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■男の娘とりかえばや物語・最初の事件(2)

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ある夜、またまた宣耀殿のそばまで来ていた宰相中将は尚侍が弾いていると思われる箏の音を聴き、どうにも寂しい気持ちになりました。結局自分の彼女への思いは叶えられないのかなあ、などと諦め気分になります。それで兄の中納言にグチでも言おうなどと思って、宮中を出て、右大臣宅に行ってみました。
 
ところが中納言は宿直(とのい)に出られましたと言います。ありゃあ、行き違いになったか。だったら自分も宮中に戻ろうかと思った時、邸の奥の方から箏の音が聞こえてきました。
 
奥方(四の君・萌子)が弾いているのかなと思い、勝手に庭から侵入して、音を頼りに進んでいきます。確かに音は涼道と萌子が暮らしている桐の対から聞こえてきていました。
 
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「この部屋だ」
 
木の陰に隠れて、こっそりと覗き見をします。
 
すると、たまたま萌子が箏の手を休めて、簾(みす)を巻き上げました。それで宰相中将は彼女の美貌を目にしてしまいます。彼は花子を諦めようと思っていた時だったこともあり、たちまちかねて抱いていた萌子への恋心が復活してしまいました。そして我慢できずにそのまま部屋に侵入してしまうのです。
 
侍女たちは、男性が入って行く気配があったので、てっきり中納言が帰宅したものと思い、みんな下がってしまいました。それで結果的に宰相中将はやすやすと中に入ることができました。
 
1人だけ、乳母子(萌子の乳母の子供。つまり乳姉)の左衛門という侍女が、入って来たのが中納言ではないことに気付きました。それで
 
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「おやめください。殿はご不在です。お帰り下さい」
と言うものの、男の腕力にはかないません。簡単に退けられてしまい、宰相中将は萌子の御簾の中に侵入してしまいました。
 
萌子は突然知らない男が入って来たので、びっくりしています。
 
「だ、だれ?」
という質問には答えず、宰相中将は
 
「君が好きだ」
と言って、萌子に襲いかかったのです。
 

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左衛門は狼狽しました。大声をあげて人を呼ぶ手はあります。しかしそうなると、姫様が見知らぬ男に陵辱されたことを多くの人が知ることになります。そうなれば中納言からは離婚され、へたすると右大臣からも勘当されてしまう可能性もあります(昔はレイプ事件では女が一方的に損する時代)。
 
姫様をそんな恥ずかしい目に遭わせる訳にはいかない、と判断した左衛門は他の侍女たちには
 
「姫様はもうお休みになりました。私が付いてますからみんなはもう下がっていいよ」
 
と言って部屋に近づけないようにしたのです。
 
結果的に宰相中将はやすやすと自分の思いを遂げてしまいました。
 

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萌子は怖かった以上に混乱していました。
 
萌子は「男女の交わり」というのは、傍に座って一緒におしゃべりして、最後は敏感な部分を刺激されて気持ち良くなることと思っていました。しかし今宰相中将にされたことは、どうも日々夫としていることより、更に深い「交わり」のように思えたのです。
 
それで彼女は泣いてしまいました。
 
宰相中将も乱暴なことをしたことを謝り、あらためて自分はずっと君のことを思っていたのだと語ります。その言葉を萌子は当惑しつつ、そして呆然として聞いていました。
 
やがて夜が明けます。
 
左衛門は宰相中将に言いました。
 
「このままでは騒ぎになります。密かに退出なさってください」
 
それで彼も萌子が愛おしくて離れがたい気分ではありましたが、左衛門に諭されて他の人には見られないように邸を出たのです。
 
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朝、宿直を追えた中納言が帰宅します。それで萌子の所に行くと、萌子は夫を裏切ってしまったという罪悪感から
 
「ごめんなさい。今顔を合わせられない」
などと言って引っ込んでしまいます。
 
当惑した中納言が
「どうしたの?」
と侍女に訊くと、侍女が
「昨夜から気分があまりよろしくないようです」
と言うので涼道は心配して
 
「大丈夫かい?昨日僕が出かける前はそんなでもなかったのに」
と言って、衾をかぶって寝ている萌子のそばに添い寝していたわります。しかしその優しさが、萌子の心を苛みます。
 
そして萌子は疑問を感じていました。
 
多分昨夜宰相中将にされたのは、男女の契のいちばん深い形だ。
 
なぜそれを夫は自分にしてくれないのだろう?
 
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まさか本当は自分のことが好きではないのだろうか?
 
萌子は罪悪感と疑問とで頭の中が混乱の極致で、それでまた体調も悪化してしまう感じだったのです。
 

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一方の宰相中将の方も自宅に戻ってから思い悩んでいました。
 
萌子のことが好きで好きでたまらなくなったので、長い文を書いて届けさせましたが、左衛門はもちろんそんな文を女君に見せたりはしません。
 
「姫様はあの後、とても体調が悪く寝込んでおられますし、心配して中納言がずっとそばについておられます。お手紙はお渡しできません」
という手紙を自分で書いて返しました。
 
宰相中将もそれを見て、やはり無茶なことしてしまったよなあと反省しつつ、それでもこの事件で復活した萌子への思いをどうにもできずにいます。いっそ彼女を盗み出してしまおうかとも思うのですが、その後のことを考えるととてもそんな大それたことはできません。
 
