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■女の子たちのセンター試験(4)

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後半の出番のためちょうど男性控室から出てきた相沢さんと黒木さんを捉まえて急いで話し合い、問題のF4はA4で代替することにして『優視線』のソプラノ2(蘭子パート)を千里が歌うことになった。
 
その前の曲『サダメ』まで千里はキーボードを弾いている。『優視線』で昨日は千里は退場して蘭子が入って来てグランドピアノを弾いた。しかし今日は千里はその場に留まり、蘭子パートを歌うことになった。
 
ゲスト歌手の演奏が終わる。
 
KARIONと伴奏者がステージに戻ってライブの後半が始まる。
 
この後半でも千里はずっとキーボードやピアノ、オルガンなどを弾いた。そしてラストの曲『優視線』になる。千里はキーボードの所にいるがこの曲だけに出る蘭子はグランド・ピアノを使うので、千里はそのままキーボードの所に居てよい。アユがマイクを持って来てくれる。受け取って歌う。
 
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出る!
 
ちゃんとソプラノの声が出る。
 
以前の声とは少し違うけど、まあいいよね。ちゃんと女の子の声だもん。音量が小さいのはやはり訓練だろうなあ(歌はPAさんがボリュームを即調整してくれたようである)。
 
そしてその時、千里は客席の貴司の隣にいたはずの女の子がいつの間にか居なくなっていることに気づいた。どうしたのかな?? トイレにでも行った?
 

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『いいのか?あの子を下痢にしちゃうとか』
と心配そうに《げんちゃん》が会場の外の茂みで言う。
 
『あの子を殺したり大怪我させたりしたらメシ抜きって千里言ってたぞ』
 
『怪我させる訳じゃないから、このくらいはいいだろ? とりあえずこの状態じゃ、ホテルに誘うなんて無理だし』
と《こうちゃん》。
 
『確かに手っ取り早いお泊まりデート潰し策だな』
と《せいちゃん》は言う。
 
『でも毎回この方法使うの?』
『うーん。何度もは使えない気もするから、次はまた別の対策だな』
 

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公演の後、KARIONの4人は最終新幹線(新大阪2120-2345東京)で東京に戻ったようであったが、スタッフはみんな泊まりになる。
 
ヴァイオリンの代替演奏者の長尾さんは車で来ているということで車で帰るということであった。
 
「村山さんはどちらですか? 私横浜なんですけど、もし方向が同じなら乗っていきません?」
と誘われる。
 
「私、北海道なんですけど」
「それは遠いですね!」
「大阪から帰る便は午後しかないから、新幹線で東京に出てから羽田から帰ろうかと思っていたんですけどね」
「あ、だったら羽田まで送って行きますよ」
「いいんですか?」
 
ということで彼女と一緒に帰ることになった。
 

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「中心部は車駐められないから、少し郊外に出て夜食食べてから帰りましょうよ」
「そうですね」
 
それで彼女の運転するインサイト(初代 ZE1型)は北に向かうのだが、長尾さんは運転しながら微妙な微笑みを浮かべて訊いた。
 
「いや、昨日ももっとお話ししたかったんですけどね」
「はい?」
「雨宮先生から、ピアノの代理演奏者の男の娘を確保したから、ヴァイオリンはあんた弾いてなんて言われたもので」
 
千里は吹き出した。
 
「私もヴァイオリンの代理演奏者はちょうどうまい具合に可愛い男の娘がいたからあんたはピアノ弾いてと言われたんですけど」
と千里は言う。
 
「じゃ、村山さんも私と同類?」
「どうもお互いそうみたいですね」
 
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「ちなみに身体はどこまで直してるの?」
「私は全部手術済みです。未成年なのでまだ戸籍は修正できないんですけど」
「すごーい。えらーい。私は実はまだ下は手術してないのよ。取り敢えず玉だけでも取りたいんだけど。おっぱいはCカップあるけどね」
 
「まだ去勢もしてないのに、そんなに完璧に女の子なのは凄いです。私、長尾さんがふつうに女の子にしか見えないから、結局男の娘じゃなくて普通の女性を使ったのかな、とも思ってたんですよ」
 
「それはこちらも同じこと考えていた。どう見ても村山さん、女の子にしか見えないもん」
 
「取り敢えず、《女の子》同士ということで、下の名前で呼びません?」
「うん。そうしよう。ついでにため口で」
「OKOK」
「じゃ。私は泰華(たいか)で」
「じゃ、私は千里(ちさと)で」
 
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その時、車の進行方向前方に、大きなハートマークの電飾が見えた。
 
「あれ何だろう?」
「ああ。テレビで評判になった洋菓子の達人のお店だよ。バレンタインなんでああいうの出しているみたい」
「へー」
「あ、寄ってみる?」
「寄ってみたい!」
 
