広告:ここはグリーン・ウッド (第2巻) (白泉社文庫)
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■萌えいづる修学旅行(2)

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下鴨神社の参道を歩いていたら伊藤君が寄ってきた。
 
「この神社の名前って東北人には意味深だよな」
「それ言ったら神社冒涜罪で捕まるからね」と和実。
「そうつれなくするなよぉ。去年はバレンタインのチョコくれたのに」
「え?和実、伊藤君にチョコあげたの?」と梓。
「去年ね。でもあれは気の迷いだから」と和実は笑って答える。
「和実の趣味が分からなくなった」と奈津。
 
「今年は何でくれなかったんだよぉ?」
「今年は義理チョコはしなかったもん。でも本命にするような人もいないから親愛チョコと称して3人に渡した」
「おお」
「後は女の子の友だちに友チョコを少々配っただけ」
 
「でも、多分俺、同級生の中では最初に女装の工藤を見た部類じゃない?」
「うん。梓に見られたのより早かったもんね」
「へー」
 
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「よし。ホワイトデーに工藤にマシュマロを贈ろうかな」
「くれるものは、もらうけど」と和実は笑顔で答えた。
 

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えとの社のあたりを歩いていた時、女子のクラス委員の綾乃が梓を手招きしたので、梓がそちらに行った。和実は奈津・照葉と一緒に見学を続け、その後、バスが駐められている駐車場の方へ向かった。
 
バスが旅館の近くに着き、歩いてそちらに向かっている最中に和実は4組の担任の滝田先生に呼び止められた。そばに梓と綾乃も寄ってくる。
 
「あのね、工藤さん。あなたの部屋割りについて、小比類巻先生から相談を受けてね。私も状況把握ができてないものだから津川さん(綾乃)に相談して」と先生。「私も判断付かなかったから梓に相談して」と綾乃。
「私たちの部屋に入れてくださいと言ったから」と梓。
 
「そういう訳で、あなた男子の小野寺さんたちと同じ部屋に割り当ててあったんだけど、あなたがその格好で男子の部屋にいたら、いろいろ問題ありそうだし。下着も女の子のを着けてるんだよね?」
「はい。でも私は別に男子の部屋でも構いませんが」
「あなたが構わなくても同室の男子が目のやり場に困るよ」
「ああ、そうかも」
 
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「それで、平田さん(梓)たちの部屋に入ってもらえる?平田さんに聞いたけど、お正月にあなたたち温泉に行って一緒の部屋に泊まったのね」
「はい」
「その時も全然問題無かったというし、今回の部屋割りの平田さんたちの部屋って、その時一緒に泊まった子たちばかりなのね」
「そうなんです」と梓。
「分かりました。じゃ、梓たちの部屋にお邪魔させてもらいます」
「うん。じゃ、この件、そういうことにしたということで小比類巻先生と学年主任にも言っておくね」
「はい。ありがとうございます。ご配慮頂きまして」
「うん。楽しんでね」
「はい」
 
梓に連れられて部屋に向かう。
「梓たちの部屋って、他は誰々?」
「奈津、照葉、由紀。4人の予定だったところに和実を入れて5人」
「布団5つ敷けるのかな?」
「お正月は4つの布団に6人で寝たからね。今回は5人だから、もし4つしか敷けなかったとしても、あれよりは楽だよ」
 
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実際に行ってみると、お正月に泊まった旅館の部屋より広い感じである。
「あ、これなら布団5つ敷けるかもね」
「あれ、和実?」と奈津。
「うん。和実もこの部屋になったから」と梓。
「おお、解剖しちゃおう」
「えー?それこないだやったじゃん」
 
取り敢えず全員体操服に着替えてから、押し入れから布団を出して敷いてみる。少し悩んだが、3つの布団を川の字に敷き、その枕側に直交する向きに2つ1列に敷くと、多少重なり合うものの、何とか敷けることが分かった。全員中央に枕を向ける。
 
「この配置で決まりだね」
「誰がどこかな?」
「何となく和実が真ん中」
「私と奈津がその両隣かな」
「私と由紀が横に敷いた布団だよね」
「あ、自然に決まった」
 
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布団を敷いたままおしゃべりしていたところに滝田先生が巡回してきた。
「あ、きれいに布団敷けたね」
「はい。誰がどこに寝るかも自然に決まりました」
 
「だけど、ここは超進学部屋だね」
「え?」
「そうだよ。東大文1狙いの子がいるしね」と梓。
「東京理科大、東京外大、それに△△△が2人」と滝田先生。
「東京外大?」と和実が言うと、照葉がさっと手を挙げた。
「いつの間に志望校変えたの?」と奈津。
「いや、やはり挑戦する心を持たなきゃと思ってね」
「全員東京に行けたらいいね」
「うん。頑張ろうよ」と滝田先生は明るい笑顔で言った。
「自由時間にみんなで学問の神様、北野天満宮にお参りしてくるといいよ。ここから歩いて10分くらいだよ」
「あ、明日の朝、みんなでお参りに行こう」
 
