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夏休みに(女装で)図書館で調べ物をしていたら、同級生の女子3人と偶然遭遇した。「もしかして歩じゃないよね・・・」と、その中で小学校以来の友人の早貴が遠慮がちに声を掛けてきたので、僕は彼女たちに女装をカムアウトした。彼女たちは「うそ、可愛い!」「え?歩なの?女の子にしか見えない」などと言った。僕は一応趣味の女装と言った上で、4月から時々女装していて、夏休みに入ってからはほとんど女の子の格好と言ったら「それもう趣味とは言わない」
と言われた。
彼女たちとは図書館で各々借りたい本を借りたあと、町に出てマクドでおしゃべりした。「あゆ、雰囲気が普通の女の子と変わらないね」とか「女装している男の子に見えない。ほんとに女の子の感じだし」とか「女の子の格好してるほうが自然な気がする」などと言われた。「仕草が女っぽすぎる」とか「お化粧うまいじゃん」
などとも言われた。お化粧については姉からかなり鍛えられたので、この頃は、けっこうできるようになっていた。仕草はやはり鈴さんから指導されたのが大きい。
「おっぱいは本物?」と聞かれたので「シリコンパッドだよ」(最初は靴下だったのが、ウレタンパッド、シリコンパッドと進化していた)と言ったら、どれどれと言われて早貴に触られた。「触られた以上触り返す」といって僕が早貴のおっぱいに触ったら、そのあとは乱戦気味の触りっこ合戦になってしまった。でも、それで僕たちは仲良しになってしまった。「しかしふつう女の子に胸触られたからって女の子の胸を触り返す?」と早貴が言ったが「だって私も女の子だもん」と僕は開き直って答えた。
僕たちは、そのあとサンリオショップを覗いたり、一緒にプリクラを撮ったりしたあと「また一緒に遊ぼうよ。女装でまた出て来れる?」と聞かれたが「私はいつも女の子だよ」と言うと、彼女たちは少し顔を見合わせてから僕のことをふつうに女友達と思うからと言われた。その日はまた早貴とおっぱいの触りっこをして別れた。
僕は小学校の低学年までは女の子の友達の方が多かったのだけど、5-6年生になると、何となく話がしづらくなっていた。といって僕は男の子達の会話にはどうにも混ざれなかったので、5-6年生頃はほんとに孤独だった。それが中学に入っていきなり女装させられたあたりから、女の子の友人達と何となく会話をするようになっていたのであった(4-5月頃の僕について早貴は『男の子の壁が無い気がした』
と表現した)。でも学校で少し話していただけで、放課後一緒に遊ぶようなことは無かったが、この時以来彼女たちと遊んだり一緒に勉強したりするようになったし、そこから芋蔓式に他の女子の友人とも遊ぶ機会が増えていった。
特に早貴たちのグループとは夏休み中に何度も一緒に遊んだ。いつしか僕たちは4人セットで行動することが多くなった。彼女たちとはファッションのことやお化粧のことなどもたくさん話した。脱毛のことも色々教わって、僕は足の毛とかを日々きちんと処理するようになった。顔の毛はたぶん抜いたほうがいいよと言われて僕はヒゲは剃らずに毛抜きで抜くようになった。彼女たちから「あゆ、おっぱい小さいから大きくなるように牛乳毎日飲みなさい」と言われた。僕は本当に牛乳をよく飲むようになった。
彼女たちとは恋愛のこともたくさん話した。僕が大学生の男の子とデートのまねごとしていると言ったら、びっくりされた。デートスポットの情報とかを出すと彼女たちは興味深く聞いていた。「キスした?」とか「Hした?」と聞かれたけど「それはしないことにしてる」と言うと、「ぜひ一度やって感想聞かせて」などと言われた。「でもあゆヴァギナがないからHできないんじゃないの?」とひとりが言ったが「いや、入れるところはあるよ」と別の子に言われた。僕は意味がよく分からなかったが、自分にヴァギナがあったら、鈴さんとHも可能なんだな、などと思ったりした。この頃から自分自身「ほんとに女の子だったらいいのに」
と思うようになってきた。早貴が「あゆ、そのうち性転換するの?」と言った。
