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■桜色の日々・小4編(4)

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令子と一緒にカオリの家に向かう。
 
「ねえ、金曜日は私も気付かなかったんだけど、後から思ってさ」
「ん?」
「ハル、洗濯物をコインランドリーに取りに行ったじゃん」
「あはは」
「あそこのコインランドリー、脱衣場の中にあるよね」
「うん」
「どちらの脱衣場に入ったの?男湯?女湯?」
「だって、お母さんが乾燥機使いに来たんだから、洗濯物は女湯の脱衣場の中だよね」
「じゃ、やっぱり女湯の方に入ったんだ!」
「少なくとも物心付いてからは、女湯に入ったの初体験だった」
「ふーん。本当に初体験かどうかはさておいて、ハルは女湯の脱衣場にいても誰も何とも思わないだろうね」
「服を脱がなければね。そんな気がしたから、ちゃっかり入っちゃった」
 
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「女の人の裸を見た?」
「だって、脱衣場だから」
「どう感じた?」
「大学生のお姉さんたちが多くて、きれいな丸いおっぱいしてる人がいて」
「うん」
「いいなあ。私にもそのうち欲しいな、と思っちゃった」
「やっぱり、ハル女の子になりたいんだね」
 
「なれると思ってなかったから、あまり気にしないようにしてたんだけど、こないだカオリから性転換手術って話を聞いて。。。。自分でも受けたいななんて思っちゃった」
「いいんじゃない?性転換手術しちゃいなよ。確か18歳くらいになったら、受けられるはずだよ」
「へー。じゃ、高校卒業してからか・・・・・それまでは仕方ないから男の子してるかなあ」
 
「今のハルなら、女子トイレとか女湯の脱衣場とかにいても、誰も変に思わないけど、中学や高校で男子制服着てたら、それできないね」
「そんなこと言われると、何か切ない気分になっちゃう」
「でもまあ、外見が男の子でも、心が女の子であれば、あまり問題ないかもね」
「心か・・・・」
 
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「ここ1年くらい、私とハルって少し話しづらい感じになってたけどさ、私、ハルのことは、やっぱりふつうの女の子の友だちだと思うことにする」
「うん」
「だから、前みたいにふつうに遊ぼうよ」
「そうだね」
「うちに来たら、いつでもスカート穿かせてあげるよ」
「私、けっこうスカート好きかも。でも最近、女の子たちあまりスカートを穿かないよね」
「うん、少ないよね。スカートが好きなのは、みーちゃん(平野さん)とか、マリアンとかくらい。カオリなんかもスカート穿いてる所、ほとんど見たことないもん。私も今日はハルに合わせてスカート穿いてきたけど、学校にはズボンで出て行ったしな」
「そのうちスカート穿くのは、私みたいな子だけになっちゃったりして」
「ありそう!」
 
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カオリの家に着くと、既にクラスメイトの女子が3人来ていた。私と令子が入って行くと、最初カオリとみちる以外の2人は私のことが誰か分からない感じであった
「えー!?吉岡さん?可愛い!」という。
 
「悔しいけど、私より可愛いよね」とカオリが笑って言う。
「今日は女の子だけのクリスマス会なんだけど、ハルは女の子と同じだから、ここにいてもいいでしょ?」
「うんうん。元々女の子っぽいと思ってたけど、白雪姫で、本人も女の子として目覚めた感じだよね」とみちるは言い、
「カオリも令子も『ハル』って呼んでるんだね。私もそれでいい?」
と付け加える。
 
「うん。お互い呼び捨てってことで」と私は笑って言う。
結局この場にいた全員と私は名前の呼び捨てで呼び合うことになった。ただし愛称が固定している、みちるのことは「みーちゃん」、朱絵のことは「あっちゃん」
である。
 
