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星は命(めい)が脱ぐのを待っているようなので、先に脱ぐ。星を妊娠していた時はEカップまで膨らんでいたおっぱいは今Cカップで維持されている。体内でウェストラインから足の付け根の部分以外のエリアにエストロゲンが大量に分泌されていて、このバストが維持されている。パンティーも脱ぐが、タックで男性器を隠している。ちょっと見た目には女性の股間にしか見えない。
ニコリと笑って星は自分も脱いだ。トレーナーとスカートを脱ぐと、マイメロのシャツとショーツが見える。ショーツには変な盛り上がりは無い。シャツを脱ぐと平らな胸だが、小学3年生ではまだ胸は無くて当然である。ショーツを脱ぐと、股間にはきれいな割れ目ちゃんが出来ている。
「なるほど。きれいなものだね」
「うん」
「そういうの自由自在なんだね」
「人間の性別を変えるのとはちょっと違うんだよね。僕って、実は元々実体が無いから、見え方を変えるだけでいいんだ」
「お前って実体無いの?」
「お母ちゃんが僕を流産せずに産めたのは実はぼくに実体が無かったからだよ。実はそこに存在していないから、よほど無茶しない限り流れもしない。でも、実体が無いことに気付く人は凄くレアだろうね」
「へー」
しかし、命(めい)は自分が星を妊娠することができたことについて、先代神様から別の説明を受けたこともある。先代神様は人間の身体は元々男性体と女性体のダブルでできていて、その人が男だというのは、リバーシの駒のように、たまたま表に出ているほうが男性体であるというだけだと解説した。ただし駒をひっくり返すのは神様クラスにしかできない。眷属クラスには許されていないワザだと言っていた。そして、先代神様がセックスしていたのは、命(めい)の女性体の方で、実は妊娠したのも女性体だったという。女性体がふつうに子宮で妊娠している所を、男性体側から見ると、まるで腹膜妊娠しているように見えたというのである。
命(めい)は星と一緒に浴室の中に入り、あの付近とか足とかを洗ってから浴槽に入った。星とふたりで話していたら、月がこちらを見つけて近づいてきた。
「あれー、こちらに来たんだ?」と月。
「お母ちゃんと話してみたけど、ふたりともこちらに入れそうな気がしたから入ってきた」と星。
「教育上良くないなあ」などと言いつつ理彩も近づいてきた。
「僕って実はそもそも性別が無いし」などと星。
「まあ、4人とも今日は見た目は女だしね」と理彩。
「完全に女にしてやる、と星は言うけど断った」と命(めい)は言う。
「してもらえばいいのに」
「そういう言葉を星の前で言わない」と命(めい)。
「わ・ざ・と、だよ」と理彩。
「もう」
星はその後も、特に小学生の間はよく女装をしていた。女装する時は毎回ではないが、けっこうな頻度で肉体の方も女性に変えていたようであった。小学5年生頃以降になると、肉体を女性に変えている間は生理も来るようで、突然来て慌てて、命(めい)に「お母ちゃん、ナプキン持ってない?」などと訊いたりすることもあった。
命(めい)はいつもナプキンもパンティライナーも数個ポーチに入れているので渡していたが「お前自分で持っておきなさいよ」などと、言っていた。
その様子を見て理彩が「男親と息子との会話とは思えん」などと呆れていた。
そういう感じで、星もいつもナプキンを常備するようになったが、その後、よく女の子の友人と貸し借りしたり、また月が星からナプキンを借りたり、などという光景も見られるようになり、理彩は「なんか世の中乱れてる」などと嘆いていた。
星はけっこう平気で女装して友人たちと遊んだりしていた。星は男装だと結構な美男子だし、女装でもかなりの美少女になるが、男女どちらの友人も等しく作っている感じだった。ただ、あまり親友的な子は作らない主義のようであったし、女装の時に身体まで女になっていることを知っている子はさすがに少数で、多くの友人には「女装好きの男の子」と思われている感じだったが、お陰で、男子からは同性、女子からも同類とみなされて、恋愛にはフリーでいられた。
「あの親にしてこの息子とか言われたよ」と星。
「ああ、言わせておけばいいよ」と命(めい)は笑っていた。
「でも、お前男女どちらとも『同性』感覚で付き合ってない?」
「うん。だから恋愛しなくて済む」
「お前、それが目的ということは?」
「だって面倒くさいじゃん」
