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■寒凰(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2012-12-26
 
アテネ五輪の年、そして「ふたりはプリキュア(無印)」が放送開始された年、青葉は幼稚園を卒業し、小学校に入った。
 
青葉は幼稚園の間は女の子の制服(スモッグにスカート)を着ていて、幼稚園の先生たちもそれを是認していたし、母も「まいっか」という感じであったのだが、さすがに小学校に入る時は、男の子の服を着なさいと母から言われた。
 
「髪もせっかく伸ばしてるのにもったいないけど切ろうか」と母は言うが「それは絶対嫌」と青葉は拒否した。
 
母は男の子の下着から服から一式買ってきたのだが、男児用の下着も着ることを拒否した。
 
「だってお前、男の子なんだから、男の子の服を着なくちゃ」
「私、女の子だもん」
「男の子に女の子の服を着せて小学校に通わせたら、私が警察に捕まるんだよ」
 
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そう言われると青葉も困ってしまった。そこで妥協することにした。
(捕まるというのが嘘だというのは、早紀のお母さんに聞いたりしてすぐに分かったが)
 
「じゃ、ズボンは穿くけどパンツは女の子のを穿く」
「うん、それでいいよ」
 
と母もその線で妥協してくれたので、青葉は女の子下着の上に、男の子用のポロシャツ、男の子用の半ズボンという格好で小学校の入学式に出て行った。髪は長いままで、腰くらいまでの長さがあり、前髪は眉の上で切りそろえていたが、入学式の前にサイドを少し切ったので、いわゆるお姫様カットのような感じになった。
 

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青葉がそんな格好で小学校に行くと、幼稚園の時からの友人たちからチェックが入る。
 
「あおば、きょうはスカートじゃないの?」と早紀。
「うん。お母さんからズボン穿きなさいって言われたから」と青葉。
「男の子になっちゃうの?」と登夜香。
「ううん。私は女の子だよ」と青葉。
 
入学式では各クラス単位、男女別に並んだが青葉はちゃっかり女子の列に並んで入学式の会場である体育館に入っていった。名簿は男子のほうに入れられていて男子の並びで「川上青葉」と担任の先生から名前が呼ばれたが、女子の列の中から「はい」と答える。みんなどこから声がしているかは、あまり注意していないので別にそれで咎められたりすることもなかった。ただ、青葉の近くに並んでいて、青葉のことを知らない子は「え?」と思ったようであった。
 
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入学式の式典が終わり、体育館から退場する時、PTAの人から新入生へのプレゼントということで鉛筆が配られた。男の子は仮面ライダーの鉛筆、女の子にはプリキュアの鉛筆だったが、青葉にはプリキュアの鉛筆が渡された。結果的にPTAの人は予定より1組多くプリキュアの鉛筆を配り、予定より1組少なく仮面ライダーの鉛筆を配った筈だが、鉛筆は余裕をもって用意していたので、過不足には気付かなかったようであった。
 
教室では男女互い違いに列が作られていて、青葉は男子の列の左端2番目だった。早紀は女子の列左端3番目で、青葉の隣には咲良という子が座っていた。
 
「なんで、女子なのにそのれつにならんでるの?」
と咲良が尋ねると、後ろの席から早紀が
「ああ、あおばは男の子みたいな女の子だから、男の子あつかいされちゃうんだよ」
と、良く分からない説明をする。すると咲良は
「へー。なんかすごくげんきなのかな?」
などと良く分からないまま返事をした。
 
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「ああ、げんきだよね。かけっこもはやいし、およぐのもうまいよ」と早紀。「わあ、いいなあ。わたし、かけっこおそくて。でもいっしょにあそぼ」と咲良。「うんうん、遊ぼ」と青葉も笑顔で答えた。
 
担任の先生から色々お話があった後、休み時間になる。何となく咲良・早紀と誘い合ってトイレに行った。青葉が女子トイレに入って来たのを見て、幼稚園からの友人たちが一瞬顔を見合わせたが
「あおばちゃん、女の子だもんね」
「うん。だからこっちでいいよね」
などと言い合っていた。事情が分かっていない咲良がその会話を聞いて、キョトンとしていた。
 

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入学式の日は先生のお話、教科書の配布などだけで、翌日から授業が始まる。青葉たちの担任はまだ大学を出てから3年目の若い男の先生で1年生を担任するのは初めてということで結構緊張していた感じであった。それで昨日は青葉が男の子の列に並んでいることに目が行っていなかったのだが、さすがに翌日は気付いてしまう。
 
