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■偽娘竹取物語(3)

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また3年前に戻る。
 
3番目の求婚者、右大臣・阿倍御主人(あべのみうし)には「唐土にある火鼠の皮衣」が所望された。
 
そこで右大臣は唐にいる知人の王慶という人に手紙を書き、配下の小野房守という人に託して唐土に行く船に乗せた。阿部右大臣からの手紙を受け取った王慶は、
「火鼠の皮衣などというものは唐の国にも無いと思う。しかしもしかしたら天竺あたりで入手したものが、長者の家などにあるかも知れないから探させよう」
 
それで王慶が探してくれた所、昔天竺から来た僧が持っていたというものが西の山寺にあるということが分かり交渉して買い取ることにした。しかし代金が阿部右大臣が持たせたものでは足りなかったので、王慶自身がお金を足してやっと買い取ることができた。
 
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やがて小野房守が帰国する。
 
「王慶殿に代金の不足分を建て替えてもらいましたので、使いの者にあと五十両渡して頂けますか?」
「もちろんだ」
と言って右大臣は五十両を渡し、西の方の王慶のいる方角に深々と伏し拝んだ。
 

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そして右大臣はこの火鼠の皮衣を持ってかぐや姫の所に行く。見るとそれはとても美しい毛皮であった。右大臣は歌も添えている。
 
《限りなき思ひに焼けぬ皮衣袂乾きて今日こそは着め》
 
しかしかぐや姫もここまでさんざん偽物に付き合わされていたので
 
「本物の火鼠の皮衣でしたら、火を点けても燃えないはずですよね。ちょっと火を点けてみてもいいですか?」
と尋ねさせる。
 
右大臣も同意し、皮衣に火をつけてみた。
 
するとその皮はめらめらと燃えてしまった。
 
「偽物であったか」
と右大臣もそれを見てがっかりして言う。
 
それでかぐや姫は
《名残りなく燃ゆと知りせば皮衣、思ひのほかに置きて見ましを》
 
と返歌し、右大臣はその歌を持って帰って行った。
 
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さてまた少し時を戻す。
 
4人目の求婚者、大納言・大伴御行(おおとものみゆき)に課されたものは「龍の首についた五色の珠」である。
 
大納言はかぐや姫の課題を聞いて帰宅すると、配下の者を一堂に集めて言った。
 
「龍の首についた五色の珠を取ってきた者には何でも願いの物をやるぞ」
 
しかし配下の者たちは困惑する。
 
「そんなものどうやって取って来いとおっしゃるのですか?」
 
大納言は言う。
 
「男が女になれ、女が男になれと言うのでもない。唐土や天竺まで行って来いというのでもない。龍はこの国にもいて、しばしば天に昇ったり降りてきたりしているはずだ。それを捕まえればよい。貴人の家来というものは、主人の命令があれば、命を捨ててでも従うべきものである」
 
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それで家来の中でも主だった人が言った。
 
「分かりました。困難な物でもご命令とあらば、探しに行って参ります」
 
それで大納言は出かける者たちに旅の衣服、食料品、旅費、など必要な物を何でも持たせて出発させた。そして自分は
 
「私は彼らが戻って来るまで精進潔斎していよう」
 
と言って、部屋の中に籠もっていた。
 

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家来たちが探索に出ている間に、大納言はかぐや姫のために豪華な建物を建て漆を塗り蒔絵で飾った壁を作る。綾織物に絵を描いたものを内装をしていく。またかぐや姫と結婚するのだからと言って、現在の奥さんを離縁してしまう。
 
そうして待っていたものの、年を越しても出かけて行った家来たちからは何も音沙汰が無い。とうとう大納言は自ら探索に出かけることにする。従者を2人だけ連れて難波の港に行き、私の強弓で龍など射(い)殺して珠を取って来よう、などと威勢のいいことをおっしゃって船を出す。そして、あちこちの海を航海してまわり、船はやがて九州の付近までやってきた。
 
にわかにあたり一面が暗くなり激しい風が吹く。船は木の葉のように舞って方角も分からなくなり、雷も激しく、もう船が沈むのではないかという感じである。大納言は船頭に
 
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「これはどうしたことか?」
と訊く。
 
「私も長年船に乗っておりますが、こんな物凄い嵐に遭ったのは初めてです。これはきっと龍の珠を取ってやるなどと言っていたので龍神様が怒っているのです。龍神様に謝ってください」
 
