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■女子バスケット選手の日々・2016オールジャパン編(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2016-03-07
 
千里は2008年,2012年のオールジャパン(全日本総合)にも出場した。
 
中学3年間を「女子バスケット部の男子(?)部員」として過ごした千里は、旭川N高校に入学した当初は戸籍上男子だからということで「男子バスケ部」に入ったのだが、男子選手として試合に出ているうちに「性別疑惑」をもたれてしまう。
 
戸籍抄本の提出では納得してもらえず病院で医学的な検査を受けて、本当に男性であるという証明を提出してくれと言われる。
 
それで検診を受けて来た千里は
「村山千里は医学的に女性である」
という診断を受けてしまう。
 
この診断には千里は「なぜだ〜!?」という思いであったのだが、これで結局千里はバスケ協会の登録も女子選手に変更され、N高校でも男子バスケ部から女子バスケ部に移動されてしまった!
 
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男の身体なのに女子選手として扱われることに罪悪感を感じた千里は、出羽の八乙女のリーダーで「神様の端くれ」である美鳳さんに悩みを相談したのだが、美鳳さんは
 
「じゃ本当に女の子の身体になっちゃえばいい」
 
と言った。そして千里は翌朝目が覚めた時、自分の身体が女の子の身体になっていることに驚愕する。
 
美鳳の説明では千里は元々2012年に性転換手術を受けることになっていて、その手術の結果を「時間の組み替え」により先取りしたもので、その身体は性転換手術から1年経っているということであった。
 
戸惑いはあったもののとにかく女の子の身体になれて、心のひっかかりが無くなった千里はその直後のインターハイで大活躍し、全国3位になりスリーポイント女王まで獲得する。
 
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その冬のウィンターカップには出場ならなかったものの、直後に出た全道総合で優勝。旭川N高校はオールジャパン初出場を決めた。
 
この年のオールジャパンでは旭川N高校は初戦で中国地区代表のクラブチーム、2回戦でインカレ7位の大学生チームを倒して勝ち上がり、3回戦でWリーグの強豪・ビューティーマジックと激しい闘いをしたものの敗れ去り、BEST16に留まった。しかし千里は得点女王およびスリーポイント女王を獲得した。
 

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2012年には千葉ローキューツで出場したのだが、この出場経緯は複雑である。
 
2009年10月千葉クラブ選手権優勝→2010年2月の関東クラブ選手権・準優勝→2010年3月全日本クラブ選手権3位となって、いったん2010年11月の社会人選手権の出場権を得る。
 
しかしこの年の社会人選手権では残念ながら準決勝で敗れてオールジャパン出場はならなかった(当時の社会人出場枠は2)。
 
翌年ローキューツは関東クラブ選手権で優勝してまた全日本クラブ選手権に出場する権利を得たのだが、ここで東日本大震災が発生し、2011年の全日本クラブ選手権は中止になってしまう。そして社会人バスケット選手権には昨年の上位3チームが派遣されることになった。それでローキューツはまた社会人選手権に出ることになった。
 
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そしてこの2011年の社会人選手権で準優勝してローキューツはオールジャパンの出場権を獲得したのである。
 

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2012年オールジャパンに出場した千葉ローキューツは、1回戦で四国代表のクラブチームに勝ち、2回戦でインカレ1位の大学チームに勝利。3回戦ではWリーグ王者・サンドベージュと対戦した。
 
三木エレンさんの所属するチームである。
 
この試合で千里は三木エレンを完璧に封じた。全く仕事をさせなかった。そしてそもそもサンドベージュは今まで聞いたことも無かった名前のクラブチームというので、(エレン以外のメンバーが)ローキューツを甘く見ていた。
 
それでWリーグの王者が初出場のクラブチームにまさかの敗戦を喫するのである。
 
準々決勝に進出したローキューツではあったが、準々決勝の相手レッドインパルスは、過去に旭川N高校と練習試合をしたことがあり千里の恐ろしさを知っていた。またレッドインパルスは社会人選手権の全試合をビデオに撮っており、千里のみならずローキューツの各選手の特徴をあらかじめ研究していたらしい。実際の試合では千里と実際に何度も対戦したことのある主将の黒川さんが千里に厳しいマークをして千里にスリーを3本しか撃たせなかった。
 
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それでローキューツは準々決勝でレッドインパルスに敗れ去り、この年千里はBEST8に留まったのであった。
 
