[携帯Top] [文字サイズ]
■春五(4)
[*
前p 0
目次 #
次p]
「うちの会社はノルウェーにもたくさん森林を持ってるんですが、とても人間が歩いて到達できない険しい森が多いんですよ。そこにヘリコプターでスタッフを送り込んで切った木はドローンで運び出してるんです」
「凄いことしてますね」
「登山の経験者とかをスカウトしてます」
「なるほどー」
「だから1番大きなドローンは300-400kgくらい運べますよ」
「それだけ載ったら大抵の物は運べますね」
「必要ならこちらで使ってる大型のドローンもお貸ししますから」
「では何かの時はお願いします」
「しかし村山社長ご自身がヘリコプターの免許をお持ちなんですね」
「高校時代、自分ちの山から竹を切り出してヘリで運んで竹刀とか笛の製作所に売ってたんですよ。それでたくさんヘリにも同乗したからそのとき、操縦も教えてもらって覚えたんですよね。免許取るのは改めてスクールに通いましたが」
「凄いですね」
「だから今は檜とかヒバを主として売ってますが元は竹の販売で事業を始めたんですよ」
「へー。じゃ、じゃお父さんとかから受け継いだのではなく、社長が1代で始めた事業ですか」
「ええ。父は北海道で漁船に乗ってたんです」
「おぉ」
「でもニシンもスケソウダラも日本の領海では全然穫れなくなって」
「ああ。昔は凄かったみたいですね」
「ええ。ソーラン節の時代は久しいです」
マネーゲームなどの虚業ではなく実の業務で伸びてきた人とは付き合って損はないと山川は思った。
もっとも現在の千里の資産の大半は仮想通貨で得た物である!!(その元手は作曲で稼いだ。でも竹・木材の販売や様々な養殖・牧場などの事業でも数億円稼いでるから山川の見解も正しい)
お昼は南砺市長と一緒に食べ1時間ほど対談した。南砺市長からは早く事業化してほしいという要望があった。ドローンによる処方薬配送の前提となるリモート診断についても早く出来るように厚生労働省と交渉し、政府の認可が取れたら条例などの対応も含めて検討すると言っていた。
こういう医療空白地区では厚労省もわりと認可してくれるのではと月子たちも思った。
午後からは砺波・小矢部市・津幡町・かほく市・宝達志水町・高岡市・氷見市の各市長・町長と対談した、氷見市長と対談したあと氷見飛行場に行く。ここでムーランの山吹若葉社長と会う。山吹社長は自分の専用ヘリにこちらの社長を誘い、一緒に東京までフライトした。機内でムーランの食事が提供される。このフライトにはムーラン津幡の白石さん、こちらの佐藤と水川が同行した。若葉が「私はお金が余って困っているので減るように減るようにお金を使うんですが何故か増えて仕舞うんです」
という意見には苦笑していた。
「ムーランエアーとか赤字しかありえないと思ったのに黒字だし」
「運がいいですね」
旅客業はしない航空会社という今までに無かった事業形態で経済誌に取り上げられていたがコロナのせいでチャーター便の需要が大きかったのと産直の農産物・漁獲物の輸送でかなり稼ぎ、またドローンの発着料でかなり稼いだと聞いた。やはりこれからはドローンの時代だ、と山川は思う。
「あけぼのテレビなんて絶対凄い赤字になると思ったのに物凄い利益が出てるんです」
「ああ、あそこは凄い」
映画が何本も当たったしなと山川は思った。でも確かにネットテレビは今までの殆どが事業的には失敗していたのに。山吹さんはユニークな経営者だが運のいい経営者だと思った。運のいい人は魅力的だ。それにムーランの資産が凄いから組む側は安心だ。たとえ合弁事業が失敗しても、こちらまで累禍が及ばない。
また山吹さんも村山さんも人脈が凄いようだ。それがこの人たちの財産なのだろう、と山川は思った。どちらも個人的なコネを活用して海外から食品などを輸入しているようだ。
佐藤部長などは「お金を減らしたいのに増えて困る」という話を呆れて聞いていたが、水川は憧れの目で若葉を見ていた。
白石と水川は翌17日の新幹線でこちらに戻った。
しかし密度の高い数日間だった。
水川が東京に行っていた16日の夕方、月子はwing linerの東西線に試乗して富山県東部から金沢まで往復してみた。
富山−高岡は30分の予定が実際には40分掛かった。やはりレールの上を走るのでは無いから正確な運行にはならないのかな?とも思い、ムーラン運輸の人に尋ねてみたら
「所要時間はあくまで目安ということでお願いします」
ということだった。
「正確な運行をお求めでしたら、あいの風とやま鉄道のご利用を」
ということらしい
「まあ10分や20分遅れても大勢に影響はないかもですね」
と月子も言っておいた。
日本人は細かすぎるよね!
吉川日和(入瀬コルネ)は2月11-12日(土日)にはH南高校女子バスケット部のメンバーとして長野県の安曇野市・長野市に行き、新人戦の北信越大会に出場。3位という好成績を得た。しかも三位決定戦で日和自身が決勝点を入れた。
13日月曜日朝は全体集会で女子バスケ部全員が体育館のステージに昇り、全校生徒から祝福を受けた。
同じ13日の午後、真珠は明恵に能登空港まで送ってもらい、千里のホンダジェットで郷愁飛行場まで飛ぶ。それからSCCの車で移動し、世田谷区某所で行われた“予行練習”を見学した。またその様子を持参したハンディカメラで撮影した。そのあと予行練習に参加していた鈴江月子と一緒に世田谷区内のホテルに向かい(別の部屋に)宿泊した。
翌朝(2/14) 月子と一緒に朝食をとり、放送局の車で昨日予行練習した神田あきらの家に行き“本番”の様子を見学・撮影した。その後は月子や『不思議探訪』のスタッフも一緒に郷愁村に移動。し、千里のホンダジェットに関東不思議探訪の取材班と一緒に乗り能登空港までフライト。この日は朱雀林業輪島支店に泊まった。谷崎潤子が豪華なパイロット宿舎に入り感激している様子も撮影した。
日和は14日の放課後、明恵が車で生徒玄関まで迎えにきてくれたのに乗り、氷見飛行場まで行き、またもやエキュレスユ2で東京に移動。バレンタイン特集のドラマに出ると共にまた妹のホルンや紺青セイラと一緒に川泉パフェちゃんの歌の伴奏をした。。
その後は車で郷愁村まで送ってもらいホテル富士に宿泊。(マネーシャー同泊:でないと起きれない)2/15早朝エキュユ2で氷見飛行場へフライトする。そして明恵の車で学校に送ってもらい、2/15の授業に出た。
「こんなタイトなスケジュールで移動するって、ぼくまるで人気タレントみたい」
と日和は思った。
今回、真珠は13-14日に、日和は14-15日に空路で東京往復したが両者の軌跡はクロスしてない。
と
[*
前p 0
目次 #
次p]
春五(4)