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カオリのお母さんがフライドチキンとサラダ巻き・ローストビーフを作ってくれていた。また、プティケーキがたくさん買ってあって、好きなだけ食べてね、ということであった。飲み物はファンタ、コーラ、クー、ウーロン茶が並んでいて、それも好きなのを好きなだけどうぞということだった。私はプティケーキを2個(イチゴとモンブラン)をもらい、サラダ巻き・ローストビーフ少々、フライドチキン2本を食べて、ウーロン茶を飲んでいた。
 
「そういえば7月にカオリのお誕生会で集まった時に、クラスの男子に女装させたら、どうなるかって話をしてたんだよね」と璃梨香。
「へー」
「いちばん可愛くなりそうというのは木村君、その次あたりが藤原君とか丸山君かなという話をしていたんだけど、かなりその件で話したあとで、ふと誰かが『忘れてたけど吉岡君は?』と言い出したのよね」
「みんな、ハルを男の子として分類してなかったから、女装させるという発想ができなかったのよ」
「うんうん。だって今更女装させなくたって、充分女の子で通りそうな気がするし」
「でもこうやって、女の子の服を着ると、凄い美人になっちゃうのね。不思議」
「女装美人だって、令子に言われた」と私。
 
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「白雪姫の衣装を着て出て来た時、みんな絶句してたもん」と令子。
「みんな黙ってるから、凄く変になってるのかな?って不安になったよ」と私。
「一応女の子の服は着こなせる自信あったけど、あんな可愛い服を着たのは初めてだったしね」
 
「ああ、やはり普段からふつうに女の子の服は着てるのね」と朱絵。
「いや、そういう訳じゃないんだけど」と私は頭を掻く。
「そのあたりは、その内じっくりと拷問して自白させようかと」と令子。
「拷問されちゃうの?」
「足の裏をくすぐったり、黒板でキーって音を立てたり」
「ああ、あのキーって音、私苦手」
 
「でもハルはやはり可愛い系の服が似合うみたいだからと思ってこれを着せて来たのよね、今日は。ハルにスカート穿かせたから、私もついでにスカート穿いて来たんだけど。本当は畳に上がるからスカートは本来避けるんだけどね」
 
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みちるが頷く、彼女もふだんスカートが多いのだが、今日はズボンで来ている。
 
「あ、ハル今女の子座りしてない?」とみちる。
「うん。最初、斜め座りしてたけど、背中がきついから、さっきこちらに変えた」
「男の子だと、女の子座り自体ができないみたいね」
「え?そうなの?」
「ハルは少なくとも1年生の頃から女の子座りしてたね」と令子。
「男の子は骨格が違うから女の子座りできないって聞いたよ」
「じゃ、ハルは女の子の骨格なんだ!」
「うーん。ふつうに小さい頃からこういう座り方してたけどね。女の子座りと言うんだというのは2年生の頃に令子から習ったんだけど」
 
「ハル、女の子の骨格なら、赤ちゃん産めるかもね」
「ハル、性格が優しいから、いいお母さんになりそう」
「そ、そう?」
 
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「ハル、赤ちゃん産めるなら、そのうち生理来るね」
「え〜!?」
「生理来ちゃったらどこから出てくるんだろう?」
「きっと、その時はおちんちんが自然に取れちゃって、生理が出てくる穴ができるんだよ」
「あはは」
 

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そんなこと言ったりしたので、その晩は夢の中で、お風呂に入っている時にお股の付近を洗っていたら、ツルリとおちんちんが身体から取れちゃって、割れ目ちゃんが出来てしまう夢を見た。取れてしまったおちんちんを手に取りこれどうしよう?なんて夢の中で私は思っていた。
 
この時期、彼女たちとは何となくふつうに生理の話や男の子との恋愛や性の話とかもしていた。そんな話の中で、女の子の割れ目ちゃんの中には、女の子のおちんちん、おしっこが出てくる穴のほかに、生理が出てくる穴があることも知るようになった。そしてその生理の出てくる穴から、赤ちゃんも出てくること、男の子とのセックスというのは、そこに男の子のおちんちんを入れて、それで赤ちゃんができるんだということも、学校で習うより前に彼女たちとの会話で知ることになる。(そもそも性交の実際の仕方なんて学校では教えてもらえなかった)。彼女たちとはオナニーの話まで平気でしていたので、私は男の子のオナニーの仕方より早く女の子のオナニーの仕方を知ってしまった。
 
