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■夏の日の想い出・受験生の夏(5)

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ちょうどそこに政子の母が紅茶を入れて持ってきてくれた。
「あら、冬ちゃん?そうしてると、普通に女子高校生ね」
「政子さんの借りました」
「いつもは性別曖昧な服装してるみたいだけど、冬ちゃんは女の子の服着た方が落ち着く感じね。政子とふたりで女子高生デュオで歌っていた所、ちょっと生で見たかった感じ」
などとお母さんは言う。
 
「何なら、1度歌おうか?」
「そうだねぇ」
 
9月からの高校の授業は受験科目の英数国社理にほぼ絞られており、私立文系のみを受験する生徒は数学や理科の授業、また社会で自分が受験科目にしてるもの以外は授業を受けずにその時間図書館などにいてもいいことにされた。ただ必須科目の未履修だけは発生しないように各自気をつけろと言われた。昔はこのあたりが適当だったのが数年前に全国的にその問題が発生し注意が来ていた。うちの学校の場合も芸術や体育などの科目を1〜2年の内に余分に履修させて調整している。
 
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ボクは結局日本史と世界史で迷ったあげく日本史で受けることにしたので世界史や地理の時間は図書館で他の科目の勉強をしていた。政子も日本史を選択したので図書館ではよく一緒に勉強していた。なお、数学や理科の授業は受けなくても良かったのだが、先生から気が変わった時のために国立受験にも備えておいたほうがいいと言われたことと気分転換もしたかったので、数学と化学の授業には出ていた。
 
図書館では、あまりおしゃべりはできないが、ボクたちは各々自分の問題集をやりながら小型のホワイトボードで筆談する形で
「三方ヶ原の戦い」「1573年」とか
「acquaintance」「知識・知人」とか
などといったやりとりをしていた。しかし時々?そういうのに混じって
 
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「○駅前・三萩屋の三色団子マジ美味」とか
「今週の○○の表紙の子、もしかして男の娘?」とか
かなりの雑談も交わしていた。
 
しかしボクと政子の場合お互いの存在をほとんど意識しないまま意志の疎通は効く感じなので、お互い邪魔にもならず余計な気も使わずに勉強に集中して、必要な所は助け合える感じなのが良かった。
 
「私今、週3回塾に行ってるけど辞めようかなあ。ね、代わりにお互いの家で一緒に勉強しない?1日交替で私の家と冬の家で」
「いいよ」
 

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ボクは政子の家に良く行っていたが、政子がボクの家に来たのはそれまで何度かしかなかった。母も姉も政子を歓迎した。学校から直行しての勉強会なのでボクは学生服のまま政子の家に行って、政子のお母さんから「男装してる女の子にしか見えない」なんて言われていたが、自分の家に政子が来る時はボクは学生服から普段着に着替えていた。
 
「ふーん。家の中でもその程度の服装なんだ」
「うん。性別曖昧な服装ってやつ。今日は一応スカートではあるけど、そんなに女の子・女の子はしてないでしょ」
「うん。中性的な感じ。服装はね。中身はやはり女の子にしか見えないけど」
「ははは」
 
母がコーヒーを持ってきてくれた時に政子に言った。
「冬がいつもそちらの家にお世話になってるみたいでありがとうございます」
「いえ。冬さんとは高校に入った頃から結構話が合うなと思っていたんですが当時は男女だったからいろいろ遠慮もあったんですよね。でも冬さんがこんな感じになっちゃったので、女同士の感覚になって、凄く仲良くなれたんです」
 
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「もうねえ、私もこの子のことどう考えればいいのか悩んだ時期もあったし、そのことを話題にするのをむしろ避けてた面もあったけど、こないだからむしろ良く話すようになってね」
「はい」
 
「この子が女の子の服を着ているのは結構前から見てはいたものの、私の心の中では、やはり息子であって欲しいみたいな気持ちもあったんだけどねえ。やはり、この子にはこういう生き方が合ってるのかも知れないな。この子は自分の娘なのかも知れないって思うようになってきたの」
 
「立派な娘さんですよ、冬さんは」
「そうよねぇ。この子のこと知らない人がパッと見たら、ふつうの女の子としか思わないだろうしね」
「ええ。冬さんは男の子の服を着ていても女の子にしか見えません。持っている雰囲気が女の子だから」
「そういえば、この子、小さい頃から女の子とばかり遊んでたし。男の友達を家に連れてきたことなんて1度も無いし」
 
