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■夏の日の想い出・夏のセイテン(6)

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7月から8月に掛けての時期はKARIONのミニアルバムの制作を進めた。これは元々フルアルバムの形で9月に発売する予定であったものである。
 
アルバムのタイトルは『動物の舞踏会』である。
 
実質的なタイトル曲は泉月(森之和泉+水沢歌月)の『ZOOっと愛して』というコミカルな曲。動物の鳴き声を多数フィーチャーしたもので、実際の動物の声を関東のいくつかの動物園をシーズンオフの6月に回って収録し使用している。この作業をしてくれたのは、★★レコード技術部の弓川さんという若い技師である。鳴いてくれるまでひたすら待つというのが多く大変だったようだ。ほんとにお疲れ様である。
 
マリ&ケイから提供したのは『首を長く伸ばして待っているわ』という曲で、キリンを意識した歌詞になっている。PVでは弓川さんが撮ってきてくれた実際のキリンの映像を混ぜている。
 
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広花(広田純子作詞・花畑恵三作曲)には『踏まれても壊れない愛』という曲を書いてもらった。これは象を意識したものである。象に筆箱を踏ませてみようかというアイデアがあったものの、加藤さんの「やめときましょうよ」という判断で見送りになった。一応当該文具メーカーには口頭で了承はもらった。
 
櫛信(櫛紀香&黒木信司)から頂いたのは『ネズミたちの天国』という問題作と言われた曲である。現在、福島県田村市で農地の復興に向けて、今年いっぱい土地の整備に取り組んでいる櫛紀香さんが書いた淡々とした詩にSHINさんがバラード調の曲を付けたもの。数年間放置されていてネズミが大量に発生していた荒れた土地と、そこに傾ける復興への情熱を歌った熱い曲である。この歌は発売後の個別ダウンロードが大きく、FMでも随分掛けてもらえた。
 
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PVでは女装の!櫛紀香さん自身が出演して、ネズミを銃で撃って退治するゲームをやっているところが映っていた。このゲームは何ですか?という問い合わせがあったものの、実はPV作成のためにゲーム会社に依頼して1週間で作ってもらったシューティング画面だけのソフトである。ゲーム会社は気をよくして実際のゲームに仕立てて発売する意向を示した。
 
なお櫛紀香さんの女装は、★★レコード所属のメイクの専門家が半日掛けて顔のマッサージなどから始めて作り上げた顔で、凄く美しくなっていた。櫛さん本人が「鏡を見て自分の人生に迷いが生じた」というコメントを寄せていた。
 
福孝(福留彰作詞・相沢孝郎作曲)からは『電子恋愛事情』という曲を頂いた。このアルバムの中では箸休めとなる、動物の名前をタイトルに入れていない曲である。ネットワークを通して愛を育てて行くカップルを歌ったものだが、この曲は《電気フォーク》ともいうべき新しい路線を模索している。福留さん自身が数年前から構想だけ描いていたというもので、リズム楽器は入れずに、相沢さんのエレキギター1本でKARIONの4人が歌っている。
 
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アルバムを締めくくるのは照海(葵照子作詞・醍醐春海作曲)の『鶴紀行』という曲。これは彼女たちが実は高校時代に書いていた曲らしく、釧路湿原の鶴を見て書いたという雄大な雰囲気の曲である。春のツアーに出演してもらった《カンパーナ・ダルキ》の人たちに入ってもらって重厚なストリング・セクションが鶴たちの飛行と舞踊を象徴した曲に仕上げた。
 
この曲は『ネズミたちの天国』に次ぐダウンロード成績をあげた。
 

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2014年8月4日(月)。
 
KARIONの4人が苗場ロックフェスティバルの後処理と、何とか音源がまとまったアルバム『動物たちの舞踏会』のキャンペーンに関する打ち合わせをしていたら★★レコードの加藤課長が、加藤さんと同年代くらいの感じの女性を伴って訪問してきた。
 
