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■夏の日の想い出・歌姫(4)

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間奏の所ではにわかにステージ脇から出てきた、スターキッズの七星さんとトラベリングベルズのSHINさんがアルトサックスを二重奏して雰囲気を盛り上げた。間奏が終わって二番に入ると、ふたりは楽器から手を離して、前面に並ぶ11人とずっと握手をしていく。
 
そして最後G7からCになる和音で11人の歌は終わる。11人が最後の音を伸ばしている中でLondaがコーダをピアノで弾き、七星さんとSHINさんのサックスも彩りを添える。近藤さん・TAKAOさん・mikeさんのギターも終止和音になる。そして他のバックバンドのメンバーやEliseもステージ上に出てきて、全員でお辞儀をする。
 
Londaがマイクを取ってアナウンスをした。
 
「これを持ちまして08年組ジョイントライブを終わります。最後まで聴いてくださいまして、ありがとうございました。今一度11人の歌姫に盛大な拍手を」
 
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それでまた割れるような拍手と歓声の中、私たちは再度お辞儀をして幕が降りた。
 

ライブ終了後、『歌姫』はCDを出さないんですか? という質問がスタッフに集中した。そこで私と和泉と光帆が一緒にロビーに出て行き、マイクを持って説明した。
 
「『歌姫』については来週の水曜日に発売します。今まで情報を出してなくてごめんなさい。今日のライブステージの演出のため、伏せていました」
と私が言うと
 
「これの音源制作は実は『SEVEN』と並行して進めていました。こちらはプロジェクト名『ELEVEN』でした。それでこちらも私たち音源制作の段階では一度も顔を合わせていないんです」
と和泉が補足する。
 
「収録曲はマリ作詞・浜名麻梨奈作曲・水沢歌月編曲『歌姫』、森之和泉作詞・ケイ作曲・浜名麻梨奈編曲『共鳴』、神崎美恩作詞・水沢歌月作曲・ケイ編曲『Love Beat』の以上3曲で、3曲とも今日出演した11人で歌っています。楽器はいろいろやりくりして適当に担当しています」
と光帆が内容を説明する。
 
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「もしかして演奏もその11人ですか?」
と質問が飛ぶ。
 
「そうです。この11人の中でやりくりして伴奏しています」
と私が答える。
 
「ドラムスは全部ケイが打ってるよね。ギター、ベース、ピアノ、キーボード、ウィンドシンセとかは弾ける人が何人かいるから分担して」
と和泉。
 
「グロッケンはいづみ、クラリネットはケイ、フルート・ピッコロは私とケイ、ヴァイオリンはケイとマリ、ほか様々なパーカッション類は、適当にいろいろな子が担当してます」
と光帆。
 
「コーラスも適当に暇そうにしてた子が入れてるね」
 
10分くらい質問に答えたところで、★★レコードの加藤さんが
「それではここで質疑応答は終わらせて頂きます」
と宣言し、拍手とともに、私たち3人は楽屋に引き上げた。
 
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08年組ジョイントライブの後の1週間、私は基本的に全ての仕事を断り、ひたすら卒論のプロット仕上げに集中した。20日の木曜にやっと仕上げて川原教授のところに持ち込む。無事OKを取れて、私は安堵した。同時期にプロットを書き上げなければならなかった和泉も無事チェック合格した。小風と美空はマリ同様先月のうちにプロットを仕上げている。
 
その週の日曜日、政子のお父さんの会社の株主総会が開かれた。この総会は直前になるまで次の社長候補が定まらないという異例の事態で、事前に提示されていた人事案は否決されてしまった。別の人事案動議が一部の株主から緊急提出され、実際に出席した株主による投票でその動議は可決されてしまった。
 
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ほとんどクーデターに近く、経営陣は一新された。ここ数年の収支悪化が大株主の間で旧経営陣に対する不信感となっていたのが背景にあったらしい。
 
政子のお父さんは「どうも自分は沖縄支店に行かされるみたい」と言っていたのだが、この経営陣人事によって、全ての状況がひっくり返ってしまった。結局、基幹店のひとつ、仙台店の支店長に赴任することになった。
 
「わあ、また引っ越しですか、大変ですね」
「まあ仙台は東京まで新幹線で2時間だから」
「復興作業とかでも大変みたいだけど、逆にテンションは高いんじゃないですか?」
「うん。それに乗じて営業したいところだね」
 
「ね、ね、私も仙台まで行かないといけない?」
「へ?」
「新幹線で2時間だから、お父さんひとりでもいいよね? だいたいお父さん、夜遅く帰って来て朝早く出て行くから単に寝に帰って来てるだけだし。お洗濯くらいは週に1度くらい行ってしてあげるよ」
「うん、まあ・・・」
 