「いっそ特定の恋人作っちゃったら? そしたら恋愛と無縁でいられる」
「それやると、いづれ昇天する時に辛いから」
「別れの辛さを経験せずに人生を生きることはできないよ」
「そうだよなあ。。。。」
そんな話をしたのは星が小学6年生の頃であったろうか。。。。
そんな星にも、やがて「自称恋人」ができた。
命(めい)たち一家は星の中学進学に合わせて村に戻ったのであるが、彼女は村に来る前から知っていた子で真那(まな)といった。理彩の遠縁にあたる子で、親戚の集まりでは顔を合わせていたものの、真那が足を滑らせて学校の階段を落ちそうになった所を星に助けられてから急に親しくなった。
苗字は理彩の旧姓と同じ奥田で、星とは義理の従兄弟の孫同士という関係になるが、理彩と血の繋がりは無いという話だった。彼女は星の正体を知った上で、恋人にはなれないしセックスは禁止されているからできないと言う星の話も承知の上で、自分はそれでも星のことが好きだと言い、星も「じゃ、友達として付き合おう」と言って仲良くしていた。
星は彼女のことを「女友達」だと言うが、真那は星のことを「恋人」だと言う。そして星も真那が自分のことを「恋人」とか「彼氏」と言うことを容認していたし、真那が心細そうにしている時はそばに寄ってあげたり、彼女がクラブ活動を終えて、夜道、自宅に帰る時は、いつも(リモートで)ガードしてあげていた。
ふたりはふつうにデートもしていたようであるが、ふたりで遊ぶ時、しばしば星は女装して、女の子の友人同士という状態で遊んでいた。真那はそれも結構面白がっていて、女装時の星にと言って可愛い髪留めやイヤリングなどを贈ってくれたりもしていた。
星は元々、友人との間に自分で壁を作るタイプで、小学生の頃は同級生たちとも距離感のある付き合い方をしていたが、真那と付き合い始めた頃から、あまり遠慮をしない友人をぼちぼち作るようになった。その中で特に親しくしていたのが、男子では吉野君と桜井君、女子では友芽(ゆめ)と想良(そら)であった。真那も含めてよく6人で遊んでいた。
星は村に戻ってからはあまり人前では女装していなかったが、この6人で行動する時は、男装・女装の両方をしていた。ふだんは真那をガードするかのように男装で真那の彼氏のように振る舞っていたが、その時の都合次第で女装していた。
中学2年の夏休み、6人に加えて、あと男子のクラスメイト2人、女子のクラスメイト2人の合計10人で大阪まで出て、模試を受けて来た。模試は英数国理社を1日で受検するのだが、朝9時から午後3時半までなので、日帰りはきついということで、前泊することになった。とりまとめをしたのは吉野君のお父さんだったのだが、何を考えていたのか、行ってみるとツインの部屋が5つ取られていた。
「えっと、俺達男5人・女5人だよな」と吉野君。
「まさか男女ペアで泊まれとか」
「あ、私と星が同室に泊まるから大丈夫だよ」と真那が言った。
「しかし・・・・」
「それがいちばん問題無さそうね」と友芽も言うので、そういう部屋割りにすることにした。
「おふたりはご兄妹ですか?」とフロントの人が気にして訊いたが、星は「あ、私、実は女ですから」と女声で言う。
「え?」
「今日は男装してきたんです」
と更に星がニコッと女の子のような笑顔を作って言うと、フロントの人は少々混乱していたようであるが、それ以上追求しなかった。
「斎藤、もしかして今マジで女になってる?」
と、鍵を5つ受け取ってから、吉野君はエレベータの方に行きながら小声で訊いた。
「うん。人数がハンパと気付いたから、性別変えた。男4人・女6人ならツイン5部屋問題無しだよね。もっとも私は真那と同室になるなら、性別どっちでもいいんだけど。でも女でこの格好は無いから、部屋に行ったら私服に着替える」
男子5人は全員学生服を着てきていたのである。女子5人は私服で来ていた。
「じゃ501,502が男子部屋、504,505が女子部屋、503が斎藤と奥田の部屋。お前たち、野生に戻るなよ」と言って、吉野君は503の鍵を真那に渡した。
「大丈夫だよ。私たちそういう関係じゃないから」と真那は笑いながら鍵を受け取る。
部屋で一息付いたところで、みんなで夕食に行こうといってロビーに集まる。星が私服のスカート姿で現れたので、みんなが呆れている。
「斎藤、突っ込みたくて仕方ないんだけど、その服はお前の?」と吉野君。「そうだよ。あ、このカチューシャは真那から借りた」と星。
「そういう服を持ってきてたわけね?」と想良。
