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■続・受験生に****は不要!!・春(4)

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その判決の日。検事席に斉藤がいた。春紀と目が合う。春紀は仕方なく会釈した。すると彼はこちらへ歩いてくると
 
「あとでちょっと話がしたい。今はファミレスの勤務中じゃないからいいだろ?」
「斉藤さんこそ勤務中でしょ?」
「もちろん、だから後で」
 
判決は予想通り。懲役1年6ヶ月、執行猶予3年。平凡な裁判だ。しかし裁判の99%はこういう平凡なものなのだ。自分が身を置く法律の世界での日常的な光景だ。
 
「検察庁、見学させてあげるから一緒においでよ」と斉藤は言った。
 
「一般の者が見学していいんですか?」
「法科の学生なら構わないさ。えっと君どこの学生だったっけ?」
「東京大です。まだ正式の法学部生ではなくて文1ですが」
「すげー、さすが。そして切れそうに見えないところがすげー。俺は田舎の大学出だからな」
 
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一方の美夏は5月中旬までに運転免許を取得した後、日々ハンバーガーショップでバイトをしていた。
 
ここのところ毎日やってきては一番安いハンバーガーセットを頼む男が妙に自分に熱い視線を送ってくる。掃除をして回っていると声を掛けられる。しかし何だか普通の男と違う雰囲気だ。
 
ある日帰ろうとしたらその男が待ちかまえていた。
 
「ねぇ、少し付き合わない?」
「済みません。私このあと用事がありますので」
 
「用事って?この後って、どこか夜のお店でもバイトしてるの?そしたら同伴出勤にしましょうよ」
 
しまった。父親が門限に厳しいとでも言えば良かった。
 
「お答えする必要はないと思いますので失礼します」
「ねぇ、何もしないから。このまま、おうちに帰るんだったら、送っていくわ。女の子がこんな時間一人で帰るのあぶないわよ」
 
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いやおまえがよほど危ない、と美夏は言いたくなった。しかしいつの間にか女言葉、というよりお姉言葉になってる。こいつホモか?それで雰囲気が違うと思ったわけだ。でもホモならなぜ私を誘う??
 
「一人で帰れるので大丈夫です。失礼します」
 
美夏は通りに走って出ると、ちょうど通りかかったタクシーを止めた。本当は自転車置き場に寄って自転車で帰りたいがこいつに追われるのは嫌だ。しかし美夏の考えは甘かった。どうも付いてくる車がいる。くそー。
 
「運転手さん、追われているみたいなの。追加料金払うから振り切ってくれない」
「ん?あの車? よっしゃ、そんな料金要らないよ。メーターの分だけ払ってくれ。何とかするから」
 
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運転手はランプの近くで突然進路変更して強引に高速に乗った。回数券を渡してすぐに通過する。
 

美夏がほっとしてタクシーを降りてアパートの方に歩み始めた時、電信柱の影からさきほどの人物が現れた。
 
「可愛い子ね、あたし前にもあなたの自転車の後をつけて、ここは知ってたの」
 
こいつストーカーしてたのか?
 
「ね、わたしあなたの出てたビデオも持ってるのよ。レイプされちゃう子よりあなたのほうが可愛くて。私あなたのほうをレイプしちゃうところ、いつも想像してたの」
 
なぬー!? あんなもの見る奴なんていたか。
 
どうしよう。こいつあまり強くなさそうだし、ぶん殴ってひるんだ隙にアパートに駆け込もうか。しかし鍵を開けている間に何かされるかも知れない。鍵は「防犯のため」二重に掛けてあるので開けるのに時間が掛かる。
 
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そこに車が止まる。中から春紀が出てきた。美夏はホッとした。
 
「どうしたの美夏?」
 
彼は一瞬ギクッとしたが女二人なら大丈夫かと開き直ったようだ。
 
「あら、あなたも可愛いじゃない。お友達?ねぇ、一緒に遊びましょうよ」
 
その時車から運転手席を通り越して助手席側から降りた斉藤がその男の腕をがっしり握って、いきなりこんなことを言った
 
「田中**郎だな。刑法第百七十七条・強姦の容疑で緊急逮捕する」
「ゴーカン?斉藤さん、私たちまだ何もされてないよ?」
「こいつは連続強姦魔として手配されているんだよ。さ、いくぞ」
「えー!?」
 
