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■女たちのベビーラッシュ(4)

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シュート練習もしたいのだが、アパートの中でやったら桃香から叱られるし、近隣にも迷惑である。常総ラボには通っているのだが、もっと近い所にシュートだけでも練習できる所が欲しいと思った。
 
それで千里は不動産屋さんに飛び込むと、板橋区内で15坪(50平米)1500万円という何とも微妙なサイズで売りに出ていた土地を買っちゃう!
 
そしてここに不動産屋さんに紹介してもらった工務店で、鉄鋼構造で建坪10坪の小さな家を1000万円で建てる契約をその日の内に結んでしまう!
 
住宅の衝動買いである。
 
その建物は7月上旬に完成ということであった。
 
ここの土地は台形型で、11.2m x (8.2m-6.0m)というサイズである。建蔽率40%, 容積率60% なので、1階34平米、2階17平米までの家を建てることができる。その34平米を9.3m x 2.5m (外寸9.8m×2.9m)+階段、という非常識なサイズで建ててもらうことにした。するとここにスリーポイント練習用のゴールが作れるのである。
 
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スリーポイントラインは6.75mであるが、ゴールは壁から1.575mなので合計8.325m. これにプレイヤー(千里)が立つスペースをとって9.3mという数字がでてきた、それで1辺が10.8m以上の物件を探していたら、11.2mの物件が見つかったのである。狭い上に台形の土地なので坪単価が相場より安かった。
 
ただ、“法的な問題”で千里が「2階」として指定したものは「地階」に変更になった。また千里はこの練習場の天井の高さを14mにしたかったが、これも法規制で8mにせざるを得なかった(2階と考えていたものを地下に移動したのもそのため)
 
地階には、小型のキッチンとユニットバス、それに用具室を兼ねた小部屋を作り、仮眠などもできるようにする。周囲への騒音防止と衝突した時の安全性も兼ねて1階内側にはクッションボードを貼り付ける。また早月と由美を置いて透明のアクリルボードで仕切られたエリアを設置した。
 
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面積の割に建築費用が高くなったのは、地下を作った上に防音性を高めたためである。また、バスケットのゴールは高さと向き!を可変にしてリモコンでも変更できるようにする。この練習室は翌年貴司のチームや自分のチームのために作った個別練習室の原型のようなものとなった。
 
この家が完成するまでの間は頑張って常総ラボまで通った。
 

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2019年7月5日(金)。板橋区内に建てていたバスケットの練習室が完成。引き渡されたので、千里は毎日これも衝動買いした40万円の中古のヴィッツで出かけてはシュートの練習をするようになった。
 
常総ラボでの練習でスリーが半分くらいしか入らず(普通のバスケット選手は1〜2割で優秀なシューターで3割程度)、フリースローですら7〜8割で、まだまだだなと思っていたのだが、この専用練習場に来る頃にはフリースローはほぼ全部入るようになり、スリーも7割程度入るようになっていた。
 
「やはりスリーくらい全部入るようにしないとね」
などと呟きながら、千里は日々練習に励んでいた。
 
だいたい日中に来るので早月と由美を連れてくるのだが、早月は千里の練習を結構楽しそうに見ていた。おもちゃも色々用意しているのでそれでも結構遊んでいた。
 
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なおヴィッツを買ったのは、ミラでは後部座席に早月用のチャイルドシートと由美用のベビーシートの両方を設置できないからである。アテンザを使うつもりだったのだが、なぜかアテンザがよく出ているのである。《きーちゃん》が
 
『ごめーん。今別件で使用中』
 
と言っていた。それで眷属たちが使うのであれば、近距離はもっと小さい車でもいいかと考え、安い中古車を1台買ったのである。
 
(実際にはアテンザは千里3が使用していることが多かった)
 

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2019年9月8日。
 
政子の元恋人で、現在は大阪で別の女性と結婚生活をしている松山貴昭に2人目の子供・安貴穂(あきほ)が生まれた。貴昭は2016年4月30日に鹿児島県出身の露子という女性と結婚し、最初の子供・紗緒里(さおり)は2017年5月13日に生まれている。
 
政子は実は紗緒里が生まれた時も、安貴穂が生まれた時も、気になって赤ちゃんを見に行っている。前回、廊下の窓ガラス越しに見た紗緒里は政子を見てニコッと笑った気がした。そして今回も同様に安貴穂を見たら、この子も政子を見てニコッと笑った気がした。今回、安貴穂を見ていたら、小さな女の子が寄ってきて尋ねた。
 
「おばちゃんもあかちゃんうんだの?」
「こないだ産んだよ。今日はおうちでお留守番してるけどね」
と答える。
「このこ、わたしのいもうと。かわいいよね」
「へー。だったら、あんたさほりちゃんか?」
 
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政子は紗緒里(さおり)のことを誤って『さほり』と呼んでしまったのだが、紗緒里は、はにかむような表情を見せると
 
