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■夏の日の想い出・あの子は誰? who's that girl(1)

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(c)Eriko Kawaguchi 2012-09-14
 
2012年10月28日(日)。姉と小山内和義さんの結婚式の翌日。私は午前中に品川に出て、ホテルのレストランで正望と久々のデートをしていた。
 
ここ数ヶ月無茶苦茶忙しかったので全然デートができていなかったのである。「今年」になってから、まだ4回しかデートしていないと聞いて、政子がさすがに呆れて「ちょっとデートしてきなさい」と言って、政子自身で正望に電話して呼び出し、レストランまで予約してくれた。
 
発端は昨夜20時頃政子といつものように愛し合ってから、ベッドの中で半ばまどろみながら会話していた時のことだった。
 
「マーサってさ。恋人はよく作るけど、実はセックスしてないよね?」
と私はふと思いついたように言った。
 
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政子は7月に道治君という新しい恋人を作りかなり仲良くしているふうなのにまだ一度も外泊してないようなので私は言ってみた。大学に入ってから3人目の恋人であるが、前の恋人とも一度もセックスしないまま別れている。
 
「うん。彼とはおしゃべりしているだけで楽しいし。別にセックスは必要ないよ」
「それ可哀想。きっと彼は、したがってるよ」
「そうかなあ。でも、冬もずっと恋人いるけど、ほとんどセックスしてないよね?」
「えっと・・・」
 
政子は言ってみてから「あれ?」と思ったような顔をして、私の前にぐっと寄った。
 
「正望君と今年何回した?」
「うーん。。。4回かな」
「信じられない!明日、午前中は空いてるよね? デートしなさい!」
 
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と言って、政子は私の携帯を勝手に取ると、正望を呼び出した。
 

そういうわけで、政子にセッティングをされた私と正望は朝6時に五反田の駅で待ち合わせ、早朝からラブホテルに入り、久々の睦みごとを堪能した。
 
ふだん、政子と女同士のセックスは日常的にしているものの、たまに正望との男女間セックスをすると、これはまた別の歓びがある。女同士のセックスでは絶対に得られないものを感じる。正望に入れられている時は凄く幸せな気分で、ああやっぱり私は女になって良かったなと思う。しかし、また正望との男女間セックスでは得られない別の快感が政子との女同士のセックスにもあることは事実だ。できたら、ずっと両方とセックスしていたいなあ、などとわがままなことを思ってしまう。
 
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そういえば Elise が以前「男とのセックスは快感、女とのセックスは癒やし」
と言ってたけど、何となく自分の感覚もそうかなという気がする。私は男性時代には男の子と一度だけちょっと怪しいことをしたことはあるもののインサートまではしてないので、男同士のセックスは未経験だ。男同士のセックスってまた違う感覚なのだろうか、などと変な事も考えたりしていた。
 
しかし今年は1月に正望の家に泊まった後は、2月に1度デートした後、凄まじく忙しい日々が続き、5月にかろうじて1回夜中の1時から5時までというとんでもない時間のデートをしたものの、その後は7月に姉の結納の時に、私の婚約者に準じる人として列席させて、その後また短時間のデートをしただけだったのである。
 
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「なんなら、私のヴァギナの型取りでもして、持っておく?」
「そんなの型取りできるの? おちんちんの型取りは聞いたことあるけど」
「あるらしいよ。こないだ大学のクラスメイトが作ったと言ってた」
「しかしおちんちんと違ってヴァギナなんて特に形のあるものではない気もするけど」
「うん。けっこう広がるしね。まあ実物で型取りしたもの、という気持ちだけの問題かもね」
「確かに。でもセックスしたいというより、僕はフーコと一緒にいたいから」
「ごめんねー。ほんとに全然会えなくて」
 
朝6時半から3時間密室で楽しんだ後、品川駅近くの普通のホテルのレストラン(ここを政子が予約してくれていた)で朝昼兼用でコース料理を食べながら会話をする。
 
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「しかしまあフーコが忙しいというのもよく分かるよ。無茶苦茶売れてるもん。出す曲出す曲、ゴールドディスクでしょ。大分のライブのチケット、僕も申し込んだけど抽選落ちちゃった。先週の札幌は気付いた時はもう売り切れてたし」
 
