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■夏の日の想い出・歌姫(3)

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「インディーズでの実績があったのもAYAだけなんだよね。実績はないけど、自主制作音源を持ちこんだりしてたのが、ローズ+リリーとスリーピーマイス。KARIONとXANFUSは事務所主導のプロジェクトで結成された」
と和泉。
 
「そそ。ある日突然事務所に呼び出されてこの子と組んでと言われた」
と光帆。
 
「最初、なんかおかしな子だな。大丈夫か、こいつと思った」と音羽。「私は、こいつ何だか遊んでそう。近づきたくねーと思った」と光帆。
 
ふたりのやりとりに会場は笑いに包まれる。
 
こういったデビュー当時の話題は、けっこう観客にうけていたようであった。
 

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「この5組ってお互いに運命共同体的な面があるよね」
「そそ、それぞれ個人的に複雑に絡みあっている」
 
「AYAのオーディションには小風も応募してたんだよね」と和泉
「うん。第三次選考で落とされた」と小風。
 
客席から「えー!?」という声。
 
「KARIONのメンバー選定の時にはケイも候補者だった」と和泉。
 
客席から「うっそー!」という声。
 
「デビュー前に私と和泉はペアで、ある歌番組のスタッフやってたんだよね。だからその縁で。でも私が『男の子とバレると騒動になるから』と言って辞退して、結局ラムコちゃんってアメリカ人の子がメンバーになった」と私。
 
「おかげでローズ+リリーが代わりに大騒動になったけどね」と政子。
 
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客席から「あぁ」という感じの声。
 
「それでKARIONは和泉・美空・ラムコ・小風の4人でデビューする予定だったんだけど」
と美空。
 
「そのラムコがお父さんの海外転勤でインドに行っちゃったんだったよね。ラムコちゃんがいたら、4人の名前は尻取りになっていたのに」
と私が言うと
 
「おぉぉぉぉ!!!」という感じの凄い声があちこちで上がる。デビュー5年目にして明かす「四人目のカリオン」の秘密である。
 
「そそ、それで結局KARIONって『4つの鐘』という意味なのに、3人でデビューすることになった。音源も作り直しで大変だった」と和泉。
 
(本当はラム加入以前に和泉・美空・蘭子・小風で作っていた音源に差し戻した。CDをプレスする1日前のことで、プレス後なら凄い損害が出ていた。時間的にもはや3人のみの音源を再制作するのは不可能だったので蘭子の声が音源に残ることになったが、畠山さんは最終的に私を何とか口説き落とすつもりだった)
 
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「スリーピーマイスのデモ音源をレコード会社に持ち込んだのはケイだよね?」
と小風。
 
これには「へー!」という声。
 
「うん。それで彼女たちのサウンドを理解してくれそうな事務所を紹介してもらったんだよ」と私。
「ふつうの事務所じゃ、あのサウンドでCD出させようと思わないもん」
と光帆。
「クレイジーだからね、エルシーの言葉を借りると」
と私。
 
「んで、エルシーは実はKARIONの初期のバックバンドやってたんだよね」と和泉。
 
客席からまた「えー!?」という声。
 
「それとエルシーとティリーが出会ったダンスユニットのオーディションにはゆみ(AYA)と光帆も応募してて、その時は二人とも落選してる」
 
客席から「わぁ・・・」という声。
 
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「なんか今日は08年組の裏話大公開だ」
と音羽。
 
客席から「ゆみちゃん、来るの〜?」という声が掛かる。
 
「まあ、これだけネタにされてて、来ないってことはないでしょ」
と音羽が言うと
「おぉ!!」
という感じの歓声が起きる。AYAの登場は多くの観客が期待していた所だろう。
 
「でもAYAは昨日写真撮影でグァムに行ってたんだよね」
「うん。問題無く入国できて、このライブに間に合うといいね」
「でも入国で何かトラブる可能性ある?」
「ケイだったら性別でトラブったことあるらしいけどね」
 
「そそ。まだ法的な性別変更前、パスポートが M なのに外見がどう見ても女だから、別室で裸にされて調べられたことあるよ」
と私は笑って言う。
 
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「それで裸にしてもやはり女だから、結局知人を呼び出して空港まで来て証言してもらって、やっと入国できたんだよね」
と政子。
 

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結局30分ほどトークは続き、ほとんどトークショーの雰囲気になってきた所で
「でもそろそろ歌を歌おうよ」
と美空が言い、
 
