広告:まりあ†ほりっく6(MFコミックス)
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■クロスロード1(2)

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「明日は釜石から始めて、大船渡まで全12ヶ所か・・・・」とベッドの中で千里が言った。今夜はホテル泊まりだが、例によって千里と桃香は同室にしてもらっている。
「相変わらずハードだよね、この仕事」
そばで桃香が言う。
 
「うんうん」
「でも最近私さ」
「なあに?」
桃香は少し甘えるような声で聞いた。実は桃香はさきほどから千里に身体をピタリと付けて千里の乳首を弄んでいた。
 
「私、自分が男の子として暮らしていた頃のこと忘れちゃった」
「千里はずっと女の子だよ」
「1年前はバイト先で女子の制服着てる以外は男の子だった気がするんだけど」
「千里は男の子の服着たって、女の子に見えてたよ」
「そ、そう?」
 
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「ね、今夜はHしようよ。私が男役でも千里が男役でもいいよ」
「えーっと、また今度ね」
「ね、乳首なめてもいい?」
「うーん、まいっか」
「千里のおっぱい最近かなり大きくなってきたから触りがいがある」
「青葉のおかげだけどね。あの子の魔法、ほんとに効くんだね」
 

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それはもう日曜日の夕方であった。その避難所に千里たちのキッチンカーが到着した時、トラックを停めて救援物資っぽいものをおろしている女性2人組がいた。27-28歳くらいと18-19歳くらいだろうか。
 
「こんにちは、ボランティアの方ですか?お疲れ様です」
チームリーダーの亜衣華が挨拶した。最近は各避難所で様々なボランティアのグループとかち合う。
「こんにちは。炊き出し活動ですか!お疲れ様です」
と淳が亜衣華に挨拶した。
「もしよかったら、お食事なさいませんか?ボランティアの人達にも積極的にお食事を提供するように言われているので。お食事だけでなくケーキセットなどもありますが」
「いや、一応自分達の食事は持参しているので」と淳が言ったが、「せっかくだから頂いて行こうよ、私ケーキセット食べたい」と和実が言うのでそれではということになり、荷降ろしが終わってから、頂くことにした。
 
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避難所の責任者の人が来て、今避難所の人たちの散髪・洗髪をする美容師さんたちのグループも来ているので、その人たちにも食事あるいはデザートを提供してもらってもいいかと尋ねる。もちろんです、ということで、その人達や、あまり動けない人たちのために注文票を1冊渡した。
 
あきらがひとりの中年女性の散髪を終え、シャンプー担当の人と交替して、次の人に声を掛けようとしたら、その70代くらいの女性は白い千早に緋袴の巫女衣装を着たふたりの女性と話していた。1人は45歳くらい、1人はまだ中学生くらいである。
「あ、散髪どうしましょう?お取り込み中なら、また後で回ってきましょうか?」
 
「あ、散髪お願いします。そのままお話聞きますから」とその中学生くらいのほうの巫女さん?が言ったので、あきらは「では失礼します」と言い、クロスをそのおばあちゃんに掛けて、はさみを消毒薬で拭いてから、「髪、どのあたりで切りましょうか?」と尋ねた。
 
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「そういう訳で、あまり色々しゃべる人じゃなかったけど、心の優しさを感じる人でね。地震の起きる、ほんの10日ばかり前なんか・・・・」
などと、おばあちゃんはどうも行方不明のままの夫のことを巫女さん2人に話しているようである。あきらは最初40代のほうの人が主で中学生のほうはその娘さんか何かで助手を務めているのかとばかり思っていたが、髪を切りながら様子を見ていて、主は中学生の子の方だというのに気付いた。時々鋭い質問をして
「ええ、そうなんです!そういう人だったんですよ。よくおわかりですね」
などと、おばあちゃんは言っている。その中学生の子はおばあちゃんの手をずっと握っていた。
 
そこに避難所の管理者の人がまわってきた。炊き出しのサービスが来ているのでということで、おばあちゃんの分、それにあきらの分の注文を取る。「あ、私はボランティアですから」とあきらは言ったが、ボランティアさんたちにもお配りできますから、というのであきらはスパゲティを頼んだ。巫女さん2人にも声を掛けたが「この仕事している間は何も食べてはいけないので」と言って断っていた。
 
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おばあちゃんの話は長く、昔の思い出話などもたくさん出てきたが、やっと落ち着いた感じのところで、中学生の巫女さんが「では霊査してみますね」
と言って、目をつぶり手を組んで瞑想でもするような姿勢を取った時であった。
 
「みなさーん、元気ですか!」
という大きな声があった。
 
ここは体育館なのであるが、そのステージの上に、ギターなど楽器を持った4人組があがっていた。
「疲れているみなさんの心にオアシスを!ひとときの音楽を提供しに来ました!」
などと言っている。
 
巫女さん2人は顔を見合わせている。
「この人たちのステージが終わってから霊査しますね」と中学生の巫女さんが諦めたように言った。
 
バンドは、アコスティックギター、コントラバス、アコーディオンとボーカルという構成だった。電気を使えない被災地で演奏するとなるとこんな楽器の構成にならざるを得ないかもとあきらは思った。アコーディオンの人は普段は電子キーボードなのかな、などとも思う。
 
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ボーカルの女の子はよく通る声で、マイク無しできれいに会場に声を響かせていた。いきなりAKB48の「ヤンキーソウル」で会場を盛り上げる。会場のあちこちから手拍子が起きていた。「やるっきゃない」という歌詞を「頑張るっきゃない」
と変えて歌っていた。
 