「モッチーなら、チケットくらいあげるのに」
「ほんと?」
「何枚欲しいの?」
「じゃ、母ちゃん連れてくから2枚」
「OK。後で手配するね」
と私は笑顔で言った。
 
そんな感じで話していた時に「よぉ」と言って声を掛ける人がいる。
「佐野君!」
「おっ、木原、久しぶり。何、何?ミニ同窓会?」
「えーっと、私たちデートしてんだけど」
「何だ? お前ら付き合ってんの?」
「うん。去年の秋からね」
「へー。あ、それでさ・・・・」
と言って、佐野君は私たちの席に座り込んで、話を始める。
 
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「えっと・・・・」と私は戸惑う。
「佐野、済まんけど、遠慮しない?」と正望。
「あ、遠慮は要らないよ。気にしないで、気にしないで」
と言って、佐野君はしゃぺり続ける。正望は天を仰いだ。
 
結局、私も正望も諦めて開き直り、佐野君と3人での会話を楽しむことにした。
 
「あ、そういえばお前ら、大学出た後はどうすんの?」
「私は歌手専業になるよ」
「僕は法科大学院に進学」
「ああ、じゃみんな就職の心配はしなくていいんだな」
「佐野君は?」
「俺は理学部だから、修士まで行くのがデフォルト」
「就職活動しなきゃいけない人はもうみんな頑張ってるよね」
「不況だから、みんな苦労してるみたい」
 
「でもふたりが付き合ってるなんて、初めて聞いたなあ。週刊誌やワイドショーで話題になったこともないよね?」と佐野君。
 
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「まあ、あまり目立つような所ではデートしてないしね」
「そうか。でも俺はやはり唐本の存在が透明だからだと思うな。そこにいることに気付かれないというか。凄く控えめなオーラ持ってるじゃん」
「そう?」
 
「高校時代にマリ・ケイの正体がバレなかったのも、その透明性故だと思うな」
「ほほお」
 
「あの頃、中田さんはマリちゃんに似てるって、みんな結構言ってたね」と正望。
 
「そうそう。だから、ケイちゃんに似た子がうちの学校にいれば、実はRPLはうちの学校の生徒ではないか、なんて話も流れてた」と佐野君。
 
RPLというのはローズ+リリーの略称のひとつだが、オープンスペースで会話していることを配慮して、佐野君がフルネームを言うのを回避してくれたのだろう。
 
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「でも、そもそも中田さんって、あんまり女の子の友だちがいなかったもんね」
と正望。
「そうなんだよね。だから中田さんがマリちゃんだとしても相棒のケイちゃんの見当が付かん、とみんな言ってた。中田さんが唐本と仲良いのは分かっててもまさか、唐本が女装して歌手やってるとは思いもよらなかったし」と佐野君。
 
「それ気付いたのは多分琴絵だけだよ」と私。
 
「でも、ひとり言ってたんだよな。俺、以前ケイちゃんにそっくりな子を去年の夏に図書館とか体育館で何度か見たことあるって」と佐野君。
「ほほお」
「でも1年前に見ただけなら、もう卒業生じゃないのとか言われてた」
 
「フーコ、女子制服で学校に出てきたりはしてないよね?」
「してないよ。私が女子制服で出てきたのは卒業式の日だけだもん」
「そうか。あ、それに夏に見かけたのなら夏服だよね。渡海さんにもらった服は冬服だけでしょ?」
「うん」
「じゃ、図書館で見たってのは、僕たちの2つ上の学年で、もう卒業しちゃってた子じゃないのかな」
「そうだよなあ」
 
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「でも私ってそんなに透明?」
「そうそう。よくラジオで他の人の出演枠に出て行って『出しゃばり屋のケイでーす』とか言ってるけど、全然その本来のゲストを邪魔してないでしょ。むしろうまく立ててる。だから、また呼ばれるんだろうけどね」
「ああ」と正望が同意するように言う。
 
「ただ、RPLでは、物凄く光る。いわば、マリちゃんが太陽で、ケイちゃんが月って感じかもね」と佐野君。
「なるほど」
「中田さんのオーラって、なんか凄まじいもんね。強烈だよね」と正望。
「うん。中田さんがあまり人を寄せ付けない感じなのは、あの強烈さも原因だと思う。あの近くに寄れるのは、無神経な人間か、吸収型の人だよ」
「ああ、フーコは吸収型だもん」
 
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「そういえば、政子も自分で放出型だって言ってたなあ」
と私は呟くように言った。
 

