体育は女子の方に来てるし。やっぱり女の子を6年間もしたら完全な男の子には戻れない面もあるんだろうね」
「ヘンリー、トイレも座ってするらしいし。プライベートでは時々スカートも穿いてるみたい。性格も女の子がしみついてるよね。こないだもクッキー焼いてサマンサにプレゼントしたとかいって嬉しそうに話してたし」
 
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「完璧に女の子だ・・・・」
「サマンサがいい意味で漢らしい面あるし、ちょうどいいみたい。サマンサはお料理や裁縫は苦手って言ってたし」
 
「あのふたり、もうセックスしてるよね?」
「どうもまだみたい。でも、ふたりの話聞いてると、寸前くらいまでは行ってる感じだから、時間の問題かな」
「ふーん」
 
「でも中学に入る直前は、ほんとに私ちゃんと女子制服で通えるのかなって不安だったよ」
「なんか政府の言うことが毎日違うし大臣によって違うし、無茶苦茶だったね」
 
赤クラス・青クラスを廃止し、赤クラスで女子に性転換した子の戸籍をいったん男子に戻す、なんて発言をある大臣がしたが、その大臣は翌日辞任した。別の大臣が、小学4年と中学1年に進学する全生徒の性別をチェックして怪しい子は特別クラスに入れるし、既に性転換している子も再調査するなどと発言したが、その大臣も1週間で辞任した。
 
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「今更男の子に戻れなんて言われてもね。私はこうやって女の子として暮らすのが自分に合ってると思ってるし」
「確かに一部ヘンリーみたいに男の子に戻りたい子はいるだろうけど、大半は女の子の生活になじんでると思うしね。フェリーは小学校に入る前から結構女の子っぽかったよ」
 
「赤クラスに入れられたことで、自分の中の女の子が育っていったのはあるだろうけど、やはり私男の子として育つのは無理だった気がする。変な軍事教育とかされなくても」
 
丘の上は静かで、私たちはふたりきりの時間を楽しんでいた。でも夕日が迫ってきている。後少しで太陽は港の向こうの水平線に沈んでしまいそうだ。そろそろ帰らなければならない。でも私たちはもうしばらくそこにいたい気分だった。
 
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「フェリー、中学生くらいになってから、そのあたりが安定したね。小学校の頃って、性別の向きがけっこう不安定だったのに」
「6年生になった頃からあまり迷わなくなった。だから性転換手術受けた」
 
「そういえば、私性転換手術した後のフェリーのヌード、ゆっくり見てないや」
「男の子の身体は小さい頃に見せたね。エミの身体も見たけど」
 
「温泉にでも行く?今度の連休にでも。お互いのお母さんと一緒に」
私はドキっとした。
 
「いいよ。今度行こうよ。お母さんに話してみる」
「うん」
 
エミリーは嬉しそうな顔をした。私たちは自転車に乗り、町へ戻った。
 

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■続・赤と青(1)

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