きゃー、そんな男だったのか、と美夏はホッとするとともに震えが来た。
 
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「斉藤さん、手錠かけないんですか?」
「俺は検事であって刑事じゃないから、そんなもの持ち歩いてないよ」
「じゃ、運転できないでしょ?私がそいつを後部座席で抑えてます」
「春紀ひとりじゃ無理よ。私も乗っていく」
 
そいつは女の子二人にはさまれて、両腕をつかまれ、まんざらでもない感じでニヤニヤしていた。
 
「そいつ、軟弱な感じだから女の子が油断するんだよ。実は柔道の黒帯なんだ。気を付けてくれ。おい田中、俺がここにいるんだから、変なことするなよ」
「はい、旦那」
 
しかし美夏が運転免許を持っていると言うと、それなら美夏が運転して春紀と斉藤でその男を捕まえておいた方がよいという話になる。それで美夏はアパートの中から若葉マークを取ってきて、斉藤の車の前後に貼る。そして車を近くの警察署に向けた。
 
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強姦魔を警察に引き渡した後、斉藤はあらためて春紀たちを送ってくれた。
 
「君たちお友達?もしかして一緒に住んでいるルームメイト?」と斉藤が訊く。
 
春紀は美夏にこづかれて、ちゃんと言った。
 
「斉藤さん、物わかり良さそうだから正直にいいます。私たち結婚してるんです」
「え?女の子同士で?」
「ええ。ですから斉藤さんとは、お友達ということにさせてもらえませんか?」
 
「参ったな。まぁいいか。じゃ男の子にも興味無いんだよね。うん、残念だけど、いいよ。お友達でいよう。もし検察官を志望するんだったら俺、口を聞いてあげるからさ、頼ってきてよ」
「はい」
 

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斉藤は家に帰ると服を全部脱いでベッドに横たわった。
 
ああは言ったものの、やはり失恋のショックは大きい。友達でとは言ったものの、春紀のことは忘れてこちらから連絡を取ったりもしないようにしようと思っていた。
 
お腹がすいたのでレトルトの御飯付きカレーをチンする。
 
そして食べながらアレを処理しようとしたができない。失恋のショックは意外に大きかったようだ。しかし、しないと今日は眠れそうにない。
 
そうだ。斉藤は先日、大学時代の友人からもらっていたアダルトビデオのことを思い出した。無造作に押し入れに放り込んでいたのだが、出してきて封を開けるとデッキに入れて見始めた。そして画面に映った女の子の顔を見て、思わずむせてしまった。
 
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ちょっと待て。巻き戻す。これ春紀ちゃんの彼というか彼女というか、あの子だよな。えっと美夏ちゃんって言ったっけ。
 
うーん。こんなバイトまでしてるのか。ほんとに苦学生してるな。
 
斉藤はその子がレイプされてしまう役ではなかったので少しほっとしながらビデオを見ていた。そして、自分の処理を終えた後で、ベッドに横たわりながら
「やっぱ、春紀ちゃんたち、放っておけないや。何か援助できないかな」
と思ってふと、あることに気付いた。
 

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翌日、斉藤が仕事が終わってから夜11時くらいにうちに来たいと言うので春紀はバイトに出る時間を遅らせてもらうことにして待っていた。美夏も今日はバイトが10時で終わって家に戻っている。
 
斉藤は大きな段ボールを抱えて入ってきた。重たそうだ。美夏を見た瞬間昨日のビデオが頭に蘇ってちょっとドキっとする。正確には、そのスカートの中のセクシーな下着だ。今もあんな下着付けてるんだろうか、と一瞬思ってからあわててそういう自分を否定した。
 
だめだめ。この子も男の子にはきっと興味無いのだ。好きになっても仕方ない。と思ってクビを振ると、
 
「古いので悪いんだけどパソコンもらってくれないかなと思って。君パソコン持ってないって言ってたろ。今時そんなの無しでは大変だよ。中に国内で施行されている全ての法律・政令・地方の条例・条約と主な判例のデータベースも入ってるし、役に立つんじゃないかと思って。今モニターも持ってくるから」
 
