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■神様との生活・星編(2)

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それから1ヶ月もした頃のことであった。またまた命(めい)たちは3人だけの日に、理彩のアバウトな予想に従って、お風呂に入っていて、またまたお湯が途中でぬるくなってきて、その日はまたまたジャンケンで負けた理彩が、しぶしぶ途中で風呂釜のスイッチを入れてきた。
 
「ああ、寒かった。集中豪雨って感じだったよ」
「お疲れ様。ゆっくりぬくもって」
「うん。少しゆっくり入ってよ」
 
などと理彩は湯船に入っていたが、のんびりしていたら、今度は熱くなりすぎてきた。
「えーん。ちょっと熱いよ。命(めい)、停めてきてよ」
「そうだね。さっきは理彩だったから、行ってくるか」
と言い、命(めい)は星を理彩に預けて外に行こうとしていた。
 
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「ああ、でも本当に不便なお風呂だなあ。いっそ壊れたら、新しいのに替えてもらえるだろうに」と理彩が言った。すると、突然ガツン!という凄い音がして、風呂釜の燃焼が停まった。
 
「何?今の?」
「風呂釜が・・・・壊れた気がする」
「もしかして?」
とふたりは星を見る。
 
「星、お母ちゃんたちが、勝手なこと言っている時、それを聞いてはいけません」
と命(めい)が星を叱る。星は当惑した顔をしていた。理彩が言ってた通りのことをしてあげたのに叱られるというのは、どうにも納得がいかないだろう。
 
「だけど、理彩、僕たちもあまりわがままなことを口にしないようにしておかなくちゃね」
「絶対言っちゃいけないのは、誰とか死んじまえ、みたいな発言ね」
「それ、結果が怖すぎる」
「神様を育てるのって、大変なんだね!」
 
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風呂釜に関しては大家さんに連絡して見てもらったら完璧に行かれているようだということで、釜を交換させますねということだったが、理彩が「費用こちらで出してもいいから、シャワー付きの内釜の風呂に変更できませんか?」と言う。すると大家さんも「確かに、今時シャワーも無いのは不便ですよね」と言い、費用は大家さん持ちで、シャワー付きのガス風呂(浴槽はホーロー)に交換してくれた。理彩は喜んでいたが、この件で、うっかり星を褒めたりしないように、ふたりは充分気を付けるようにした。
 
ともかくも、そういう訳で本格的な夏を迎える前に、斎藤家の風呂はシャワー付きで、ひとりでも入浴可能なタイプになったのであった。
 

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吹田市の家には神社の分霊が祀られていて、命(めい)は朝晩休まず祝詞をあげるようにしていた。基本的に祝詞をあげるのは命(めい)の役目であり、どうしてもできない場合は代わりに理彩があげてくれていた。ふたりで帰省したり旅行に行くような場合は、大阪でできた友人で神社の息子という人がいたので、その人にお願いして、必ず朝晩祝詞をあげてもらうようにしていた。友人は最初理彩たちの家に来た時、本格的なお宮が作られていたので驚いたようであった。
 
さて、命(めい)は大学3年の頃から、頻繁に村に戻って桃を植える土地の買収交渉をしていた。そういう日は朝の祝詞をあげてから車(通学用のVitzでは非力で村まで行く坂道が辛いので別途ホンダのストリームを買った)で村まで行き、あれこれ交渉をして午後2時か3時頃には村を辞して、日没までに自宅に戻り、夕方の祝詞をあげる、といったことをしていた。片道3時間掛かるので、なかなか大変だったが、命(めい)は吹田市に住んでいる間、これを頻繁にやっていたのである(大学を卒業してからはほぼ毎日往復するようになったので、体力の限界を感じてドライバーを雇った)。
 
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そんなある日のことであった(2015.夏)。夏で日没は19時すぎなので16時が村を出る限界であったが、途中で疲れて眠くなることもあるので15時には出たいと思っていたのに、その日交渉していた人がハンコを押す直前になって渋りだし、最終的に1割増しの価格で妥結してハンコをもらえたのだが、結局村を出たのが16時すぎになってしまった。
 
この時期、理彩は月の出産の直後で休学中だったので、普段の日はこちらが間に合わなければ理彩に夕方の祝詞を頼むところだったが、その日はたまたま理彩は医学部の友人の所に泊まりに行っていて、命(めい)が星と月を連れて村まで往復していた。実はそもそもその日はまだ売買契約まで行く予定が無かったのが、命(めい)が赤ちゃん2人を連れているのを見て、突然売りますよと言われ、価格交渉に入ったのに、最後になってまた迷うなどという複雑な展開だった。
 
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交渉で疲れたこともあり少し寝たい気分だったが、時間が無いので、ガムを噛んだり、コーヒーを飲んだりして運転していたが、瞬眠を起こして、一瞬センターラインを越えてしまった。やばっ!と思った時、ベビーシートから星の声がした。
 