私はその日は次の予定があったので、まだ話している正望と佐野君をそのまま放置して(一応お母さんへのお土産だけ渡した)、11時に品川を出て、新宿に向かった。UTPの事務所でタカと会い、RQP(RoseQuarts Plays)シリーズの第五弾『民謡』の収録曲について打合わせるためであった。この時期、ローズクォーツのおおまかな活動方針は私とタカの話し合いで決まることが多かった。
 
「じゃ、収録曲としては、相馬盆唄と斉太郎節は絶対入れて、ほかに木曽節、越中おわら節、こきりこ節、刈干切唄、会津磐梯山、小原節、祝いめでた、といったあたりかなあ・・・・」
「氷川さんから朝電話があって、売れそうな誰でも知ってる曲を2曲は入れてと言われたんだけど」とタカ。
 
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「斉太郎節も木曽節も会津磐梯山もみんな知ってると思うけど」
「聴けば分かるけど、民謡に馴染みの無い人には意外に題名が知られてない。松島〜の、とか小原庄助さんとでも書けば別だけど」
 
「じゃ、あまり気が進まないけどソーラン節とか黒田節。あまり歌われすぎてるものは入れたくない気分なんだけど」と私。
「でも売れないと困るし」
「そうだねえ」
 
ということで曲目のラインナップはだいたい固まってきた。
 
「あ、そうだ。歌詞を聴けば分かるんなら、各々のタイトルに歌詞の有名な部分をくっつけようよ」
「ああ、それはいいかもね」
 
「斉太郎節/松島〜の、会津磐梯山/小原庄助さん、木曽節/木曽の中乗りさん、黒田節/酒は飲め飲め、小原節/花は霧島、祝いめでた/若松様よ、みたいな感じね」
「そうそう。あ、そうだ。ドンパン節も入れようよ」
「ドンパン節/うちの父ちゃん禿頭、だよね。表記は?」
「もちろん! あ、炭坑節も行こう」
「炭鉱節/月が出た出た」
 
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タカは楽しそうだった。
 

「そういえば、ちょっと面白いものが出てきたよ」とタカがカバンの中から分厚いファイルを取り出す。
 
「なあに? ローズ+リリー探偵ファイル??」
「そうそう。ローズ+リリーの正体は誰か?って調査した記録」
「へー!」
 
タカは元々ローズ+リリーのファンで、私と会う前もインディース時代からのCDを全部持っていたのである。しかも彼は今となっては貴重な『明るい水』
初期ロット版まで持っていた(私でさえ第2ロットのものしか持っていない)。
 
「だって、当時ほんとに謎だったからね。ふたりの顔写真が出てたのって、インディーズで出した最初のCDの初期ロットだけでしょ?」
 
「うん。最初の1000枚だけ。意外に売れて再プレスしようとなった時にジャケット印刷しようとしたら、元の私たちの写真撮ったデータが見当たらなかったのよ。ごめーん。間違って捨てちゃってたかも、といって素材集から取ったバラとユリの写真使ったんだけどね」
 
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「でもそれさ、誤ってというか」
「うん。まさか再プレスすることはあるまいと思って、捨てちゃったんだと思う」
「だよねー。いきなり何万枚も売れるとは普通思わないもん」
 
「まあ、それでローズ+リリーは誰かの覆面ではないかとか、ボカロイドではないかとか、いろんな説が出てきたんだけどね」
とタカは懐かしむように話す。
 

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「ボカロイド説が出たのは、やはりケイちゃんの歌が凄く正確だからだよ。たぶんクラシック的な歌の訓練を受けた人だろうとはみんな言ってたけど、発声法はベルカントじゃなくて、ポップスの発声だからね」
「まあ、小学校・中学校と合唱部だったからね。高校でもローズ+リリーの活動停止中にやっぱりコーラス部やってたし。でも女声の発声とベルカントって実は対極の発声法なんだ」
「へー!」
 
「ベルカントは声道をいっぱい広げて声を大きく循環させるように出す。だから胸張った感じで歌うでしょ。男の子が女声を出す場合は、声道を狭くするためにむしろ身体を丸めるようにして声を出す」
「ほほお」
 
「タカちゃんも練習してみる?」
「いや、俺はそもそも歌下手だから」
「ヒロちゃん(マキのこと)よりうまいよ」
「ヒロと比べるなよ!」
「あはは」
 
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