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窓の向こう側は廊下になっていた。左右とも先が見えない。誰も通っていない。ところどころに小さい電球がついていて、ほんのり明るい。千秋は意を決して左側へ歩き始めた。
廊下には柔らかい黒い絨毯がしいてある。幅は5mくらい。ここは地下だと思うのだが、いったい何なんだろうか。千秋は何も考えないことにした。考えたら怖くなりそうだ。
途中いくつかドアがあったが、あまり開けてみる気にならない。このままどこかに出てくれないだろうか。
枝分かれがいくつかあったが、全部左へ曲がった。こうしておけばあとで後戻りした時に道に迷わずに済む。これは迷路の通過方法の基礎だ。
やがて廊下は行き止まりになったが、その行き止まりのところに大きな立派なドアがあった。千秋は何も考えずにそのドアを開けた。
そこはなに大きな体育館のようなかんじのところであった。
パイプ椅子が多数並べられていて、大勢の観客?が座っている。舞台の上では真っ黒な衣装に顔まで包み込んだ人たちがロウソクやら剣やらを持って何かをしていた。
何?これ?。そう、それはいつか本で見た黒魔術のミサかなにかのようであった。
あまり関わり合いになりたくない感じだ。千秋はドアを閉めた。引き返そう。と思った時、千秋は左手に上に昇る階段があるのに気づいた。外に出られるかも知れない。千秋はその階段を登った。
(1999.4.6)