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■桜色の日々・小4編(2)

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そうして本番は始まった。
 
「鏡よ鏡、この国で一番美しいのは誰?」とお后役のみちる。
「はい、それはお后様です」と鏡役の伊藤君。
しかし白雪姫が10歳になった時、鏡の答えが変わる。
「お后様は美しい。しかし白雪姫はその千倍も美しい」
 
お后様の命令で狩人が白雪姫(私)を連れて森へ。そして射殺しようとするものの撃てずに逃がしてくれる。森を迷いながら歩く私は小人の家に辿り着き保護される。
 
しかし鏡の言葉からお后様は白雪姫が生きていることを知る。そしてりんご売りのおばあさんに化けて毒リンゴを食べさせようと森の小人の家までやってくる。 
下心満載のおばあさんを木村君がうまく演じてくれて、あどけない言葉を返す私とのやりとりが好対照で続いていく。そしてやがておばあさんがくれたリンゴを一口食べた私はそのまま崩れるように倒れる。
 
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お城に帰ったお后(ここはみちる)が鏡に向かって問う。お后様がいちばん美しいという鏡の言葉に満足するお后様。
 
仕事から帰ってきた小人たちが白雪姫の死体を見つけ悲しみ、お葬式を始める。そこに通りかかった王子様(令子)。
 
「なんと美しい姫だ。どうか私にキスをすることを許してください」と小人たちに頼み込み、棺の中の私にキス(する真似)。するとパッチリ眼を覚まし、起きあがる私。ここで練習の時はそんなことしなかったのだが、令子は私を抱きしめた。さすがにこちらも驚いたが、予定通りであるかのように演技を続ける。 
「白雪姫、どうか私の妻になってください」
「はい」
と答え、ふたりが手を取り合って、ステージ前面に出て来る。そこに小人たちが祝福の花束を渡す。これで大団円である。
 
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「抱きしめられた時、びっくりしたー」と私。
「キスもしちゃおうかと思ったんだけどね」と令子。
「えー!?」
「幼稚園の頃はキスしたことあったじゃん」
「うん。あの頃は無邪気だったしね」
「まあその後はキスしてないけど、ハルと私って仲良しだから、いいかなと思った」
「うん。令子だから焦らずに演技を続けられた」と私も笑って答えた。 
「でも我妻さんが王子で、吉岡さんが姫って、性別逆転カップルだね」
「私たち、小1の頃にそれ随分言われたよね」と令子は笑って答えた。
 

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うちの母はお后役で私が出ると聞いていたので、男の子がそんな役をしてうまくできるのかしらと思いながら見に来たものの、実際見てたら、私が白雪姫役で出て来たので、ぶっ飛んだらしい。
 
「あら?白雪姫役ってカオリちゃんって聞いていたのに」
「急病で他の子が代役することになったんですって」
「へー。でもあの子も凄く可愛いわね」
「誰だったかしら、あの子?あんな可愛い女の子がうちのクラスにいたっけ?」
 
などといったお母さんたちの会話を聞いて、母は穴があったら入りたい気分だったと言っていた。
「でも、あんたホントに可愛かったよ」と笑顔で付け加えてくれた。
 

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カオリは翌週風邪が治って出て来たが「みなさんご迷惑お掛けして御免なさい」と謝っていた。特に私には
「白雪姫役とかやらせちゃって、ごめんねー」と特に謝っていた。
「恥ずかしくなかった?」
「いや。緊急事態だし、そんなこと考える余裕無かった。セリフ間違えないようにするので必死だったもん」「でも、みんな吉岡さんの白雪姫も可愛かったって言ってた。私見たかったなあ」
 
せっかく練習したカオリの白雪姫も見たいという要望が出たため、学級会の時間に、カオリ版・白雪姫をクラスのみんなの前で上演した。お后様を私が演じる本来のバージョンである。おお、さすが可愛い!と大好評であったが、一部の生徒から吉岡版・白雪姫の方も、もう1度見たいなどという要望が出て来たので、次の学級会の時間に、私の白雪姫、平野・木村ダブルキャストのお后様でまた上演した。こちらも可愛い!と好評であった。王子役の令子はもう悪ノリして、カオリの白雪姫には本当にキスしたし、私の白雪姫は本番の時と同様にぎゅっと抱きしめて、場も盛り上がっていた。
 
