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■ドキドキ新入社員(3)

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淳平はだいたい毎朝8:10くらいには会社に来ていた。これは実は兄と一緒に住んでいるアパートから「絶対に遅刻しないように」電車とバスを乗り継ぐとこの時間に着いてしまうからというのもあった。
 
たまに朝1番になることもあるので、玄関を開けるカードキーも1枚渡されているが、だいたい竹田さん・中川さんの後の3番目になることが多かった。日によっては、光岡さんも淳平より早いこともあった。
 
それで・・・・
 
淳平は取り敢えず4月中は、朝、更衣室で他の社員とかち合うことが1度も無かった。帰りはだいたい遅くなるので、帰りもだいたい更衣室を1人で使っていた。
 

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仕事はどうしても残業が多かったし、4月中に4回も徹夜作業があった。しかし帰られる時は早く帰ろうということで、18時であがる日もある。そんな時によく光岡さんや佐伯主任などから誘われて、女子社員数人と一緒にお茶など飲みに行った。
 
淳平たちが帰る時も、男子社員の多くが残っているので、自分は残っていなくていいのかな?とも思ったが、先輩から誘われているのだからいいのだろうと考える。
 
淳平はわりとお酒に強いのだが、飲むこと自体はそう好きでもない。それでお茶を飲んでお菓子をつまみながら、色々おしゃべりする方が楽しかった。光岡さんたちとのおしゃべりは、いわゆるガールズトークっぽい雰囲気があったが、淳平は昔から女性の友人が多かっただけに、ガールズトークは得意で、かなり楽しむことができた。
 
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4月下旬。
 
淳平が午前中高卒の若いプログラマからデバッグの相談を受けていた時、専務に電話がある。どうもメーカーの人のようである。
 
「ああ。分かりました。いいですよ。何人必要ですか?3名ですね。じゃ行かせます」
 
それで電話を切ってから専務が部屋の中を見回している。
 
「光岡君、原口君、それと河原君は?」
「河原さんは今日はお休みです」
「あ、そうだった。だったら・・・・月山君」
「はい」
 
名前を呼ばれたので淳平は
 
「このあたりにデバッグ行を入れてみて、値の変化を確認してみたらどうだろう?」
とアドバイスしてから、専務の机の所に行った。
 
「メーカーのオフィスフェアで、キャンペーンのコンパニオンが足りないらしいんだよ。3人くらい応援に来て欲しいということなので、行ってきてもらえる?」
 
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「どこですか?」
と光岡が訊く。この中では彼女がいちばん先輩格である。この会社に入ってから2年ちょっとだ。原口さんは入って半年くらいらしい。
 
「池袋の**ホテル。光岡君の車で行ってきてくれる?駐車場代は掛からないようにしてくれるらしい。トーメスの安浦さんが受付の所にいるから声掛けてということ」
 
「分かりました」
と光岡さん。
 
トーメスというのは、メーカー系のソフトウェア会社で、BMシステムに多数仕事を回してくれている会社らしい。光岡さんと専務との会話の雰囲気から安浦さんというのは、わりとこの会社の人にはおなじみの人のようである。
 

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「着替える必要あります?」
「制服のまま行って。向こうでキャンペーン用のユニフォームを渡されるはず」
「分かりました」
 
それで3人で光岡さんの車に乗り、池袋の会場になっているホテルまで行った。ホテルの駐車場に入れ、駐車券を取る。駐車料金は30分2000円などという恐ろしい金額が掲示されているが、これはホテルの受付で無料化の処理ができるのだという。ホテルと無関係の人の駐車を防ぐためにこのような高額の料金掲示になっているらしい。
 
3人で会場の受付の所に行く。光岡さんが
 
「こんにちは、安浦さん」
と30歳くらいの男性に声を掛ける。
 
「ああ、光岡さん、こんにちは。じゃ2人はこのフロアのWindows2003フェアに、1人は上の階のLAMPフェアに行ってもらえますか?」
と安浦さんは言う。
 
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「じゃ、月山さん、LAMPの方に行って」
「分かりました」
「片桐さんに声を掛けて下さい」
「はい」
 

