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■神様のお陰・お受験編(4)

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そろそろ昼休みが終わるので着換えて教室に戻ることにする。こちらに一緒に来たそうな顔をしている橋本君に手を振って命(めい)たちは女子更衣室に入った。命(めい)は着換え用の丸くしたバスタオルを身体につけてからスクール水着を脱いだ。そしてショーツを付け、ブラを付け、更にTシャツを着ようとした時、誤ってバスタオルを落としてしまう。
 
「あっ」と小さな声を挙げたが、構わずそのままTシャツをかぶった。その時、たまたま命(めい)のほうを見ていた愛花は、はっきりと深い谷間のできたDカップサイズの胸がブラの下にあるのを見た。
 
『ちょっと待ってよ。これ絶対パッドじゃない。本物の胸だ! 命(めい)って豊胸手術しちゃったのかしら? もしかして今月前半に大阪に行った時にとか?それとも女性ホルモンでも飲んでるの!?だとしたら2〜3年は飲んでるぞ』
 
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愛花がそのまま見ていると、命(めい)はTシャツを着たあと、ホットパンツを穿く。ホットパンツが身体に密着している感じ。股間を見るが、そこに例の物が付いているようには見えない。もしかして、こちらも既に取っちゃってる??
 
「だけど、そうやってると女子高生にしか見えないよ、命(めい)」と百合。
「服装自由だし。ワイシャツとか着て出てくると暑苦しいから」
「理彩もかなり大胆な服装だよね。タンクトップに超ミニスカ」
「うん。命(めい)を刺激しようと思って」
「刺激してHとかするの?」
「ううん。万一女子更衣室内で命(めい)のが立ったら去勢してもいい約束だから」
「へー」
 
「理彩のこういうのって、冗談じゃないんだよねー。過去にもほんとに危うく去勢されそうになったこと、何度もあるんだもん」と命(めい)。
 
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「実はもう去勢済みってことはないの?」と愛花は訊いてみた。
「昨夜(ゆうべ)の段階では付いてたよ」と理彩。
「昨夜(ゆうべ)、見たの〜!?」と周囲の女子から突っ込みが入っていた。
 
ああ、こうして僕と理彩はセックスしてるんだろうと思う子が増えて行く、と命(めい)は笑いながら思った。
 

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8月の模試はみんな成績が良くて、国立のボーダーラインを越えている子がトップの4人以外にも8人いて、あと少しで到達する子も5人いた。2学期に入ると H先生はひとりひとりと志望校の現実的な絞り込みをする話し合いを持った。不況の折、やはり学費が安くて済む国公立狙いの子が多かったが、上位の子の中には敢えて私立を選択して、授業料の要らない特待生を狙いたいという子もいた。またセンター試験を受ける子には、9月中に受験科目を決めるよう言った。
 
受験科目を決めるのは結局志望校を絞る問題と連動している。想定している志望校が多いと、どこにでも行けるよう多くの科目を勉強しなければならないが、科目が増えるとパワーが分散する。科目を絞れば、勉強の効率は上がるがその科目では出願できない学校が出てくる。志望校の決定と科目の選択はとても微妙なのだ。
 
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この時点で理彩と命(めい)は基本的に阪大1本で行き、万一落ちた場合はその科目選択で受けられるどこかの地方国立を考える方向にした。香川君は神戸・岡山・三重の国立3校に絞り、春代は神戸・奈良女子大の2校に絞った。
 
センター試験の理科については、香川君と春代は必須科目の関係で物理・化学を選び、理彩と命(めい)も各々の都合があって物理・生物にした。
 
結果的にだったのだが、香川君と春代、理彩と命(めい)が各々同じ組合せを選択したので、橋本君にも愛花にも
「あんたたち、恋愛都合で科目選択してないか?」
と言われた。
 
社会は、香川君だけが地理を選び、他の3人は「倫理、政治・経済」を選んだ。
 
「倫理、政治・経済」は一通りの勉強をしていれば高得点を狙えそうなことから、全科目満点に近い点数が必要というハイレベルな戦いをせざるを得ない理彩、実力を越える点数を取らないと神戸に行けない春代にとっては、これ以外の選択肢が無かった。命(めい)は理彩と同じ科目を選択すると相互に教え合えて結果的に自分も理彩も楽になるということで、これを選択した。
 
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しかし「倫理、政治経済」は今年からの新設科目なので情報が少ない。そこでH先生が近隣の●●高校の進路担当の先生に連絡してこの科目についてもし良かったら少し教えて欲しいと頼んだところ、向こうもよく分からず困っているということで、あれこれ情報交換している内に、●●高校の地元の進学塾の先生からのツテで、大手予備校の講師の人が●●町まで出張授業をしてくれることになった。そこでその●●町の塾の生徒、●●高校と◇◇高校の倫政で受ける生徒が集まって、10月9〜10日の連休に2日間の集中講義を受けた。
 
