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■夏の日の想い出・超多忙年の夏(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2011-09-08

 
※この物語は当初「夏の日の想い出」の最終回として2011年9月8日に書いたものですが、その後、あらためて続編を書いていく内にそこでの展開と矛盾するようになり、2012年11月11日に大改訂を行いました。しかしその後書いた話と更に合わなくなってしまったため、2017年12月26日に半ば書き直しになる大改訂を行いました。約200行の削除をして約400行の追加をしています。
 

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2018年、政子とふたりでボーカルユニット「ローズ+リリー」および作曲ペア「マリ&ケイ」として活躍中の私は春先から超多忙状態にあった。
 
私が以前所属していた「ローズクォーツ」は、その年春に全国20ヶ所のホールツアーを敢行していたが、私はそちらには基本的に関わっていない。私は未だにローズクォーツのメンバーということにはなっているものの、実際には2014年3月のアルバム『Rose Quarts Plays Sakura』を持って事実上卒業し、その後はローズ+リリーの方の専任になっている。
 
私はローズクォーツでは「名誉ボーカル」という扱いになり、実際のボーカルは1年単位で「代理ボーカル」を迎えていた。
 
2013.8(1日だけ) 鈴鹿美里 (Rose Quarts SM)
2013.8-2014.3 覆面の魔女(Sirena Sonica) (Rose Quarts FM)
2014.4-2015.3 Ozma Dream (Rose Quarts OM)
2015.4-2016.3 ミルクチョコレート (Rose Quarts CM)
2016.4-2017.3 アンミル (Rose Quarts AM)
2017.4-2018.3 メグとノン (Rose Quarts NM)
2018.3-2019.4 透明姉妹 (Rose Quarts TM)
 
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ローズ+リリーは結局、大学2年(2011年)の秋に出した2つのシングルを契機に活動再開し、2012年4月14日の沖縄シークレットライブでマリは 1218日ぶりにステージに帰って来た。2012年はごく少数のライブをしただけであったが、2013年には年6回(政子的数え方)のライブをし、この秋にとうとう政子の父が活動解禁を認めてくれたことから2014年以降はローズ+リリーが完全に復活した。
 
その他、私はこの頃、けっこうな数の歌手やバンドに曲を提供していた。一時期はかなり凄い数の歌手に楽曲提供をしていたものの、数人の友人の助言から、アーティストを絞らせてもらい、現在常時提供しているのは私のもうひとつのホームグラウンドであるKARIONのほか、貝瀬日南とアクアのみである。それでも私は単発で色々と頼まれて、年間合計80曲くらいの曲を書いていた。
 
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「お疲れ様、足揉んであげようか?」と政子に言われて私は「お願い」と頼んだ。政子はマッサージが巧かったが、ちょっと問題もあった。政子のマッサージはしばしば変な所まで指が行くことも多かったのである。
 
「そこは、いいって」
「遠慮しない。気持ち良くなるまで揉んであげるよ」
「もう・・・」
「冬も私のに触っていいよ」
「やめとく。よけい疲れそうだし。マーサ、結局亮平さんとはその後、どうなっている訳?」
「どうもなってないよ。言った通り去年の秋に別れたし」
「Nさんとその後は?」
「全く会ってない」
「ふーん」
 
どうも政子の恋愛模様もよく分からない所がある。実際問題として政子は亮平さんとは結構電話で話しているのである。
 
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さて、その春の私を超多忙状態にしてくれたのが上島先生のトラブルだった。上島先生が名義貸しをしていた土地取引が違法なものであったことが発覚し、上島先生は膨大な重加算税を税務当局から課されたのみならず、そのことが元で様々な契約を解除されたり、それに伴い、損害賠償訴訟でまた凄まじい額のお金を請求されることになった。そして不祥事の責任を取って上島先生は無期限の音楽活動の謹慎をすることになったのである。
 
「まあ、そういう訳で上島君は今事実上の破産状態なんだよ」
と、内密の話があるからといわれて横浜市郊外の料亭で★★レコードの町添専務と秘密の会談を持った私は冒頭言われた。
 
