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■女の子たちの球技生活(4)

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それでいきなり、360度回転の《龍王》に来る。きゃー!また目が回りそう。
 
でも笑顔で一緒に列に並び、コースターに並んで乗車する。あはは。目を瞑っていても酔いそうだ。乗車したコースターがゆっくりと巻き上げで坂を登っていく。そして登り切った所から、コースターが走り出す! ひー、助けてー、という気分。
 
ちょっと顔がこわばっていたら、最初のアップダウンのある部分のアップで少し速度が落ちた時、細川君が千里の手を握ってくれた。ドキっとする。
 
でも手を握ってもらったら、何だか凄く気持ちが落ち着いた。それで、その後の360度回転が何だか平気な気がした。さっき妹と乗った時とは全然感覚が違う。なんでこんなに違うんだろうと千里は不思議に思った。
 
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「どうだった?」
「手を握ってもらったら、その後、全然怖くなくなりました」
「じゃ、また手を握ってあげるから、また乗ろう」
「はい!」
 
そういう訳で、千里と細川君は龍王に5回も乗ったのである。その後、全長1500mのビックバーンコースターにも3回、など、ひたすらジェットコースターに乗りまくる。千里も手を握ってもらっているのもあったが、次第に少々の「重力の混乱」
があっても、大丈夫なような気がしてきた。
 

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3時間近くコースターやティーカップなど三半規管を酷使するような乗り物に乗り続けたあたりで、細川君の携帯に着信がある。
 
「あと30分くらいしたら出ようかなどと言ってる」
「あ、こちらもそろそろ引き上げる時間かも」
 
「ね、村山さん。観覧車に乗らない?」
と細川君が言った。
 
「はい」
と千里も笑顔で頷く。
 
それで高さ85mの大観覧車に乗る。1周りするのに15分ほど掛かる。
 
「凄く見晴らしがいい」
「僕、高い所好き」
「私も好きかも」
 
「馬鹿と猫は高い所が好きなんだってさ」
と細川君が謎でも掛けるかのように言う。
 
「私も細川君も猫なのかも」
と千里。
 
細川君は凄く面白そうに笑った。
 
「僕のこと、名前で呼んでよ。貴司(たかし)って」
「うん、貴司君」
「《君》は要らない」
「じゃ、貴司」
 
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「君、名前なんだったっけ?」
「千里(ちさと)です」
「じゃ、僕も《千里》って呼び捨てにする」
「はい、それでいいです」
 
「昼休みのバスケに参加するよね?」
「うん。参加する」
「よし」
 
それで・・・・ふたりは握手した。
 
一瞬ここはもしかしてキス?と千里は思ったが、さすがにここでキスする勇気まではないのが中学生である。
 

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「でも不思議だなあ。僕、これまでまともに女の子と話したこと無かったのに、千里とは凄く話がはずむ」
と貴司。
 
「うーん。。。それは私が普通の女の子ではないからかも」
と千里。
 
「は?」
「あれ? 私、女の子に見える?」
「見えるというか、女の子にしか見えないんだけど」
 
「私、男の子だよ」
「嘘」
 
「嘘と言われても」
「証拠は?」
「へ? あ、そうだ。生徒手帳見せるね」
 
と言って千里はバッグの中から生徒手帳を出して貴司に見せる。学生服を着た千里の写真が載っている。但し髪はまだ切ってないので、女の子みたいな髪型である。しかし何よりも性別の所で、男に○が付いている。
 
「うっそーーーー!」
「ごめんねー。紛らわしくて」
 
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「だって、千里、女子のバスケの試合に出てたじゃん!」
「ああ。女の子と思い込まれて、引き込まれて。メンバー表出した後で、私、女子のチームだったことに気付いたのよね」
 
「・・・でも咎められなかったよね?」
「まあ、私、運動神経悪いから目立たなかったのではないかと」
 
「運動神経悪い人が3ポイントをビシバシ決められる訳が無い」
「うーん。小学校の時の体育の成績はずっと1だよー」
 
「だいたい何でそういう髪なのさ?うちの中学、男子は短髪なのに」
 
「入学式当初、風邪引いて休んでて、それで風邪が治ってから髪切ります、と言ってたんだけど、その後特に注意されないから、バックれてそのまま切らずにいるんだけどね。でもその内、何か言われるかも」
 
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「・・・もしかして、千里って、《女の子になりたい男の子》って奴?」
「そうだなあ。結構なりたいかも」
 
「女の子の服、着たりする?」
「それで人前に出たことはないけど、実は結構着てる」
「今度、普通の女の子の服着て、一緒に遊ぼうよ」
「うーん。遊ぶくらい、いいよ」
 
「ヒゲは生える?」
「ほとんど生えない。私、男の子としては発達が遅いのかも」
 
「喉仏も目立たないよな。声も男の声には聞こえない。女性ホルモンとか飲んでるんだっけ?」
「調達できたら飲んでみたい」
 
「・・・・チンコあるんだっけ?」
「どうだろ? 自分ではもう1年以上見たことない」
 
「見たことないって、やはり付いてないってこと?」
「基本的に触らないようにしてるから。触らなくてもいいようにトイレはいつも個室使ってるし。お風呂で洗う時だけ触るけど、目を瞑って洗って、見ないようにしてる」
「へー、面白い」
 