「滝口君から聞いていたと思うけど、こちらKARIONを新しく担当してもらうことになった土居有華さん」
 
「初めまして」
「よろしくお願いします」
 
と挨拶を交わす。土居さんは1980年生まれで加藤課長よりひとつ下。M大学卒だが、実は滝口さんと同じレコード会社に入り彼女の下で5年ほど働いたものの結婚を機に退職したらしい。それで滝口さんが★★レコードに移籍した頃に偶然遭遇して「子供の手が離れたのなら、また仕事しない?」と誘って、★★レコードに入ったということであった。要するにばりばりの滝口派のようで、小風が渋い顔をする。
 
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「まあ滝口君はアイドル畑が長かったんだけど、土居君はR&B系の仕事が多いんだよ。本人もアメリカのドナ・サマーとか、スティービー・ワンダーとか、マーヴィン・ゲイとか個人的に良く聴いていたらしい」
と加藤さんが言うと
 
「あ、マーヴィン・ゲイ好き」
と小風が言う。
 
これで小風は土居さんのことが結構好きになったようであった。
 
「アイドル系と違ってR&B系の人は、自己の個性が強くて、あまり音楽そのものに干渉されるのを好まないんですよね。ですから私は基本的に音作り自体はアーティストやプロデューサーさんにお任せして、私は広報とか予算取りとか対外交渉などを中心に仕事させてもらいたいと思っています」
 
と土居さんも言い、私たちもそういうやり方が快適ですと言った。
 
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彼女は他にいくつかのR&Bやポップス系の女性歌手を担当しているものの、メインに担当していた歌手が3月で引退して、この数ヶ月は引退後の記念アルバムに関する作業などをしていたらしい。今後はKARIONが仕事の中心になるので、KARION専任と思って、いつでも気軽に呼び出してくださいと言っていた。
 

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「それで夏のKARIONのツアー。詳細決定が遅くなってしまったけど、こうなったから」
と言って加藤課長はツアーの日程を見せる。
 
8.16(土) 東京国際パティオ(5000) 
8.17(日) 大阪ユーホール(10000) 
8.20(水) 金沢スポーツセンター (5000) 
8.23(土) 札幌体育センター(6000) 
8.24(日) 宮城ハイパーアリーナ(7000) 
8.27(水) 岡山桃太郎メッセ(5000) 
8.30(土) 福岡マリンアリーナ(11000) 
8.31(日) 沖縄なんくるエリア (10000) 
9.06(土) 愛知スポーツセンター(8000) 
9.07(日) 横浜エリーナ(12000) 
 
「なんか巨大な会場ばかりですね」
と和泉は言ったが、私は頭を抱えた。
 
「どうしたの?」
と和泉が訊く。
 
「加藤さん、これって・・・」
「うん」
と加藤課長は楽しそうに私を見る。
 
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「何?」
「ローズ+リリーのツアーをやる予定で確保していた会場だよ」
「それでこんなに大きいところばかりなのか!」
 
「今のKARIONならこのキャパ行ける」
と加藤さん。
「最初で最後かも」
と和泉。
「ローズ+リリーのおさがりでなければ、こんな会場確保してもらえなかったろうな」
と小風。
 
「やる自信無い?」
と加藤さんが訊くのに対して、私たちは
「やります!」
と元気な声で言った。畠山さんも頷いている。
 
「OK」
と言って加藤さんは会社に電話を掛ける。すると次の瞬間このツアー日程が★★レコードのサイトに掲示され、5分後にはぴあのサイトにも掲示された。
 
準備万端だ!
 