「私もお電話したのですが、心配掛けて済まないとばかりおっしゃってて」
「一応、表向きには無期限の謹慎ということにしているけど、1年後に謹慎を解除することで、うちの社長や、∞∞プロの鈴木さんやζζプロの兼岩さん、上島ファミリーの世話人格になっている◇◇テレビの響原取締役などとは意見が一致している。このことは君には必要があって話すんだけど、絶対口外しないで欲しい」
 
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「分かりました」
 
「それで実は上島ファミリーの歌手たちに提供する曲で困っているのだよ」
「ああ」
「上島君は、とんでもない多作だったからね。ホントにどうしようと思っている」
 
「話が見えてきました」
「うん。まあ、それで君にこういう話をしている訳で」
「私が、上島先生が1年後に復帰してくださるまで、上島ファミリーに楽曲を提供すればいいんですね」
 
「さすがに全部は無理だと思う。それで多数の作曲家さんに頼むつもりだけど、上島君と交流のあるクリエイターの中でいちばん多作なのが君たちだから、どうしても君たちに頼りたくなる」
「分かりました。先生には恩がありますし、できるだけやってみます。おそらく200曲くらいは頑張れると思います」
 
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「ほんとに?それは助かる。近い内に作曲さんたちを集めて会議を開くつもりだけど、他の人でどのくらい数字が集まるかは見えないんだよ」
と町添さんは厳しい顔で言った。
 

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実際の作曲者会議は、上島先生が多数のレコード会社にまたがる形で活動していたこともあり、◇◇テレビの響原部長が呼びかける形で開かれた。
 
そこには日本のポップス界を代表するような作曲家・シンガーソングライターが集まっていた。現在日本で一番稼いでいる作詞家といわれる月村山斗さん、多作ということでは上島先生の次に凄かった東郷誠一先生、ネットでは最も良質の作曲家と認定されている後藤正俊さん、同じくネット民の評価が高い田中晶星さん、雨宮グループの管理人・新島鈴世さん、妊娠休業中のはずのElise、こういう場に顔を出すのは珍しい夏風ロビン(桜島法子)や秋風メロディー(上野美由貴)、香住零子、それに松居夜詩子さん、山本大左先生、蔵田さん、などの中堅作家。
 
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そして千里も来ていて新島さんの隣に座っていたが、銀色の結婚指輪を左手薬指に付けていたので《川島さんと結婚した千里》だなと私は判断した。
 
会議の冒頭響原部長は昨年度1年間で上島先生が950曲も書いていたことを説明し、何とかここにいるメンバーでその代替をお願いできないかと言っていた。ただこの機会に引退させる歌手があるのでどうしても必要な曲は700曲。ただしその内の200曲は代替の目処が付いていると言っていた。
 
その200曲って、きっと私が先日町添さんに言った曲数だ!
 

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上島先生の代わりに曲を書き始めて、私は多い日は1日3〜4曲、平均しても週に8曲以上のペースで、ひたすら曲を書いた。
 
私が凄いペースが曲を書き始めて少しして、須藤さんがマキと一緒にマンションを訪問した。
 
「冬、大量に曲を書いているんだって?」
「ええ。上島先生の代理なんですよ」
と私が言うと
 
「上島さんに何かあったんだっけ?」
などと須藤さんは言っている。
 
「へ?」
 
どうも須藤さんもマキさんも上島先生のトラブルを知らないようである!
 
「でも★★レコードの社長からその話を聞いてさ、それで社長は心配していたのよ」
「はい?」
「そんなハイペースで曲を書いていたら、うっかり過去に発表した曲とか、誰か他の作曲者が書いたのと似た曲ができたりしないかって」
 
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「はあ」
「だから、私とマキでチェックしてあげるよ」
 
それ、迷惑なんですけど〜!?
 