「お母ちゃん、車を脇に停めて」
 
確かにこれは5分でも休んだ方がいいと思い、車を脇に寄せて駐める。
 
「僕が何とかするから少し寝て」
「分かった」
 
自分では5分くらい寝るつもりだったのだが、疲れが溜まっていたようで熟睡してしまった。ハッとして起きたら、もう18時である。ぎゃーっと思う。今から大阪に向かっても到着は20時すぎである。どうしよう?と思ったのだが、星の声がして「大丈夫だから、PAとかにでも移動して」という。
 
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そこで少し先の道の駅に駐め、トイレにも行って、星と月のおしめも替える。ゆっくりしててというので、車内で星と月を左右に抱いて、一緒におっぱいをあげながら少し休んでいたら、おっぱいを飲んでいた星が口を乳首から離して「じゃ行くよ」と言ってニコっと笑う。
 
次の瞬間、命(めい)は星と月とともに吹田市の自宅に居た。
 
「へ?」
「祝詞、祝詞」
「OK」
 
ちょうど日没の時刻であったので、命(めい)は夕方の祝詞をあげた。そして終わると
 
「じゃ戻るよ」
と星が言い、また3人は車の中にいた。
 
「今日みたいに仕事の都合で間に合わなくなる時は、僕が何とかするから、無理な運転はしないでね」
と星は言った。
「僕はこの肉体が滅んでも平気だけど、月を死なせるのは可哀想だし、お母ちゃんも死ぬのはまだ悲しいから」
などとも言う。
 
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「僕もまだまだお前たちと一緒にいたいから、安全運転するよ」
と命(めい)は誓った。そして
「じゃ、時間の無い時はよろしくね」
と星に笑顔で言った。
 
大阪と村との往復では、しばしばこの星の「転送ワザ」に助けてもらっていた。(その時点で理彩が帰宅している時は、理彩が祝詞をあげてくれるので、そういう日はのんびりと帰宅する。また日によっては朝の祝詞を理彩に頼んで日出前に家を出て村に行くこともあった)
 

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月が小学校に入った年の初夏、命(めい)たちがいつも忙しくしているのを見て、朝晩の祝詞はこちらであげてあげるから、家族水入らずで温泉にでも行ってらっしゃいよと、双方のお母さんから言われた。うまい具合に理彩の休みも取れたことから命(めい)たちは5月の下旬、家族4人で関西近郊の温泉まで出かけた(2021.5)。
 
当時命(めい)はもう授乳は終わっていて男性能力も回復していたのだが、バストはCカップを維持していた。しかし下には男性器が付いているので、これでは男湯にも女湯にも入れない。それで温泉には消極的だったのだが、家族風呂もあるよ、などと言われて、じゃそれに入ればいいか、ということで出かけた。
 
出かける時に荷物などの準備をしていたら小3の星がスカートを穿いている。
 
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「お前、何やってんの?」と命(めい)は訊いた。
 
「女装ってどんな感じか試してみようと思って」と星。
「まあ、いいけど。そのスカートは月の?」
「貸してと言ったら嫌だと言うから、自分で下着一式から買ってきた」
「まあ、下着は自分専用のがいいだろうね。でもよくひとりで買えたね」
「小学3年生だもん。買い物してても、そんなに変には思われないでしょ」
「そうだね。お前、少し大人びて見えるし。どんな下着付けてんの?」
「女の子用のシャツとショーツだよ」
「へー」
「上下ともマイメロ」
「おお、やるね」
 
ちなみに星は自分でいつでも動かせるお金を数十億持っているが、普段のおこづかいに関しては節度をもって使うように言い渡しており、おこづかい帳を付けるように言ってある。このスカートとかショーツというのも、おこづかい帳にきちんと記載されたことであろう。
 
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命(めい)と理彩の2人で交替で運転しながら温泉に向かう。4人で移動するので市内用のコンパクトカーではなく、いつも村との往復に使っているストリームを使う。星はもうジュニアシートも卒業しているが、月はまだ身長が足らず、ブースタータイプのチャイルドシートに座っていた。
 
実は父・母・息子・娘という4人家族のドライブなのだが、見た人は姉妹か何かが各々の娘を連れて女4人でドライブしているように見えるであろう。ちなみに星は命(めい)を「お母ちゃん」・理彩を「お父ちゃん」と呼び、月は命(めい)を「お父ちゃん」・理彩を「お母ちゃん」と呼ぶから、4人の会話を聞いてたら、きっと訳が分からないであろう。
 

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途中のPAで休憩していた時のことである。星が今日は女装だからとちゃっかり女子トイレに入り、個室でおしっこを済ませてから手洗い場の方へ歩いていっていたら、ちょうど入口の方から、さっきまで寝ていた月がちょうど目をさましたのか、走り込んできて、星を見ると
 