基本的に「倫理」の問題と「政治経済」の問題が半々出るのではないか(多分両分野にまたがる融合問題は出ない)という予測であったが、命(めい)たちも含めて「秋になったし、そろそろこの科目の準備しないといけないかな・・・」
などという受験生が多かったので、全体のポイントや基本的な勉強方法などをしっかり押さえることのできた、この集中講義はありがたかった。
 
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今回の集中講義の受講生の中には、中学時代の同級生で●●高校に進学した子が2人いた。休日なので、春代も理彩や命(めい)も私服で出かけたが、命(めい)は特に女装している訳ではないものの、十分女子高生に見える格好だった。
 
それで久しぶりに再会したその元同級生たちから
 
「斎藤君、まるで女の子みたいになってる」
などと言われた。
「命(めい)は中学時代から、こんなものだったじゃん」と理彩が言うが
「いや、あの頃は『少し女の子っぽい』雰囲気だったけど、今は『完全に女の子』
になっちゃってる。性転換した?」などという反応。
 
「別に性転換はしてないし、今日は女装もしてないけど」
「女装してないと言っておいて、その胸は何よ?」
「え?ブラ付けてるだけだよ」
「男の子はふつうブラは付けないんだよ」
「あ、そうだっけ?」
「そんなことに疑問をはさまないように」
 
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「えー? 男の子でもブラ付ける子いると思うけどなあ。ねぇ、正美」
と隣にいた橋本君に声を掛ける。
「うん。別に男の子がブラしてもいいよね」
と答える橋本君はバストも作っているしキュロットを穿いていて、ほぼ女装状態。髪も可愛くまとめてカチューシャなど付けている。ただ橋本君は女声が出せないので、男声である。
 
「私、自分の常識に自信が持てなくなった・・・」と元同級生。
 

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休憩時間に命(めい)が当然のように女子トイレに入り、待ち行列に並んでいると、その後ろにもうひとりの元同級生の女の子が来て、しばらく命(めい)とおしゃべりしていたが、突然気がついたように
「ちょっと待て。命(めい)ちゃんがここにいるのに、あんまり違和感が無いから何も思わなかったけど、今になって『あれ?』と思った。いつもこちらに入るの?」
と命(めい)に訊く。
 
「え? あ、気分次第かな」
「でも、命(めい)ちゃん、女の子の声だよね」
「私、いつもこういう声だけど」
「昔はもう少し中性的な声だった気が・・・・」
「ああ、この声も出るけど」と命(めい)は中性的な声を出してみるが、「でも、最近はこちらの声で話していることが多い」と女の子の声に戻す。
「自由自在だね!」
 
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彼女たちは1日目の朝には「斎藤君」などと言っていたものの、その日の昼頃には「命(めい)ちゃん」になり、2日目になるともう「命(めい)」と呼び捨てになっていた。
 
「命(めい)は女の子と同じだと思うことにした」
「うん。命(めい)は女の子だよ」と春代も笑顔で言っていた。
 

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H先生は前年の3年生にやったのと同様の方式で、9月から11月まで、毎週日曜に進学クラスの子全員に実力テストを受けさせた(土曜は特進クラスの子はふつうに授業をしている)。ただ昨年は12人なのでひとりで回ることが出来たが、今年は31人もいるのでさすがにひとりでは答案の回収は無理で、教頭先生とふたりで手分けして回収作業をした。また採点も他の先生が手伝ってくれた。しかしこの実力テストで、生徒たちの力は確実に上昇していった。
 
その年の年末・お正月は、直後にセンター試験があるし、その後には私立の入試も控えているし、特進クラスの子には「お正月なんて無い」状態だった。実際、1月1日以外はずっとスクールバスを運行してもらって、冬休み中ずっと補習授業をやっていたし、毎朝科目日替わりで実力テストをしていた。
 
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理彩と命(めい)はこの時期、毎日命(めい)が夕食後理彩の家に行き泊まり込む状態で夜遅くまで勉強していた。実際ふたりとも勉強しながら机に打っ伏して寝ていることも多く、理彩のお母さんが明け方気づいて、ふたりに毛布を掛けてあげることも多かった。春代と香川君はその時期、携帯をつなぎっぱなしのハンズフリーにして深夜まで、いろいろ話しながら勉強していたらしい。分からないことがあったら即聞くため、この4人の間では携帯は24時間いつでもメールして鳴らして良いことにしていた。
 
センター試験は模試などもよく受けに行っているK町の大学である。試験場としてはすっかり慣れている。この時点で国公立を志望校として考えていた子が18人いたので、集団で受けに行く。ホテルもまとめて確保したが、橋本君と命(めい)も取り敢えず男子に分類することにして、男子は4人ずつ3部屋、女子は3人ずつ2部屋に詰め込んだ。
 
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H先生は初め単純名簿順で男女とも部屋割を区切ったのだが、ふと同僚の女の先生から「女子の部屋割、気をつけてくださいね。大事な試験前でみんな感情が高ぶるので」と言われていたのを思い出したので、名前順は無視して、春代・理彩・玖美、博江・浩香・綾、という分割に変更した。
 