須藤さんは、他のローズクォーツのメンバーにも呼びかけ、更にFM局の元DJ島原コズエさんまで雇って、このチェック作業を始めてしまった。
 
「これ、先月書いた『※※※』とモチーフが似てる」
「それ、どんなんだっけ?」
というと須藤さんは私の作品集のファイルをパソコンで開き譜面を見せてくれる。
「あちゃあ、この曲はきれいに忘れてた」
「まあ、このペースで書いてたら、書いたらすぐ忘れちゃうこともあるだろうけど、気をつけようね」
「うん」
 
「上島先生はそのあたり、どうしてチェックしてたんだろう」
「ノーチェックだったと思う。メジャーな曲ではさすがにそういうの無いけどアルバム収録曲の中には、これ他の歌手のアルバムにあった曲と似てるぞ、と思うもの時々あったもん」
「そっか。。。。やはり大量に書いてたらそういうの出てくるか」
「まあ、自分が書いた曲と似てるのは誰も文句言わないんだけどね。怖いのは他人の作品との類似だよ。冬は今までそういうの1度も無かったけど、何か秘訣があるの?」
「うーんとね。他の人の作品をうっかり真似してしまったような場合は、違和感がある。自分の『波長』じゃないと思うの」
「なるほどね」
 
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しかし彼女たちが「類似チェック」を始めてしまってから、私が書いた作品のほとんどが彼女たちによって「アウト」にされてしまうようになった!そんな過去の作品と似てない作品なんて、作るの物理的に不可能だよぉ、だって音ってドレミファソラシの7つしか無いんだから・・・
 
と思っていたら半月もした頃から、彼女たちのチェックに引っかかる作品が激減した。
 
チェックされて「アウト」にされた作品を見ると、過去の有名なヒット曲にフレーズが似ているようなものばかりで、自分でも「ああ、これはマズった」と思うようなものばかりになる。
 
何があったか知らないけど、助かったぁ!と思って私は作品を書き続けた。須藤さんは
 
「最近はちゃんと自己チェックできているみたいね。過去の作品と似たものは全然発生してないよ」
 
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と言っていたが、おそらく須藤さんが使っているプログラムのバグか、データベースが壊れたかじゃないかという気がした。試しに過去にパラゴンズに提供して全然ヒットしなかった曲を少し手直しして新たなタイトルで出してみたら、全くひっかからなかった!
 
しかしお陰で私はすいすい書けるようになったし、過去に自分が書いた曲であまり売れなかった曲は歌詞ごと、どんどん再利用してタイトルだけ新しいのに変えて提供した。その中にはヒットしてしまったものもあり、私は驚いた!
 

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私がこの時期大量の曲を書き続けることができた背景には作詞担当である政子がまた大量の詩を書いてくれたこともあった。政子は1回美味しい御飯を食べる度に詩が書けるなんて言っていた。そんなことしてたら政子の体重がちょっと心配だが?
 

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この年、私は正望が7年前に買ってくれていたエンゲージリングをついに受け取った。7年前の指輪はサイズを修正することなく、私の左手薬指にきれいに納まった。
「これでフィアンセになるけど、結婚自体はもう少し先にしてもらっていい?」
と私が言うと正望も
「うん。今年は特に忙しいもんね。こちらもとても今は結婚とか考えられない」
と言った。この年、正望の方も大きな訴訟の弁護団に参加して、凄まじく忙しかったのである。そのため私たちは婚約はしたものの、実際にはほとんど会っていない。
 
「えー?あんたたちすぐ結婚する訳じゃないの?」
と正望のお母さんからも、自分の母からも言われた。
「婚約するというから、式場の予約しなきゃと思ったのに」
 
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「だって忙しいんだもん。とても結婚して甘い生活とかできない」
と私。
「ごめーん。たぶん結婚するのは数年後」
と正望。
「あんたたちには呆れるよ。まあ私の目が黒い内に結婚してよね」
 
「だけど今回の訴訟に勝てたら、フーコから貸してもらったお金、一気に返せるかも」
などと正望はふたりだけの時に言っていた。
 
「そんなの気にしないで。私たちの間で水くさいよ。それより無理しないでね」
と私は言う。
 

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