夜9時過ぎということで幸いにも駐車場が空いていたのでそこに駐める。お店の中に入ってみると、この時間帯というのに客が7-8人いる。流行ってるんだなあと思い、ショーウィンドウを見ていた。
 
「ちなみに千里ちゃんは彼氏は?」
「微妙な関係の人が1人」
「男性?女性?」
「たぶん男じゃないかなあ。ちんちんあるし」
「ふむふむ」
「泰華さんは?」
「アプローチ中の子がいる」
「性別は?」
「少なくとも外見上は女の子に見える」
「ふむふむ」
「私たちみたいな種族って、男の子が好きな子と、女の子が好きな子が半々くらいと思わない?」
「ああ、思う思う。私の知り合いの男の娘で、自分はオカマのレズって言ってた人いたよ」
「うんうん。世間ではオカマは男の人が好きなんだろうと思われている感じだけど、実際は両方あるんだよねー」
「そうそう」
 
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それで見ていたら、何だか素敵な生チョコトリュフがある。
 
「すごーい。これ3個入りで1000円だよ」
「1個333円か。凄いですね」
 
などと言っていたら、お店のスタッフさんが
「そちらは1個300円で箱代を100円頂いております。こちらの5個入りですと300円×5+100円で1600円になります」
と説明してくれた。
 
「でも私の好きな人、チョコとか甘いもの大好きでさ。このくらいのチョコなら20個くらい一瞬で食べてしまいそう」
と泰華が言う。
 
「20個入りもお作りできますよ」
とお店の人。
「それだと6100円?」
「いえ。3000円以上は箱代サービスさせて頂いておりますので6000円です」
「へー」
「20個入りくらいどーんと贈ってあげようかな」
などと彼女は言っている。
 
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「ちなみに最大何個入りまであるの?」
「一応、箱自体は100個入りまで用意致しております。先日テレビの番組で歌手の松原珠妃さんが作曲家の蔵田孝治さんに100個入りを贈っておられましたが、あれと同様の金箔を使った特別包装紙に包んでお渡し致します」
 
「ああ、見た見た! あのチョコか!」
と泰華は言っている。
 
「ちなみに100個入りだと3万円?」
「はい、そうです」
 
「さすがにチョコレートに3万円は出せないなあ。でも20個入りを贈っちゃおうかな」
と泰華が言った時、千里は唐突に「悪だくみ」を思いついた。
 
「じゃ私、100個入り買います」
「え〜〜〜!?」
「ありがとうございます。ちなみに20個入りにはこちらの赤いメッセージカード、100個入りにはこちらの金のメッセージカードが付けられますが」
 
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「うん。書くからマイネームか何か貸してもらえます?」
「はい。各色フェルトペン揃えております」
 

千里は100個入りトリュフの金色スペシャルパックを受け取ると、泰華に千里中央に寄ってくれないかと頼んだ。
 
「うん。いいよ。千里(せんり)ICから環状線に乗って、そのまま名神に入ればいいし」
 
それで千里は泰華にマンションの前で待ってもらっていて、マンションの入口のロックを解除して中に入ると、33階までエレベータで上って、貴司の部屋、3331号室のドアノブにそのチョコの箱を掛けた。メッセージカードの中には言葉は書かずにピンクのフェルトペンでハートマークを描き、カードの外側にCHISATO という名前だけを書いた。
 
「お待たせ。ありがとう」
と言って泰華の車に再度乗り込む。
 
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「彼氏と会えた?」
「ううん。留守だったみたい」
 
泰華は少し考える。
 
「ここオートロックのマンションだよね?」
「うん」
「不在なのにエントランス通れるの?」
「暗証番号知ってるから」
「うーん・・・・」
 
「チョコは玄関のドアノブに掛けて来た」
「あんたけっこうこのマンションに来てるんだ?」
「まだ今日で3度目だよ」
「ちなみに彼とのセックスは?」
「たくさんしてる」
「乱れた女子高生だ」
 

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近くのホテルの1階のレストランが夜遅くまで営業していたのでそこで食事をした後(食事代は千里が払った)、千里(せんり)ICから上の道に乗った。
 
「千里(ちさと)ちゃん、でもまだ女声が不安定ね」
「実はこれまで使っていた女声が先月突然出なくなっちゃったんですよ。それで苦労した上でやっと見付けたのがこの声。実はさっきのライブ中に突然見付けたんです」
 
「うんうん。声の出しかたって『見付ける』もんなんだよね。でも発見したての声はどうしても不安定。なぜか分かる?」
「えーっと」
「そういう声の出し方をするための筋肉が鍛えられていないから」
「あ、そうか!」
 
