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■夏の日の想い出・あの子は誰? who's that girl(3)

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そのままタカとふたりで新宿の町で軽く昼食を取り、その後私は銀座に出た。そこで、昨日姉の結婚式に出ていた、奈緒・リナ・麻央と待ち合わせていたのである。政子も来るはずだったのだが、電話で呼び出しても出ない。おそらく寝ているのであろう。
 
仕方無いので、私たちは4人で予約していたレストランの個室に入る。
「6人で予約していたのにちょっと悪かったね」と私は言う。
「6人?もうひとり誰か来る予定だったの?」
「いや、政子はたくさん食べるから、政子の分を2人分でカウントした」
「ギャル曽根の2代目になれるよね」と奈緒。
「へー、そんなに食べるんだ!?」とリナ。
 
「最近ではファンの間でもマリの大食いは知られるようになってきた感じ」
「先週の札幌突然ライブのクイズでも、ラーメン5杯食べたって言ってたね」
「うん。5杯というツイートがあの短時間に100件あったから」
「きゃー」
「6杯、7杯とか、10杯なんて回答もあった。実際私は政子がラーメン10杯食べるの見たことあるし」
「すごい」
「しゃぶしゃぶの食べ放題の後、焼肉の食べ放題に行ったこともあるし」
「どういう胃袋してんの?」
「でもスリムだよね」
「うん。私より体重軽い」
 
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「でもローズ+リリー、4年ぶりのライブか・・・・」
「4年前も全国9ヶ所でライブしただけだけどね」
「でも9ヶ所なら全部で2万人くらい動員してるんじゃない?」
「そうだね。チケットは全部ソールドアウトしてたから」
 
「当時は、高校の友だちや先生には黙ってたんでしょ?」と麻央。
「最初知ってたのは、私くらいだよね」と奈緒。
「ああ、奈緒にだけは言ってたんだ?」
 
「ってか、ローズ+リリーの2度目のライブに奈緒は来てたんだよ。実はそのライブが初めて《ローズ+リリー》を名乗った日だったんだけどね」
「えー!?」
 
「最初、8月3日に宇都宮のデパートで公演したんだけど、この時はリリーフラワーズの代役だったんで、《リリーフラワーズ》を名乗ってたんだよ。でも、それを名乗り続ければ、本来のリリーフラワーズ知ってる人が変に思うから別の名前にしようというので《ローズ+リリー》という名前を作って、その最初の公演を8月8日に戸島遊園地でしたんだけど、その時、たまたま奈緒がその遊園地にいたんだよね」
「びっくりしたよ。政子と冬が並んで出てきて『ローズ+リリーでーす』とか言うから」
「一発で正体分かったんだ?」
 
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「だって、私は冬の女装なんてふつうに見てるし、冬が女の子の声で歌っているのも何度も聴いてるし」と奈緒。
 
「じゃ、私より早かったのか。ちょっと悔しいな」とリナ。
 
「リナにはメジャーデビューして最初のサインを送ったからね」
「うん。古い約束をよく覚えていてくれたね」とリナ。
 
「何約束したの?」と奈緒。
「リナがさ、私はきっとアイドル歌手になれるとか言って、じゃ、もしなれたら最初のサインを送るよ、と言ったんだよ」
「へー」
 
「でも、ほんとうに女の子のアイドルになるとは思ってなかったから、冬から宅急便が来て、中を見たら『Rose + Lily』ってサインとCDが入ってるから、びっくりしたね。慌ててホームページチェックしたけど、マリちゃん・ケイちゃんの写真とか出てないし、最初はちょっと疑心暗鬼だった。10月に新曲キャンペーンで名古屋に来た時に見に行って、改めてサインもらって握手した」
「うふふ」
 
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「まあそれでリナから、冬が女の子として歌手やってると聞いて、来月名古屋でコンサートあるというからチケット申し込んだんだけど」と麻央。
「取れなかったね」
「40分くらいでソールドアウトしたみたいだった。私はずっと電話掛けてたけど、全然つながらなかった」とリナ。
 