ただし千里はまたスリーポイント女王に輝いている。
 

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2012年の後は千里は結婚準備のためと称してローキューツを辞めた後、性転換手術とその後の回復のため一時バスケットを離れていた。
 
しかし千里が今になって「性転換手術を受けた」という話は貴司をはじめ千里の周囲の人間を戸惑わせた。
 
手術を受けて療養中と聞きアパートまで訪ねてきてくれた麻依子は言う。
 
「今更性転換手術を受けたなんて意味不明なんだけど」
「そうだよねー。私もよく分からなくて。私、2007年5月以降『性転換済み』だったから、今『性転換した』みたいで」
 
「全く分からん。でもインターハイに行った時点で性転換から一定期間経ってたんだしょ?」
「うん。あの時点で約1年経過していた。去勢はその更に1年前」
「ということは、高校1年の6月頃に性転換したってことだよね?」
 
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「そうなるのかなあ。取り敢えず、これもらってきた性転換手術証明書」
 
と言って千里が英文の性転換手術証明書を見せると麻依子は顔をしかめる。
 
「Tuesday, July the 18th, 2006 って書いてあるけど?」
「え!?嘘?」
 
その指摘で千里は初めて証明書の年が2012ではなく2006になっていることに気づく。
 
麻依子はカレンダーを確認する。
「今年の7月18日は火曜ではなく水曜」
更に彼女は自分のスマホで2006年の暦を呼び出す。
「2006年の7月18日なら確かに火曜日だよ」
 
「え〜!?」
「つまり千里は本当に2006年・・・・やはり私たちが高校1年の時だよね。その7月に性転換手術を受けたってことなんだね?」
 
「うーん・・・」
 
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この件は後で美鳳さんにも訊いたのだが、美鳳さんにも、なぜそういうことになってしまったのか分からないと言っていた。色々無茶なことをしているのであちこちに歪みが生じていたようである。
 
「実際千里ってその年の秋に性別検査を受けて女だってことになって男子選手から女子選手に登録変更されて、男子バスケ部から女子バスケ部に移動された訳でしょ?」
「うん」
「つまり性転換手術を受けたから、性別は女と判定されたということでは?」
「うーん。。。そう考えた方が合理的という気がしてきた」
 
「じゃ千里結局何の手術受けてきたのさ?」
「何なんだろうね?私も分からなくなってた」
「まさかおちんちん付けて男になってないよね?」
「え?」
 
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千里は慌てて自分のお股に手をやって確認する。
 
「大丈夫みたい。ちんちんは無い」
「だったらいいけどね」
 

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この時期の千里の休養には、2012年7月に唐突に貴司から婚約破棄されたショックに沈んでいたのもあった。しかしやがて千里は立ち直る。
 
2013年10月頃から自主的に練習を再開するが、そこに江戸娘を退団していた夕子、出産後そろそろバスケを再開したいと思っていた麻依子、千里同様に失恋したことから新天地を求めて北海道から出てきた暢子、他にローキューツに所属していた雪子、実業団に居た星乃、練習場所を探していた橘花などがここに加わって、合同自主練習のメンツが増えて行く。
 
「これだけの人数がいたらチームが作れるね」
という話から、千里たちは自分たちに 40 minutes という名前を付けユニフォームも作ってしまった。
 

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40 minutesは2014年4月に東京都クラブバスケット連盟に登録したが、凄いメンツが集まっただけあって、当初から勝ちまくっていた。
 
そして同年11月に参加した東京都クラブ選手権で準優勝(優勝は江戸娘)して関東クラブ選手権に進出。同選手権で優勝。そして3月に京都で行われた全日本クラブ選手権でも優勝する。それで出場することになった2015年11月の社会人選手権で準優勝(優勝はジョイフルゴールド)して2016年1月のオールジャパン出場を決めた。
 
40 minutesは2015年の東京都秋季選手権(オールジャパン東京都予選)にも参加していたが、社会人選手権ルートで本戦出場を決めたので、そちらは途中で辞退する。そちらは江戸娘が優勝。続く関東総合でも優勝して江戸娘もオールジャパン出場を決めた。
 
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2015年11月上旬、千里は自分と貴司の関係が新たなステージに入ったことを意識して『門出』という曲を書き、ローズ+リリーに歌ってもらったが、その音源制作に千里自身も参加した。
 