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「小さい頃、友達からおちんちん取っちゃってスカート穿かない?とか言われてたね」
「なるほど、それでおちんちん取ってスカート穿くようになったのね」
「いや、まだ取ってないけど」
 
「でもおちんちん取っちゃうんでしょ?」と母。
「たぶん、その内」
「まあ、仕方ないかねぇ」
 
そんな会話をしたが、この時点ではまだボクもいつ頃「取っちゃう」かは、はっきり考えていなかった。25歳頃までには、とは思っていたが。
 

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9月下旬にまた模試を受けて、その結果が10月6日に出た。ボクはまた成績を上げて、しかもほとんど勉強していない数学や化学の点数も高かったことから進路指導の先生からあらためて国立の上位も受けないかと言われたが、笑って誤魔化しておいた。
 
政子も確実に成績を上げて英国社の3教科の偏差値で充分△△△大学文学部の安全圏に入っていた。仁恵は目標にしている大学の合格ラインを初めて越えた。礼美にも電話して聞いたら前回より更に上げて、△△△の合格可能性30%と言われたと言っていた(8月の模試では10%と言われていた)。
 
10月8日の誕生日。ボクは学校がひけると一度家に戻り普段着に着替えてから自動車学校に行って仮免試験を受けた。一発で合格することができた。これでやっと路上に出ることができる!政子と礼美にメールしたら速攻でおめでとうメールが帰ってきた。
 
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家に戻ると誕生日のケーキが用意してあって誕生日おめでとう、そして仮免合格おめでとうと言われた。ケーキの文字には Happy Birthday Fuyu と書かれていた。去年までは Fuyuhiko と書かれていたのだが。ちょっと嬉しかった。姉が「誕生日プレゼントにこれあげる」と言って、エスティ・ローダーの口紅をくれた。「たぶん、この色、冬に合うと思う」「ありがとう」
 
ボクはお化粧とかプライベートではほとんどしたことが無かったのだが、口紅もらっちゃうと、付けてみようかなという気になった。実はお化粧の仕方がよく分かっていなかったのだが、口紅だけはローズ+リリーをしていた時に塗り方を覚えていた。
 

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このあと10月は毎日学校から帰ると私服に着替えて自動車学校に行っていたので政子との合同勉強会ができなかった。政子は仕方ないのでひとりで勉強していたようだが、9月にボクと一緒に勉強していたのが基礎固めになったようで「前よりすいすいと問題集が解ける」などと言っていた。ボクは自動車学校から戻ってくる21時頃から、夜中の3時頃まで勉強していたが、その間、政子としばしば短いメールのやりとりで「問題集のどこまでやった」とか「ここの正答がこれになってるのは変だと思う」「あ、ほんとだね。これたぶん正答の間違いだよ」などといった会話をしていた。
 
10月22日木曜日、ボクは自動車学校の卒業試験に合格した。修了証をもらって翌金曜日、学校を午前中休んで免許センターに試験を受けに行く。学科試験に合格して、無事ボクは運転免許証を手にした。
 
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「ちゃんとお化粧した状態で免許証の写真に写りたいの」
と言ったら、姉が朝からボクにフルメイクをしてくれたので、その顔を免許証に収めることができた。フルメイクしたボクの顔を見た父はぎょっとした表情をしただけで何も言わなかったが、母は「おお、美人、美人」と笑顔で言ってくれた。
 

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翌土曜日、政子の家に4人(仁恵・琴絵・礼美・奈緒)集まっての勉強会、ボクが運転免許証を見せると
 
「おめでとう! あれ?お化粧して写ってる」などと言われる。
「へへ。姉ちゃんにやってもらった」
「この顔のまま学校に来れば良かったのに。実物見たかったな」
「それはさすがに叱られるよ。でも実は昨日は免許試験場にはスカート穿いてった。スカートでの外出って久しぶり」
「わあ、それも見たかった」
 
「これだけお化粧するとズボン穿いてく気分じゃなかったから。お母ちゃんに言ったら、じゃ今日は特別ねと言ってもらったから」
「へー。お母さんにけっこう理解してもらってるみたいね」
「うん」
 
「2012年11月8日まで有効か・・・・これ更新する時にはボク、もう女名前に変わってるかなあ」
「変わってるだろうね。改名すると免許証は新しいの発行してもらえるの?」
「ううん。たぶん裏書き」
「わあ、それもちょっと恥ずかしい」
「紛失した場合に再発行してもらうと、新しい名前で発行してもらえる」
「あ、それなら紛失すればいいんだ」
「まあね。あるいは別の免許、例えば自動二輪とか取る手もある」
 