「じゃ、ジャンケンで誰が最初に行くか決めよう」
と言って、和泉・私・光帆の3人でジャンケンする。
 
和泉が勝ち「じゃ、最初はKARIONから行きます」と言い、拍手をもらう。
 
(実際には誰が何を出すかはあらかじめ打ち合わせておいた)
 
そこにスターキッズのメンバーがステージの奥に走り込んで来たので、客席から「あれ?」という声が出るが、ステージ前面ではKARIONの3人を残して、他の4人は退場する。
 
スターキッズがアコスティック楽器を使ってミリオンセラー『雪うさぎたち』
の前奏を始め、それに合わせて3人が歌い出す。客席から最初拍手が湧き、それが手拍子に変わる。そこに私と音羽が再入場してくる。私はクラリネット、音羽はスレイベルを持っている。雪の中を走り回るウサギの雰囲気をスレイベルが表現(音源制作の時は小風が鳴らしている)し、私のクラリネットは七星さんのフルートを補って音に厚みを加える。
 
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そのままKARIONは、『春風の告白』『星の海』『海を渡りて君の元へ』そして『金色のペンダント』と歌っていった。
 

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「ではここで今日の1組目のゲスト、スリーピーマイスの3人です」
 
と和泉が紹介すると、主として女性の観客から「きゃー」という声が掛かる。スリーピーマイスは女性ファンの方が多いユニットだ。
 
レイシーがベース、ティリーがギターを持ち、エルシーは手ぶらで入場してくる。入れ違いにスターキッズのメンバーと私と音羽は退場する。パープルキャッツのドラマー、yuki が入って来てドラムスの所に座る。エルシーがキーボードの所にスタンバイする。
 
レイシーの合図でyukiがドラムスを打ち始め、レイシー・エルシー・ティリーの演奏も始まる。そして3人が歌い始める。
 
あまり普段は見せることの少ない、バンド形態のスリーピーマイスの演奏である。この形態で演奏する場合、必ず女性のドラマーを使うのがポリシーなので今回はyukiさんにお願いした。しかしこの3人は一般に顔をさらしていないので、彼女たちの顔を初めて見た観客も多かったであろう。
 
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yukiが打つ、ややパンクっぽいリズムパターンに合わせて、レイシーはルート弾きでベースを演奏する。レイシーがルート弾きをするのはリードボーカルを担当しているので、そちらにできるだけ集中したいためでもある。ベースがおとなしい分、ティリーのギターはかなり派手な音を出す。しばしばエフェクターも掛けている。女声3人の歌唱なので、エルシーのキーボードは低音を補ってハーモニーを安定させている。このようなロックのようなポップスのような微妙なサウンドが、レイシーがアレンジするスリーピーマイスの「羊の皮を被った狼」の世界観である。
 
今日の会場は、XANFUS, KARION, ローズ+リリーのファンで占められているのでスリーピーマイスのサウンドにはあまり馴染みがなかった人も結構いたようであるが、今日は特に親しみやすい曲を選んでいるので、結構スリーピーマイスに興味を持ってくれた人もあったのではないかという気がする。客席はかなり乗って、たくさん手拍子をしていた。
 
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スリーピーマイスは結局3曲演奏したが、何もトークを入れずにそのまま退場した。
 

代わって XANFUS の2人が入ってくる。yukiさんも退場し、トラベリングベルズのメンバーがステージ後方に入ってスタンバイした。トラベリングベルズにはキーボード奏者がいないので、スターキッズの月丘さんに入ってもらった。更に、マリと小風・美空が入ってくる。マリはヴァイオリンを持っている。小風と美空は後ろの方に立ててあるマイクの所にスタンバイした。
 
DAIのドラムスがスタートし、XANFUSの曲『Strategic Love』を演奏する。光帆と音羽が激しく踊りながら歌い、小風と美空はバックコーラスを入れる。ピチカートやサルタートを多用したマリのヴァイオリンがスキップでもするかのような楽しいサウンドを加える。
 
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テレビなどではXANFUSはマウスシンクなので、本当に踊りながらふたりが歌っているところを初めて見た観客が結構いたようで、「わあ」とか「え〜?」といった声も漏れてきていた。
 
この編成で光帆と音羽がMCを混ぜながら5曲自分たちの曲を演奏した。
 

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「さて、さきほど私たちが出てきた時にはまだAYAが到着していなかったんですが、来たかな?」
と音羽が言う。
 
すると客席の後方の扉が開き
「今来たよ〜!」
というAYAの声。
 
そのまま客席通路を通ってAYAがステージに駆け寄る。通路でたくさん握手を求められ、AYAも笑顔で応じていた。
 
「お疲れさま〜。よく間に合ったね」
「うん。飛行機が遅れて焦ったけど、成田からここまでF15イーグルで飛んで来たから」
「おお、それは凄い」
「なんか燃料費が凄まじいらしかったけど、伝票にはケイのサインしといたから、きっとケイが払ってくれるだろう」
 