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食事するのに大広間に行く。2年全員320人が収容できる大広間である。各クラスから当番が4〜5人ずつ出て、部屋の隅の配膳コーナーに用意された料理を運んできて、各自の前のお膳に並べていく。大人数で一斉に食事をするにしては結構暖かい食事を取ることができた。
 
「それでは今日の余興の担当は1組2組です」と生徒会長の松橋君がマイクの所で言う。この修学旅行は「拠点型」で、この旅館に4泊するのだが、日替わりで2クラスずつ余興をすることになっていた。
 
トップバッターで女の子2人が走ってステージに上がってきていきなり漫才を始める。事前にけっこう練習していたようで、テンポもよく、けっこう笑わせられた。その次は男の子が3人出て「空手の模範演技をします。全て寸止めです」
などと言いつつ、実際にはわざと全部当てている。
「あれ?大丈夫なの〜?」と奈津。
「あまり大丈夫ではない気がする」と和実。
 
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その後ステージに上がってきた女の子3人組は嵐の『truth』と『One Love』を歌って拍手を浴びていた。その後出て来た男女のペアは手品を始めて「おぉ!」
といった声を受けていた。その後もどんどん交替でステージに登るが、やはり歌を歌う組が多いようである。
 
「明日は私たちだよ。何する〜?」と梓。
「何も考えてなかった。和実は何か考えてた?」
「何も。無難に歌を歌おうか」
「よし。梓と和実で何か歌って。私と照葉と由紀、弥生、美春の5人でも何か歌うからさ」と奈津。
「私と和実がペアなの?」と梓。
「何となく思いつき。ふたりでローズ+リリーをやるとか」と奈津。
「あ、面白い」と照葉。
「和実がケイちゃんで、梓がマリちゃんだよね」と弥生。
「本家みたいに途中でキスね」
「ちゃんと唇にだよね」
「それはまずいよー」
 
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部屋に戻ってから少ししてお風呂に行こうということになる。食事は全員一度にできるのだが、お風呂は無理なので7時から9時まで30分単位で2クラスずつ行くことになっていた。7時半から3組・4組である。
 
「あ、私はパス」と和実。
「え?なんで。一緒に行こうよ」
「いや、お正月の温泉は友だちだけだし、入ったけど、さすがにここではまずいよ」
「でも女湯に入れる身体してるのに」
「一部誤魔化してるからね」
「でも汗は流したほうがいいよ」
「うーん。じゃ、夜中にみんなが寝静まった頃、こっそり入ってくる」
「そう?」
 
みんながお風呂に行くのを見送ってロビーまで行き、ロビーで携帯を開き、好きなネット小説のサイトを見ていたら、同じクラスの麗華と千佳子が通りかかった。
 
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「あれ?何してるの?」
「うん。ちょっと休憩」
「お風呂もう入った?」
「あ、お風呂はパス」
 
麗華と千佳子が顔を見合わせている。
 
「ねえねえ、2学期頃から放課後とかにけっこう女子制服着てたでしょ」
「うん」
「この修学旅行は最初から女子制服。大胆だなあと思って」
「私、男子トイレに入れないからね。旅先でそれ考えると、女子制服着ておくしかないと思ったのよ」
 
「トイレはもう女子か・・・・お風呂も入るとしたら女子の方に入るの?」
「いや、パスしておくよ」
「あたしさ・・・・見たのよね」と千佳子。
「夏休みにプール行ったら、女の子の水着を来た和実がいて。その時は似た顔の子がいるなと思ってたんだけど、今にして思えば和実本人だよね」
「うん。まあプールにはけっこう行ったよ」
「胸があったし、お股の所には特に盛り上がりとか無くてスッキリしてたし」
「女の子水着を着て、お股の所が盛り上がってたら変態だよー」
 
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「女の子水着を着れるんだったら、女湯にも入れるよね」
「いやだからそれはパスということで」
「やっぱり確認しよう」と麗華。
「確認って?」
「ちょっとおいでよ」と言って麗華が和実の手を取る。
「えー?どこに?」
 
「私たちこれからお風呂行く所だったのよ。うちのクラスの時間じゃん。一緒に行こうよ」
「いや、一緒にと言われても」
「脱衣場で解剖してみて女湯向きの身体じゃないと思ったら男湯の脱衣場まで連行してあげるから」
「えー?それもっと嫌!」
「さあ。行こう行こう」
 
麗華は柔道部の主将をしていただけあって腕力がある。千佳子もソフトボール部でキャッチャーをしていたので、このふたりに拉致されると、和実は抵抗のしようがなかった。
 
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大浴場まで連行された。左手に「大黒の湯」、右手に「弁天の湯」と書かれている。
「男女別の表記が分かりにくいよね、これ」と千佳子。
「まあ、大黒様と弁天様の絵も描かれているから、それで判断しろってことかな」と麗華。
 