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「ハルはどのくらいオナニーするの?」などと女の子数人で集まっている時にカオリから訊かれたこともある。
「うーん。。。。週に1〜2回かなあ。。。寝る前とかに好きな子とキスしたり、抱き合ったりしてる所とかを想像してたら、なんか頭の中が凄く気持ちよくなって、心臓がドキドキして・・・・」
「それで、アレをいじるの?」
「え?いじらないよ。ずっと気持ちいい状態が続いていって、眠れなくなっちゃうのよね」
「でも大きくなるでしょ?気持ち良くなったら」とみちる。
「ううん。むしろそういう時はアレが無くなっていて男の子を受け入れられるような気がしちゃう。本当に無くなってないかなと思って触ってみることあるけど、普通に付いてる。でも大きくはなってないよ」
 
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「それ、絶対オナニーじゃないと思う」と令子。
「そうかな?」
「いや、オナニーだと思う。私もそんな感じだもん」と璃梨香などが言う。私たちは、あの付近に触らずに気持ち良くなるだけ、というのがオナニーに入るか入らないか、けっこう真面目に議論した。
 
そういうのを『ドライ』というのだということを知ったのは、ずっとずっと先、私がもう性転換した後であった。
 
「ちなみに訊くけど、その好きな子って、女の子?男の子?」
「え?男の子だけど?」
「愚問だったね」とみちる。
 

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恋のキューピッド役をしたこともあった。朱絵が好きな男の子のこと考えると眠れなくて、などと言っていたので、私やカオリなどで「告白しちゃえ、告白しちゃえ」と煽った。するとお手紙書いてみようかななどと言って、書いたものの、渡す勇気が無いと言い出す。それで私が代理で渡すことにした。
 
放課後、その男の子に私が声を掛けて、手紙を渡した。朱絵は今にも逃げだしたい雰囲気なのを、カオリとみちるで押さえていた。
 
私が彼に可愛いマイメロの封筒に入った手紙を差し出すと、彼が一瞬照れるような表情を見せた。あ、ちょっと誤解されたかな?という気もしたが、よけいなことは言わずに彼が手紙を開くのを待つ。
 
「あ、西村さんなんだ!」と彼は驚いたような声を上げた。
「うん。もし良かったら少し話してあげて」
と言ってカオリたちの方に手招きをする。カオリに背中を押されて、恥ずかしそうな顔をして、朱絵がやってきたので、後は任せて、私たちは退散した。
 
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結局このふたりはそのあと1年くらい交際したようであった。
 

この頃、仲良くしていた女の子たちはみんな6年生頃までにみんな生理が来るようになっていき、私はちょっと取り残されていくような気分だった。みんなたいていナプキンはお母さんが買ってくれていたが、みちるなどは自分で買いなさいと言われているとかで、私は令子と一緒に何度か彼女のナプキン買いに付き合った。3人で選んでいたら、メーカーのお姉さんからサンプルをもらってしまったこともある。私が持ってても仕方ないからと令子に渡そうとしたら、
「ハル、ひょっとして生理来ることあるかも知れないし、念のため持っておきなよ」などと言われて、そのまま持っていた。
 
メーカーの人が学校に来たこともあった。生理の話は男の子も知っていたほうがいいということで、全員で生理周期の話などを聞いていたのだが(実際には半分も理解していなかったと思うが)、話が終わった後で女の子にパンフレットを配りますねといって「月経の話」というパンフレットが配られたのだが、私の机にも配られてしまった。受け取ってから、へーと思って中を読んでいたら、隣の席の森田君が「あれ?なんで吉岡も持ってるの?」と訊いたので、本来女の子だけに配られるものであったことに気付いた。
 
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斜め後ろの席のカオリが「ハルには必要になるものなんだよ」と笑って言っていた。
 
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