「まあ、それで冬に連絡したらチケット送ってきてくれたから、私と麻央と美佳の3人で見に行ったけどね」
 
「でも例の週刊誌で報道される前に、ふたりのこと知ってたのは、ほんとにごく少数の人間だよね」
「だいたい家族にも言ってないってのは、やはりまずすぎたね」と奈緒。
 
「うん。それはまずかったと反省してる」と私。
「結局、冬がちゃんと高校に女子制服で通っていたら、最初から周囲の人がケイちゃんの正体分かってて、あんな騒動にもならなかったんだろうね」
とリナ。
 
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「うん。ただ、ローズ+リリーの正体がバレるとまずかったのは政子の方もだから」
「ああ、御両親は政子が大学受験で頑張りたいというから日本にひとり置いて外国に行ってたんだもんね」と奈緒。
「それで歌手やってたら親は怒るよね」と麻央。
「逆に言うとよく4ヶ月もバレなかったというべきなのか」とリナ。
 
「だけど冬は1年の時には、けっこう女子制服で学校に出てきてたよね。日曜とか夏休みとか」と奈緒。
「うん。夏服は作ってたからね。でもみんな私だってこと分からなかったみたい。分かってたのは奈緒くらいだもんなあ」と私。
 
「図書館で本を借りるには女子制服でないととか言ってたね?」
「だって、私の生徒手帳の写真、女子制服で写ってたから、男子制服で借りようとすると、とがめられるもん」
「じゃ、本を借りたい時は女子制服着てたんだ!」
「そうそう。うちの高校の図書館、日曜も開いてるから、それを利用してた。あと、奈緒の弓道部の練習を見学したりもしてたね」
 
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「2年の時はあまり女子制服着てないの?」
「バイトで忙しくて。それでそのバイトしてるうちにローズ+リリーやりはじめたし。それでも2回くらいは女子制服で学校に出てるよ」
「へー」
 
「冬服の期間は図書館使ってないの?」
「閲覧はしてるけど、借りてない」
「冬服の女子制服も作れば良かったのに」
「いや、夏服の女子制服を作ってお母ちゃんにお金出してもらって。でもそれで通学はしてなかったでしょ。冬服まで作ってとは言えなかったんだよ」
 
「でも自分でお金稼いでたんだから、自分のお金で作れば良かったじゃん」
「うーん。。。でも学校の制服は親に買ってもらいたかったんだよ」
「なんか変な所で筋を通そうとするね、冬は」
「でも親に買ってもらいたいなら、ちゃんとカムアウトして頼めばいいじゃん」
 
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「実はそれ高校2年の2学期から言おうと思ってたところで忙しくなっちゃって、思考停止してたんだよね」
「ああ」
 
「先生たちには冬が女子制服で時々学校に行ってたのは知られてたの?」
「ひとり高田先生って人にはカムアウトしてたんだけどね。実際校内で女子制服で高田先生と話したこともあるし。でも2年になる時に他の学校に転任しちゃったからなあ」
「ふーん」
 

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レストランの後は、みんなで銀座を散歩して洋服屋さんをのぞいたりした後、夕方、東京駅で名古屋に帰るリナを見送る。リナの乗った新幹線が出て行った直後、政子から電話が入った。
 
「寝過ごした!レストランまだ行ける?」と政子。
「とっくに終わっちゃったよ」と私。
「えーん!お腹空いたよ〜」
「これから中学の時の友だちと会うけど、来る?」
「行く!焼肉かしゃぶしゃぶにしようよ」
「食べ放題のところね?」
「もちろん!」
 
夕方から会うことにしていたのは、倫代・日奈・亜美だが、倫代と日奈は奈緒も知っているので、奈緒と、ついでに麻央もそのまま残ることにした。結局、7人で一緒に焼肉の食べ放題に行くことになった。
 
