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丘の右側を歩いて行くと、ビルが1軒、地震か何かででも倒れたかのように倒壊していた。何かがその出入口から出てくる気配があった。千秋は慌てて、その前を通り過ぎて、小走りに走った。
千秋が進んでいくと、いきなり前の視界が途絶えた。そこは崖だった。下を見ると、数十mはありそうだ。道を間違えたのかな、と思い戻ろうとした。がその時、背後に変な気配を感じた。「振り返ってはいけない」瞬間的にそう思った。しかしそれならどうする?
千秋は思いきって崖の上から飛んだ。
気持ちよかった。風をきって空を滑空する。うまい具合に気流に乗れたようで、千秋の身体は落下するというよりも、グイグイ前に進んでいった。
ここはかなり大きな山だったようだ。やがて前方に街の灯りが見えてきた。左の方には海があるようだ。海岸線がゆったりと左にカーブしている。千秋の身体はその街の方にゆっくりと近づいていった。上昇気流が強くて、身体がどんどん流されていく。しかしやがて電柱や電線が見えてきた。あれはひっかかったらやっかいだ。
しかしそれにはうまい具合にひっかからなくて済み、千秋は地面にうまく着地することができた。
下は草むらだったが、さすがに結構な衝撃があり、千秋は立ち上がるのに数分かかった。身体を点検するが、どこも骨が折れたりはしていないようだ。多少手足をかすったくらい。千秋は道の方に出て、灯りのついている街の方に歩いていった。しかし灯りはついていたが、店はどこも閉まっている。困ったな。千秋はそれでも、何か開いている店がないか探していった。
(2000.03.02 元は1994年頃に見た夢)