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「でもよく受験勉強しながら運転免許取りに行けたね」
「絶対成績を下げないのが条件、成績下がったら即退校って母と約束したことでよけい受験勉強に熱が入った。でも誕生日が12月とかだったら厳しかったね」
「12月はもうラストスパートの時期だもんね」
「12月でなくても来週くらいからもう最後の仕上げだよね」
「うん。明日の模試も頑張らなきゃ」
 

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この後もボクたちは毎週政子のところで勉強会をしたし、平日もボクと政子は特にどちらかに用事がない限り、1日交替で各々の自宅で一緒に勉強をしていた。ボクたちの成績は順調に上がり、ボクと政子は無事△△△大学の文学部に合格した。
 
礼美はかなり頑張ったのだが、結局△△△大学の文学部には落ちてしまった。「手応えあったんだけどなあ」と悔しがっていたのでホントにあとちょっとの線だったんだろうなとボクらは思った。それで併願していたM大学に行くつもりでいたら4月になってから、補欠合格の連絡があり、M大学の入学金も既に払っていたのだが、親に泣きついてそちらは辞退し、△△△に入学した。おかげで私達は一緒に勉強することができるようになった。
 
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仁恵と琴絵は無事目標にしていた国立大学の文学部に合格した。少し遠くになってしまうが電車ですぐに行ける距離なので、また定期的に会おうと約束した。
 

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ボクたちは3月中に1度会いたかったのだが、ボクも実家から独立してアパート暮らしを始めたし、仁恵たちは千葉市内のアパートに引っ越したし、礼美は親から入学金の二重払いでお金が無くなったので授業料は自分で稼げと言われて春からバイトに精を出していたし、ということで、なかなか会えなかった。
 
結局会えたのは4月のゴールデンウィーク前の日曜日だった。
「わあ、冬はすっかり女らしくなったね」と仁恵が言う。
「うん。最近こういうフェミニンな格好が好きなんだ」
 
ボクは・・・・というか私は高校を卒業してから一人称を「私」に変えていた。私はその日は白地に淡い花柄のブラウスにプリーツスカートを穿き、足もヒールのあるパンプスを履いていた。きちんとお化粧もしている。これは政子にかなり教えてもらったものである。
 
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「冬はとうとう男の子廃業したしね」
「ちょっとマーサ!」
「え?性転換しちゃったの?」
「まだ手術はしてないよお。ただ女性ホルモン飲み始めただけ」
 
「ああ、それでもう男性機能は無くなっちゃったのね」
「たぶん。私あれ自分でいじったりしないから分からないけど」
「へー、いじらないんだ?」
「ローズ+リリーやってた頃から全然いじってない」
 
「でも確かに冬がおちんちんいじってる所とか想像できないな」と仁恵。「私はそもそも冬におちんちんがあることを想像できない」と礼美。
「私、冬のおちんちん見たし何度か触った」と政子。
「きゃー」
 
「もう、マーサったら・・・・」
「でも最近はずっとタックしてるもんね。冬。だから裸にしても触れない」
「タック?」
「究極のおちんちん隠し技。パンツ脱いでも付いてるようには見えない」
「うん。体内に押し込んで接着剤で留めてるから水に濡れても大丈夫」
 
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「ああ、プールに行った時、それしてたのね」
「まあね」
「高三の春頃からずっとタックしてたよね」
「うん。6月だったかな。タックしてるとそもそも大きくなったりしないんだよね」
 
「でも冬が完全な女の子になっちゃうのも時間の問題みたいな気がするね」
「たぶん1年以内と私は予想してる」と政子。
「あはは」私はただ笑っていた。
 
「でもおふたりさん、歌手への復帰の予定は?」
「そう遠くないうちにCDは作るよ。でもステージ復帰は100年後かなあ」
「ちょっと、それはいくら何でもファンを待たせすぎ」
「冬は?」
「ボクはすぐ復帰するつもりだよ。夏頃にはステージにも復帰したいな」
 
「かなり温度差あるな」と仁恵。
「じゃ、冬のソロで復帰するの?」と礼美。
「いや、ボクはソロはやらない。歌手として歌うなら政子とのデュオ」
「でも政子は100年後だと」
「ふふふ。まあ、なるようになると思うよ」
 
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私達はまたいろいろなおしゃべりを楽しんでいた。
 
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