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■春進(6)
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新学期、椎羅は他の女子と一緒に身体測定を受け、また、レントゲン、心電図も受けた。検査はひとりずつではあるが、前後の子とはお互いに上半身の裸を見ることになる。どきどきしたが、女性の裸はプールの更衣室でも見てるし、何とか平常心で乗り切った。
しかし前後の子に上半身のヌードを見られたことから「椎羅ちゃん間違い無く女の子になってる」という情報が女子の間に伝搬していた。
樹音も女子と一緒に身体測定を受けたが平常心だった。そもそも彼は多くの子から普通の女子と思われている。レントゲンも普通に受けた。前後の子に上半身の裸を見られても平気である。彼は5年生頃から女性ホルモンを飲んでいたので、ある程度のバストが発達している。
礼音も身体測定を女子と一緒に受けたが、この学校は着衣で測定するのでほっとした。心電図、レントゲンも女子と一緒に受けたが、心電図はカーテンの向こうで上半身裸になるし、レントゲンも撮影室の中に入ってから服を脱ぐので、他の子に裸を曝す必要は無く、無難に受けた。
しかし礼音が女子の並びで検査を受け、技師さんから“何も言われなかった”ことから『ひょっとしてレッシー、おっぱい本当にあるのでは』という疑惑が女子の間では囁かれていた。
「ネットでも、きららちゃんのおっぱいは本物っぽいという意見が多い」
「触った感じも造り物とは思えない」
「レッシーって手を握った感じも女の子と同じような感じだよ」
「女性ホルモン飲んでるのかもね」
4月13日(土)、真珠と邦生は結婚2周年だった。邦生はまた1日だけ睾丸を復活させてもらったが、真珠は生セックスの代わりに精液の保存をしようと提案した。
「まこ、まだ生理再開してないよな?」
それで産婦人科に行って精液の保存をしてもらった。
4月下旬、礼音たちの学校では歩行大会が行われた。約20kmのコースを朝9時に出発して夕方までに歩ければよいということだったが、礼音は日頃から鍛えているので3時間半ほどで戻って来た。この程度の時間で戻ってこられたのは、だいたい運動部の子たちだった。
「きららちゃん、さすが山ガール」
などと彼らは言っていた。三国舜も4時間ちょっとで戻って来た。毎日4km走っている効果だ。でも彼は礼音に負けたのを悔しがっていた。
「女の子に負けてしまった」
「ぼくは男の子だよ」
「そういうジョークはやめといて」
ぼくが男の子だってのはジョークなの?
俊美の会社で4月下旬に起きた強盗未遂事件の後で、社長が総務部長に尋ねた。
「立石君だけど、9月に出産予定ということだけど、なんで産休の予定が7月27日からになってるの?」
「それは入社前に、うっかり妊娠してしまったのでフルに産休をもらうのは申し訳無いと言って本人が自主的に一部返上したんですよ」
「しかし大きなお腹で勤務していて何かあったら会社の責任になるよ。産休は権利ではなく義務だよ。規定通り休ませなさい」
「分かりました」
それで俊美の産休は会社の規定通り予定日の3ヶ月前から出産日の3ヶ月後までになったのである!
4月19日(日)の霊界探訪では、ネタが無いし、金沢ドイルも時間が取れないので、各地の桜レポート、能登半島の復旧状況、などをレポートした。
また遙佳と舞花が富山から高岡に移動したことも報告した。
また、“立山きらら”が、女物の浴衣を着て“びんざさら”を持ち“こきりこ”を踊るという、貴重な映像を公開した。これは昨年、煌がまだそれほどの人気は無かった時期に撮影されたもので、§§ミュージックとの約束で1年以上経ってから公開することになっていたものである。結果的にはお宝映像になった。
4月26日(金)、礼音は学校を休んで朝から熊本に向かった。宮下さんと一緒に、熊谷から最近使用頻度の高いhonda-jet
goldに乗って熊本空港に向かう。熊本空港で、金沢から来た、〒〒テレビの取材班、千里さん・明恵さん・希望さんと合流する。
そして阿蘇外輪山に連なる鞍岳(くらだけ 1119m)に向かう。ここは山のかなり上のほうまで車で行ける。
(熊本県には“倉岳”という山 682m もあり紛らわしい)
山頂第1駐車場に車を駐め、装備を確認して登山口から登り始める。途中の様子は、宮下さん、明恵さん、希望さんが撮影していた。全員が入った図も小杉ちゃんが撮影していた。ドローンによる空撮もしていた。
ほんの20分ほどで山頂に達し、眺望を楽しんだ。登山の後は車で菊池温泉に移動し、千里さん、希望さん、明恵さんと一緒に温泉にはいった。菊池温泉でそのまま一泊し、翌日土曜日は熊本城でサイン会とミニライブをおこなった。九州の信濃町ガールズたちがバックで踊ってくれた。
熊本市内で一泊した後、28日(日)、熊本空港から鹿児島空港へ移動する。ここで、いったん宮下さんと分かれ、山村マネージャー及び友人の南田さんという兄弟?(正確には従兄弟だと言っていた)と合流する。ワゴン車で1時間弱走り、高千穂峰(たかちほのみね 1573m) の登山口である、霧島市の高千穂河原ビジターセンター(六合目)に移動する。車に乗ったのは下記である。