「あれ。川上・・・さんだよね?」
「ええ。私は女子ですけど」
「ごめんごめん。僕間違って男子の列に並べてたよ」
「あ、別に机の位置はぜんぜん構いません」
「ほんと? 机の位置をずらすと、みんなずれちゃうしね。じゃ名簿の方だけ直しておくね。出席番号は来週直すから」
 
と言って担任の先生は、青葉の名前を男子の並びから消して女子の並びの、咲良の前に挿入した(咲良の苗字は菊池なので、川上の後になる)。その日は金曜日だったので、先生は出席番号をずらしたり靴箱の名前を貼り替える作業は月曜日にしようと思った。
 
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青葉は出席番号が2番であった。このクラスは男子10人、女子9人で、男子が出席番号1〜10, 女子が11〜19だったので、男子2番の青葉を女子の11番に移動すると、男子の3〜10番と女子の先頭の合計9人を移動することになる。
 
その日は3時間目に体育があった。1年生なので男女同じ部屋で体操服に着替えるが、男子は窓際、女子は廊下側に寄って着替える。青葉は当然ほかの女子と一緒に廊下側の方で着替えた。
 
「あおばちゃん、ズボンはいていても、パンツは女の子パンツなんだね」
「うん。私女の子だもん」
と言って青葉は笑顔で答える。その日青葉はキティちゃんもどきの猫キャラのショーツを穿いていた。むろんショーツに「盛り上がり」ができるような穿き方はしていない。
 
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その日の体育では「ケイドロ」をした。男子と女子に別れ、最初は男子が警察、女子が泥棒役になって体育館内で鬼ごっこする。男子の方がだいたい足が速いので、ほとんどの子がさっさと捕まってしまうが、青葉は足が速いのでなかなか捕まらない。何度か捕まっている女子にタッチして解放して警察役の男子たちを苦しめたが、最後は数人で取り囲まれて捕まってしまった。
 
後半は男子が泥棒、女子が警察になる。前半のプレイを見て、頭の良い登夜香が作戦を考えて女子全員に伝える。足の速さでは男子にかなわないので、守備組と逮捕組に別れて、逮捕組は数人で囲んでひとりずつ掴まえようという方法である。
 
守備組は青葉をリーダーとする3人、逮捕組は登夜香をリーダーとする7人とし、それで男子はひとりずつ着実に掴まえられて行ったが、最後すばしっこい男の子2人がなかなか捕まらない。そこで疲れてきた逮捕組のうち登夜香と早紀を除く5人が守備組になり、守備組にいて比較的体力を使っていない3人と登夜香・早紀の5人で新逮捕組を作る。その後は俊足の青葉がうまく追い詰め、全員で取り囲んで、何とか残る2人を捕まえた。
 
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そういう訳でその日の勝負は男女とも全員逮捕されて引き分けになった。
 
青葉が女子チームで活躍した件について男子たちは
「まあ、もともと男子がゆうりだし、ハンディということでいいな」
などと言っていた。
 

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月曜日。その日は1時間目から1年生の身体測定が行われるということだった。1年生39人全員が男子は理科室、女子は保健室に集められる。青葉は当然のような顔をして、ほかの女子と一緒に保健室に行く。
 
そして担任の先生はその間に靴箱の名前を貼り替えようと、生徒玄関に行った。新たにプリントした生徒の名前のシール、そして既に貼っているシールを剥がす道具を持って行き、作業を始めて少ししたところで教頭が通りかかった。
 
「先生、何をなさってるんですか?」と教頭。
「いえ、実は女子の1人が誤って男子の方に入っていたんですよ。名簿は修正したのですが、出席番号がずれてしまうので、靴箱を直そうと」
「あら、それは大変でしたね。何という児童ですか?」
「川上青葉ちゃんというのですが」
「へー」
 
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と言って教頭は行ってしまったが、すぐに戻って来た。
 
「先生、念のため確認しましたが、川上青葉は男子ですよ」
「え? でも女の子でしたよ」
「じゃ、市から来た書類を見てみてください」
 
それで教頭と一緒に職員室に戻る。市から送られて来ているリストを見ると確かに川上青葉は性別・男になっている。
「どうなってるんでしょう?」
などと言っていた時、たまたま事情を知っていたひとりの先生が声を掛けた。
 
「川上青葉ちゃんでしょ? あの子、実態はほとんど女の子ですけど、戸籍上は男の子なんですよ」
と説明する。この先生の娘が青葉と同じ幼稚園に通っていたのである。
 
「えー!?」
「どうしましょ?」
「青葉ちゃんの取り扱いについては、一度話し合った方がいいかもですね」
とその先生。
 
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その頃、青葉は他の女子と一緒に保健室で身体測定を受けていた。1組の女子から測定されるので、その間、青葉たち2組の女子はまだ服も脱がずにおしゃべりしていた。
 