と言うと笑い声が起こる。
 
スターキッズのメンバーが後ろの方に入ってきてスタンバイする。KARIONの伴奏をした時はアコスティックバージョンだったのだが、今度はエレクトリックバージョンである。
 
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XANFUSのふたりが下がり、前奏が始まりAYAが歌い出す。AYAはMCを交えて3曲歌って下がった。
 

そして交替に私と政子がステージに出て行く。スターキッズが退場して、代わりにパープルキャッツが入ってくる。更に和泉と光帆も入ってくる。和泉はグロッケンの所にスタンバイし、光帆はフルートを持っている。
 
『言葉は要らない』を演奏する。ギター・ベース・ドラムス・キーボードという標準的な構成のパープルキャッツの演奏に、金属性の高音が和泉のグロッケンから響き、一方やわらかい光帆のフルートの音が彩りを添える。
 
更に『影たちの夜』『キュピパラ・ペポリカ』『100時間』と演奏し、最後に『ピンザンティン』を演奏する。この時、小風・美空・音羽の3人がおたまを持って入って来て、私と政子にもおたまを渡し、5人でおたまを振りながら歌った。
 
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拍手の後、パープルキャッツが退場する。オープニングの時と同様に私がドラムスの所に座り、音羽がギター、美空がベースを持って、和泉はキーボードの所について、コラボCDの曲『Love Race』を演奏する。オープニングでは小風・マリ・光帆の3人だけで歌っていたが、今度は7人全員で歌う。楽器を弾いている4人も弾き語りである。
 
物凄い手拍子が来る。みんなノリに乗っている。そして物凄い歓声の中、演奏は終了し、幕が降りた。
 

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大きな拍手がすぐにアンコールの拍手に切り替わる。
 
幕が開く。7人がステージに出て行く。オープニングでは和泉が挨拶したのだが、今度は光帆が挨拶してアンコールへの御礼を言う。
 
「それでは『8人の天使』を歌います」
 
拍手とともに、EliseとLondaが入って来て、Londaがピアノの所に就いた。Eliseはステージ前面に並ぶ七人のそばに来る。音源では私が2回歌って8声にしているのだが、ここではEliseが私の低音パートの方を歌ってくれた。
 
Londaのピアノがスタートし、全員で歌い始める。歌いながらEliseがひとりひとりを紹介するかのように前に引きだし、会場から大きな拍手をもらう。そしてEliseはひとりひとりと握手をしていく。ここではこの7人全員が主役である。
 
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そして演奏終了とともに幕が降りる。
 
『8人の天使』を歌ってしまったので、これでもう終わりなのだろうか、あるいは、もう1曲何か歌ってくれるのだろうかと、客席も少し不安な感じのようであった。そのせいかアンコールの拍手も1回目の時よりは弱い。若干席を立つ人もいる。
 
しかしアンコールの拍手が3分も続いた所で幕が開いた。割れるような歓声と拍手が来る。XANFUS, KARION, ローズ+リリー, AYA, スリーピーマイスの全部で11人のメンバーが並ぶ。
 
最後のMCは私がした。
 
「アンコールほんとにありがとうございます。本日はみなさんお忙しい中、私たち、08年組のジョイントコンサートにお越しいただき、本当にありがとうございました。私たち5つのユニットは仲間であり、またライバルです。お互い切磋琢磨して、これからもみなさんに素敵な音楽をお聴かせできればと思います。私たちも頑張りますので、ぜひみなさんも応援してください」
 
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歓声と大きな拍手がある。それが少し落ち着くのを待ってから私は言った。
 
「それではこれが本当に最後の曲です。マリ作詞・浜名麻梨奈作曲・水沢歌月編曲『歌姫』」
 
私が言ったクレジットに「えーーー!?」という声が上がる。後ろにスターキッズの近藤さん、トラベリングベルズのTAKAOさん、パープルキャッツのmikeさんが、それぞれアコスティックギターを持って入ってくる。そしてピアノの所にLondaが座る。
 
そしてLondaのピアノと、3本のギターによる伴奏で、私たち11人は一緒に歌い出した。11人を3つのパートに分けた女声三重唱をベースにしているが、時々ひとりひとりのソロパートが出てくるようにして、11人全員の見せ場を作っている。私(水沢歌月)が頭を悩ませ和泉とも相談しながら2日がかりで作ったアレンジである。
 
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