「そういう訳で覚悟を決めてもらおうか」と麗華。
「和実がそちらの大黒の湯の方に入るというのなら、ここで解放するけど」
「いや、そちらにはさすがに入れない」と和実。
 
「じゃ、こちらで決まり」と言って麗華と千佳子は和実を「弁天の湯」の方に連れ込んだ。
 
「あれ?和実?」と同級生の数人から声が掛かる。
「お風呂パスなんて言ってるから連行してきた」と麗華。
「ああ、女の子はお風呂ちゃんと入らないといけないよね」
「さて、無理矢理解剖されるか、自主的に脱ぐか?」
「えーっと」
「じゃ、解剖決定」
「待って、待って。分かった。脱ぐよぉ」
 
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先にお風呂に行った梓たちの姿は見えない。もう浴室に入っているのだろう。和実はため息を付くと服を脱ぎ始める。
 
体操服の上を脱ぐとキャミソールが見える。下も脱ぐとショーツのみである。
 
「ちゃんと女の子下着なんだね」
「そりゃ、男の子下着付けてスカート穿いたりする人いないんじゃない?」
と和実は笑う。
 
和実は脱いだ服をそばの空いているロッカーに入れながら脱いでいった。キャミソールを脱ぐ。ブラジャーが見える。
 
「ブラはそれCカップくらい?」
「うん。ちょっと上げ底してるから」と言ってブラの中からパッドを取りだしてロッカーに入れる。
 
「じゃ、ブラ外しまーす」
と言って和実は後ろ手でブラのホックを外した。肩紐を外して手に持ち、ちょっと小首を傾げてみせる。
 
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「おぉ!」
と歓声が上がった。
 
「何だ。ちゃんとおっぱいあるんだ」
「もう女の子の身体なのね」
「いや、そのあたりは・・・・」と和実は頭を掻いている。
「パンティも脱いじゃうね」と言って和実はショーツを下げた。
 
「わあ、手術済みなのね?」
「いや全然。隠してるだけだよ」と和実は笑って言った。
「でも付いてないように見えるよね」
「うん、そう見えるね」
「じゃ、やはり女湯でいいよね」
「よし。このまま浴室行こう」
「あはは」
 
麗華たちは手早く自分たちも脱ぐと、和実を連れて浴室に入った。
 
「あれ?和実。なんだやっぱり入りに来たのね」と由紀がこちらを見て言った。「女の子はちゃんと毎日お風呂に入らなきゃね」と麗華。
「そういう訳で連行されてきました」と和実。
 
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「おお、和実がいないと寂しいね、なんて言ってた所」と奈津。
「和実はお正月には私たちと一緒に温泉の女湯に入ったんだよ」
「なんだ。それなら逃げること無いのに」と麗華。
 
和実も開き直ってシャワーで身体を洗い、あのあたりもよく洗う。和実は少し特殊な洗い方をする必要があるが、ちゃんと洗ってから浴槽に身体を沈めた。梓が寄ってきて和実の乳首を指でツンと押した。
「最初から私たちと一緒に来れば良かったのに」と梓。
「そうだね。明日からはそうする」と和実。
「よしよし」と梓は和実の頭を撫でた。
 
和実は同級生や隣の4組の生徒にたっぷり観察されたり、胸を触られたりしながら、あれこれおしゃべりをしていた。そこに滝田先生が入ってきた。
 
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「あ、先生、こっち来て〜」などとあちこちのグループから声が掛かる。英語の先生だが分かりやすい授業をするし、ふだんから優しいので人気がある。やがて和実や梓たちのいるところにも目を留めた。
 
「あら。工藤さんもこちらに入れたのね」と先生。
「拉致されてきました。私お風呂はパスしようかと思ってたんだけど」と和実。「4泊5日の旅だもん。お風呂パスは無いよ」と梓。
「全く全く」と麗華。
「やはり拉致してきて正解だったね」と千佳子。
 

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お風呂から上がったあと、ロビーでしばらくみんなで休んでいたら、伊藤君と小野寺君が通りかかった。
 
「あれ?なんか珍しい組み合わせだね」
「同じ部屋だしね」
「あ、そうか」
「工藤も同じ部屋だったはずなのに、女子の方に行っちゃったから」
「ああ、ごめんねー」
「俺、夜這いしようかと思ってたのに」と伊藤君。
「それは貞操の危機だったね」と梓。
「工藤も風呂入ったの?」
「入ったよ」
「男湯?女湯?」
「和実が男湯に入れるわけない」と由紀。
「おお、女湯に入ったのか!羨ましい!」
「伊藤君も性転換すれば女湯に入れるよ」
「チンコ無かったら女の裸見ても何もできないじゃん」
「それ付けたまま女湯覗いたらただの痴漢」
 
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そのあと女子たちの会話の輪に伊藤君・小野寺君も加わって、今日の清水寺や三十三間堂などの話も出て、話題は盛り上がった。
 

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