「あれ?お兄ちゃん、今日は女の子トイレ使ってるの?」などと大きな声で言う。
 
「あのねえ・・・月、僕は今日はお兄ちゃんじゃなくて、お姉ちゃんなの」
と星は少し小さな声で月に言う。
「へー。今日はお兄ちゃんがお姉ちゃんなんだ?」
と、またまた大きな声で言う。
 
それをちょうど近くに居た、掃除のおばちゃんが聞きとがめた。
 
「ちょっと、あんたまさか男の子?」と掃除のおばちゃん。
「うん、今日はお姉ちゃんだっていうお兄ちゃんは、男の子だよ」
と月があどけない口調で答える。
「違います。私、女です」と星が言う。
 
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「あんた、ちょっとこちらに来ない?」とおぱちゃん。
 
星はやれやれ、という感じで肩をすくめた。
「私が女だという証拠をお見せしますから、そこの個室にでも入りません?」
「いいよ」
 
ということで星は月を放置して、近くの個室に入り、スカートをめくり、パンティを下げた。そこにはまごうことなき割れ目ちゃんが存在する。
 
「ごめーん。本当に女の子だったね」
「納得頂けましたか?」
「うんうん。ごめんね」
 
といって、服を整えて、個室の外に出る。そこに命(めい)が近づいてきて、「何かあったの?」と訊いた。
 
「あ、お父ちゃん、星お兄ちゃんが、今日はお姉ちゃんだから、女の子トイレ使うんだって」と月。
 
「あのね、月、そういうことを大きな声で言うもんじゃないよ」
「はーい。お父ちゃん」
 
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その会話を聞いていた、掃除のおばちゃんが混乱している。
「お父ちゃん・・・・?」
 
「あ、すみません。この子は私のことをお父ちゃん、この子のことはお兄ちゃんと呼ぶんですよ」
「ああ、そういうことでしたか。微笑ましいですね」
と掃除のおばちゃんは笑いながら言った。
 
命(めい)と星は顔を見合わせて、大きく息をついた。月は何か不満そうだった。
 

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やがて、目的地に着き、予約していた宿屋にチェックインする。理彩が記帳したが、家族4人のうち、理彩以外の3人は性別がよく分からない名前である。部屋に入り、一息付くと理彩が「よし、月、お風呂行こう」と言って、月を連れて出て行ってしまった。命(めい)と星が残される。
 
「お母ちゃん、お風呂行く?」と星。
「お前こそ行って来たら? でも、その格好してどちらに入るつもり?」
と命(めい)は星に訊く。命(めい)は星が単純に女装しているだけだと思い込んでいる。
 
「そうだなあ。お母ちゃん、一緒に女湯行こうよ」
「お前と話してると、まるで、のぞきの相談だ」
「でも、お母ちゃん、ちょっと透視してみたけど、今女湯に入れる仕様だよね、それ?」
と星は命(めい)の股間を見て言う。
 
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「うん。タックというんだよ。一見、付いてないように見えるだろ?」
「全部隠してあるからね。何なら、そんな誤魔化し無しでもちゃんと女湯に入れる形に変えてあげようか?」
「いい。お前にやらせたら、それ絶対に元に戻さないだろ?」
「神様のやることを想像できるなんて、お母ちゃん、勘が良すぎるよ」
「お前こそ、女湯に入れるの?」
「僕は今日は出発した時から女の子になってるよ」
「なるほど」
 
「よし、お風呂行こう」と命(めい)は言った。
「うん」と星も言って、タオルを持って立った。
 
「お母ちゃん、女湯自体は何度も経験あるんでしょ?」
「あるよ。村に行った時、けっこう村の友人の女性と一緒に村の温泉センターにも行ったりしてるし。まあ、みんな僕の性別を承知の上だけどね」
「じゃ、遠慮せずに、お父ちゃんと月が行く時に一緒に行けば良かったじゃん」
「それでも気後れするんだよ」
 
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「へー。お母ちゃん、もう女装歴は10年以上だよね」
「いつもこういう格好するようになったのは、お前を妊娠した時からだよ」
「じゃ、僕の年齢と同じか。8年やってても、そういう時に気後れするんだね」
「やはり、女装人生送ってると、自分では一応女のつもりでいても、普通の女性に対してコンプレックスがあるからね」
「さっき僕が一瞬気後れしたのと同じような感じかな」
 
「お前、そのあたりの心理的なものを体験したかったんだろ?」
「うん。女装で暮らしている人って結構多いし、そういう人たちの気持ちもできるだけ理解してあげなくちゃと思って」
「勉強熱心だな」
「そうだね」
 
やがて大浴場に行き、ふたりで女湯の暖簾をくぐる。星が少し戸惑った感じだったのを手を引いて中に入った。スカート穿いた小学3年生はどうせ男湯には入れない。
 
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