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ということで、お母さんは東京に残り、お父さんが単身赴任することになった。
 

7月3日に発売されたローズ+リリーの1年ぶりのオリジナルアルバム『Flower Garden』
は初動で80万枚を売り、翌週にはミリオンを突破した。4月に発売した『Rose+Lily the time reborn, 100時間』、6月に発売した第2ベストアルバム『RPL投票計画』
に続き、アルバム三作連続ミリオンである。
 
なお、このアルバムのジャケットは、2007年9月に植物園で描いたマリの似顔絵と新たに、そのタッチに似せて描いた私自身の似顔絵である。また初版限定おまけCDに、2008年4-5月に録音したケイのソロ歌唱の『花園の君』『あなたがいない部屋』
と今年6月に録音した、マリのピアノ独奏による『乙女の祈り』ヴァイオリン独奏による『美しきロスマリン』マリとケイと七星さんのヴァイオリン三重奏による『パッヘルベルのカノン』を収録した。
 
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ひじょうに古い録音の公開となったが、「ケイちゃん当時からすると凄くうまくなってる」とか「やはりマリちゃんがいないと寂しい」といった様々な反響があった。
 
このアルバムは個別ダウンロードも凄まじかった。『君待つ朝』『花園の君』
『あなたがいない部屋』『間欠泉』『夜宴』などは軒並み20万件以上個別でダウンロードされた。
 

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翌週7月10日にはKARIONの今年の後半休養前の最後のシングルである『キャンドル・ライン』が発売された。
 
夏の夜にキャンドルを点して語り合う恋人たちを歌ったもので、4つのボーカルをフィーチャーしている。先日のジョイントライブで、私が実は初期のKARIONのメンバー候補であったことを明かしたおかげで、「ひょっとして4人目のKARIONはケイなのでは?」という説が急浮上したが、2chなどでは音声をよくよく聴いた結果として、別人という結論に到達したようであった。
 
「結局、冬ってさ、KARIONで歌ってる声は他では全然使ってないんだよね?」
と美空に言われた。
 
その『キャンドルライン』の発売前日、私は都内某所で和泉たち3人と密かに会っていた。
 
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「まあここだけの話、小学5年生頃に声変わりの前兆が来て、凄く声が出にくくなった時期があったんだよ。その頃、何とかその声変わりを乗り越えようとして、小学6年生ころまでに掛けて、色々な発声法を研究したんだよね。それで私、全く発声方法の違ういくつかの声を持っているんだよ」
 
「でも冬って実際問題として声変わりはしなかったんじゃないの?」
「うん。最終的には『声変わり本体』はキャンセルできたと思う。だから私の男声って実は特殊な発声法で出してる声。出すのにけっこう疲れるから中学でも高校でも実態を知ってる子とは女声で話してた。その子たちからは、私のは『なんちゃって声変わりだね』と言われてた」
 
「小学生の内にタマ取っちゃったんだっけ?」
 
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「取ったのは大学に入ってからだよ。小学生の頃は女性ホルモンで抑えていた」
「よく入手できたね」
「ちゃんと病院に行って、性同一性障害と診断してもらってお医者さんに貼り薬タイプの女性ホルモンを処方してもらったんだよ。中高生時代も年に4回くらいずっと受診して健康状態をチェックしてもらってたよ」
 
「貼り薬!?」
「日数を掛けてゆっくりと身体に吸収されるから、いちばん女性のホルモン状態に近いんだよね。肝臓への負荷も小さい。それで3週貼って1週休んでたから」
「生理周期と同じか!」
 
「だから私、小学生の頃から女性ホルモン飲んでたでしょ?という質問にはいつも『飲んでません』と答えている」
「詭弁だ〜!」
 
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「その頃から民謡の大会とかに出て入賞して賞金もらったり、お囃子とか、後になってからは三味線伴奏とかでも出て、そのギャラもらったりしていたから、そのお金で病院代は払っていた」
 
「冬って、小学生の頃からプロだったんだ!?」
「民謡ではね。そちらも20歳頃までは続けたけど、その後ローズ+リリーの方が忙しくなってきたから、最近はほとんど開店休業状態」
「へー! そちらもその頃までやってたんだ!!」
 
「でも民謡のステージで私のステージ度胸や、ハプニングの対処とかは鍛えられたんだよ」
 
「冬って、間違っても堂々としてるもん」
「それは和泉の方が凄い」
 
「まあ私はピアノで発表会とか大会とかに小さい頃から出て、それで鍛えられてるからね」
 
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「でも和泉のピアノもこないだの『歌姫』の音源制作で初めて聴いたよ。うまいじゃん」
「冬には遠く及ばないけどね」
 