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「そういえば、今日の昼、知り合いと、ローズ+リリーの正体問題について話してたのよ」
と私は言った。政子は物凄い勢いで焼肉を食べていて、焼くのが追いつかない感じである。皿の消化が速いので、お店の人が「え?」という表情を見せた。
 
「ああ、ローズ+リリーって、誰かの覆面じゃないかとか?」
「いろいろ取り沙汰されてたけど、その中にエピメタリズムじゃないかって説まであったらしいね」
「エピメタリズム?」
 
「ほら、私たちが Who's that girls した時の本来の出演者」
と言うと、
「ああ、あの時の子たちか!」
と日奈が言う。
 
「日奈ちゃんのMCが切れてたね」
「何、何、何があったの?」と政子が訊く。
 
「中学の時の合唱部でさ、コンサートが終わった後、町に出てCDショップにいたら、『エピメタリズムのライブがあります』とかいうから、客席で待ってたら、なかなか来ないのよね。で、渋滞で遅れているから、それまで誰か歌いませんか、なんてお店の人が言ったら、日奈ちゃんが『歌います!』って名乗りをあげて」と私は説明する。
 
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「4人で歌ったね」と倫代も懐かしそうに言う。
「エピメタリズムって、アイドルか何か?」と政子。
「そうそう4人組のアイドル」と亜美。
 
「冬って、ホントに代役の鉄人だね」と政子は感心したように言ってから、ハッとしたように
 
「ねえ、その時、冬は学生服を着ていたのでしょうか?」と訊く。
「まさか。セーラー服ですよ。中学の女子制服」と日奈が答える。
「うむむ。今夜しっかりその付近、冬を追求したい」と政子。
 
「その時、日奈ちゃんが歌った私たち4人のことを Who's that girlsと紹介したんだよ」と倫代。
「ひとりひとりのニックネームもあったね」と亜美。
「誰が何だっけ? 自分がセイコというのだけ覚えてる」と日奈。
「亜美がアイコ、倫代がエイコ、私がケイコで、日奈がセイコだよ」と私。
「へー」
 
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「あれ、もしかして『ケイ』って名前は?」
「うん。色々あるけど、元を糺せば、そこに行き着く」
「おお、初めて知った!」と政子は嬉しそうだ。
「じゃ、『ケイ』の名付け親は日奈ちゃんだったのか!!」
 
「だけど、当時ローズ+リリーも Who's that girls? 状態だったんだろうね」
と倫代も楽しそうに言った。
 
「倫代はいつ頃、ケイが冬だって分かった?」と奈緒。
「私は11月の東京ライブだよ。友だちに誘われて。うまい具合にチケット取れたから見に行って。で、ステージに出てきたケイちゃん見て『えー!?』と思った」と倫代。
 
「まあ、冬の女装を見慣れてる人には一発で分かるよね」と奈緒。
「それって、つまり、冬は中学時代にもよく女装してたのね?」と政子。「まあ、詳しいことは本人から聞き出せばよろしい」と奈緒。
 
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「うちに中学の女子制服が夏服・冬服ともあるんだけどさ」と政子。
「冬は、けっこう女子制服で学校に出てきてたよ」
 
「特に中3の夏は、男子制服を取り上げられてたからね。冬は」
「ほほお」
「学生服、それからワイシャツも学生ズボンも全部没収」と倫代。
「おお!」と政子が嬉しそうに言う。
 
「それで、そんな時に冬は生徒手帳を破損してさ」
「まちがって洗濯機に入れちゃったんだよ」
「それで再発行してもらったんだけど、ワイシャツは全部没収されてるし」
「仕方無いからブラウスで写ってたね、再発行された生徒手帳の写真」
「うむむ、その生徒手帳は見てない。冬、それ取ってる?」と政子。
「うーん。どこかにあるかも」
「よし。今度、捜索してみよう」
 
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「どうせ捜索するなら、例の楽譜を探してよ」
「あれね〜。どこに入り込んだんだろうね」
 
「何か楽譜が行方不明なの?」
「高2の夏にふたりで最初に作った曲の譜面が行方不明なんだよ。捨てるはずは無いから、どこかに入り込んでるんだろうと思うんだけど」
「へー」
 