中学生の巫女さんが真剣な目でその子を見ている。時々大きく頷くような様子をする。『この子も歌がうまいのかな?』とあきらは思った。
 
AKBの曲が終わったあと、リクエストありませんか?などと聞くと、いきなり「北の宿から」と声が飛んだ。中学生の巫女さんが吹き出す。さっきのおばあちゃんの話を聞いていた時の感じは熟練したカウンセラーを思わせたが、こうしているとふつうの中学生だ。バンドはベースの人の合図で「北の宿から」を歌い出す。ボーカルの子は基本的にポップシンガーという雰囲気だが、演歌の小節もちゃんと歌える。こういうリクエスト方式のイベントをかなり経験しているのだろうか。
 
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「北の宿から」の次のリクエストは「斎太郎節」だ。中学生の巫女さんは笑っている。あきらもつられて少し笑った。きっとバンドは最近のポップス系のヒット曲など仕込んで来ていたのだろうにと、あきらは思う。
 
「斎太郎節」のリクエストに、バンドはベースの人がコントラバスのボディを太鼓代わりに叩いて、ボーカルの子が「まつしま〜〜〜のサーヨ〜」と歌い出した。ポルタメントが綺麗だし、きちんと民謡の発声と音程になっているのが凄いとあきらは思った。西洋音楽やっている人は民謡も西洋音楽のピッチで歌ってしまいがちな人が多いのだが。。。このボーカルの子は、物凄く器用な子だ。
 
あきらはちょうどおばあさんの髪を切り終えたので、落ちた髪の毛をホウキで掃除し、次の人のところに移ろうとしたら、そこに「お食事どうぞ」といって炊き出しの人がプレートを2つ持ってきた。物凄く可愛い制服?を着ている。「こちら鳥畑様の分、こちら浜田様の分です」と言う。
「あ、ありがとうございます」あきらがプレートを受け取った時、中学生の巫女さんがプレートを持ってきた炊き出しの女性に手を振った。
 
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「青葉!こんなところで何してるの?」
「何って仕事。奇遇だね、ちー姉」
「あら、青葉ちゃんの新しいお姉さんですか?初めまして佐竹と申します」
と40代のほうの巫女さんが挨拶した。
「あ、こちらこそ青葉が色々お世話になっているようで。青葉の姉のひとりです。もうひとりも来ているので、後でこちらに来させますね」
あきらは状況が読めなかったが、何か面白い遭遇が起きているようだと思い、彼女らの会話を聞いていた。
 
青葉が「でも奇遇といえばさ、これ凄い偶然ですよね、美容師さん」とあきらの方に話しかける。
「え?何か?」
「これだけ1ヶ所に、MTFが集まるのも凄いなと思って。しかもみんな
パス度が凄く高い人ばかり」
あきらはギクっとした。え?そんなこというこの子も?まさか?
 
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「私でしょ、ちー姉でしょ、美容師さんでしょ、そしてあのステージの女の子」
「え?」とあきらと、千里が同時に声を上げた。
「あなたもMTFでした?」と千里とあきらが同時に言う。
「全然気付きませんでした」「私も全然分からなかった」
「でステージの子もMTFだと思うの?」
「私には一目で分かったよ」
 
リクエストに「ふたりの愛ランド」という声が掛かった。ボーカルの子とベースの人が顔を見合わせている。
「さては、うちのバンドのレパートリーを知ってるな?」とその子は言い前奏に続いて歌い出した。
この曲はデュエット曲だが、最初は女性パートから始まる。その子はそのパートを今まで通りのきれいな女声で歌ったかと思うと、その次の男性パートを何と男声で歌う。会場のあちこちからどよめきが聞こえた。
 
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青葉がニヤニヤしてる。「すごい。『両声類』だね。私は男声が出ないから、これできないや。ちー姉は練習すればできるようになるよ。美容師さんも」
あきらと千里はステージのボーカルの子の巧みな発声に驚きつつ、青葉の解説を聞いていた。
 
「ね、美容師さん、お友達になりましょうよ」と青葉が言うので、あきらは自分の名刺に個人の携帯番号とメールアドレスを書き添えて渡した。千里と青葉も携帯の番号とメールアドレスをメモしてあきらに渡した。
 
そんなことをしていた時のことであった。「あ、来る。気をつけて!」と青葉が言った直後、大きな揺れが来た。千里はとっさにおばあさんをかばうようにしてしゃがみこんだ。
 
けっこう大きな余震だった。震度4以上はある感じだ。揺れはまもなく収まったが、揺れている最中にあちこちで物の壊れるような音がしていた。
 
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「みなさん、大丈夫ですから動かないで」という拡声器を使った声がする。避難所の人が被害状況をチェックにまわっているようだ。それでも何ヶ所かで子供の泣き声などがある。
 
和実と淳は避難所の入口近くでケーキセットを食べたあと、食器を戻して出ようかとしていたところだったが、すぐに避難所の職員に声を掛ける。「何かお手伝いできますか?」「すみません。中を見て回って怪我している人がいないか見てもらえますか」「はい」「和実、そっちから回って。私はこちらから行く」「うん」
 
和実が様子を見てまわっていた時、ふとその集団に目を留めた。おばあさんが1人、そのそばに巫女装束の親子?がいて、ファミレスの炊き出しの人がいて美容師の制服?を着た人がいる。最初はその微妙なまとまりの有るような無いような集団に目を留めてしまったのだが、よく見ると「え?え!?」
と思った。和実は思わず、そばによると、とりあえず
「あの、お怪我なさった方はありませんか?」と聞いた。
 
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「こちら大丈夫ですよ」と巫女装束の娘さん?のほうが答える。しかし彼女は続けて「あの、あなたもしかしてあれですよね」と聞いた。和実はそれを聞いて「え?まさか君も?美容師さんとウェイトレスさんは気付いたけど」
と和実は答えた。
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