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■少女たちの東京遠征(2)

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4年生は2部屋で千里は蓮菜・穂花・佐奈恵と一緒である。つまり4年1組の生徒4人で1部屋である。お風呂は部屋に付いているので交替で入ることにした。
 
「大浴場とか無いんだね」
「田舎の旅館とは違うでしょ」
「観光地とかならホテルでも大浴場持っている所あるけどね」
「あれは高度経済成長期に社員旅行とかの団体客を受け入れるために作られたものだとうちのお父ちゃんが言っていた」
「高度経済成長期って明治時代の日清戦争の後くらいだっけ?」
「違うよ。第二次世界大戦の後の確か昭和20年代くらいじゃない?」
 
蓮菜はなんか時代が違うような気がしたものの、歴史は彼女もあまり得意ではないので、不確かな知識での訂正はやめておくことにした。
 
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「でもどうして大浴場とか温泉って男女に分けるんだろう?」
などと佐奈恵が言い出す。
 
「男女一緒はまずいでしょ?」
「いや、男と女に分けられたら、男か女か曖昧な人が困るよなと思って」
「ああ、千里のような子ね」
「だから、女と、男と、女になりたい男に分ければいいかと」
「いや、男になりたい女もいる」
「あ、そうか」
「じゃ4つに分ける?」
「お風呂屋さん大変だ」
 

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「千里も今はもう完全に女の子になってしまったから女湯に入れるみたいだけど」
「手術する前は大変だったかもね」
「千里、結局いつ手術受けたんだっけ?」
「手術なんて受けてないよー」
「でも今は女の子だよね?」
「え、えーっと・・・」
 
「脱がしてみれば分かる」
と蓮菜が言う。
 
穂花と佐奈恵が顔を見合わせる。
 
「いや、それ確認してみたい気はしていた」
「ちょっと待って」
 
「それか千里が自主的に脱ぐかだな」
と蓮菜。
 
「分かった、分かった。自分で脱ぐよ」
と千里は言うと、参ったなと思いながらスカートを脱ぎ、パンティも下げた。
 
お股には何かぶらさがるようなものは無い。それどころか、ちゃんと縦の線も見える。
 
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「女の子だね!」
「やはり手術は終えてたんだ?」
 
「もうパンティ穿いてもいい?」
「千里、そのままお風呂入ったら?」
「そうする!」
 
それで千里はそのまま着換えを持つとお風呂に入った。
 

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「でも実際問題として千里っていつ女の子になる手術とか受けたんだろう?」
と千里がお風呂に入っている間に佐奈恵が訊く。
 
「なんか色々噂があるよね〜」
「1年生の時にアメリカだかタイだかの性転換専門の病院で手術したとか」
「2年生の時に東京で手術して卵巣と子宮も移植したとか」
「3年生の時に札幌で手術して妊娠も可能な完全な女子になって戸籍も女の子に変更したとか」
 
しかし蓮菜は
「手術なんて受けていないというのに1票」
と言った。
 
「え〜〜〜!?」
「だったら最初から女の子だったとか?」
「それならあの子が男扱いされる理由が無い」
「男の子になりたい女の子とかは?」
「いや、あの子は間違い無く女の子になりたがっている」
「それは同感」
 
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「だけど男の子たちに訊いてもあの子のおちんちんを目撃したことのある子は存在しない」
「トイレでも見ないの?」
「あの子、立っておしっこすることはないから」
「銭湯や温泉では見てないの?」
「あの子と一緒にお風呂に入ったことのある男の子は存在しない」
「うむむ」
 

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「それどころかこないだ転校して行ったリサなんて、何度も千里と一緒にお風呂や温泉に入っている」
「だったらやはり最初から女の子だったとしか思えない」
「こないだ道大会のあと江別市で泊まった時、一緒にお風呂に入ろうとしていたら電話掛かってきて、あの子脱衣場から出て行ったじゃん」
「うんうん」
「で結局その後すぐ戻ってきて女湯に入ったみたいなんだよ」
「そうだったんだ!」
「リサと2組の映子ちゃんがお風呂の中で千里と話していたんだよ」
 
