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【悪夢の城】寝覚めの悪い朝


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そこは暗く沈んだ悪夢の城。様々な悪夢が閉じこめられています。これを読めば今夜のあなたの夢見はとても不快になることでしょう。
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はじめに
 
この物語は、私が実際に見た「悪夢」の類を、一応物語としてつながるように再構成したものです。添付した日付は発表した日付ですが、実際に夢として見た順序とは多少違います。最も古い夢は「第四夜」のパンケーキの部屋の夢で、まだお化粧なんてほとんどしたことのなかった時代に突然化粧品の中にほうり込まれて、夢の中でほんとに戸惑ったものでした。13夜というとても切りのいい数字まで書いたあと、10年ほど停まっていますが、ここに書きたいネタはたくさんあるので、この物語は更に続く可能性があります。
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ハア、ハア。私は息を切らして洞窟の中を駆けていた。その後から数人の男達が無言で追いかけて来る。私は石につまずいて転んでしまった。私が立ち上がろうとした時男達が追いついた。私の逃げようとする手を掴む。私は手をふりほどこうとしたが無駄だった。私はたちまち数人の男達にがっしり体をつかまれ、仰向けに横たえられた。二人の男が私の両腕と肩を押さえる。別の二人が足を押さえている。
 
更に別の男が私のベルトを外すとスラックスを下まで降ろしてしまった。私は恐怖に身もだえた。誰かの手にキラリと光るナイフのようなものが見えた。
 
ハッと目を覚ました。汗びっしょりだ。何という夢を見たんだろう。八時。今日は日曜だから、もう一度寝直して今度はいい夢をみようか、いやそれとも.....。
 
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私は野口千秋。二十二歳。貿易会社に勤める普通のOLだ。もちろん独身。もちろん、じゃなかった、くやしいがボーイフレンドはいない。
 
私は結局、嫌な夢を払拭するかのようにネグリジェのままベランダに出て、窓をさっと開けはなった。秋の冷たいが心地よい風が吹き込んでくる。気持ちいい。けど、寒い!
 
私はお風呂場にいくと湯船にお湯をため始めた。やはり今の時期になるとシャワーでは寒い。ゆったりと湯船につかって、それからだ。その前にやはり朝ごはんを食べよう。もう炊飯器はご飯を炊きあげていた。私はふたをあけてご飯をしゃもじでかきまぜると、再びふたをして、おみそ汁を作り始めた。今日は豆腐のみそ汁にしよう。鍋に水を入れてガスにかけてから、冷蔵庫から買い置きの豆腐を出し、パックをあけてまな板で切り始める。トントントントン。
 
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新聞が来る音がした。私は豆腐を鍋に入れると弱火にして新聞を取りに行った。1面をチラッとみたら社会面を開く。歌手の結婚の記事がのってる。ふーん、あの子がねぇ。。。お湯がたまる音がする。おみそ汁もあったまってきた。味噌を入れねば。冷蔵庫をあける。
 
30分後、千秋はその体をゆったりとした湯船に沈めていた。このアパートは湯船がいやにゆったりしていたのが気に入ったのだ。やはり縮こまってお風呂に入るのはイヤだ。この大きさはもしかしたら二人で入ったりすることも想定しているのかな? ふと千秋はそんなことを考えたが、その瞬間今朝見た夢が蘇ってきた。
 
ブルブル。千秋は頭を振った。湯船からあがって髪を洗い始める。私は忙しくしているのが好きだ。何も考えなくて済むから。
 
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(1997.11.21)
 
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【悪夢の城】寝覚めの悪い朝

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