それで大納言は船の上では船頭の言うことを聞くものだとおっしゃって天に向かって祈る。
 
「私は未熟者で龍を殺してやるなどと思っておりましたが、それは間違いでした。今後は龍の毛1本でさえ動かそうとは思わないことにします」
 
大納言がそう誓約の言葉を言うと、ほどなく雷雨はやみ、やがて強い風が吹いてきて船はその風に押されてどんどん進んだ。わずか3日で播磨の明石の浜に漂着した。
 
大納言は激しい嵐のせいで、とても立ち上がれないほどの様子であった。播磨の国の国司が助けてくれて、輿に乗せて何とか都の大納言宅に連れ返した。
 
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まだ大納言が体力を回復できずに寝ているうちに、龍の珠を探しに派遣していた家来が1人戻って来た。
 
「私もさんざん探し回ったのですが、どうしても龍の珠は手に入りませんでした。しかし大納言様も手ぶらでご帰還なさったと聞き、お咎めは無いかも知れないと思い、帰参しました」
 
と言う。
 
「お前、よく龍を殺さなかった。龍は雷の仲間なのだ。万一龍を殺していたらたくさん雷が落ちて大勢の人が死んでいたろう。私に龍を殺させようとしたかぐや姫という奴は、きっと大盗人の極悪人に違いない。お前たちもあの屋敷には近寄るなよ」
 
と完全にかぐや姫のことは熱が冷めてしまったようである。
 
その様子を見て、龍の珠を探しに行っていた他の者たちも次々と帰還する。大納言はその者たちにみな褒美を取らせた。
 
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そして一部始終を聞いた、(離縁された)元の妻は腹の皮がよじれるほど大笑いしたということである。
 

また時を戻す。
 
5人目の求婚者、中納言石上麻呂に課されたものは「燕の子安貝」であった。
 
中納言は家に帰ると家来たちに
 
「燕が巣を作っていたら報せるように」
と言う。
 
「何をなさるのですか?」
と家来たちが訊く。
 
「燕の子安貝を取るのだ」
と中納言は言うが、家来たちは
 
「そのような物は見たことありません。燕を殺してみてもそんなものは出てきませんよ」
 
と言って、中納言の計画に否定的である。
 
しかしその内ひとりの者が言う。
 
「大炊寮の御飯を作っている所の屋根には穴ごとに多数の燕が巣を作ります。あそこに高い足場を組んで監視していたら、たくさんの燕が卵を産む所を見られるのではないでしょうか」
 
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そこで中納言は家来20人ほどを連れて大炊寮に行き、足場を組んで監視させた。
 

ところがそんな間近で見られていては燕たちは巣に近寄らない。どうしたものかと思っていた時、倉津麻呂という人が申し上げて言う。
 
「こんなに近くで見ていたら燕はとても近寄りません。足場は撤去して、紐をつけた大籠を用意し、その籠の中にひとりだけ入って、燕が卵を産もうとした瞬間に綱を引いて籠を引き上げ、さっと子安貝を取ればいいのです」
 
「しかし卵を産もうとするのはどうやったら分かるのだ?」
「燕は卵を産む前に、しっぽを揚げて7度回ってから産むと申します」
「よし、やってみよう」
 
それで中納言は足場を崩して片付けてしまい、綱をつけた籠を用意した。それで家来が入って、卵を産みそうな燕がいたら即引き上げて巣に手を突っ込むものの誰も子安貝を取ることができない。
 
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「お前らやり方が下手なのだ」
とおっしゃって、とうとう自らその籠に乗る。
 
そして卵を産みそうな動作をした燕が居たので大急ぎで引き上げる。中納言が巣に手を突っ込むと何か硬いものに触れた。
 
「やった。掴んだぞ」
とおっしゃるので綱を戻して籠を降ろそうとしたのだが、途中で綱が切れてしまい中納言はかなりの距離を落下し、更に鼎の上に落ちてしまう。
 
「中納言様!」
と家来たちが駆け寄る。
 
「痛たたたた。しかしわしは子安貝を取ったぞ。灯りを持て」
 
とおっしゃるので紙燭に火をつけてみると、中納言が握っていたのは燕の糞であった。
 

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中納言は今更ながら自分が随分子供じみた試みをしたものだと思い恥じらって、落ちた時に痛めた腰もかなり良くなかったことから、伏せってしまう。そして人が自分を笑うのではないかと思うと心労がかさむ。更に恥ずかしがって医者にも見せなかったため、容態はどんどん悪化していく。
 