「だったらやはりちんちんが付いている訳ないね」
 
「それどころか、千里はお風呂から上がった後、パンティライナー切れちゃったなどと言って映子ちゃんからナプキンを1枚もらっている」
 
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「ナプキンが必要なの〜〜?」
「あの子、こないだの婦人科検診では、女性ホルモンの量がおとなの女性並みと言われている」
「嘘!?」
「ってことは卵巣は少なくとも存在するのね?」
「その可能性はあると思う」(*4)
 

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(*4)この時期、千里は癌の手術のあと放射線治療を受けている母の卵巣を守るため、大神様の手で、その母の卵巣を自分の身体の中に引き受けている。そのためおとなの女性並みの女性ホルモンが分泌されていた。この卵巣と競合しないようにするため睾丸は父の身体に移動させているので千里は睾丸が無く卵巣があって、ホルモン的には完全に女性になっていた。千里の骨盤が女性型になってしまうのはこの影響である。
 

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「そうだ!病気とかになったとき、病院でお尻に注射とか打たれる時は看護婦さんに見られてるんじゃない?」
と穂花が言うが
 
「ところがあの子の診察券は全部女になっているんだな」
と蓮菜は言う。
 
「やはりあの子は女の子なのでは〜?」
 
「たぶんあの子は本当は男の子だけど、絶対に誰にもちんちんを見せない技を持っているんだな」
「お股にはさんで隠すとか?」
 
「いやさっき見た時は足を広げていたから隠しようが無い。割れ目ちゃんもあった」
 
「分かった!千里のおちんちんは取り外し可能なんだよ」
「取り外せる物なら、ずっと取り外していると思う」
「結局ちんちん無いんだよね?」
 
「それは結局良く分からないんだけど、あの子は心は間違いなく女の子」
と蓮菜は言う。
 
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「それはこないだ蓮菜に言われてその後考えていたけど、それで納得した」
と穂花が言う。
 
「だからあの子が私たちと一緒に泊まるのは問題ない」
と蓮菜。
 
「それは全然問題無いと私も思ってたよ。あの子と一緒にいても男の子の傍にいるような感覚は全く無いもん」
と佐奈恵も言った。
 

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翌10月8日は朝食を取ったあと9時にホテルをチェックアウトして会場に移動する。大会は14:00開始だが、午前中にリハーサルがあるのである。N小も案内に従ってステージに登り、鐙さんがピアノを弾いて歌唱した。サブピアニストの阿部さんは譜めくり係をした。彼女はピアノはうまいが歌は音痴らしい。
 
練習の後は他の学校の練習を聴くが「凄いね〜」「上手いね〜」という声が多数上がる。馬原先生も
「やはり全国大会でこういうのを聴くのも刺激になるんだよ」
と言っていた。
 
練習時間が終わった後、外に出てお昼を食べる。この日は洋食屋さんに入ったのだが
 
「料理がおしゃれ〜!」
「東京のレストランは違う!」
という声が多数出ていた。
 
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この洋食屋さんで、遅くホテルを出てきた保護者たちと合流したが、ここの料理は保護者たちにも好評だった。
 
食事後、一緒にホールに戻り、子供たちは合唱サークルの制服に着替えてから出演者席に座る。ここでピアニストの鐙さんだけは白いドレスを着る。譜めくり係の阿部さんは歌うメンバーと同じ制服である。保護者は少し離れた席なのだが、小野園子さんだけは馬原先生のバックアップのため生徒たちと一緒の席に座った。
 
「唐突に思ったけど、小野部長のお母さんって、もしかして名前が回文ですか?」
「そうそう。上から読んでも『このそのこ』、下から読んでも『このそのこ』」
と小野部長本人が言う(*5).
「へー!」
「お母ちゃんのお姉さんは、歌美(うたみ)なんだけど、結婚した相手の苗字が三田(みた)だったから、やはり上から読んでも『みたうたみ』、下から読んでも『みたうたみ』」
 