「うん。おばちゃん、お母さんのお友達?」
などと訊く。
 
「古い友だちなんだよ。さほりちゃん、あきほちゃんを可愛がってやってね」
と政子は言った。
 
ふたりは5分くらい話していたが、冬子から
「あやめが泣きやまないよぉ、どこまで買物に行ってるの?」
というメールが来ていたので
 
「じゃ、またね」
と言って別れた。政子は冬子に
「ちょっと買物に行ってくる」
と言って、新幹線に乗って大阪まで来ていたのであった。
 

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2019年11月11日。
 
冬子の高校時代の友人・佐野敏春と、冬子の小学校時代の友人・麻央の夫婦の間に、最初の子供・柚が生まれた。2人は一見ゲイの夫婦のように見えることもあり、友人たちは
 
「どっちが産んだんだっけ?」
などと随分訊かれたようだが、一応産んだのは麻央である(多分)。
 
佐野君と麻央は大学時代の友人で、2011年春から付き合っており、2017年6月に長い交際を経て結婚していた。
 
麻央は別に男装している訳ではないし、FTMの傾向も全く無いのだが、極めて漢らしい性格であり、外見的にもふつうに男に見える。それで今回は
 
「男女の夫婦だったのか!」
と驚かれ、
「でどちらが女なんだっけ?」
などと言われていた。
 
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「じゃ麻央ちゃん、性転換手術して女になったの?」
と訊かれると
「うん。2年前にタイに行って手術してきた」
 
などと麻央も悪のりして応じていたが、それを信じてしまった人もいる気がする!
 

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「へー。高校生で性転換したんだ?」
という驚きの声に、蓮菜は
 
「未成年の性転換手術は、去年2件やったけど、高校生の手術したのは初めてだね」
と言った。それは2022年夏だった。
 
「性転換手術って何件くらいしてるの?」
「去年は簡易性転換手術、単純陰茎切断術を含めて20件やった。去勢はその倍やってる。だから週に1回は男性廃業のお手伝い」
「すごーい」
「MTFとFTM両方やるの?」
「私はMTFだけ。それでさ」
「うん」
 
「なんか普通の男の患者の手術でも、つい睾丸を除去したりペニスを根元から切断したい気分になっちゃうのよね〜」
 
「危ない医者だ!」
「いやいや。女の子にしてしまいたいような美少年がいたら、包茎手術か何かでも受けなさいと言って蓮菜の所に連れて行って手術させると、ちゃんと女の子に改造してもらえるかも」
「なんて親切な医者だ!」
 
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「いやでも外科のお医者さんって、そもそも人の身体を切るのが好きな人が多い」
「うん。私も大好き! でも残念だなあ。今日来ているメンツには、もうおちんちんが付いてる子がいない」
 
「ああ。そもそも付いてないか、付いてたけど取っちゃった人ばかりだね」
と和実が言った。
 
「だれかおちんちんがまだ付いてる美少年がいたら連れて来てよ。美少女に改造してあげるから」
などと蓮菜は言っている。
 
「蓮菜ちゃん、研修医は終わったんだっけ?」
「この3月で後期研修が終了した」
「医師になるのにも、ほんとに時間が掛かるね」
「いや、そういうシステムでいいと思う。あまりにも簡単になれるのは問題」
 
「だけど女子の場合、結婚・出産のタイミングが難しいね」
「そうなんだよね。私の友人の中には医学部在学中に1年休学して赤ちゃん産んじゃった子もいた」
「そもそも浪人して医学部に入っていたりすると、前期研修を終えた段階で27-28だしね」
 
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この日は「クロスロード」の集まりだったのだが、千里にくっついてくる形で蓮菜や、今日は来ていないが鮎奈なども、度々この集まりに顔を出している。蓮菜も鮎奈も、このメンツが医者(当初は医学生)の立場からも「面白すぎる」と言っていた。蓮菜は冬子の旧友でやはり医者をしている奈緒と、千里や冬子の子供の頃の実態について、しばしば話が盛り上がっているようである。
 

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「だけどこのメンツの中には、随分早く性転換手術しちゃった子が多いからなあ」
などと蓮菜は言う。
 
「青葉と千里が中学生の時でしょ? 冬子や和実は小学生の時でしょ?」
 
「青葉は超特例で中学3年で性転換手術したけど、私は大学生になってからだよ」
と千里は言うが
 
「いまだにそういう嘘を言うのは理解不能」
などと桃香から言われる。
 
「だいたい千里、インターハイに出た時は女の子の身体だって言ってたよね?」
「うん。それは本当。私は男の身体をごまかしてインターハイに女子選手として出たりはしてないよ」
「だったら、高2の段階で既に性転換していたということになる」
「まあ、そうだけどね」
「だったら遅くとも高1までには性転換したってことでしょ?2年の夏に選手として稼働できるためには、遅くても高1の夏までには性転換手術を受けてないと無理」
 
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「冬子なら性転換手術の1ヶ月後に試合に出られるだろうけどね」
「それは私でも無理!」
「青葉も冬子も性転換手術の1週間後にステージで歌ってるからなあ」
 
「いや、青葉は一週間後だけど、私は1ヶ月後だよ」
と冬子。
 
「青葉はまあ人間じゃないからあり得るけど、冬子は1ヶ月でも信じられないから、冬子はやはり小学生くらいで性転換していたと考えるのが自然」
などと桃香が言う。
 
「私、人間じゃないの〜?」
と青葉。
「たぶん神様」
「そんな偉くないよ」
 
「私も大学生の時に性転換手術受けたんだけど」
と冬子が言うと
 
「却下」
と政子に言われている。
 
「なんかどさくさに紛れて、私が小学生の内に性転換したなんて言われた気がするけど」
と和実が言うと
 
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「事実なのでは?私和実のおちんちん一度も見てないもん」
と淳から言われていた。
 
 
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