中納言の容態がよくないようだと聞いたかぐや姫は、お見舞いの歌を届けた。
 
《年を経て浪立ち寄らぬ住之江の待つかい無しと聞くはまことか》
 
これに対して中納言は姫から文をもらったことを喜び、このような返歌を書いた。
 
《甲斐はかくありけるものをわび果てて死ぬる命をすくひやはせぬ》
 
そして歌を書いてすぐにそのまま亡くなってしまった。その話を聞いて、かぐや姫はさすがに気の毒なことをしたと思った。
 
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かぐや姫という娘が、誰にもなびかず、無理難題を言われて身を滅ぼしてしまった者も出ているという話を聞き、帝(天皇)が
 
「男たちがそれほどまでに夢中になる娘、どの程度の美貌なのか見て参れ」
と中臣房子という者に命じた。
 
それで房子はかぐや姫の屋敷まで行き、帝の命令でかぐや姫がどの程度の美人なのか見てくるように申しつかりましたので会わせて下さいという。
 
ところがかぐや姫は
「私は大した美人でもないので、とてもお目にかかれません」
と言う。
 
「そんなことを言ってはいけない。帝の使者をないがしろにはできないだろう?」
「帝など私のような者には恐れ多すぎて、とても顔など見せられません」
 
どうしてもかぐや姫が使者と会おうとしないので困った翁がそれを告げると
 
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「私は会ってくるよう帝から命じられてここに来ております。会わずに帰れば私が罰せられます。帝の命令をどうしてこの国に住む者が拒否できましょう?」
 
と使者は半ば呆れて言う。するとかぐや姫は
 
「帝の命令に反するということでしたら、どうぞ私を殺して下さい」
と返事をした。
 

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かなりのやりとりをしたものの、どうしてもかぐや姫が使者と会おうとしないので、根負けした房子はいったん宮中に戻ってそのことを帝に報告する。
 
「さすが魔性の女だな・・・・」
と帝も思い、忘れてしまおうと思ったものの、やはりどうにも気になる。そこで帝は翁を呼び出して言う。
 
「そちの娘のかぐや姫を参内させよ。朕が使者を遣わした(*8)のに会おうとしないとは何たる不届きな奴だ」
 
「あの娘は決して宮仕えなどしないと申しております。しかし陛下の仰せですので勅命をお伝え致します」
と翁は恐縮して言う。
 
「姫を朕にくれるなら、そなたに五位の位を授けるぞ」
「ありがたきお言葉です」
 
それで翁は自宅に戻るとかぐや姫を説得するのだが、姫としては自分が男と結婚できない身体なので、その命に従う訳にはいかない。
 
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「私はそのような宮仕えなどできません。どうしてもとおっしゃるのであれば父上が五位の位をもらえるように、いったん宮中に向った上で、すぐに自殺致します」
と姫は言う。
 
「死んではならない。我が子を失うくらいなら位階など要らない。なぜお前はそのように頑固なのだ」
 
「私が適当なことを言っていると思ったら宮仕えをさせてみてください。そして私が死なずにいるかどうか見ていて下さい。私のために真摯な愛を持って下さり命まで落とした殿方もおられます。それなのに帝になら簡単に従うようでしたら、私のために亡くなった人たちに申し訳ないです」
 
「私は何よりもお前の命が大事だ。仕方ない。どうしても参内できないと帝に申し上げよう」
 
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それで翁は宮中に行き、かぐや姫の気持ちを伝える。帝は参ったなと思ったものの、突然思いつく。
 
「そなたの家は山の麓にあったな。狩りに行ったついでということにして、そなたの家に入ってしまおうか」
 
「そうですね。あの子がぼんやりしている時に不意打ちをすればあるいは娘の姿を見ることができるかも知れません」
と翁も答える。
 

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それで帝は日を置いて狩りをすると言ってごく少数の供を連れてお出かけになり、唐突に翁の家に「邪魔するぞ」と言って入ってくる。そして姫付きの女房たちが止めるのも聞かずにずかずかと姫の部屋まで入って行ってしまう。
 
かぐや姫は突然の闖入者に驚いて帝を見た。帝は「なるほど、こんなに美しい姫だったのか」と感動した。帝は姫を見ていて何か懐かしいような思いが込み上げてきた。この娘、どこかで会ったか?
 
かぐや姫は無言で帝の姿を見ていたが、ふとあることを思い出した。
 
「陛下、もし違ったら申し訳ありません。もう12年ほど昔、月読神社の参道で崖から落ちそうになった娘を助けたりはしませんでしたか?」
 
「あ!お前はあの時の娘か!」
と帝はおっしゃった。
 
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かぐや姫が9歳の時に崖から落ちそうになったのを12-13歳くらいの少年が助けた。それが実はお忍びで月読神社に参拝しようとしていた東宮、今の帝だったのである。
 

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