「女装する気満々だったんだ」と桜井君。
「まあ、そのあたりは企業秘密で」と星。
実は今自宅から取ってきたのだが「転送ワザ」は真那以外には秘密である。
「しかし、斎藤って女装すると、そんなに可愛くなるのか!」
と星の女装を見慣れていない葛城君が驚くように言う。あまり見とれていたのでガールフレンドの泉美に蹴りを入れられている。
みんなで一緒にファミレスに入り、御飯を食べたが、星がハーフセットを取っているので、桜井君が「そんなんで足りるの?」と心配している。
「私、こっちの身体になってる時は食欲も女の子なんだよね−」と星が答える。
「へー、そういうもんなんだ」
「エネルギー効率がいいんだよね。女の子の身体って。男の子の身体はスポーツカー、女の子の身体はコンパクトカーって感じ」
「なるほど」
「星はハーフセットだけど、私は大盛り食べちゃう」
などと真那は言ってモリモリ食べている。
「試験の前にはしっかり食べる主義なんだ」
「うん。それでいいんじゃない?」と言って星は微笑んでいる。
「だけど、お前その格好の時、トイレどっち使うの?」と葛城君。
「私は今女の子だから女子トイレだよ」と星。
「それでいいんだっけ?」
「いいんじゃない」
御飯が終わってから、ホテルに戻り、大浴場に行こうということになる。真那は何度か星と一緒にお風呂に入ったことがあったので、余裕でホテルの浴衣を着て、一緒に大浴場に行ったが、途中で合流した他の子たちから訊かれた。
「斎藤、真剣に訊きたいんだけど、お前、お風呂どっち入るつもり?」と玉置君。
「私は女の子だから女湯」
「本気か?まだ入口通るまでは考え直せるぞ?」
「星は大丈夫だよ」と真那が笑っている。
「じゃねー」と男の子たちに手を振って、星は真那・友芽と一緒に女湯の暖簾をくぐった。友芽と想良は真那と同様、星の女体を見たことがある。
星が単に女装しているだけと思い込んでいた泉美は星が女湯に真那たちと一緒に入ってきたのでギョッとした顔をしている。星が手を振ると
「こっちに入るの?」と訊く。
「今日はこちらにしか入れないというか」と言って星はさっさと脱ぎ始めた。
「へー」
上着を脱ぐとちゃんとバストがあるので感心している。
「おっぱいあるのね。ホルモンでも飲んでるの?」と言って触っている。「違う、違う。星の女体は人工女体じゃなくて天然女体」と真那。
「この子、男性体と女性体のダブル・ボディの持ち主なのよね」と友芽。
そんなことを言っている内に、星は全部服を脱いでしまった。
「そのお股も本物?」
「もちろん。タックとかじゃないよ」
「私、親戚だから、星が小学4〜5年生の頃から、この身体見てきてるのよね。4年生の頃はまだお互い胸が無かったけど」
と真那は言う。
「ということは、星はその頃から女湯に入ってたんだ?」
「うん。女の子の時はね」
「女の子の時の星はちゃんと生理もあるんだよ」
「へー」
みんなで湯船に入ってから、またおしゃべりをしている。先に入っていた想良と多貴も寄ってきて「女の子」6人で話していると会話が盛り上がった。
「でも、星って男の子にも女の子にもなれるって便利ね」
「そうでもない。男性体と女性体のスイッチはいったん変えると半日くらい次は変更できないから」
「じゃ、痴漢さん目的ではできないのね」
「私、そもそも性欲無いしね」と星は笑っている。
「女の子の身体になってる時は発想も女の子だって言ってたね。一人称も変わるし」
「ああ、頭の働き方とかも違うんだよねぇ」
「真那は星の男の子の身体も見てるの?」
「見せてもらったよ。触ったよ」
「おお、大胆。あそこにも触った?」
「触った」
「きゃー大胆!」
「でも大きくならない。男の子の機能は封印されてるんだって」
「そしたら、もしかして女体の方こそ、本体なんじゃないの?女の子機能はあるんでしょ?」
「それは新しい見解だ」
「確かに、私子供産めそうだなあ。産んでもいいんだろうか・・・・あ。産んでもいいよと言われた。但し生まれるのは普通の子供だって」
「へー」
「いっそ、ずっとこちらの身体にして、学校にも女子制服で出て来なよ。女子の制服持ってたよね?」
「うん。持ってるし、時々着てるね」
「あれ着てる時は女体になってる時というわけか」
「この6人の秘密ということで」と星は言うが
「こんなこと言っても誰も信用しないから大丈夫だよ」と友芽は言う。
この日は結局6人でそのまま女子部屋のひとつに入り、夜遅くまで一緒に勉強しながら、おしゃべりは続いたのであった。