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「すごーい!回文姉妹!」
 

(*5)「小野」の読み方は「おの」が代表的だが「この」「おぬ」「さぬ」などの読み方もある。
 

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やがて一般のお客さんも入って来てホールは満席になる。
 
「すごいねー。この会場が満席になるなんて」
「まあ全国大会だからね」
 
ここは3600人入るホールである。出演者が350名くらい、保護者も同程度なので、2800人以上の一般観客が入っている。
 
「出場するのはやはり女声合唱が多いみたいね」
「**代表の学校が混声だったね」
「**代表はほとんど女子だったけど男子も数人混じっていたね」
「まだ声変わりが来てない子なら女子と同じ音域が歌えると思う」
「制服がお揃いなんだけど、みんなスカートなのに男子だけショートパンツだった」
「そりゃさすがに男子にスカート穿かせる訳にはいかない」
「いや、もしスカート穿いてたら男子ということに気付かない」
「なるほどー!」
 
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「じゃスカート穿いて他の女の子に紛れて参加していた子もいたかもね」
「まさか!」
「あり得るとしたら女の子になりたい男の子にスカート穿かせてあげたケースでは」
「スカート穿いても違和感の無い子なら、本人が希望すればスカートでもいいんじゃない?」
「スカート穿いて違和感のある女の子の場合はどうする?」
「むむむ」
 
「私を見て『最近は男の子もスカート穿くのね』と言った人がいる」
「それ笑えないからやめなさい」
「いっそ性転換する?」
「男から女に?女から男に?」
 

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N小の演奏順序は4番目なので、1番目の学校の演奏が終わった所で係員の誘導で席を立ち、楽屋口の方に移動する。楽屋の並びの中に広い練習室があり、そこで練習できるようになっている。N小の子たちが行った時には3番目の学校が練習中であった。
 
やがてその学校が練習室から出てステージ袖の方へ行く。入れ替わりでN小のメンバーが練習室に入る。
 
「さあ、リラックスして行こう」
と馬原先生が声を掛ける。鐙さんがピアノを弾いて、課題曲・練習曲を歌った。みんな緊張しているせいか、歌詞を間違いそうになる子、音を間違いそうになる子が結構出たが、何とか破綻せずに最後まで歌うことができた。
 
「よし。まあまあの出来だよ。この調子で頑張ろう」
と馬原先生は言ったものの、不安そうな顔をしている子が結構いた。特に今間違いそうになった子は暗い顔をしている。
 
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それでともかくも練習室から出ようとしたのだが、その時、ピアニストの鐙さんが椅子から立とうとして、自分の足が椅子の脚に絡まるようにして倒れてしまった。
 
「鐙さん?」
「郁子ちゃん?」
 
と数人が声を掛けて彼女のそばに駆け寄る。
 
「大丈夫?」
「うん、大丈夫」
と言ったものの、鐙さんは起き上がった後、右手の親指を押さえている。
 
「どうしたの?見せて」
と言って馬原先生が彼女の手を取る。
 
親指の付け根付近が赤くなっている。おそらく転んだ時に、そこを床についてしまったのだろう。
 
「これはすぐ冷やした方がいい」
「でも私ピアノ弾かなきゃ」
「無理したらダメ。もっと酷くなってピアノ弾けなくなってしまいかねない」
「そんなあ。やっと伴奏できると思ったのに」
 
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彼女は地区大会の時は乗っていた車が事故による渋滞に巻き込まれて間に合わず、馬原先生がピアノを弾いた。学習発表会の時は彼女は歌もうまいのでそちらに参加してもらうことにしてリサがピアノを弾いた。道大会でもそのリサがもう転校するというので彼女に譲ったので、今回やっと晴れ舞台でピアノが弾けると思っていたのである。
 
係の人が寄ってくる。その係の人が声を掛けたようで、廊下にいた少し偉そうな感じの中年男性も中に入って来た。
 
「どうですか?」
「今転んだので指を打ってしまって」
 
「それは無理しない方がいい。代わりのピアニストは?」
「この子が弾けます」
と言って馬原先生が阿部さんの方に手をやる。
 
「その人もN小学校の児童ですか?」
「はい、そうです」
 
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「だったら交替を認めます。君は治療した方がいい。誰か医務室に連れていける人は?」
と中年男性が言う。結構な権限を持っている人のようである。
 
「私が連れて行きます」
と小野園子さんが申し出た。
 

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少女たちの東京遠征(2)

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