「ヴァイオリニストの蘭若アスカさんの練習パートナーなんでしょ?」
「うん。アスカが日本に居る間は、毎月2回くらい一緒に練習してるよ。だいたい深夜になるけど、あの人も時間感覚の無い人だから」
 
「どういう練習してるの?」
「だいたいピアノとヴァイオリンを1回交替で替わりながら、ひたすら演奏する。調子にのってきたら、アスカのヴァイオリン3回に私が1回という感じ。私って相手の演奏を自然にコピーして弾く癖があるから、アスカ自身の演奏のチェックに良いと言われるんだよね」
 
「ああ、確かに冬ってコピー弾きが上手い」
 
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「だいたい深夜1時くらいに始めて朝の9時頃までってのが多い。地下室の練習室でやってるから、時間感覚が分かりにくいんだよね。たいていお母さんが朝ご飯を持って来てくれて、朝が来たことを知る」
 
「それ無茶苦茶体力使う気がする」
「うん。体力使う。マラソンしている気分」
 
「待って。そういう練習してるってことは、冬ってヴァイオリンもハイレベルなのでは?」
と美空。
 
「どうだろうね。結果的には鍛えられてるけど。でも私の本職は歌だから」
と私。
「まあ、歌では私の良きライバルだね」
と和泉。
 
「こないだ雑誌で日本の歌姫ランキングってやってたね。トップ3は松浦紗雪、保坂早穂、松原珠妃だったけど、7位にいづみ、8位にケイが入ってた」
と小風。
 
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「あのランキング、投票した人の年齢層が高すぎるよ。上位は旬を過ぎた人が多すぎた」
と美空。
 
「うーん。旬を過ぎたと言われないように頑張ろうかな」と私。
「右に同じ」と和泉。
 

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「私は日本一の歌姫です」
と槇原愛は言い切った。
 
7月17日の発売に先行して7月12日からFM局などで音源公開された『お祓いロック』
は過激な歌詞への反響が凄かった。
 
「愛ちゃん、やめさせられるんですか?」という問い合わせ、というよりも「愛ちゃんをクビにしないで。僕今度のCD10枚買いますから」などという電話まで△△社に掛かってきて「槇原愛がクビになることはありません。10枚も買ってくださるのはありがたいですが、大丈夫ですから1枚だけにしておいて来年の復帰作のシングルとアルバムをまた買って下さい」という対応をした。
 
それで急遽月曜日の夕方、★★レコード本社で槇原愛の緊急記者会見が行われた。席上、加藤課長が、今回の曲の歌詞は、鈴蘭杏梨先生が、昔、浮気性の恋人を振った時のことを歌にしたもので、純粋な遊び心であり、槇原愛がクビになることはないこと、★★レコードでは、大学受験明けの来年春に新しいシングルとアルバムの制作、そしてゴールデンウィークに全国ツアーも予定していることを言明し、ツアーの日程まで発表した。また槇原愛のブログはスタッフの飯田さんの手で来年の春まで更新が続けられることも言明された。
 
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そして槇原愛は
「私は日本一の歌姫です。私がクビになるなら、その前にクビになる人が大量にいるはず」
と強気の発言をして注目された。
 
「ところで今回は3曲とも鈴蘭杏梨先生の作品なんですね」
 
「はい。大学受験準備のための休業前というので特別に3曲書いてくださいました。復帰作も先生が3曲提供してくださるそうです」
 
「『遠すぎる一歩』はクレジットが鈴蘭杏梨絵斗になっていますが、これはどう読むんでしょうか?」
 
「すずらん・あんりえっと、です。元々鈴蘭のことをフランス語で『谷間の百合』
と言うんだそうですが、バルザックの『谷間の百合』という小説のヒロインがアンリエッタなので、鈴蘭杏梨先生のお名前もそこから来ているのだそうですが、今回は鈴蘭杏梨先生のお友だちで女子高生の方が、作曲を担当なさったとのことで、それでそういうクレジットになったそうです。女子高生が書いた曲だから、女子高生のあんたが歌いなさいと言われました」
 
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「なるほどですね」
 
「作曲してくださった女子高生の方とは会ってませんが、録音を聴いたら物凄く歌のうまい方でした。きっと私の次、日本で2番目の歌姫ですね」
 
と愛は笑顔で言った。それはそれまでの少し儚げに歌うアイドル歌手の顔ではなく、スターの顔であった。
 
 
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