三島さんが慌ててKARIONのファンクラブ会員に一斉メールをするため自分の席に行った。
 
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その週の週末は今度は三浦半島某市で『サマーロックフェスティバル』が行われる。これに、またまたKARIONもローズ+リリーも出る。ローズクォーツも出る。
 
「ローズクォーツの方にはケイはまた人形で参加かね?」
「あれ壊れたのでは?」
「人形はまた作れるだろ?」
「でもあれ400万円掛かったらしいぞ」
「400万をジュリア、壊しちゃったのか?」
「ギャラがマイナスだったりして」
「向こう1年間ただ働きだったりして」
 
むろんあれはジュリアの責任ではないので、損失額はサマーガールズ出版で負担している。しかし氷川さんはその壊れたフィギュアの再利用を提案した。
 
今年市内に新たに建設された最大1万人収容(ライブで使う場合は5-6000人)の体育館がFステージとして加わり、このイベントもほんとうに大きなフェスに成長してきた。(公園を利用したA−Cステージ、市内の高校を利用したD−EステージとこのFステージの間は、チケットを持っていれば無料の巡回バスで行き来できる)
 
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ローズクォーツはこの新しいFステージに出演する。順番は午前中のラストである。室内ステージなので、緞帳の上げ下げがある。その緞帳が上がると、Ozma Dream のジュリア・ミキの間にケイの姿がある。
 
「こんにちは!ローズクォーツOMです」
とジュリアとミキが挨拶する。
 
「あれ?ケイちゃん。ここに居ていいの? KARIONも同じ時間帯だったよね?」
「私、別にKARIONとは関係ないけど」
 
正確にはローズクォーツは11:00-12:00で、KARIONは11:20-12:20 と時間帯は20分ずれている。しかしローズクォーツが出ているFステージと、KARIONが出演する「歴史の町」のBステージの間は巡回バスで20分近く掛かる。今から歴史の町に向かっても、KARIONのステージには間に合わない。
 
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「やはりKARIONの蘭子とローズクォーツのケイって別人?」
「なんか似てるって言われるんだよねー」
 
などと会話する。
 
「でも私、挨拶だけのつもりだったから、後はOzma Dreamに任せて消えるね」
と私は言う。
 
「うん。じゃ、後は任せて」
「よろしく」
 
と言って《ケイ》の姿はフェイドアウトする。
 
「あれ〜。ケイちゃん、実体かと思ったらホログラフィだったのか」
「やはりケイちゃん今頃はBステージの方に居るんだよ」
 
などとジュリアとミキは会話する。客席で失笑が漏れる。
 
その時
「え〜?私はホログラフィじゃないよ。ここに居るよ」
とケイの声がする。
 
「嘘?」
とジュリアは言ったが、その時、ジュリアたちのすぐ後ろにあったホログラフィ投影用の薄い幕が巻き上げられる。するとその後ろにケイの姿がある。
 
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が・・・・
 
「ケイちゃん、腰から下はどうしたの?」
とミキ。
 
「え?」
とケイの声。
 
そこにはケイの上半身だけがあり、下半身が無いのである。
 
「やはりケイちゃん、こないだ苗場で死んじゃったから、もう幽霊になって足が無いのよ」
とジュリア。
 
「嘘?私、幽霊なの?」
 
「祓い給へ、清め給へ」
とミキが祓詞(はらえことば)を唱える。
 
「私、祓われちゃうの〜?」とケイの声。 
「迷わず成仏して」とミキ。 
「成仏させるのなら、祓詞じゃなくてお経では?」とジュリアが突っ込む。 
「私、お経はナンマイダーしか知らない」とミキ。 
「それお経じゃなくて念仏」とケイの声。 
 
「でも成仏する時、ケイって男として成仏するのかな、女として成仏するのかな?」
「成仏する時は女でも変成男子(へんじょうなんし)して男になるらしいよ」
「じゃせっかく痛い手術を受けて女になっても、死んだら男に戻されちゃうの?」
「可哀想に」
「私たちがローズクォーツのヴォーカルはずっとしてあげてもいいから、極楽に往生してね」
 
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そんな会話をしていた所に、セーラー服姿のタカとなにやら抱えたサトが入ってくる。
 
「ケイ、忘れ物だよ」
とタカが言う。
 
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