それでローズ+リリーが12月31日〜1月1日にカウントダウン年越しライブをすることになり、会場の安中市まで当日来てもらえないかと冬子(ケイ)から打診があった。千里はそれを了承し、12月31日の練習が終わった後で新幹線で安中榛名まで行った。
 
ライブが終わった後は伊香保温泉に泊まる。2008年インターハイで泊まった場所である。宿泊した宿自体は別の所ではあるが、千里は当時を懐かしく思いながら湯に浸かる。当時の自分のバスケに対する情熱を思い出す。そして湯に浸かっていたら高校時代からの友人・花野子が来て、湯船の中で色々話し合った。千里は彼女との会話を通じてもまた気持ちの整理が付いていった。
 
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千里はそういう心理状態で東京に戻った。
 

新幹線が到着した東京駅から東京駅構内にあるような地下鉄大手町駅に移動し、半蔵門線−東急(直通)という、いつもの路線で移動する。駒沢大学駅から1kmほどの道を軽くジョギングして会場となる駒沢体育館に入った。
 
「千里、遅刻〜。罰金100万円」
などとキャプテンの夕子から言われる。
 
「ごめーん。じゃ今日の祝勝会は全部私のおごりで」
「よしよし」
 
「オールジャパンが終わるまで毎日の祝勝会の費用は千里持ちで」
と星乃。
「え〜!?」
 

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この日の駒沢体育館は2面コートが取られており、ひとつの時間帯に2試合ずつゲームが行われることになっていた。千里が到着したのはまだ試合が始まる前で大会テーマ曲・小野寺イルザの『頂点を目指して』(風間絵美作詞・上野美由貴作曲)が流れていた。千里はその曲を心地良く耳に受け止めていた。
 
千里たちの試合は14:40からなのだが、13:00からの第1試合には北海道代表として旭川N高校が出場していた。やがてその試合が始まるので千里はそれを客席から観戦した。
 
旭川N高校は千里たちが2年生だった2007年から現在40 minutesのチームメイトとなっている松崎由実やローキューツに居る原口紫らが3年生だった2011年まで5年連続インターハイに出場したものの、そのあと2012-2013は旭川L女子高の後塵を拝していた。しかし2014年に長身のセンター福井英美が入学してきたことから、再びインターハイに出場できた。
 
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N高校は2014-2015の2年連続でインターハイに出てきているが、ウィンターカップには北海道の女王・札幌P高校に敗れて出場できずにいる。しかし今年は北海道総合を制してオールジャパンの方に出てきた。2008年以来8年ぶり2度目のオールジャパンである。
 
中心選手で現在2年生の福井英美は2014-2015年の2年間、北海道の得点女王・リバウンド女王として君臨。インターハイでも2015年のリバウンド女王である。2014年にU18日本代表、2015年にU19日本代表候補として招集されている。但しU19世界選手権は日本がFIBAの制裁中であったため実際には出場できなかった。千里はこの時彼女に直接電話を掛けて慰め、代わりにインハイで優勝を目指せと激励した。彼女は今年もまたU18日本代表に招集されるのは確実である。
 
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この日のN高校の相手はインカレ6位の大学生チームだったのだが、彼女はゴール下を完璧に支配していた。リバウンドは全部取ってしまうし、英美のシュートを大学生プレイヤーが誰も止めきれない。ファウルで停めてもフリースローが上手で、1発も外さずに入れてしまう。千里は本当に凄い選手が出てきたものだと思った。
 
試合は62-86という大差で旭川N高校が勝利した。
 

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千里は暢子・雪子・由実を誘ってN高校のメンバーがフロアから出てくる所に行き、
 
「勝利おめでとうございます」
と声を掛けて祝福した。
 
「わ、村山大先輩だ!」
と3年生の志村美月が言う。
 
「若生大先輩もいるぞ」
と暢子は言って美月にヘッドロックを掛けている。
 
「若生大先輩、村山大先輩、森田大先輩、松崎大先輩、応援ありがとうございます」
「よしよし」
 
「私は大先輩でなくて普通の先輩でいいよぉ」
と由実が言っている。
 
「でも村山君も昨年は世界で大活躍だったね。森田君もヤング代表で頑張ったし。村山君が日本代表で不在の間には若生君が頑張って全日本クラブ選抜を制したし。松崎君も随分力を付けてきたようだし」
と宇田先生もニコニコした顔で4人に声を掛けてくれた。
 
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■女子バスケット選手の日々・2016オールジャパン編(1)

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