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「カオリは割と早熟な方だから、お姉さんの白雪姫、吉岡さんは少女っぽくて妹の白雪姫って感じだよね」などと、みちるなどは言っていた。また、私の白雪姫を見たカオリも「可愛い!ねえ、私の妹になってよ」などと言って、私は彼女ともけっこうこの後仲良くなって行くのである。
 

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この年の体育の授業では2学期にけっこうフォークダンスをやった。私たちの世代では、あとで大学に入ってから聞いてみると、フォークダンスは無かったと言っている人も多く、やっていたという人たちも、マイムマイムとかジェンカといった、全員同じ踊りを踊るタイプをやっていた人が多かったようだが、うちの学校は最初にオクラホマミキサーを習い、そのあとコロブチカと、男女で踊り方の違うものをこの年はやっていた。
 
うちのクラスは男子17人・女子15人の32人クラスだったので、こういうダンスをすると、男子が2人余る。そこで名簿順にならんで男子で最後になる私が女子の方に並んで踊るのが、恒例となっていた。
 
「なんか吉岡さん、そのクルリと回る時の仕草が可愛い」
などと男子からも女子からも言われた。女子たちは私に何度も踊らせてその雰囲気をコピーしようとしていたくらいであった。
 
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オクラホマミキサーにしてもコロブチカにしても、1フレーズごとに男子が1人ずつ先に進んでいきパートナーがずれていく。それで次が私と組む所という所で終わってしまった男子から「あと1回で吉岡と組めたのに」などと言われることもあった。 
元々先生は、女子のパートを踊る男子は交代制にするつもりだったようだが、(他の男子が余るクラスではだいたいそういうことになっていたようである)
「吉岡さんで固定してください」という要望が男子からも女子からも出たので先生は私を個人的に呼び出して、そんな意見があるのだけど・・・と言った。私は笑って、女子のパートでいいですよと言ったので、うちのクラスではこれが固定制となった。
 
10月下旬にあった運動会を見に来たうちの母は、女子のパートを踊っている私を見た他の父兄が「あら、あのショートパンツで踊っている女の子踊り方が可愛いわね」「あ、学芸会で白雪姫した子よね」「女子もブルマじゃなくてショートパンツでも良かったのね」などと言っているのを聞いて、ずっと下を向いていたと言っていた。うちの学校では翌年から女子の体操服はハーフパンツになり、この年はブルマが使用された最後の年であった。
 
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やがて12月になりクリスマスの季節がやってきた。
 
うちのクラスでもクリスマス会をしようということになり、クリスマスイブが月曜日だったので、その日の学級会の時間に、お互いにプレゼントを持ち寄って交換をすることになる。ケーキとおやつ代で300円、プレゼントは200円以内という予算。そのプレゼント交換でプレゼントを配る役として、学芸会で王様・お后様・白雪姫・王子様役だった、高岡君・私・カオリ・令子の4人が指名された。学芸会の時の衣装を少しアレンジしてプレゼントの袋を持って出てきて、みんなにプレゼントを配る役である。
 
21日の金曜日お昼に職員室に4人が呼ばれてその打ち合わせをした。衣装の調整は、事前の照会で令子の大学生のお姉さんがしてくれることになっていた。学校での打ち合わせが終わった後、令子とカオリで衣装を持って行こうなど言っていたのだが「ハルもおいでよ」と令子から言われて、私も一緒に行くことにした。
 
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3人で4人分の衣装を持って行く。
「ハルがふつうの男の子なら4つとも持たせちゃうんだけど、ハル、腕力無いもんね」と令子。
「うん。ごめんねー」
結局私が2つと、カオリと令子が1つずつ持っているのである。
 
「へー。じゃ、ハルちゃん、小1の頃、女の子の服着てたんだ?」
とカオリ。
「そう。何か似合いそうな気がするから、着てごらんよ、とか言って着替人形にして遊んでたのよね」と令子。
「少し記憶が曖昧だけど、いっぱいスカート穿いてた記憶がある」と私。「一度確か一緒に遊園地にも行ったよ、その格好のままで」
「あの頃は、私も性別というもの自体、良く分かってなかったから」
と私は笑って答える。
「スカートを穿くのは女の子だけということも良く分かってなかったかも」
 
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「ね、そういう時、トイレはどうしてたの?」とカオリ。
「うーん。記憶無いんだよね」と私。
「たぶん、ふつうに女子トイレを使ったと思うよ」と令子。
「そりゃスカート穿いてて男子トイレには入れないよね」とカオリ。
「でもその後はスカート穿いてないの?」
 