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「そう?」
 

「決めた」
と貴司は言った。
 
「何を?」
「千里、僕のガールフレンドになってよ」
「《ガールフレンド》でいいの? 私、男の子なのに」
「いや。千里はやはり女の子だよ」
 
「そうかなあ」
「返事は?YES? NO?」
「YES」
「よし」
 
それで、またふたりは握手した。雰囲気でキスになっちゃうかな?とお互い一瞬感じた風でもあったが、まだキスする勇気は持てない気がした。
 

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「千里は今まで僕が知り合った女の子の中ではいちばん変わった女の子だ」
 
「まあ少し変わってるかなというのは自分でも意識してる」
「千里って、友だちは男と女、どちらが多いの?」
「男の子の友だちって、できたことないよ」
「ああ。バレンタインデーで男の子にチョコ渡す口、女の子からチョコもらう口?」
「友だちから唆されて、男の子に渡したことある」
 
「へー。受け取ってくれた?」
「うん。嬉しそうな顔で受け取ってくれたよ」
「その子と交際したの?」
「ううん。そこまで言う勇気は無かったけど、でも受け取ってもらえただけで嬉しかった」
「来年のバレンタインデーにはチョコちょうだいよ」
「うん。それまで私たちが仲良しだったら」
「仲良しに決まってる。バスケも一緒に練習するしね」
「そうだね」
 
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と言い合ったが、そのあと貴司は悩むような顔をする。
 
「千里、女子のバスケ部に入るんだっけ?」
「誘われてるんだけどねー。でも、私が入ってもいいんだろうか?」
 
「別にいいんじゃない?」
と貴司は少し考えながら答える。
 
「そうかな」
 
「それとも男子のバスケ部に入る?」
「男子のバスケ部は試験があるみたいだし、多分私落ちる。私、100m走が30秒だよ」
「そんなに遅いんだっけ?」
「小学校の男子の同級生から、歩いてももっと速いぞと言われた」
 
「それは少し走り込みした方がいいな。走り込みすると千里多分運動能力が全般的に上がるよ。でも女子のバスケ部から誘われてるんだったら、そちらに入ればいいよ。男子バスケ部にも女子バスケ部にも、性別を規制する規定は無かったはず。うちの中学の生徒であることというのと、スポーツマンらしい態度で練習に臨むことというのしか無いよ」
 
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「まあ、ふつうわざわざ明記しないかもね」
 
「女子のバスケ部、人数が少ないから少しでも部員がいた方が普段の練習でも助かるはず」
「かもねー。とりあえず今部員が5人しかいないから、私が入るとワンonワンが3組できると言われた」
「ああ、それでいいと思うよ」
 

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帰りの車の中(遊園地を出てから着替えた)で玲羅から訊かれた。
 
「お姉ちゃん、あの男の子と知り合い?」
「うちの中学の1年先輩。偶然会ったんだよね。話したのは初めてだったけど」
「凄く親しそうに話してたね」
 
玲羅の訊き方は少しニュアンスを感じたが、千里は黙殺した。
 
「うん。バスケット部に誘われた」
「へー、バスケット部に入るの?」
「うん。入ろうかなあ」
「帰宅部よりはいいと思うよ」
 

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そういう訳で、連休明け、千里は節子先輩の所に行き、女子バスケ部に入れてくださいと言った。
 
「おお、千里ちゃん、大歓迎!」
 
と言われて、その日から千里は節子・房江たちと一緒にバスケの練習をするようになったのである。女子バスケ部の練習は、放課後5分でウォーミングアップした後、30分ほどコートで練習する。これまで5人でやっていたのであまり大した練習にならなかったのだが、千里が入ったことで1on1も3組できるようになったし、3人対3人の試合に近い形式でも練習することができるようになった。
 
そしてその後は男子バスケ部にコートを譲り、校舎の周りを走ったり、柔軟体操や筋トレなどを1時間半ほどする(柔軟体操などは2年の久子と組んでやっていた)。
 
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千里はもちろん昼休みの自由練習にも参加する。これには女子のバスケ部の中で1年の数子と2年の久子も参加していた。数子は千里と貴司がしばしば「アイコンタクト」していることに気付き
 
「細川先輩と知り合いだったっけ?」
と訊いた。
 
「うん。私、貴司のガールフレンドだから」
と千里は言っちゃう。
 
「なんだと〜〜〜!?」
と半分驚いたような、半分怒ったような数子の声に対して、千里は楽しそうな笑みを見せた。
 
 
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