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(この時代は光源氏が若紫を誘拐し、右近少将が落窪姫を(本人の了承の上で)盗み出したように、誘拐結婚はわりと横行していたと思われるが、さすがに右大臣の娘でしかも既婚者を誘拐したとあれば、バレればただではすまない)
 
そして、彼は考えていました。
 
どうも中納言は萌子と普通の男女の交わりをしていなかったようだ。もしかしたら、萌子は凄くあどけない性格なので、そういう女には無理にセックスはせず、優しく接してあげる方がいいのかも知れない。それは肉体的愛情を超越した高度に精神的な愛(洋風に言えばプラトニックラブ)なのかも知れない。
 
(さすがに考えすぎである)
 
ひょっとすると中納言は彼女がもう少しおとなになるまで、手をつけずに待っていたのかも知れない、などと考えると、彼との友情を裏切る行為であっただけに、ますます罪悪感が強くなって、心が安定に保てない感じだったのです。
 
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こうして、レイプ事件は、萌子・中納言・宰相中将に三者三様の悩みを生むことになったのでした。
 

中納言がずっと付いていても、萌子の気分が良くなさそうな様子には変化がありません。彼もずっと家に籠もっている訳にはいかないので、仕事に出かけることにします。
 
「こんなに気分がよくない状態で私が外出すると不安でしょう。ずっと寝てばかりいないで少し起き上がってみないかい?何事も僕と君は一心同体だと思っている。いつまで自分が今のままでいられるか不安な今世であなたがいるからこそ僕は頑張れると思っている。あなたが沈んでいると私まで生きる気力が無くなってしまうよ」
 
などと言いながら萌子の髪を撫でてあげています。萌子は
 
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『この人が自分に一切乱暴なことをせずにずっと優しく扱ってくれるだけで月日を過ごしてきたけど、その中でお互いの心はいつも一緒だった。それが自分が巻き込まれたできごとのせいで、それを隠し立てすることで、この人との間に溝ができてしまうなんて』
 
と考えると申し訳無い気持ちで顔を隠して泣いてしまいます。
 
涼道はそういう彼女の様子に困惑しながらも
 
「できるだけ早く帰ってくるからね」
 
と優しく声を掛けると、侍女たちに
「多数付いているように」
と声を掛けて、出勤して行ったのでした。
 
このようにして、中納言(涼道)と萌子の気持ちは、たった1度の過ちから波紋が広がるように、次第に離れていったのでした。それはお互いを愛しているからなお、気持ちがすれ違っていくのです。
 
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宮中に出た中納言は、溜まっていた仕事を頑張って片付け、3日ほどして、少し落ち着いた所で妹(実は兄)の所を訪れました。
 
「しばらく来なかったね。忙しかった?」
と花子が尋ねますと、
 
「実は萌子があまり気分がすぐれないようなんだよ。それでしばらく付いていた」
「あら、風邪か何か?」
「それがどうもよく分からなくて」
 
「ひょっとしてご懐妊ということは?」
と長谷という女房が言ったのに対して涼道は思わず
「まさか」
と言ってしまいました。
 
「まさかということはないのでは?結婚すればお子ができるものですよ。若様はまだお若いので実感が無いかも知れませんが」
と長谷。
 
「そ、そうだよね」
と言いながら涼道は焦っていました。花子はおかしくてたまらない感じです。
 
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但馬という女房が言います。
 
「そういえばここの所、宰相中将様もこちらにあまりお見えになりませんね。私は姫様への手紙は取り次がないと言うのにしつこくて、それで閉口して宰相様の応対役を代わってもらった筑紫の君は本人が宰相様を好きになってしまったようですが」
 
すると弁の君という女房が言いました。
 
「宰相中将はご病気らしいですよ。それでここしばらくこちらにもお顔を見せておられなくて。いつもうるさい人が来ないので、こちらも随分静かでした」
 
「宰相中将が病気?どうしたんだろう?」
「どこぞの娘に無理なことをしようとして家人に追い払われて怪我していたりして」
 
(当たらずしも遠からずである)
 
「あいつなら、あり得るなあ」
と涼道も言っています。
 
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「ちょっと見舞いに行ってくるかな」
と涼道が言うと
 
「放っておけばいいのに」
と長谷は言っていました。
 

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それでともかくもその日の仕事が終わってから、涼道は彼の自宅に病気見舞いに行きました。
 
中納言が来て仰天した宰相中将でしたが、彼が自分を心配している様子に、この人は本当になんて素晴らしい人なのだと再認識し、それと比べて自分の罪を後悔していました。あまりにも申し訳無くて、自分の罪を告白してしまおうかとも思ったのですが、それでは大騒動になりそうと思い、告白は思い留まります。
 
結局この時点では密通のことはバレず、そのまま爆弾を抱えたまま時は過ぎていくのです。
 

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一方で宰相中将はやはり萌子のことが忘れがたく、度々文を書きました。それに左衛門も根負けして、また彼に会えば萌子の気分も少し晴れるかもとも思い、中納言が宮中で宿直する晩を狙って、密かに宰相中将の手引きをするようになります。
 
それで宰相中将と萌子は逢瀬を重ね、ふたりの関係はもはやお互いにとって欠かせないものになっていくのですが、その結果、左衛門が期待したように萌子の気持ちは次第に安定して元気さを取り戻していきます。
 
それでも彼女は優しくしてくれる夫への思いと、次第に宰相中将にも心引かれていく自分の気持ちとの対立に悩んでいました。
 
夫の中納言が全く知らない間に物事は進行していきます。
 

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