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と言って、斉藤は段ボールの中からパソコン本体とキーボードを出し、あらためて車からモニターを持ってきてその上に置いてコードを接続した。
 
「古いマシンだけど一応Pentium 75MHzのDOS/V機で、メモリー5MB、ハードディスク80MBだから、Windows95が動く」
 
「すごーい!95が動くんですか?うちの母はまだMSDOS 3.1の動いてる日立B16ですよ。でもそれまさか検察庁のデータじゃないですよね?」
「ちゃんと一般に公開されているものだから大丈夫。それをボクが個人的に整理しているだけさ。時々新しいデータをまた持ってきてコピーしてあげるから」
 
斉藤は電話回線の接続もしてあげるよ、と言ったのだが、壁の端子を見たら、なんと古いネジ式である。これではどうにもならないというのでNTTに連絡してモジュラー式に交換してもらうことにした。
 
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それでその工事が終わった後で、斉藤は再度春紀たちのアパートを訪れ、設定をしてくれた。
 
「56000bpsモデムだから少し遅いけどね。もっと速いのがいいと思ったらISDNの契約をするといいよ。すると64000bpsになるから」
「高そうだからいいです」
 
「このモデムもパソコンと同様、僕が捨てようと思っていたものだけど、君たちに譲るから」
「では無価値物ですね」
 
法律家同士なので、面倒な問題が発生するのを事前に防ぐ口上を言っておく。
 
「君たち、通信のアカウント持ってないよね?」
「持ってません」
「じゃアカウントを取らないといけないけど、どこがいい?」
「斉藤さんはどこのをお持ちですか?」
「僕はニフティなんだけどね」
「じゃ、私たちもそこで」
「OK。ニフティはその場で取れるのがいいんだよね」
 
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斉藤はその場でニフティの接続ポイントfenics roadに接続すると、公開されている登録用idで接続し、取り敢えず美夏の名前でニフティのidを取得した。
 
「支払いは取り敢えず僕のカードで登録したから、毎月の代金は僕に払ってもらってもいいし、銀行引き落としに変更してもいい」
 
「じゃ銀行引き落としに変更しますので、それまでの間、そちらのカードをお借りします」
 
それで改めてニフティのHyper roadのアクセスポイントを使ってインターネットへの接続設定を行った。
 
「通信していると電話代もかかるから、テレホーダイを契約した方がいい」
「テレホ?」
「テレホーダイ。夜間の通話を定額でできるんだよ」
「へー!いいですね。そんなのがあるんだ!」
 
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「でもパソコンすごく助かります。先輩が作っていた薬のデータベースをフロッピーでコピーさせてもらってきて、放り込んだんですよ」
 
「データベースは何使ってるの?」
「データベースエンジンはうちの学科の院生の人が書いたもので、B-trieveみたいなシンプルで高速なデータベースなんです。やはりB-treeを使用しているそうです。ユーザーインターフェイスの部分はその先輩が自分で書いたものです。どちらもMicrosoft C で書かれていて基本的には MSDOS 上で動作します。別の先輩がMFC (Microsoft Foundation Class)を使ってWindowsで動作するユーザーインターフェイスも作ったんですけど、MSDOSで十分ですよ」
 
「書いちゃうのがすごい!」
「だってデータベースソフトって市販のものは高い上に操作性が悪いし、根本的に遅いじゃないですか」
「なるほどねえ」
 
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「ところで、春紀ちゃんは弁護士志望だったっけ?」
 
「ええ、検察官とか弁護士って女は差別されそうだし」
「うん。まあそれは今の日本ではなかなか改善が難しい所だね」
 
実際はふつうの女ならまだいいが、戸籍が男である女なんて、多分門前払いだろうと春紀は思っていた。
 
「民事?刑事?」
「民事ですよ」
「よかった。刑事畑だと、君と法廷で対決しなきゃいけないこともありえるから」
「あ、それは私もしたくないですね」
 
 
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