女子をそう分割してみると、男子も単純名簿順ではまずい気がしてきたので、単純分割から少し調整して、香川・河合・斎藤・橋本、佐山・新庄・高宮・竹田、竹村・西川・松浦・三宅という部屋割にした。橋本君を性別の問題もあり、それに配慮出来る香川君たちの部屋に移動し、その後玉突きする形で、結果的に相性の悪い子を分離した。先生は橋本君や命(めい)の下着姿は他の男子の目に晒す訳にはいかないと考えた。香川君や河合君なら大丈夫である。
 
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結果的に命(めい)の部屋は、香川君以外の3人(河合・斎藤・橋本)が女装癖のある子ばかりになり、香川君は「おまえら、夜中に俺を襲うなよ」と冗談っぽく言っていた。当の橋本君は
「あれ? 命(めい)は今日は女装じゃないの?」
と訊いたが、命(めい)は
 
「あ、僕、女装は卒業したんだ。でも正美は女装していいよ」
などと言う。しかし河合君から
「ブラジャー付けてきておいて、女装は卒業も無いだろ?」
と突っ込まれていた。
 
西川君が「そちらの部屋は女装っ娘部屋なんだね」などと言ったが香川君が「俺は女装しないぞ!」と抗議していた。
 
ただ、この部屋割はあくまで寝る時だけであり、それ以前には結構入り乱れてお互い相性のいい子同士で勉強していた。
 
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西川君の勉強会グループで来ているのが西川君と竹村君だけなので、橋本君と河合君を誘って4人で勉強する。香川君と命(めい)は当然のように理彩と春代の部屋に行き4人で勉強する。玖美は博江たちの部屋に移動してここも4人。そして残りの男子6人は松浦君の勉強会グループなので狭いところに無理矢理6人入って勉強していた(本来ツインの部屋にエキストラベッド2個入れている)。
 

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春代たちの勉強グループにいた小枝・百合・愛花・杏夏の4人はセンター試験は受けずに全員京都の私立大学を受けて上位で合格し、特待生になることができた。他の5人は、春代と香川君が神戸大、命(めい)と理彩が阪大、橋本君は和歌山大に合格した。
 
玖美たちのグループでは、玖美と博江が奈良女子大、浩香が県立大、綾が県立医科大の看護科に、河合君は奈良教育大に合格した。紀子は父が高3の夏に東京に転勤していた関係で東京の大学を志望し、産能大に合格した。春からは一家揃って東京暮らしである。このグループに3年になってから入った2人は奈良県内の私立大学に合格した。
 
結局センター試験を受けた18名のうち16名が国公立大学に進学することになった。上記2グループ以外の国公立合格者は、東京の電通大に通った西川君、三重大に通った松浦君、岡山県立大の竹村君、奈良教育大の竹田君、奈良県立大の高宮君・佐山君である。
 
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国立11名、公立5名。そして私立の四年制大学にも15名が合格。進学クラスの31名全員が現役合格することができた。その背景にはギリギリまで各生徒と一緒に「合格出来る」大学を模索してあげた H先生の苦労があった。田舎でどこの親も、浪人までさせて大学に行かせるほどのテンションが無かったので生徒たちの大学に行きたいという気持ちを叶えさせるには現役合格が必須だったし、受験料の負担や勉強の効率(試験を受けに遠方まで行くことで勉強が中断する)を考えると、併願も最小限にしていた。
 
前年に12人(国公立4人)、今年31人(国公立16人しかも難関校4人)の四年制大学合格者を出して、◇◇高校は「普通科特進クラスに限ればレベルが高い」
とみなされるようになり、これまで近隣の優秀な生徒がみな、よその町の高校に流れていっていたのが、逆に周囲の町から、こちらを受けに来る生徒まで出てきた(特進コースの募集は他コースと別枠になり、志望者も増えたため、1クラス増設され、特進A,特進Bに分割された。工業科と普通科短専クラスは相変わらず入試答案に名前を書けば合格できるレベル)。これは結果的にその後、この地域の振興にも大きく寄与していくことになる。
 
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その件で随分後で命(めい)は、理龍神に「ひょっとして何かこの件に関与してない?」と訊いてみたが、慌てたような顔をして「僕は知らない」と言っていた。何か怪しいなと思って星にその件を訊いてみると「まどかちゃんだよ」と言ったので「へー」と思い、少し楽しい気分になった。
 
なお、H先生は命(めい)たちの学年を送り出した後は、他の高校に転任する予定だったのだが、校長が教育委員会と掛け合って、当面の留任を決めた。また翌年以降の進学指導のための予算も充分に確保し、翌年からは2-3年で夏休みの補習も行われるようになっていく。しかし H先生が、進学指導の専門家のような感じになって行ったきっかけは、図書館の担当教員として、図書館で勉強している子たちに、あれこれ声かけしていたことであったのである。
 
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神様のお陰・お受験編(4)

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