「穿いてないよ」と私は笑って答える。
「うちのお母ちゃん、ハルのこと、女の子と思い込んでいたから私の着せ替え遊びも笑って見てたんだけど、2年生の時に男の子ってバレちゃったから、やめなさいって言われたのよね。だからうちではスカート穿いてないけど、他で穿いてたら私は分からないな」「他に穿くような所は無いよ。うち、男の兄弟ばかりだから女の子の服自体調達できないしね」 
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「でも白雪姫の衣装付けた時のハルを見て、私、絶対ハルは今でもふだんから女の子の服を着てると思ったけどな」と令子。
「着てない、着てない」
「だって、あんなに着こなすってあり得ないもん」
「ホントに可愛かったね。びっくりした」とカオリ。
 
「ハルって女装美人だよね」と令子。
「何それ?」と私。
「ハルは男の子としてそんなに美男子って感じでもないじゃん。美形な方だとは思うけど、木村君とか荻野君みたいに、女の子が憧れちゃうようなタイプの顔立ちじゃないもんね。男の子としての美形度はたぶん70点くらい。それなのに女の子の服を着ると、凄い美人になっちゃうんだもん」と令子。
「ああ、たしかに」とカオリ。
「ハルちゃんが女の子だったら、私けっこうライバル意識持ってたかも」
「まあ、私はお嫁さんには行けないから」と私は笑いながら言う。
 
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「ハルちゃん、性転換手術って知らない?それ受けて女の子になっちゃえば、お嫁さんにも行けるよ」とカオリ。
「え?そんなこともできるんだ?」と私は答える。
私が性転換手術という言葉を聞いたのはこの時が初めてであった。
 
「女の子になりたい?」と令子。
「えっと・・・・・」
「恥ずかしがらなくてもいいよ。ハルなら女の子になっちゃってもいいと思うなあ」「そうかな。。。でも性転回手術?って、どんな手術なんだろう・・・」
「性『転換』手術だよ。気分転換の転換。やっぱり男の子にあって女の子に無いものを取っちゃって、女の子にあって男の子にないものを付けちゃうんじゃないの?」「わあ・・・・・」
私は言葉の上で飲み込んでも具体的なことはゆっくり考えてみようと思った。 
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「でもハルちゃんは好きになるのはどっちなの?女の子?男の子?」
「うーん。。。。それどちらもあるんだよね。自分でもこういうの変かなって思ったりしてたけど」「ああ。それバイって言うらしいよ」
「バイ?」
「男の子だけど男の子が好きになるのがホモ、女の子だけど女の子が好きになるのがレズ、男の子でも女の子でも好きになるのがバイって言うんだって」と令子が言う。
「へー。じゃ、私みたいな人はわりといるのかなあ」
「男の子好きになったり女の子好きになったりする人もいるし、女の子になりたいと思ってる男の子もいるよ」「そうなのか・・・・」
 
「今ハルは荻野君が好きでしょ?」と令子。
私は真っ赤になってうつむいてしまった。
「わあ、図星」とカオリ。
「実は・・・お后様の役が決まらなかったでしょ。荻野君が困ってたから、助けてあげたいと思って、名乗り出たの」「やっぱり。なんかそんな気がしたよ、あの時」
「へー。でもその結果、白雪姫することになっちゃった訳か!」とカオリ。「あれはさすがに焦った」と私。
 
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「あ、私分かった!」とカオリ。
「何?」
「ふつうの男の子が男の子を好きになったらホモなんだけど、ハルちゃんの場合は、男の子を好きになってもホモじゃないね」「え?なんで?」と令子。
 
「ハルちゃん、実は女の子なんだよ。だから男の子を好きになる場合が普通で女の子を好きになっている時はレズなんだ」「あ、そうか。そう考えた方がすっきりするね」と令子。
「え?じゃ私は男の子を好きになるほうが普通なのかな」
「だと思うよ」
 
「ハルちゃん、おちんちん付いてるかも知れないけど、それきっと偽物だよ。たぶんハルちゃん、おちんちん付いてないのと同じ」私はドキッとした。ちょうど1年前に見た夢のことを思い出していた。
 
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「じゃ偽物おちんちん、偽物男の子、真女の子だね」と令子。
「そうそう」
「ハルが女の子であるなら、今日は久しぶりに女の子の服を着てもらおう」
「えー!?」
 

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