「あゆみ、今年中に性転換しない?」などと母からも時々言われた。僕はとりあえず笑っておいたが、性転換か・・・・などとけっこうマジに考えてしまう。性転換手術というのがどんな手術か最初の頃分かってなかったので、色々調べてみた。最初知った時はけっこうショックで、そんな手術受けたくない、と思った。それに手術を受けても子供は産めないことを知ると、哀しい気がした。でも少し時間がたつと、けっこう性転換について妄想するようになった。
妄想の中で僕は、ある日母から「今日はあんたの手術だよ」と言われて病院に連れて行かれる。お医者さんから診察しますと言われてあのあたりを触られ、乱暴に引っ張ったり握られたりする。そして「手術してしまうともう戻せませんよ。いいですね?」と言われて、僕がこくりと頷くと、裸にされ手術台に乗せられ、麻酔を掛けられメスを入れられる。タマタマが抜かれる。おちんちんが根本からチョキンと切り落とされる。タマタマもおちんちんもゴミ箱に捨てられてしまう。その付近の皮膚を縫い合わせて割れ目ちゃんが作られ、クリトリスやおしっこのの出る所やヴァギナもその中に設置される(このあたりのこと、特にヴァギナが実はよく分かっていない)。そして胸にはシリコンが埋め込まれておっぱいが作られ、完璧に女の子の体になってしまう。
そして麻酔から覚めた時、胸には豊かなバストがあり、おそるおそるあそこを触ると、もう何もないすっきりしたお股になっている。トイレに行くと割れ目からおしっこが出てくる。お風呂で丁寧にその割れ目ちゃんの所を洗う。鏡に自分の体を映すと、きれいな女体がそこにある。手術前は男部屋だったのが手術後は女部屋にベッドがあって、家族や同室の女性患者さんから「女の子になれてよかったね」と祝福を受ける。白いワンピースとか着て退院する。市役所に行って、性別変更届け?を書き、僕の戸籍が長男から次女に変更される。
そして僕は女子の制服を着て学校に行き「今日から女になりました」と挨拶する。休み時間、ホントに女の子になったの?と女子達に捕まり、女子更衣室で裸に剥かれ、きちんと女の子の体になってるか詳細に調べられる。「ちゃんと割れ目ちゃんもある」とか「おっぱい大きいじゃん。悔しい」とか言われる。
ビキニの水着に豊かな胸とすっきりしたお股をおさめてプールに行く所とか、温泉に行って女の子の友人達といっしょにお風呂に入る所とか、なぜか生理が来ちゃってナプキンを当てるところとかも想像する。男の人に抱かれる所も想像した。やはりその男の人って鈴さんだ。鈴さんのおちんちんが大きくなって、僕の体に入ってくる。。。。このHの場面はどうも細かい所が分からなかった。
こういう妄想をしていると、なんだか頭の中が凄く熱い気分になった。僕は女の子の格好をしている時は、ちんちんをいじる気になれず、結果的に4月以降、あまりオナニーをしなくなっていたが(特に女の子生活の比重が増えた夏休み以降は全くしていなかった)、自分の性転換を妄想すると、オナニーしていた時と似た感じの気分になれた。ただしおちんちんは大きくならなかった。こういう状態を「脳で逝く」と言うのだということはずいぶん後に知った。
9月になり、僕は13歳になった。家でのお誕生日のお祝いでは、しっかり可愛いドレスを着せられ、記念写真を撮られた。バースデイケーキにも「Happy BirthdayAyumi」と書かれた。学校が始まってしまったので学校には仕方なく学生服で行くけど、もう家の中では僕は女の子の服しか着なかった。学校に行く時も女の子の下着で、女の子の下着がタンスに入りきれないというとは母は「男の子の下着はもう要らないよね」と言われ、捨てられてしまった。この時僕はもう自分が男の子ではなくなってしまったような気がした。上着にしても学生服・学生ズボン・ワイシャツ以外の男物の服は全部処分されてしまった。放課後女友達と遊ぶ時は家で女の子の服に着替えてから出かけていた。
9月の鈴さんとのデート日。これが一応最後のデートなので、最初の予定では、これが終わったらもう女装はしなくてもいいはずだったのだけど、女装をやめるどころか既に僕の生活はほとんど女の子になってしまっていた。このデートを始める時、鈴さんから僕が女の子と付き合う時に、こういうデート経験は役立つと言われたのだけど、僕・・・・いや、僕はこの頃からふだんでも一人称を『私』