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それで淳平は2人と別れてエスカレーターで上の階に昇り、そちらで行われていたLAMPフェアの受付の所で、片桐という名札を付けている26-27歳くらいの女性に声を掛ける。
 
「こんにちは。BMシステムから、応援にと言われて来たのですが」
「あぁ、助かった!そしたらそちらのスタッフ控室でこの服に着替えてきて、4番ブースに入ってくれる?基本的には通りがかったお客さんにパンフレットを渡せばいいから。あなたサイズはLかな?」
「LかMと思うのですが」
「じゃLの方が無難かもね」
と言って、紙袋とネームプレートを2枚渡される。1枚は着替えた衣装に付けて1枚は着替えを入れた紙袋に付けるということであった。
 
それで淳平は片桐さんが指した方向にあった、スタッフ控室と書かれた紙が貼られている部屋を見て「失礼します」と声を掛けてドアを開ける。中には誰も居ない。それで中に入り、会社の制服を脱いで渡された衣装を着た。
 
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が若干戸惑う。
 
なんでショートパンツなの〜?
 
リゾートウェアなら分かるが、ビジネスシーンでショートパンツというのは失礼にならないのだろうか?と思うが、渡された衣装なんだから、それでいいのだろうと思い直す。名札2枚にできるだけ丁寧な字で月山と名前を書き、1枚は衣装の胸に付け、1枚は着替えを入れた紙袋に付けた。そして控室を出て受付の所に行く。片桐さんからパンフレットの束をもらい4番ブースに行った。
 
しかしこういうコンパニオンの仕事って、女性だけかと思ったのに、最近は男も使うんだなあ、などと思う。やはり男女共同参画社会になってきているのだろうとも思う。そもそもIT関係は男女の差があまり無い社会という気もする。女性のSEは昔からたくさん活躍している。
 
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淳平はできるだけ笑顔で立っていて、通りかかる客に
「どうぞ」
と言って、パンフレットを渡した。
 
淳平が立っているブースは近年のネットサーバーの基本構成とされているLAMP(Linux + Apache + MySQL + PHP/Perl)を使用して自由度の高いネットワークシステムを構築する例で、主としてPCや携帯電話などから注文を受けるシステムのパッケージ説明がなされている。
 
通りかかる客から質問されることがある。淳平はその質問に分かる範囲で答えていた。向こうはコンパニオンはあまり内容は知らないだろうけどと思いつつも質問した雰囲気もあったが、淳平がけっこう専門的な受け答えをするので、感心していたようであった。
 

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2時間ほど作業していたら、光岡さんがやってくる。
 
「お疲れ様〜」
「お疲れ様〜」
と声を掛け合う。
 
「下は終わっちゃったのよ」
「あ、そうなんですか?」
「下は17:30まで、こちらは18:00までになっていたみたいね」
 
それでその後は2人でそのブースのパンフレット配りをした。原口さんはもう直帰にしたらしい。
 
それで18時すぎにこちらの会場も終わりになる。片桐さんが来て
「お疲れ様でした〜。助かりました」
と言って、ねぎらってくれた。
 
「こちら、月山さんの着替えかな?」
と言って紙袋を持っている。
 
「はい、そうです」
「じゃこれお渡ししておきますね。控室はもう閉鎖してしまったので、申し訳ないですが、会社に戻ってから着替えてください。衣装は後で誰か回収に行かせますから」
 
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「分かりました」
 

それでホテルを出たが、光岡さんに訊かれる。
 
「月山さん、おうちはどこだったっけ?」
「大田区のほうなんですが」
「だったら、会社に帰ってからまた帰宅って大変だね。このまま帰宅していいよ」
「そうですか?」
「その衣装は明日会社に持って来て」
「分かりました」
 
それで淳平はその日はフェアのコンパニオンの衣装のまま自宅アパート戻り、翌日その衣装は会社に持っていったのである。
 

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後に淳平はこの会社ではほとんど休日というものが消滅していくのだが、最初の年は結構休むこともできた。
 