「だからその声が気に入ったのなら、それでたくさん話したり歌ったりしていれば自然としっかり使えるようになる」
「なるほどー」
 
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「でも最初はあまり無理しない方がいいよ。筋肉が鍛えられていない内に喉を酷使すると、声帯が潰れてまともな声が出なくなるから」
 
「そういえば、それ雨宮先生に注意されました!」
 
「だから、私たち男の娘同士だし、男声で話してもいいよ。お互い相手の男声については秘密ということで」
 
「そうしようかな」
と千里は男声に切り替えて言った。
 
「じゃ、私もこちらの声にするね」
と泰華さんも男の声に切り替えて言った。
 
「うーん。やはり泰華さん、男の娘だったのか」
「村山さんも、ほんとに男の娘だったのね」
 
と言ってふたりは笑って会話を続けた。
 

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貴司がマンションに戻って来たのはもう夜12時近くである。
 
「ほんとに聖道さん、おなか大丈夫?」
「うん。ちょっと寝ていれば大丈夫だと思う。今晩は悪いけど、貴司のマンションで休ませて。自宅まで帰る体力が無くて」
 
「うん。そうするといいよ。絶対君の身体には手を出さないから」
 
いや、手を出して欲しいんだけど〜!! と芦耶は思う。
 
コンサートを見ている最中、芦耶は唐突にお腹が痛くなった。ライブ中に席は立ちたくなかったが、とても我慢できないのでスタッフに断ってトイレに行き、結局ライブが終わるまで籠もっていた。そのうちライブが終了して、スタッフさんに促されて会場を出たものの苦しいので、近くの公園のトイレでまた1時間くらい籠もっていた。
 
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しかし22時半くらいになって、やっと何とかお腹が落ち着いてきたのである。それで帰ろうかということになったものの、芦耶はまだ不安なので、近くにある貴司のマンションで休ませて欲しいと言ったのである。我ながらうまい「お泊まり」の理由だと思った。体調は回復しているし、シャワーでも浴びさせてもらった上で、貴司に夜這いを掛けてやろうという魂胆である。
 
「やっぱりあのお寿司が良くなかったのかなあ」
「私がちょっと体調悪かったせいかも」
「ごめんねー。僕はお寿司たくさん食べたけど全然平気だったのに」
 
うーん。貴司は1日経ったお寿司を食べても平気そうだぞ。
 
それでマンションの前でタクシーを降りて、鍵でエントランスを開けて中に入る。エレベータで33階まで上がる。
 
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それで3331号室まで行ったのだが・・・・
 

ドアノブに金ピカのバレンタイン・チョコの巨大な箱があるのを見る。
 
「何それ?」
と芦耶。
「何だろう?」
と貴司。
 
「ちさとって書いてある。誰?」
「あ、えっと・・・バスケット部の後輩の・・・男子だよ」
と貴司は答えた。
 
「男〜〜〜?」
「いや、高校は別になったんで、インターハイ予選とウィンターカップ予選で1回ずつ激突したこともある。1勝1敗だった」
 
と言って貴司は千里が高1の頃、丸刈りしていた時のことを思い出していた。
 
「ほんとに〜?」
と芦耶は疑っている様子。
 
「冗談がきついなあ。ハートマークまで描いてある」
と言って貴司はメッセージカードを開いて見ている。
 
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「そのチョコ、見覚えがある。洋菓子の達人がやっているお店のスペシャル・パッケージ。こないだテレビの番組で歌手の松原珠妃が蔵田孝治に贈っていた」
 
「へー。有名なやつなんだ」
「そのパッケージ、3万円するはず」
と言って、芦耶は悔しい!と思った。私があげたチョコより高いじゃん!!!
 
「そんなにするの!?」
 
「ね。男だって嘘だよね? 男がバレンタイン贈る訳ないじゃん。女の子なんでしょ?。3万円もするチョコ贈るなんて大本命だろうし。年上の人?高校生に出せる額じゃないよ。だいたいここまで登ってきてそこに置いたってことは鍵を持ってるってことだよね?」
 
「そんなことないよー。ほんとに男子高校生なんだから。でもどうやってあいつここまで入って来たんだろう?」
 
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「いい。もう帰る」
と言って、芦耶は踵を返してエレベータの方に向かった。
 
「聖道さん、お腹は?」
「治った。貴司、またね」
 
と言って、芦耶は後ろを見せたまま貴司に手を振ったが、はらわたが煮えくり返る思いであった。いや、今彼女はとても貴司を見ることができなかった。貴司の方を向いたら、嫉妬の気持ちで、自分の顔は般若のようになっているであろう。
 
 
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女の子たちのセンター試験(4)

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