に変えた。私自身、いつか恋をする時、相手は女の子なのだろうか、男の子なのだろうかと、疑問を感じていた。
「13歳になったよね?おめでとう」と最初に言われた。誕生日を言ったのって4月の最初のデートの時だったのにちゃんと覚えてくれたことが嬉しくて「ありがとう」
と言った。その時に自然に出た仕草が自分でもすごく女の子っぽいと思った。鈴さんも一瞬ギクッとしたようだった。
「やっぱり13歳になると女の子は大人になるのかなあ」などと鈴さんは言った。鈴さんは時々私が男の子であることを忘れているかのような発言をすることがあった。
「ね、知ってる?あゆちゃん。日本の法律では13歳未満の女の子とHすると、お互い同意の上であっても男のほうが強姦罪に問われちゃうんだ」
「え〜?どうして。同意してるならいいと思うのに」
「だよね〜。13歳未満の子はHに関して判断能力が無いとみなされてるんだよね」
「でも昔は10歳や11歳で結婚していたのに。女の子は初潮が来たらもう1人前でよくないかなあ」
「けっこう社会的にはそうみなされること多いけどね。でもあゆちゃんも、13歳になったから、法的に一人前になった。生理はもう来てるよね・・・あ」
「私、生理まだです」
「ごめん、一瞬、あゆちゃんのこと、女の子だと思っちゃった」
「デートしている間は私、女の子ですよ。Hできないの残念だけど」
「Hしちゃったら、萌さんに告訴されるよ」
その日は最後のデートということで、ゆっくり話せるのがいいよねということになり、カフェでお茶を飲んだ後、レンタカーを借りてドライブデートになった。鈴さん運転の車に乗るのは初めてだったけど、助手席に乗っているというのが、ほんとうに鈴さんの彼女になった気分で、なんとなく私は嬉しかった。
海岸をドライブして、海辺のレストランで食事をする。鈴さんはデートの時の話題作りとか、会話のポイントとかで、気をつけておいたほうがいいことを再度教えてくれた。鈴さんが教えてくれる内容は、男の子側・女の子側の双方に及んでいた。鈴さんって、ほんとに男の子の気持ち、女の子の気持ちの両方が分かってるんだな。さすがもてる人は違うな、などと私は思っていた。
4時になったので、そろそろ帰ろうと言われた。
ああ、これでデートも最後なのか、と思うと私は寂しい気分になった。鈴さんの車の助手席に乗る。車は帰路に就く。
「鈴さん・・・」
「なあに?」
「私、まだ帰りたくない。このままお別れなんて嫌」
「君・・・・もしかして僕のこと・・・・」
「好きになっちゃったみたいです。ごめんなさい。恋愛関係にならないように私を選んでくださったのに」
私はほんとに鈴さんの恋人になりたい気分になっていた。
「ね。ホテルとかに行きませんか?」私は思いきって言った。
「あゆちゃん、ホテルでどんなことするのか知ってるの?」
「よくは分からないけど、鈴さんが気持ちよくなること私のできる範囲でしてあげたい」
「でも萌さんと約束したからなあ」
「黙っていれば平気です」
「困った子だね」
「ごめんなさい。私、悪い子です」
鈴さんは少し考えていた風だったが、やがて
「分かった。じゃ今からのことはふたりだけの秘密だよ」と言った。
「はい」
鈴さんは時計を見ながら進路を変え、やがて海辺の素敵な感じのホテルに車を乗り付けた。玄関からボーイが出てくる。え?高そう・・・・
フロントで手続きをして、やがて部屋に案内される。
見晴らしのいいダブルルームだった。
「ごめんなさい。ここ高そう」
「というか、あまり安いホテルには行きたくない気分だった。あゆちゃんとの秘め事をするのにはね」
「すみません」
「謝る必要は無いよ。僕もあゆちゃんのこと、好きになっちゃったし」
「ほんとに?」
「ほんとに」というと鈴さんは私の唇にキスをした。
頭の中が沸騰する・・・・
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■あなたが言ったから合コンの日(5)