4月29日みどりの日(*1)、淳平が疲れが溜まっているのを少しでも解消しようと寝ていたら、兄から起こされる。
 
「春風アルトの突発女子限定ライブがあるんだよ。申し込んだら当たったからさ、付き合ってよ」
 
「女子限定なら、女の子だけじゃないの?」
「それが女子とペアの男子は入場できるんだよ」
「へー!」
 
それで淳平はライブに行くのならこれかな?と思い、以前パーティーに行くのに兄に買ってもらった白いロリータのワンピースにカーディガンを羽織る。髪をよくといてから、カチューシャも付ける。そしてしっかりメイクをしてから、パンプスを履き、兄と一緒に出かけた。
 
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(*1)みどりの日が5月4日に移動したのは2007年から。
 

昨年デビューした春風アルトは、そのほのぼのとした雰囲気から女性ファンも多い。それで実際に来ている人を見るとほとんど女子で、たまに淳平たちのような男女ペアもいる。
 
入場の所で当選番号を提示し、それで一緒に入場した。
 
それでロビーで兄がグッズを買っている間、淳平は半ばボーッとしてロビーに貼られているポスターなどを眺めていたのだが、
 
「淳ちゃん」
という声が掛かる。
 
見ると光岡さんである。
 
きゃー!女装している所なんて見られちゃった、と恥ずかしい気分になって真っ赤になる。
 
「私、こんな格好で」
「ああ。これロリータだよね?」
「メアリーマグダレンなんです。以前パーティーに行くのに兄に買ってもらってそれを着てきちゃった」
「淳ちゃん、目鼻立ちがハッキリしてるから、こういうの似合うよ。恥ずかしがることないのに」
と光岡さんは褒めていた。
 
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「あのぉ、もしよかったら、ここで会ったこと内緒に」
「別に隠すこともないと思うけど、いいよ。内緒で」
と言って彼女は笑っていた。
 
兄がグッズをたくさん買っている間、淳平はずっと光岡さんとおしゃべりをしていた。
 

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ゴールデンウィーク明け。
 
淳平はお使いを頼まれた。
 
「この書類をリコーの田代さん所に持って行って欲しいんだよ」
「リコーの田代さんですね」
「うん。連絡しておくから」
 
それで専務は電話を掛けていた。
 
「あ、どうもぉ、BMシステムの熊田です。例の書類まとめたんで、今からうちの女の子に持たせますから。はい、よろしくお願いします」
 
女の子に持たせる?ボク男なのに?と淳平は思ったものの、あまり細かいことは気にしないことにした。多分、お使いは女子社員にさせることが多いから、うっかり女の子とか言っちゃったのかな?
 

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それで淳平は会社のPASMOを持ち、中央区にあるリコー系のソフト会社まで出かけて行った。
 
受付でBMシステムの者で田代さんにと言う。それで呼び出してくれた。田代さんというのは、32-33歳の女性であった。
 
受付近くの近未来的?な応接室で話す。
 
「こちらの書類をお持ちするように言われました」
「ご苦労様。うん。よく書いてあるみたいね。ありがとうと言っておいて」
「かしこまりました」
 
「でもBMシステムさんの女子制服ってズボンなんだよね、いいなあ」
などと田代さんは言っている。
 
なぜ自分を見ながら女子制服なんて言うんだろう?と淳平は疑問を感じる。確かにうちの女子社員たちはみんなズボンだけど。
 
「リコーさんの女子制服は可愛いと思いますけど」
と淳平は言った。
 
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「そうそう。それで結構女子大生には人気あるんだけど、スカートの制服って事務職とかならいいかも知れないけど、SEやるにはかったるくて」
 
「ああ、体力使う仕事ですもんね〜」
「そうそう。だから深夜にはスカートの下にジャージのズボン穿いてる」
「女子高生みたいですね」
「うん!高校時代もそれよくやってた。月山さんもしてた?」
と言って田代さんは少し懐かしむかのような顔をしていた。
 
いや、自分はさすがに男子制服だから「スカートの下にジャージ」は無かったけどとは思いながらも淳平は適当に話を合わせておいた。
 
結局田代さんとはそのままケーキと紅茶まで頂き、30分くらい話していた。どうもこの業界は?、長時間雑談をして用事は短時間でというパターンの打合せが多いような雰囲気もある。
 
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(会社に来客して専務や社長と話している客もだいたいほとんどそのパターンっぽい)
 

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