広中礼音
村山千里、沢口明恵、水野希望
山村勾美、南田令明、南田追風
以上7名
装備を確認の上、登山口から登り始める。全員今回わざわざ買い直した新品のトレッキングシューズを履いているし、トレッキングポール(ストック)も両手に持っている。ここは上のほうは風が強く、強い突風が吹くと、滑落の危険もある。
それで、千里さんと山村さん、および南田兄弟で外周を堅め、明恵さん・希望さんも礼音に密着するようにして7人が団子のようにくっついて登った。今回はドローンによる空撮もしなかった。
今回宮下さんに遠慮してもらったのは、体力的には宮下さんでも登れるだろうが、実は宮下さんまでは守り切れないからである。
時々休憩を取りながら3時間以上掛けて、高千穂峰の頂上に到達する。
「あれが天逆鉾(あめのさかほこ)ですか」
「不思議な光景だね」
煌と逆鉾がはいるように、希望が記念写真を撮った。また礼音・希望・明恵・千里さんが入った絵も小杉ちゃんが撮影した。
神話時代、天照大神の孫・迩迩芸命(ににぎのみこと)が天からこの地に降臨した時、持っていた鉾をここに刺したのだという。鉾は本来、刃を上に置くものだが、刃が下向きに地面に刺さっているので逆鉾(さかほこ)という。
いつ頃からここに刺さっているのかは不明だが、17世紀には既にあったようである。元の物は度重なる噴火の影響で折れてしまい、現在のものはその後復元されたもの。青銅製といわれる。
頂上付近に30分くらい滞在した。40代のご夫婦が登ってきたので、希望が記念写真を撮ってあげた。そのあと下山した。
その日は近くの温泉に泊まった。礼音はこの日も、千里さん・明恵さん・希望さんと一緒に温泉に入ったが、ぼくってしばらく女湯にしかはいってない気がした。というか男湯に最後にはいったのいつだろう・・・・・と考えてみたのだが分からない!
中学の修学旅行は女湯にはいってしまったが、小学校の宿泊体験でも女湯に入ってるし。。。。。。ぼくそもそも男湯にはいったことあるんだっけ??小さい頃はいつもお母さんと一緒に女湯に入ってたし。
ぼく男湯にはいったこと無かったりして!?
小学5年生(2019)の宿泊体験の時、県内の温泉地に泊まり、夕方、お風呂に行こうということになったが、礼音は同室の男の子たちから仲間外れにされた。
「女と一緒に風呂にははいれん」
「広中さんは女子と一緒にはいるように」
などと言われる。それで彼らと少し時間をずらし、ひとりで浴場に向かう。途中で女子の集団と一緒になる。
「レンちゃん、お風呂行くの?」
「うん」
「じゃ一緒に行こうよ」
「うん」
男子たちに仲間外れにされた後だったので、一緒に行ってくれるというのが嬉しかった。それで一緒に向かう。地下まで降りて、男湯と女湯の別れるところで
「じゃまた後で」
と言う。
「こらどこに行く」
「どこって男湯に」
「小学生の混浴はだめだよ」
「ちゃんと女湯にはいらなきゃ」
と言われて、礼音は女子たちに拘束され、そのまま女湯脱衣場に連行されてしまった。
女湯脱衣場の入口には女性の仲居さんが座っていたが、礼音を見ても何も言わず、バスタオルと浴衣をくれた。
(きっと男湯にはいろうとしても追い出されていたね)
それで礼音は「まずいよー」と思いながらも女湯の脱衣場にはいってしまったのである。トモちゃんが
「大丈夫だよ。変にはずかしがったりせずに普通にしてたら、誰も騒がないから」
と言った。そうかも知れない気がした。
それで他の子と並びのロッカーを開けて服を脱ぐ。
「レンちゃん昔からパンツはショーツだよね」
「ぼくブリーフとかボクサーとか穿いたことない」
女子たちが何だか頷き合ってる。それで全部脱いだが、トモちゃんとユリちゃんが
「私たちの間にはいって」
と言って前後に立ってくれたお陰で、浴室は結構人がいたのに。特に騒ぎにもならず、中にはいることができた。洗い場もそのふたりの間に座った。そして髪を洗い、身体を洗った。彼女たちと一緒に浴槽に入る。
「ね?別に騒ぎにはならないでしょ?」
「今のところはね。明日の新聞に『女湯に侵入した男を逮捕』とか出たりして」
「その時はみんなで助命嘆願書出してあげるから」
「助命ってぼく死刑になるの?」
「そりゃ女湯をのぞくなんて男は死刑でよい」
「こわ〜!」
「でもレンちゃんは女の子だから当然女湯にはいってよい」
「というか女湯にはいらないといけないよね」
10分ほど浸かって一緒にあがって身体を拭き浴衣を着た。緑色の浴衣だった。部屋に戻り、夕食に行った。夕食では一人用のお膳に土鍋、天麩羅の盛り合わせ、茶碗蒸し、ひじきの煮物の小皿、ごはんに味噌汁が載っていたが、アイスクリームも配られたので、最初にそれを食べた。
アイスクリームは配られた人と配られなかった人が居た(北陸方言で言えば「当たった人と当たらなかった人が居た」)。ひとり尋ねたら「アイスクリームは女性の方へのサービスとなっております」ということだった。女子たちが「もうけもうけ」と言っていたが、ぼくももらってよかったのかな、と礼音は思った。
なお麻生ルミナは別の学校だったのでこの事件は知らない。また翌年の修学旅行はコロナのため中止になった。
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