やがて2組の番になる。みんな服を脱いでパンツだけになってしまうが、青葉は他の子の視線が来るのを感じる。青葉はその視線に気付かないかのようにふつうにパンツだけになってしまったが、穿いているパンツは今日はミニーマウスもどきのハート柄の可愛いパンティ。特におちんちんの形が見えたりもしないので、ふつうに女の子の下着姿である。
 
「アレは付いてないの?」と訊かれるが
「ふふふ。どうかな」と青葉は曖昧に返事をする。
 
担任の先生が青葉を女の子と思い込んで身体測定票も女子の方に入れていたので、ふつうに2番目に呼ばれて身長と体重を測られた。
 
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「身長105cm, 体重16kg, 胸囲49.8cm。体重少し軽いね。御飯ちゃんと食べてる?」
「はい」
「嫌いなものとかは無い?」
「ええ、何でも食べます」
「お肉とかお魚も食べてる?」
「はい、出たら食べます」
 
と青葉は答えたが内心、お肉やお魚が出ることがあったらね、などと思った。その件は2つ後ろの順番で聞いていた早紀からも突っ込まれた。
 
「あおば、おにくとかおさかなとかでる?」
「そうだなあ。月に1〜2回かな」
「たいへんね。でもきゅうしょくにはきっと、おさかなやおにくでるよ」
「うん、ちょっとそれ楽しみ」
 
金曜日にも給食にミートボールが出て、青葉は半月ぶりくらいのタンパク質だったので、味わって食べたのであった。
 
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服を着て教室に戻ると、担任の先生からちょっと職員室に一緒に来るように言われる。そして職員室で訊かれた。
 
「ごめん、もういちど教えて。川上さんって、男の子なんだっけ? 女の子なんだっけ?」
「私は自分では女の子のつもりでいます」
と青葉はしっかりとした口調で答えた。
 
どうも親と話し合った方が良さそうだということになり、母が呼ばれる。母の勤め先に連絡が行き、母が仕事先を抜け出して学校に来てくれた。しかし母は明確に言った。
 
「この子は女の子ですけど」と礼子。
「えっと、それでは市から来た書類が間違っていたのかな」
「そうですね。戸籍にも間違って男と記載されてるみたいですけどね」
 
先生たちが顔を見合わせる。
 
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「では青葉ちゃんは、医学的にも女の子なのでしょうか?」
「ああ、この子はその内赤ちゃん産むと思いますよ」
「えーっと、それでしたら病院に行って、青葉ちゃんが女の子であるという診断書を取って来ていただけないでしょうか? それで学籍簿上の性別を修正しますので」と教頭が言う。
 
「親が女の子だと言っているのに信用しないんですか?」
「第三者の確認が欲しいのですが」
 
すると青葉が口を開いた。
「いいよ、お母さん。私、男の子扱いでも」
「あんたそれでいいの?」
「うん。ありがとう。私のこと女の子だと言ってくれて嬉しかった」
 
青葉自身が妥協したことで、青葉は一応男の子として扱われることになった。それで名簿は再び男子の2番に戻され、靴箱も元通りに復元された。
 
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その青葉が女子トイレを使っていることに気付いて、担任の先生が注意した。
 
「川上君、君は男の子だから、男子トイレを使ってくれる?」
「あ、はい」
 
と青葉は素直に従う。自分で男の子扱いでいいと言ってしまったので仕方無い。
 
それで青葉が男子トイレを使っていたら、たちまち同学年の男子から苦情が寄せられた。
 
「せんせい、川上に男子べんつかわせないでください」
「どうしたの?」
 
「おれ、さっきトイレにいって、かみのながい子が中にいたから、てっきりまちがって女子べんにはいっちゃったかとおもって」
「うん?」
「『ごめん、まちがった』といってとびだして、はんたいがわのトイレにはいったら、そちらが女子べんで、キャーって女の子からひめい上げられて」
「ああ・・・・」
 
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この手の苦情が3日の内に8件も担任の先生の所に来たのである。
 
加えて青葉の友人の女子たちが数人で「陳情」に来た。代表は登夜香だった。
 
「せんせい、あおばはようちえんでもふつうに女子として女子べんつかってました。そもそもあおばってほとんど女の子だから、男子べんつかわせるのかわいそうです。ふつうに女子べんつかわせてあげてください」
「うーん・・・・」
 

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