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政子が「満腹」というまで、焼肉を食べたあと、デザートでも食べてから帰ろうということになる。
 
それで近所のパーラーに寄って、みんな思い思いにパフェやケーキを注文し、食べていたら、「あれ? おはようございます」と声を掛ける人がいた。(時刻は今、21時である)
 
「あ、おはようございます」と私と政子が挨拶する。
「あ、美味しそうなパフェ」などというので、「良かったら、和泉ちゃんも座ってパフェ食べる?」と私は訊いた。
「あ、そうしようかな」
と言って、和泉は座ってパフェを注文した。
 
「あの・・・もしかしてKARIONのいづみさん?」と遠慮がちに亜美が訊く。「ええ、そうですよ」と笑顔の和泉。
「わあ、ファンなんです。サインもらえます?」と亜美。
「いいよ」
というので、私がサイン用に常備している色紙を1枚渡し、書いてもらう。
 
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「冬、いづみさんと知り合いだったんだっけ?」と政子。
「うん。高校1年の時のバイト仲間。メールはずっと交換してるよ」
と私はあっさり答える。
「えー!?」
 
「だから、多分、私、ケイちゃんの正体をごく初期の頃から知ってたひとりだね」
と和泉は笑顔で言った。
 
「当時、ローズ+リリーの正体はあなたたちではないですか?とか記者が何人もKARIONの所に来たと言ってたね」と私。
「来た来た。けっこうしつこかった。違いますって否定して。本当は誰か知ってたけど黙ってた」と和泉。
 
「恩に着ます」と私は改めて感謝する。
 
「でもバイト仲間って、何のバイトしてたんですか?」
「リハーサル歌手」
「えー!?」
「私もケイちゃんも、わりとどんな曲でも歌えるんだよね」
「ああ」
 
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「最初実はファーストフードで一緒にバイトしてたんだよ。で、私が当時芸能事務所に籍だけ置いてて、リハーサル歌手の話が来た時に冬を誘ったんだ。一緒にカラオケに行ってて、歌がうまいのは知ってたから。テレビ局で1ヶ月くらいバイトしてたね」
 
「うん。夏休み限定で」と私は笑って言った。
 
「でも、その時、顔見てたテレビ局のスタッフさん達が、よくケイがその時のリハーサル歌手だって気付かなかったね?」
 
「ローズ+リリーのケイちゃんは高校時代あまり顔を出してなかったし。今でもあまり出してないけどね。あとリハーサル歌手なんて、そもそも、注意を払われてないし。期間も短かったし」
「うむむ」
 
「その後、私の方は、こかぜ・みそらと組んでデビューしないかという話をもらって、実はもうひとりくらい入れて、4人組にしてもいいなんて話があったから、夏にリハーサル歌手してた時のお友だちとかは?と訊かれたけど、冬に連絡したら消極的だったし、性別のことでみんなに迷惑掛けちゃいけないからと冬も言ったから、断られましたと返事しといたのよね」
 
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「じゃ、ひょっとしたら、冬は KARION になってた可能性もあったんだ?」
 
「そうだね。でもマリちゃんとのペアで良かったと思うよ。ふたりの歌を聴いてると、ハーモニーがどうとかでなくて、ふたりの歌が魂で呼び合っているみたいな感じなのよね。あんな素敵な音の組合せは、私たちと冬ではできなかった気がするもん」と和泉。
 
「そうかもね」と私は笑顔で言う。
「でも KARION の三人の調和も美しいよ」
「ありがと」と和泉。
 
「ひとつ質問させてください」と政子が右手を挙げて言う。
「そのバイトしてた時、冬は女の子としてバイトしてたのでしょうか?」
 
「もちろん。みんな本当の女の子だと思ってたみたい。私は実は男の子と知ってたけどね」と和泉。
 
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「今夜は冬を追求したくてたまらないものが多すぎる!」と政子は言った。
 

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